平成23年度の大学関係予算について

平成23年度の大学関係予算について
-第一次・第二次補正予算を含む-
学校経理研究会
平成23年7月25日(火) 16時30分~17時00分
文部科学省高等教育局私学部 私学経営支援企画室長
視学官
松坂浩史
[email protected]
平成23年度
高等教育予算のポイント
 「強い人材」実現のためには、知的創造性の育成の中核的機関である大学を核
とした成長サイクルの形成が喫緊の課題
 また、学生が安心して学び活躍できる環境づくりが必要
 そのため、平成23年度高等教育予算においては、
○
成長の土台となる大学の基盤経費、科学研究費補助金など大学関係主要経費に
ついては、平成17年度以来6年ぶりの増額
○
民主党マニフェストを踏まえ、学生の奨学金の貸与人員・授業料減免等の拡大に
よる教育費負担の軽減と,経済的支援を受ける学生のボランティア活動等を奨励
する仕組みの構築を通じた「新しい公共」の担い手育成
○
「新成長戦略」における21の国家戦略プロジェクトに対応したリーディング大学院
の形成やグローバル人材育成のための教育施策の推進
など、政策コンテストのパブリックコメントにおける国民からの高い支持を反映し、大
学が社会から期待される役割・機能を果たすとともに、意欲ある学生が安心して学
ぶことができる環境を実現する施策に重点化
1
2
3
4
私国公立大学を通じた大学改革支援プログラムの変遷
以下の図は,各事業について,新規採択を行った年度を表している。
政策目標
H14
H15
国際的に卓越した教育
研究拠点の形成
21世紀COEプ
ログラム(274件)
H16
H17
H18
H19
グローバルCOEプログラム
特色ある大学教育支援プログラム(285件)
学部段階を中心とした大
学教育の質の保証と向上
「魅力ある大学院教育」イニシアティブ
(143件)
博士課程リーディング
大学院プログラム
(予定:17件)
進プログラム)
(496件)
大学教育充実のための戦略的大学
連携支援事業(92件)
大学教育の国際化推進プログラム(H20から大学教育の国際化加速プログラム)(1,276件)
日中韓等の大学間交
国際化拠点
流を通じた高度専門 大学の世界展開力強化
整備事業(13件) 職業人育成事業
事業(予定:20件)
(6件)
法科大学院等専門職大学院形成支援プログラム
質の高い専門医療人材
の養成と大学病院の機
能強化
(85件)
大学・大学院の教
員養成推進プログ
ラム(34件)
専門職大学院等教育推
資質の高い教員養成推進 進プログラム(38件)
プログラム(24件)
専門職大学院等に
おける高度専門職
業人養成教育推進
プログラム(26件)
がんプロフェッショナ
大学病院連携型高度医療人養成推進(21件)
ル養成プラン(18件)
社会的ニーズに対応した質の高い医療人教育推進プログラム
(58件)
周産期医療環境の整備
周産期医療環境整備 (7件)
事業(43件)
看護師の人材養成システムの確立(12件)
大学・大学院における専
門医療人材養成機能強化
事業(予定:6件)
チーム医療推進のための
大学病院松陰の人材養成
システムの確立
(予定:7件)
社会人の学び直しニーズ対応教育推進
プログラム(160件)
社会人の多様な学び直し
派遣型高度人材育成協同プラン(30件)
産学連携による専門的
人材育成の充実
H23
大学院教育改革支援プログラム(192件)
我が国を代表する国際
化拠点の形成
高度専門職業人養成機
能の向上
H22
(140件)
新たな社会的ニーズに対応した
学生支援プログラム(93件)
大学の力を結集させた教
育の充実と地域活性化
大学教育の国際化
H21
大学教育・学生支援
質の高い大学教育推
推進事業(大学教育推
進プログラム(148件) 大学教育・学生
進プログラム)(30件)
支援推進事業(大
学教育推進プログ 大学生の就業力育成
ラム、学生支援推 支援事業(180件)
現代的教育ニーズ取組支援プログラム(401件)
学生の人間力を高め人
間性豊かな社会人を育成
大学院教育の実質化
H20
ものづくり技術者育成
産学連携による実践型
支援事業(12件)
人材育成事業
サービス・イノベーション人材育 (12件)
成推進プログラム(6件)
口蹄疫等家畜伝染病に対
応した獣医師育成環境整
備事業(予定:2件)
先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム
(8件)(共同採択を含む)
5
6
7
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9
参考
我が国の大学教育の公財政措置に関する国際比較
① 我が国が,大学への公財政支出を削減する中で,他の主要国は,
大学への公財政支出を増加。
④ 我が国は,大学の授業料が高く,奨学金の受給率も低く,他国と比べて特
異な状況。
6,000
授業料が高く,支援も
それほど充実していない
【 4,500
国
立
州
立
大
学 3,000
の
授
業
料
(
ド
ル 1,500
)
】
アメリカ
グループ3
授業料が高いが
支援は手厚い
(韓国を含む)
日本
グループ2
(
(イギリスを含む)
オーストラリア
)
OECD「Education at a Glance 2010」
② そのため我が国の高等教育への公財政支出は,対GDP比で,
国際平均の半分の水準。
ニュージーランド
授業料が低く,支援は
それほど充実していない
グループ4 OECD「Education at a Glance 2010」
オランダ
(ドイツを含む)
イタリア
オーストリア
ベルギー スペイン
フランス
0
0
25
授業料が低く
支援も手厚い
グループ1
アイスランド
フィンランド
ノルウェー
50
【学生のうち奨学金等の受給率(%)】
75
スウェーデン
100
OECD「Education at a Glance 2010」
⑤ そうしたことにより,我が国は,高等教育のための家計負担の割合が高い。
また,勤労者の給与に対する授業料の割合が上昇。
大学の収入に占める公費と私費負担の割合
公費
負担
③ アメリカの質の高い教育は,豊富な公財政を背景として可能。
○ 1986年(S61)から2007年(H19)の20年間の高等教育への公財政規模を比
較すると,アメリカは,510億ドルから1380億ドルへ2.7倍増加。一方,
日本は,2.4兆円のまま変化せず。
○
アメリカの質の高い教育研究は,豊富
な公財政を背景に,教員を支える多くの
職員の配置や,大学院生のTeaching
Assistantとしての活用など,組織的な活
動により可能。
大学の職員一人当たりの学生数
国公立
私立
アメリカ
4.4人
3.9人
日本
10.8人
19.2人
私費負担
(家計を除く)
我が国の勤労者(40~49歳)の平均年間給与に対
する授業料の割合
家計負
担
フランス
84.5%
5.1%
10.3%
ドイツ
84.7%
15.3%
イギリス
35.8%
12.1%
52.0%
アメリカ
31.6%
34.2%
34.2%
日本
32.5%
16.5%
51.1%
OECD平均
69.1%
30.9%
OECD「Education at a Glance 2010」
例:昭和51年の授業料は,国立9.6万円,私立22.2万円,
平均年収257万円,平成20年の授業料は,国立53.6万円,
私立84.8万円,平均年収551万円。
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