基礎電気工学 第13回授業 演習 【解答】

基礎電気工学 第13回授業 演習
【解答】
1.永久磁石型直流モータの特性について,図1の等価回路を用いて考える。
ここで,Vは端子電圧(モータにかけている電圧),E0は逆起電力,I
I = Ia
は負荷電流,Iaは電機子電流,raは電機子抵抗であり, である。
また, nを回転速度(単位時間あたりの回転
数),Φを極の磁束,PMを機械的出力,ωを
回転角速度,Tをトルクとすると
V = ra I a + E0 = ra I a + knΦ (k: 起電力定数)
1.永久磁石型直流モータの特性について,図1の等価回路を用いて考える。
ここで,Vは端子電圧(モータにかけている電圧),E0は逆起電力,I
I = Ia
は負荷電流,Iaは電機子電流,raは電機子抵抗であり, である。
また, nを回転速度(単位時間あたりの回転
数),Φを極の磁束,PMを機械的出力,ωを
回転角速度,Tをトルクとすると
V = ra I a + E0 = ra I a + knΦ (k: 起電力定数)
PM = ωT = E0 I a
PM = ωT = E0 I a
の関係がある。以下の問いに答えよ。
の関係がある。以下の問いに答えよ。
図1
(1) トルクが電流に比例することを示せ。
(2) 回転速度が端子電圧にほぼ比例し,特に無負荷の時には端子電圧に
比例することを示せ。
(3) V, Φ, n, ra, kを用いてIaを表し,その式に基づいて,電圧をかけた状態
で強制的に回転を止めるとモータを破損する虞がある理由を説明せよ。
図1
(1) トルクが電流に比例することを示せ。
→
T=
2. 電車のモータは以前は直流直巻モータが使われていたが,現在では誘導
モータが多く使われるようになってきている。電車の走行に要求される
特性,これらのモータの特徴,およびモータ制御技術の観点から,この
使用モータの変化について説明せよ。
1.永久磁石型直流モータの特性について,図1の等価回路を用いて考える。
ここで,Vは端子電圧(モータにかけている電圧),E0は逆起電力,I
I = Ia
は負荷電流,Iaは電機子電流,raは電機子抵抗であり, である。
また, nを回転速度(単位時間あたりの回転
数),Φを極の磁束,PMを機械的出力,ωを
回転角速度,Tをトルクとすると
V = ra I a + E0 = ra I a + knΦ (k: 起電力定数)
(knΦ ) I a
PM E0 I a
=
=
2πn
ω
ω
=
kΦ I a kΦ
=
Ia
2π
2π
永久磁石型ではΦは一定のため,kΦ/(2π)は定数。したがって,
トルクは電流に比例する。
1.永久磁石型直流モータの特性について,図1の等価回路を用いて考える。
ここで,Vは端子電圧(モータにかけている電圧),E0は逆起電力,I
I = Ia
は負荷電流,Iaは電機子電流,raは電機子抵抗であり, である。
また, nを回転速度(単位時間あたりの回転
数),Φを極の磁束,PMを機械的出力,ωを
回転角速度,Tをトルクとすると
V = ra I a + E0 = ra I a + knΦ (k: 起電力定数)
PM = ωT = E0 I a
PM = ωT = E0 I a
の関係がある。以下の問いに答えよ。
の関係がある。以下の問いに答えよ。
図1
(2) 回転速度が端子電圧にほぼ比例し,特に無負荷の時には端子電圧に
比例することを示せ。
図1
(3) V, Φ, n, ra, kを用いてIaを表し,その式に基づいて,電圧をかけた状態
で強制的に回転を止めるとモータを破損する虞がある理由を説明せよ。
→
より,
V = ra I a + E0 = ra I a + knΦ
1
(V − ra I a ) ∝ V − ra I a
∴ n=
kΦ
knΦ = V − ra I a
raは非常に小さい値なので V >> ra I a と考えてよい。したがって,回転
速度は電圧にほぼ比例する。
Ia = 0
また,無負荷のときはトルクが0なので,電流も0( )のため,
n=
1
V
kΦ
∝V
→
V = ra I a + E0 = ra I a + knΦ
V − knΦ
∴ Ia =
ra
より, ra I a = V − knΦ
V
Ia =
強制的に回転を止めるとn = 0なので, 。
ra
raは非常に小さい値なので,非常に大きな電流が流れ,発熱に
よりモータが損傷する虞がある。
2. 電車のモータは以前は直流直巻モータが使われていたが,現在では誘導
モータが多く使われるようになってきている。電車の走行に要求される
特性,これらのモータの特徴,およびモータ制御技術の観点から,この
使用モータの変化について説明せよ。
→
電車の走行には,始動時に大きなトルクが必要で,速度が速
くなれば必要なトルクは小さくてよく,速度変化に応じて広い
範囲でトルクを制御する必要がある。直流直巻モータはこの要
求に合った特性を持っていることから,電車に使われていた。
しかし,直流直巻モータは整流子とブラシを使っていることか
ら,保守が大変である。これに対し,整流子とブラシを使わな
い誘導モータは構造が簡単で保守が容易であり,また小型軽量
化が可能という利点がある。しかし,始動時にトルクが小さい
ため電車の要求特性に合わず,使われていなかった。誘導モー
タは電圧と周波数を制御してやることによりトルク曲線を変化
させることができ,電車の走行に使える特性を実現できるが,
以前はこの制御が簡単でなかったので使われていなかった。半
導体回路による制御技術の進歩により電圧と周波数の制御
(VVVF制御)が容易にできるようになり,誘導モータは電車に
採用されるようになり,現在新しく作られる車両では誘導モー
タを使用するのが普通になっている。