国内施設で問題視されている主な院内感染症起因菌 (耐性)菌名 MRSA VRE ペニシリン耐性肺炎球菌 クロストリジウム・ディフィシル バチルス・セレウス セラチア・マルセスセンス 大腸菌/肺炎桿菌 エンテロバクター属菌 シトロバクター属菌 緑膿菌 蛍光菌、シュードモナス・プチダ アシネトバクター属菌 バークホリデリア・セパシア ステノトロフォモナス・マルトフィリア 結核菌 特 徴 わが国の病院施設に広く定着、一部で市中感染も わが国の病院施設では未だ稀だが一部で多発 市中感染症起因菌としても問題、高齢者施設で要注意 芽胞を作り、通常の消毒に抵抗、北米等海外で問題視 芽胞を作るため通常の消毒に抵抗、食中毒も起す 多剤耐性セラチアが散見的に出現、一部で同時多発 第三世代セファロスポリン耐性株が徐々に増加 セファマイシン耐性株が散見される セファマイシン耐性株が散見される 多剤耐性緑膿菌が一部施設で院内感染、死亡者発生 多剤耐性株が一部施設で院内感染、4℃で生育 多剤耐性株が一部施設で増加、人工呼吸器の汚染 多剤耐性株が一部施設で増加、消毒薬抵抗性 多剤耐性株が一部施設で増加、生来カルバペネム耐性 医療職員への感染もしばしば問題となっている MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) MRSA院内感染の特色 1)MRSAに汚染された器物・手指を介した接触感染 2)MRSAを含んだ飛沫を吸い込むことで起きる飛沫感染 3)治療器具(各種カテ-テル等)を介した感染 感染源 1)MRSA感染患者 2)医療従事者(健康者は感染していても自覚症状はない) 3)院内環境(ゴミや埃に付着して空中に舞うなど) MRSA院内感染は、通常は大学病院など大規模な病院に多発す る。その理由は 1)長期入院で感染する機会が高い 2)高度医療(各種の化学療法等) 3)免疫力の低下した患者が多い 消毒剤耐性MRSAの出現 1984年にオ-ストラリアで、塩化ベンザルコニウムに耐性を獲得したMRSAが報告さ れたことから、俄かに消毒剤耐性を獲得したMRSAの存在がクロ-ズ・アップされ将来 それが蔓延することが危惧されていたが、現在ではその危惧が現実のものとして消毒 剤耐性を獲得したMRSAが院内感染の主流を占めている。 最近の知見では、 1)臨床分離されたMRSAの約60%が消毒剤耐性遺伝子を保有 2)その内の約20%では実際に消毒剤が無効(風間仁、その他、第71回日本細菌学会総会、1998年)。 3)消毒剤耐性は消毒剤の化学構造、分子量に関係なく各種消毒剤に交差耐性を示す。 多剤耐性緑膿菌(MDRP) IPM耐性 31株(6.3%) 23株 (4.7%) LVFX耐性 70株(14%) 13株 (2.6%) 5株 (1.0%) 1株 (0.2%) AMK耐性 4株(0.8%) P. aeruginosa(494株) 平成14年2月25日から3月10日の間に、全国193の医療施設から、感染症の起因菌と して検出されたP. aeruginosa (494株)について行った解析結果 IPM, LVFX, AMKの三系統全てに耐性と判定された多剤耐性緑膿菌 (MDRP)は2.6%。 MDRPとMRSAの違い(耐性獲得機序の違い) MRSA MDRP plasmidの 非MDRP 伝達 A A B 分裂 plasmidの 伝達 C 分裂 A A 分裂 A A B MRSAは対数増殖 的に増殖する。 分裂 B MDRP化 非MDRP C C MDRP化 MBLを産生するMDRPは、患者さんが腸管内などに保有す る別の緑膿菌に耐性遺伝子をばら播きつつ、ネズミ算式に 増殖する危険性がある。 感染症の脅威(多剤耐性結核菌の発症) 米国疾病対策センター(CDC)と世界保健機関(WHO)による、2000年から2004年の、6大陸、25施設における17,690 株の結核菌の調査結果(Morbidity and Mortality Weekly Report 3月24日号)をもとに、広範囲薬剤耐性結核菌 (Extensively Drug-resistant TB; XDR-TB)の現状について紹介する。剤耐性結核菌(Multi Drug-resistant TB; MDRTB)は3,520株で全体の20%を占めており、XDR-TBはそのうち9.6%にあたる347株であり、全体の2%にのぼる。 国内施設で問題視されている主な院内感染症起因菌 (耐性)菌名 特 徴 MRSA わが国の病院施設に広く定着、一部で市中感染も VRE わが国の病院施設では未だ稀だが一部で多発 ペニシリン耐性肺炎球菌 市中感染症起因菌としても問題、高齢者施設で要注意 クロストリジウム・ディフィシル 芽胞を作り、通常の消毒に抵抗、北米等海外で問題視 バチルス・セレウス 芽胞を作るため通常の消毒に抵抗、食中毒も起す セラチア・マルセスセンス 多剤耐性セラチアが散見的に出現、一部で同時多発 大腸菌/肺炎桿菌 第三世代セファロスポリン耐性株が徐々に増加 エンテロバクター属菌 セファマイシン耐性株が散見される シトロバクター属菌 セファマイシン耐性株が散見される 緑膿菌 多剤耐性緑膿菌が一部施設で院内感染、死亡者発生 蛍光菌、シュードモナス・プチダ 多剤耐性株が一部施設で院内感染、4℃で生育 アシネトバクター属菌 多剤耐性株が一部施設で増加、人工呼吸器の汚染 バークホリデリア・セパシア 多剤耐性株が一部施設で増加、消毒薬抵抗性 ステノトロフォモナス・マルトフィリア 多剤耐性株が一部施設で増加、生来カルバペネム耐性 結核菌 医療職員への感染もしばしば問題となっている
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