題名: 「参加型開発がなぜ今注目されるのか」

題名:
「参加型開発がなぜ今注目されるのか」
環境情報学部3年
三木香恵
もくじ
研究動機
 研究目的
 研究計画
 言葉の整理
 国内における「参加」理念の動き
 世界における「参加」理念の動き
 「参加型開発」に対する批判的立場
 今後

研究動機
開発現場において「参加型開発」への
注目が高まっている。
OECD/DAC 1989年12月
「1990年代の開発協力に関する政策声明」
・・・より多くの人々の政治・社会システムへの参加
はまず政府の構造改革を促し、人々がより公的
政策決定過程へ参加しやすいしくみを必要とす
る。その最たる例が“地方分権化”である。
↓
しかし、地方分権が必ずしも期待されたような
成果をあげていない場合が多い。
(斎藤文彦[2002])
研究目的・手順
参加型開発がなぜ注目されるに至ったか、その
経緯を明らかにし、どのアクターがどのように開発
をすすめるで開発目的の達成に近づくかを考察す
ること
<手順>
 開発の目的を考える(開発の目的が「参加」なの
か?)
 参加型開発の特徴(メリット・デメリット)をあげる
 参加型開発の方法論は何か?
 開発のアクターは誰か?・・・中間発表
 開発の目的を達成するために最も適したアクター
が参加型開発を通して、どのようにその目的を達
成できるか、事例分析で考察する・・・最終発表
開発の目的
1960年代:経済成長が目的
ジョンFケネディ「国連開発の10年」 国民総生産、
農業生産、貿易、貯蓄などが重視 「全体のパイ
を大きくすることで一人一人の取り分を増やす」
しかし、「トリクルダウン」せず、所得分配の不平等
や貧困の深刻化
1970年代~: 生活の豊かさが目的
これまでの近代化論による開発に代わる代替的な
開発 =人間中心の開発、生活の豊かさを目的
世界:「参加」理念の台頭
1960代
経済規模を拡大すること(経済成長)、インフラ整備、ト
リクルダウン、トップダウン
but 経済成長:環境破壊、郊外、貧富の格差
1970代~
開発=経済成長が人々の生活に恩恵をもたらすこと
ロバート・チェンバース
「モノ中心の開発」と「人間中心の開発」
BHNアプローチ,
DACは『1990年代の開発協力』=参加型開発,国
連において「人間の安全保障」、
国内:「参加」理念の台頭
門間敏幸[2001]
1950代
1960代
中央集権
朝鮮特需
住民主導
所得倍増計画
高度経済成長期
1970代
高度経済成長終
焉
地域主義・福祉国
家論の台頭
住民参加論の台頭
1980代
自由化・民活路線に
よる安全成長
1990代
バブル崩壊・経済大
国ニッポンのかげり
中央集権システムからの脱却
(国内)
経済成長/都市化/画一化/中央集権
(1950~60代)
・・・各主体の利害に基づいて持ちつ持たれ
つの関係、自己改革の誘因は働かない
⇔
生活優先/都市・農村共生/個性化
/地域住民主導(1970~90代)
・・・住民の生活全般にわたりそれぞれの生
活利害に基づいて形成された住民組織
例)エイズ訴訟原告団
「参加型開発」の考え方
自分達の将来に影響を及ぼすような開発活
動が決定される時に、その政策決定の過
程に参加し、意思を表明する。そのような
決定件をつうじて、社会の資源配分やさま
ざまな既成を制定する仕組みへの交渉力
を増す事ができる。これが個人レベルまた
は集団レベルのエンパワーメントに繋がる。
「参加」:言葉の整理
非参加
参加
自発的
・白紙委任
・参加しない
・ただ乗り
非参加
非自発的
・参加させられる
・望まない参加
・参加する
・気付きの促し
佐藤寛[2003]
外部者
内部者
・参加できない
・コスト負担
「参加型開発」メリット
住民参加の現代的意義
•住民の多種多様の能力・意見を統合する
ことができる
•住民が責任をもって合成に関わっていけ
る
•各主体の考え方を相互によく理解できるよ
うになり合意形成が促進される
•参加プロセスは参加した人々に新しい価
値・行動規範を生み出す可能性がある
「参加型開発」におけるデメリット
問題点
•基本構想や総合計画における形式
的な住民参加では有効な結果がうま
れない
•できるだけ多様な住民の参加をどの
ような方法で促進するか
•住民参加を推進することにより住民
エゴや行政依存体質が助長される
「参加型開発」の言説
「たとえ途上国の人々に負担となることがあっても、
その負担が将来的に意味があるものなら、人々
は協力を惜しまない。その結果、参加によって開
発の効果性と効率性を高めることができる。参加
はこうして、エンパワーメントを実現していく。社
会の構成員の能力が高まれば、社会全体として
さまざまな問題に立ち向かっていく能力も向上す
る。すなわちガバナンスが向上するわけである。
この一連の連鎖反応を通じて開発は政治的、経
済的、社会的に持続可能で長期間効果を発揮す
ることができる。」
佐藤文彦 [2002]
言説に対する指摘
1. 地域住民はその地域に直接関連す
る事柄を決定する過程には、当然
のことながら関心をもって参加する
であろうという分権化の推進の前提
が、実際には成立していない場合が
少なくない
2. 情報の欠如
3. 行政官と一般の人々との関係
4. 財源の不足
「参加型開発」の方法論
Stakeholder分析
 草の根情報収集・分析・計画
 プログラム・プロジェクト計画
 関係者協議会
 大グループ改革

斎藤文彦[2002]
開発のアクター
政治
行政:地方分権化
参加
人々
共同体
市民社会:NGOなど
経済
市場経済:
競争
どのアクターがどのように開発を進めるのが、開発の目的
である人間の生活の幸福に近づくか
参考文献

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斎藤文彦 [2002] 『参加型開発』 日
本評論社
佐藤寛 [2003] [『参加型開発の再検
討』 アジア経済研究所
門間敏幸 [2001] 『TN法・住民参加の地域づく
り』 日新印刷株式会社
http://www.worldbank.org/participation/
世界銀行
http://www.undp.org/eo/documents/who.htm
UNDP
研究計画
実際にどのようなガイドラインや政策に参
加型開発が提唱されているか
 事例研究
 地域政治の地方分権化の流れとNGOや
市民社会において参加型開発がどのよう
に関連し、どうすれば開発の目的の達成
に繋がるか
 問題点の解決方策提示
