SS 433とは

XMM-Newton衛星で探る
SS 433のジェット周辺の
プラズマ構造
河合研究室 久保田 香織
Contents
I.
II.
III.
Introduction
Instrumentation
Observations
IV.
V.
VI.
Data analysis
Discussion
Conclusion
Introduction: SS 433とは
青方偏移





ほぼ銀河面上に位置歳差周期
164日
銀経 lジェット
= 39.7°銀緯 b = -2.2 °
コンパクト天体
速度
超新星残骸W50の中心付近にある
0.26c
伴星
超新星爆発の後に残った星か?
相対論的なジェットを持つ天体
降着円盤
SS 433
主系列星とコンパクト星の連星系(13日周期)
ジェット
双極ジェットは歳差している(164日周期)
Dubner et al. (1998) , Brinkmann et al. (1995) 連星周期
13日
赤方偏移
http://www.astro.virginia.edu/images/astronomy/ss433.jpg
Introduction: 未解決問題


SS 433の運動学的モデルはできている
根本的なサイエンスはよくわかっていない!
ジェットの生成、加速、歳差のメカニズム
 コンパクト星の正体 (Black hole or 中性子星)
など

X線観測が最もよいアプローチ!
ASCA
Introduction: X線観測


全てのX線衛星が観測
最近の観測成果
FeXXV Kα
lines
輝線が主な研究対象
ASCA (1993-2000)
 Chandra X-ray Observatory (1999- )

連続成分に着目!
Kotani et al. (1994)
Instrumentation

XMM-Newton 衛星 ( 1999年12月10日 打ち上げ )
 有効面積大

!
European Photon Imaging Camera-pn
Bandpass
 Spectral resolusion
 有効面積

0.15-15 keV
~150 eV
~300 cm2 @ 6.4 keV
精度のよいデータが得られる!
Observations

W.Brinkmann 氏らによる観測提案

統計:良、バックグラウンド:低、蝕外
2003年10月25日
コンパクト星
約63°
伴星
傾き角最大の時
コンパクト星
2003年10月19日
輝線同士が最も離れる
χ2/d.o.f =
861/740
Data analysis: スペクトルモデル


5.0-10 keVをフィッティング
部分的に強く吸収されているジェットを仮定
ジェットからの放射:
1温度 熱的制動放射 + 輝線11本 2
5.0
6.0 初めて吸収端が検出された!
7.0
8.0
9.0
10
χ /d.o.f =
 吸収体中の鉄 K殻吸収端のエネルギーE1725/740
edge : free

NH lea
5.0
6.0
7.0
8.0
9.0
10
Data analysis: 吸収体の物理量
初めて吸収端が検出された!
2003/10/19
2003/10/25
7.96+0.04
-0.01
7.80+0.06
-0.01
NH lea (cm-2)
22
96+6
×10
-3
22
95+6
×10
-5
吸収されている
X線放射の割合
0.80
0.81
Eedge (keV)

中性Fe K殻 吸収端: 7.11 keV
Discussion: エッジの解釈

Lotz et al. (1968)
吸収端のエネルギーがシフトしている
吸収体中のFeは電離している
 吸収体が視線速度を持っている
青方偏移しているジェットの速度と同程度

電離度
2003/10/19
Fe XVII-Fe XVIII
2003/10/25
Fe XV-Fe XVI
吸収体のz
(z_blue)
-0.1055+0.0012
-0.0049
( -0.0976+0.0012
)Fe
-0.0003
Fe
-0.0876+0.0006
-0.0066
( -0.0923+0.0000
-0.0004 )
XVI
XVIII
Discussion: 電離したプラズマの場合

仮定:吸収体は光電離
している
r

プラズマ中Feの電離度

光電離しやすさ ξ
ξ≡ Lsrc / 4πr2 ne
r
ne
Lsrc
log ξ ~ 1.8
Kallman and McCray (1982)
Discussion: 問題点




光電離しやすさを表すパラメーター
ξ≡ Lsrc / 4πr2 ne
吸収体中でξが一定、ne≒NH lea/r と仮定
r ≒ d2 forg / NH lea ξ
d = 4.85 kpc とすると、
r ≒ 3×109 cm
ne ≒ 3×1014 cm-3
X線ジェット( 1012 cm )に対して短すぎる!
Discussion: 解決するジオメトリ

こちらからは観測でき
ないX線放射がある
r ≒ d2 forg / NH lea ξ

吸収体の半径
r = 1012 cm とする

SS 433からのX線放射
Lsrc = 1039 erg s-1
Conclusion



XMM-Newton EPIC-pnでSS 433を観測
: シフトした鉄のK殻吸収端を検出
吸収体の物理量から吸収体の大きさを見積もった
: X線ジェットの大きさの100分の1程度
ジェットからの放射を十分に遮ることができない
観測できないX線放射の存在を仮定すれば解決!
有力な候補
: 降着円盤の内側やジェットの根元からの放射
ここから 隠しトラペ
Discussion: 吸収体が動く場合

r



6 × 109 cm
ジェットと吸収体は圧力
平衡、ジェットは膨張
n0・T0 > n・T
n0 = 1013 cm-3, To = 108 K
イオンは電離していない
T = 105 K
プラズマの大きさ
r < 107 cm
Discussion: 支持根拠

吸収体のNH~1024 cm-2
光学的深さτ~1
トムソン散乱の効果が効いてくるはず…
スペクトルのライン幅
> モデルのライン幅
吸収体による
散乱の効果
か?