〈2〉コンパクトなまちづくりと立地適正化及び中枢拠点都市 1.コンパクトシティへ向けて(平成 10 年から提案) 青森市は、平成 11 年都市計画マスタープランで、全国で初めて「コンパクト シティの形成」に向けた政策を掲げました。私は、太田第二区画整理事業によ って郊外化が進展し始めた高松市の将来像として、高松市のコンパクトシティ の考えを平成 11 年 9 月議会で提案しました。 しかし、周りから理解されず、挙句に真逆の市街化調整区域の線引き廃止を 平成 16 年に決定しました。 平成 24 年 12 月、線引き廃止 10 年目を次年度に向かえるに当たり、その影響 について質問しましたが、拡散に対してデータもなく深刻に考えておらず、10 年経過で状況とデータを公表するように申し入れました。 将来の高松市の姿・かたち、コンパクトなまちづくりと地域経済の活性化 経済成長、全国都市化政策と共に地方は、中心市街地空洞化そして郊外への拡 散が進んだ。特に高松は線引廃止後急速な拡散、また地価下落が進行し、地域 経済並びに行政サービス、行政コストに大きな影響を及ぼしている。 今後、地域コミュニティ機能の崩壊、教育問題、環境悪化、等々にもその影 響は波及します。 コンパクトシティを目指すためには、今までと発想を 180 度転換しなければ ならない。まず土地利用のあり方、人々をまち中に集約するあり方、都市機能 の再配置、公共交通と利便性の問題、都市景観、安全安心、長期的視野と財政 負担等について新たに検討しなければならない。 2.コンパクトシティへ向けた高松市に於ける課題と取り組み 1)新たな、まち(高松)づくりの発想の転換 = コンパクトシティ (1)過去のまちづくりの前提 人口増加、経済成長、モータリーゼーション時代へ全国都市化政策=全国 総合開発計画が 4 全総まで続いた →少子・高齢・人口減少、経済縮小社会へ、そしてスプロール現象(郊外部の 無秩序な市街地拡大現象)と中心市街地空洞化、オールドタウン化 ※人口推計 2040 年 *人 口 35.3 万人 *高齢者 13.4 万人/38% *生産年齢 18.4 万人/52% *若 年 3.5 万人/ 10% (2)新しい持続可能な都市づくり = コンパクトシティ 少子・高齢化・人口減少時代また、CO2 排出削減および行政コスト・財政 問題等から歩いて暮らせる街づくりを指向、すなわち都市の中心部に社会基 盤の集中投資を行い、住宅等民間施設及び行政等都市機能を中心に集めた都 市、そして住民が徒歩・自転車で日常生活を過ごせる街づくりのモデルをコ ンパクトシティという。 しかし、多くの住民は、クルマ社会の利便性を実現する郊外型生活スタイ ルを支持しており、住民の意識改革が求められる。 2)高松市のコンパクトエコシティの取り組み(平成 20 年 12 月~) 高松市都市計画マスタープラン「多核連携型コンパクトエコシティ」 27 ①高齢者の外出実態と対策 *後期高齢者の内、500m以上歩行できない人 5 割 *外出時の死傷リスクは年齢により高くなる ②市街地と以外地域の行政コスト 20 年後 1:5.9 ③財政への影響分析 市の財政に影響を与える施設 ・・・ 保育所・小学校・中学校・公民館 道路・橋梁・上下水道等 ④中心市街地活性化とオールドタウン化の対応 3)多核連携型コンパクトエコシティ推進計画(平成 25 年 2 月)について答弁 (1)平成 16 年 5 月線引き廃止に伴う影響について 市街化と調整区域の線引き廃止によって、高松市は都市づくりに大きな影響を 及ぼしています。この状況から今後拡散する都市エリアを集約する為に、コン パクトシティ推進計画を策定しました。この計画を進めるにあたり、市民に説 明責任を果たす為、過去の線引き廃止の影響を検証する必要があります。 まず、①郊外部での人口増加傾向について、中心部で約 2700 人減少、郊外部 で約 1 万人増加し、特に南東部の増加傾向は著しく、特に林・多肥地区では約 6800 人増加し、生活環境インフラ整備や学校等の施設づくりに行政コストの増 大が顕著になっています。また中心部の空洞化による都市機能や活力の低下傾 向が進んでいます。 ②地価の変動に於いては廃止時と直近の比較で、松山市商業地が 7%の下落、 それに対して高松市が大幅に 38%の下落率となりました。 ③中心部に於いては居住人口の減少、商業活動として販売額の低下や空店舗の 増加など空洞化現象が見られる。 ④線引き廃止前と以後 8 年間の、年平均の開発許可面積は 2.8 倍にもなってい る。 ⑤以上のような状況から、平成 23 年 12 月から土地利用規制として新たに都市 計画制度の運用を開始した、この結果、拡散低下への効果が表れている。 ⑥今後、都市の拡散から集約コンパクトシティへ向けて、住民合意を市長自ら が住民への説明責任を果たし、情報発信に努めたい。 ⑦これらのことの行政責任について答弁では明確にしなかったが、今後都市づ くりの方向転換にあたって線引き廃止の影響について説明責任を果たさなけれ ばならない。 (2)コンパクトシティへ向けた今後の課題について 30 年、50 年後の将来イメージに向けて行政コストや財源が課題になるが、行 政コストの縮減を図りながら、当面の合併特例債などの財源を有効に活用し、 各施策事業を着実に実施していきたい。 また人を中心部へ戻す為にインセンティブを与える必要性があるが、その為に まずは地域の魅力を向上させること、そして都市機能を集積し、多様なサービ スが享受でき、地域や人のきずなを大切にするコミュニティを構築するなど集 約拠点の魅力を一層向上させる各種施設、事業に取り組みます。その上で、既 存建物のストックの有効活用を図る施策や、集約拠点への人口集積を誘導する 効果的な支援策をも検討します。 28 以上の進展の中で郊外の廃墟や残骸が課題になり、空屋等の対策は今も課題に なりつつありますが、コンパクトシティへの方向性の中、地域コミュニティ協 議会との調整も含め適切な対策を講じたい。 次に、コンパクトシティ推進にあたっての市長の覚悟について、コンパクトで 持続可能なまちづくりを進めることは、市政の将来にとって何より重要と考え、 最初の市長選挙に臨むにあたり公約しております。そして就任後の第 5 次総合 計画に於いて拡散型からの転換に向け、コンパクトシティはまちづくりの基本 的な考えとしております。 このコンパクトシティ推進計画にあたって、担当セクションを市民に身近な市 民政策局に設け、推進体制の充実・強化を図っております。また、郊外拡散ス トップの時期目標については重要な課題でありますが、時期の設定は現在のと ころ困難と考えます。 以上答弁致しましたが、推進計画実現に向け市民また、コミュニティ協議会と も共通認識をするよう説明責任を果たしていきたいと考えます。 また、市内部の関係セクション間の調整・連携を図る為、市長を本部長とした 推進本部を設置すると共に組織の見直しをし、全庁的体制の下コンパクトシテ ィ実現へ向け取り組んでまいります。 コンパクト・エコシティ推進計画に関連する各種実施計画の改定については、 必要に応じて進めてまいります。 (3)地域活性化への展望とMICEの取り組み ① 地域活性化 都市の魅力を高める地域資源と交流人口を拡大する為の公共交通、ICT をそ の都市の特色を生かして組み合わせる必要があり、また多様な形でのネットワ ークを形成して活用し、交流の促進を図ることが重要である。 東アジア地域を中心にした海外の誘客の拡大を図ることは、これからの重要 な視点・課題である。その為には、コミュニケーションツールとして ICT の活 用が必要である。特にポイントとして人と人との「つながり・絆」は地域活性 化のみならず災害時にも大きな力となり、絆は地域力に欠かせない要件である。 ② MICEの取り組み MICE(マイス)とは Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨・旅行誘 客)、Convention または Conference(大会・学会・国際会議)、Exhibition(展示 会)の頭文字をとった造語で、ビジネストラベルの一形態を指す。一度に大勢 が動くだけでなく、一般の観光旅行に比べて参加者の消費額が大きいことから 近年、MICEの誘致に力を入れる国や地域が増えている。日本でも国のイン バウンド振興策に連動し、自治体による海外向けの誘致活動が盛んになってい る。しかし、世界を見ると日本は遅れを取っている。 高松市また香川県は地勢的、また観光資源やサンポートを始め優位な土地も あり、MICEへ向けた海を利用した水族館、みやげ物産館、免税店、屋島の 眺望・施設等の整備、また瀬戸内海多島美クルーズを国・県・市全体で複合的、 積極的にMICE戦略を図ることが地方創生、香川創生へのインパクトになる。 また、コンパクトシティが中心部への人・機能・経済の集約化と考えるなら、 MICEは有効な手段であると考える。 29 3.コンパクトシティを目指す都市交通の指向 (1)富山市の都市交通の取り組み 富山市のまちづくり課題 = 高松市も同じ ① 自動車を使えない人にとって暮らしにくい街 ② 割高な都市管理的行政コスト ③ 中心市街地空洞化による都市全体の活力低下と魅力の喪失 ④ 深刻化する高齢化 を挙げ、コンパクトシティ実現に向け「鉄軌道をはじめとする公共交通を活 性化させ、その沿線に住居・商業・文化等の都市機能を集約させることにより、 公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを実現すること」を まちづくりの基本方針としている。 そして、徒歩と公共交通によって生活に必要な都市サービスを享受できるた めに串(公共交通)団子(駅の徒歩圏に居住)の都市構造を目指している。 (2)今後の都市交通計画の考え方 計画策定の骨子は、 ①自動車の利用抑制 ②公共交通利用の促進 ③道路空間の再配分 であり、 これをもとにした「持続的な市街地の形成」というコンパクトな都市圏の公共 交通を見直す必要があります。 今後コンパクトシティに向けた都市交通推進は、市民の意見を聞く場を確立 し、それが充分反映されること、また市民が自由に移動できる権利と、公共交 通を運営していく主体であるという責任を充分認識し、また行政が交通権を尊 重し、よりよいサービスを目指すという相互関係が絶対要件です。 ※4.高松市のコンパクトシティへのビジョンは、現在の計画と現況での成果は 望めない、再度このテーマでの戦略計画を作成します。 30
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