ミクロ経済学II 第15回 市場と均衡 2 余剰分析 市場取引の利益 政策的介入の影響 消費者余剰 定義: 払っても良い最高額と実際に払った額の差 例) トヨタのヴィッツに最大160万円払っても良いと思って いて、150万円で購入 →この人の消費者余剰は? 払ってもよい最高額のことを willingness to pay(WTP) reservation price (留保価格) などと呼ぶ 市場全体の需要曲線と消費者余剰 需要曲線の高さは留保 P 価格に等しい 市場 価格 D Q 市場全体の消費者余剰 =個々人の消費者余剰の 総和 = 定義: 生産者余剰=利潤 P S 市場 価格 限界 費用 Q* Q (P=MCになる数量) 固定費がゼロと仮定する。 利潤=収入-費用 収入=市場価格×Q* = 固定費を含まない費用 =限界費用の総和 = 利潤= 社会的余剰(総余剰) 定義: 消費者余剰と生産者余剰の和 消費者の余剰も生産者の余剰も同じように評価 (消費者余剰が1増えるのも生産者余剰が1増えるのも 同じように社会的に望ましい) 家計(消費者)が企業の所有者 (株主)と仮定 →企業利潤は株式の配当として家計へ分配 →企業が儲かれば消費者の所得が増加 社会的余剰(総余剰)の例 Aさんは価格が最低150万円なら自分の車を中古で売っ ても良いと思っている BさんはAさんの中古車に最高200万円まで払っても良い と思っている 160万円でAさんとBさんが車を売買 →消費者余剰は「 」円 生産者余剰は「 」円 社会的余剰(総余剰)は「 」円 →実は、もし取引が行われるならば売買価格に関係なく 社会的余剰は一定 定義: 社会的余剰=消費者余剰+生産者余剰 P S 消費者余剰= 生産者余剰= 社会的余剰= 家計が企業の所有者 市場 価格 D Q* Q 均衡数量 (株主)と仮定 →企業利潤も家計に帰着 →全体の余剰の大きさだけ が問題 最低価格規制(価格維持政策、price floor) 影響のある規制 (binding) 合法 影響のない規制 (non-binding) 違法 合法 最低 価格 S 違法 D Q 合法 最低 価格 違法 Q (bindingな)最低価格規制の影響 最低価格の下での需要 量はQ**、供給量はQS QS-Q**だけ超過供給 が発生 均衡で売買される数量は Q** P 超過 供給 最低 価格 S D Q** QS Q 最低価格規制(価格維持政策)のコスト 規制がない場合 規制がある場合 P P S 最低 価格 市場 価格 D Q* Q 余剰の減少分 Q** Q 最高価格規制(低価格政策、price ceiling) 影響のある規制 (binding) 影響のない規制 (non-binding) 違法 合法 違法 違法 最高 価格 S 最高 価格 合法 合法 D Q Q (bindingな)最高価格規制の影響 最高価格の下での供給 量はQ**、供給量はQD QD-Q**だけ超過需要 が発生 均衡で売買される数量は Q** P 超過 需要 最高 価格 S D Q** QD Q 最高価格規制(低価格政策)のコスト P P 余剰の減少分 S 市場 価格 D Q* Q 最高 価格 Q** Q 1単位あたりt円を供給者に課税 1単位あたりt円課税 ⇒企業にとって限界費用 がtだけ高くなる ⇒供給曲線がtだけ上に シフト S’ P t S MC D Q 間接税の影響: 供給者に課税 1単位あたりt円供給者 に課税 生産者が手にする価格 =消費者が払う価格 - t P t Pp 数量はQ*からQ**に減 P* 消費者が払う価格はP* Pr からPpへ上昇 生産者が受け取る価格 はP*からPrへ下落 S’ S D Q** Q* Q 1単位あたりt円を消費者に課税 1単位あたりt円課税 ⇒消費者の留保価格が t円だけ下がる ⇒需要曲線がtだけ下に シフト P S t D’ D Q 間接税の影響: 消費者に課税 消費者が負担する価格 =生産者が手にする価格+ t 数量はQ*からQ**に減 P Pp 消費者が払う価格はP*か P* らPpへ上昇 生産者が受け取る価格は Pr P*からPrへ下落 →生産者に課税した時と全く 同じ S t D’ Q** Q* D Q 間接税の影響: 生産者に課税vs消費者に課税 生産者に 課税 S’ Pp P* P 消費者に 課税 S S t t Pr D Q** Q* Q D’ Q** Q* D Q 消費者と生産者のどちらに課税すべきか? どちらに課税しても、結果(均衡価格・数量・消費者余 剰・生産者余剰・死荷重)は全く同じ 消費者が個人で納税するのは大変なので、生産者に 課税することが多い 間接税のコスト(税収も余剰にカウント) P P S S’ 税収=t×Q** t Pp S t P* D Q* Q Pr 余剰の 減少分 Q** MC D Q 弾力的なケース vs 非弾力的なケース D S t t S D Q Q 間接税の影響は弾力性によって違う 需給ともに非弾力的 ⇒間接税による消費量の 変化が小さい 1. 行われるべき取引が 行われないことによる 社会的損失が少ない 2. 税収が大きい 需給ともに弾力的 ⇒間接税による消費量の 変化が大きい 1. 行われるべき取引が 行われないことによる 社会的損失が大きい 2. 税収が小さい (課税に よって買わなくなる) 食料品の消費税率を下げるべき!? 効率性の観点からは: 需給ともに非弾力的 ⇒間接税による消費量の 変化が小さい 1. 行われるべき取引が 行われないことによる 社会的損失が少ない 2. 税収が大きい 平等性の観点からは: 所得の低い人ほど支出 に占める食費の割合が 高い 消費税が上がっても食 糧は買わざるを得ない ⇒低所得者にとって負担 が大きい(逆進的)
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