参院選2016の注目点~問われる成長と分配のあり方

【 緊急リポート 】
参院選2016の注目点~問われる成長と分配のあり方
-経済政策の各党公約比較-
2016.6.30
Copyright Mizuho Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
《 はじめに 》
 第24回参議院議員選挙が6月22日に公示され、7月10日に投開票が
行われる。今回の選挙は、安倍政権のこれまでの実績や政策運営に
関する「中間評価」であり、政策の継続・変更の是非を判断する機会で
ある
 アベノミクス・消費増税再延期の是非を争点として掲げる与党に対し、
主要野党はこれに加え、憲法改正・安保法制を争点として重視してい
る。経済政策では、成長と分配のあり方をめぐる各党の政策が問われ
ている
 以上を踏まえ、本リポートでは、経済政策に関する主要政党の公約
(重点政策等)を比較し、注目点をまとめた。
各論では、①アベノミクスの評価、②消費増税再延期・財政再建、
③雇用、④社会保障、⑤格差、⑥地域活性化、⑦農業政策、
⑧TPPの8分野を取り上げている
1
<政党略称>
自由民主党:自民
日本共産党:共産
生活の党と山本太郎となかまたち:生活
民進党:民進
おおさか維新の会:お維新
日本のこころを大切にする党:こころ
公明党:公明
社会民主党:社民
新党改革:改革
<各党公約一覧>
自民:「政策パンフレット2016」及び「自民党政策BANK」
社民:「参議院選挙公約2016統合版」
民進: 「民進党の重点政策:国民との約束」 及び「民進党政策集2016」
公明: 「参院選重点政策」
生活:「重点政策パンフレット」
共産: 「2016参議院選挙政策」
こころ:「参議院選挙公約」
お維新:「2016参院選マニフェスト」
改革:「新党改革 2016 約束」
2
《構 成》
1.参院選2016の位置づけ
(1)参院選2016の意義と争点
(2)現有議席数・獲得議席数目標
(3)今回選挙の特徴①:野党共闘
(4)今回選挙の特徴②:18歳選挙権
2.注目される経済政策をめぐる争点
(1)アベノミクスの評価
(2)消費増税再延期・財政再建
(3)雇用
(4)社会保障
(5)格差
(6)地域活性化
(7)農業政策
(8)TPP
おわりに
P4
P5
P6
P7
P8
P 10
P 11
P 13
P 14
P 17
P 19
P 21
P 22
P 23
P 24
3
1.参院選2016の位置づけ
~今回選挙の意義・争点・特徴~
4
1.(1) 参院選2016の意義と争点 ~アベノミクス継続の是非、野党は憲法改正を争点化
◯ 参院選は時の政権のそれまでの実績や政策運営に関する「中間評価」であり、政策の継続・変更の是非を判断する機会
‧ 与党はアベノミクス・消費増税再延期の是非、安倍政権の安定的継続への賛否を争点として掲げる
――― 安倍晋三首相(自民党総裁)は消費増税再延期につき「国民に信を問う」としているが、延期すべきでないと主張
する党はない
‧ 野党4党(民進、共産、社民、生活)は経済問題に加え、憲法改正・安保法制を争点として重視
――― 昨年成立した安保法制の白紙化、憲法9条改正反対等を訴えている
◯ 経済政策においては、与野党とも成長と分配の双方を重視した政策を掲げているが、力点の置き方や具体的政策は党に
よって異なっている
【 憲法改正・安保法制に関する各党公約 】
自民
○国民合意の上に憲法改正
・国民主権、基本的人権の尊重、
平和主義を堅持。衆参両院の
憲法審査会における議論を進め、
各党との連携を図り、あわせて
国民の合意形成に努め、
憲法改正を目指す
○揺るぎない防衛体制の確立
・平和安全法制の施行に伴い、
あらゆる事態に切れ目のない
対応が可能な態勢を構築
公明
○安定した平和と繁栄の
対外関係
・不断の外交努力と平和安全法
制の両輪によって、戦争を未然
に防ぐための抑止力を高めると
ともに、国際社会の平和と安全
のために一層の貢献を果たす
(憲法改正は争点ではない)
民進
共産
○戦後70年かけて日本国民が
育んできた「立憲主義」と
「平和主義」を守りぬく
○安保法制=戦争法廃止、
立憲主義の回復、
安倍改憲を許さない
・昨年成立した安保法制を
白紙化
・集団的自衛権行使を容認した
閣議決定を撤回
・平和主義を脅かす憲法9条の
改正に反対
・日本国憲法の前文を含む全条
項を守り、平和的民主的条項の
完全実施をすすめる
・未来志向の憲法を国民とともに
構想
・憲法9条にたった平和の外交
戦略
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
5
1.(2) 現有議席数・獲得議席数目標 ~マジックナンバーは46、57、61、78
◯
‧
‧
‧
今回の参院選では、121議席(定数242の半数、選挙区73、比例代表48)が改選
安倍首相は、与党(自民・公明両党)で「改選議席の過半数」である61議席の獲得を目標に掲げる
憲法改正の発議に必要な参院の「3分の2」(162議席)に届くためには、今回、一部野党を含む改憲勢力で78議席が必要
野党4党(民進・共産・社民・生活)は「まず3分の2阻止」で共闘。野党4党(非改選27議席)で参院の「3分の1」超(81議席)
確保には54議席が必要
【 今回参院選での獲得議席目標等 】
安倍首相の目標
自民単独過半数
自民 57
改選
121
他
50
43
2
非改選
自 民
改憲勢力で
3分の2
14
9
3
17
8
他
65
11
共 産
お維新 + こころ
お維新
社 民
こころ
改 革
諸 派
12
53
公 明
生 活
自民 公明 お維新 共産 民進
121
民 主
自民 + 公明 +
78
自民 公明 お維新 共産 民進
定数242
立候補
者数
与党で改選数の過半数
自民 + 公明 61
与党過半数
自民 + 公明 46
【 今回参院選での党派別立候補者数等 】
こころ
無所属
合 計
73
55
24
56
28
11
5
15
10
74
38
389
選挙区 比例区
48
33
7
14
10
4
0
10
1
60
38
225
25
22
17
42
18
7
5
5
9
14
164
改選
50
45
9
3
2
2
2
0
2
1
4
120
欠員1
(注) 2016年6月1日時点。
(資料) 各種報道等より、みずほ総合研究所作成
選挙区
38
28
3
0
0
0
1
0
0
1
2
73
比例区
12
17
6
3
2
2
1
0
2
0
2
47
非改選
公示前
勢力
65
17
11
8
5
1
1
3
0
3
7
121
115
62
20
11
7
3
3
3
2
4
11
241
欠員1
欠員1
(注) 読売新聞の集計による。
(資料) 読売新聞「参院選党派別立候補者数」等より、みずほ総合研究所作成
6
1.(3) 今回選挙の特徴 ①:野党共闘 ~1人区での統一候補擁立は実を結ぶか
◯ 野党4党(民進・共産・社民・生活)は勝敗の鍵を握るとされる全国32の1人区で統一候補を擁立
‧ これまでの国政選挙において、野党候補乱立による票の分散が自民を利したとの反省から1人区で候補者を一本化
‧ 野党4党による共通政策を打ち出す
――― 安保法制廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回、アベノミクスによる国民生活の破壊や格差と貧困を
是正、TPPや沖縄問題のような国民の声に耳を傾けない強権政治に反対、安倍政権による憲法改正に反対など
‧ 共産は野党共闘をさらに進めた「国民連合政府」構想を提唱するも、民進はこれに否定的
‧ 自民・公明は、野党4党による共闘を重要政策で意見を異にする政党による「野合」と批判
【 参院選選挙区定数(改選議席数) 】
【1人区での野党4党共闘】
青:民進党公認候補
緑:無所属候補
赤:共産党公認候補
定数見直し(4県2合区を含む10増10減)により、
今回から宮城、新潟、長野が新たに1人区にな
り、鳥取と島根、徳島と高知は合区となってそ
れぞれ2県で定数1となった。北海道、東京、愛
知、兵庫、福岡はそれぞれ定数1増。
(資料) 各種報道より、みずほ総合研究所作成
7
1.(4) 今回選挙の特徴 ②:18歳選挙権 ~若年有権者の心を選挙戦でいかに掴むか
◯
‧
◯
‧
‧
今夏から新たに18歳と19歳の国民に選挙権(約240万人、有権者の約2%)。国政選挙では、今回の参院選が初のケース
世界的には18歳で選挙権を得る国が主流
若年の有権者は、投票行動を決めるタイミングが遅い傾向(≒無党派層の多さ)
各政党にとっては、公示後の選挙活動を通じて、いかに無党派層の支持を獲得するかがより重要に
大半の政党が、18~19歳の有権者を念頭に置いた公約を掲げる(給付型奨学金の創設や無利子奨学金の拡充等)
【 各国の選挙権年齢(下院) 】
年齢
国・地域数
主な国・地域
21 歳
8
オマーン、クウェート、シンガポール、マレーシア など
20 歳
4
台湾、バーレーン、カメルーン など
19 歳
1
18 歳
167
17 歳
3
16 歳
6
韓国
日本、米国、英国、イタリア、オーストラリア、カナダ、
ドイツ、フランス、ロシア など
東ティモール など
アルゼンチン、オーストリア、キューバ、ブラジル など
(注) 1. 選挙権年齢が判明した189か国。国立国会図書館調べ(2015年12月)。
(注) 2. 日本は2016年6月19日より、20歳から18歳に引き下げられた。
(資料) 那須俊貴「諸外国の選挙権年齢及び被選挙権年齢」 (国立国会図書館調査及び立法
考査局 『レファレンス』 平成27年12月号)より、みずほ総合研究所作成
【 投票候補者決定時期(選挙区選挙) 】
選挙期間に
入る前
全体
(1389人)
選挙期間に
入った時
30.4
20-30歳代
(253人)
16.6
40-50歳代
(457人)
25.8
10
24.3
20
24.9
38.5
28.4
30
10.9
36.8
39.3
0
投票日当日
32.9
21.7
25.4
60歳以上
(649人)
選挙期間中
40
50
11.8
27.6
60
70
80
4.8
90
100 (%)
(注) 「選挙期間中」は「投票日の4日以上前」「投票日の2~3日前」「投票日の前日」を合算。
(資料) 明るい選挙推進協会「第23回参議院議員通常選挙全国意識調査」より、
みずほ総合研究所作成
8
1.(4) 今回選挙の特徴 ②:18歳選挙権 ~シルバー民主主義変革への一歩となるか
◯ 年齢や世代により、関心の高い政策には違い。少子高齢化により、人口が多くまた投票率の高い高齢者層に厚く配慮し
た政策が行われやすいことが指摘される(シルバー民主主義)
◯ 長期的な国の先行きを展望すると、若年層の意見・意識の汲み上げや、将来世代にも十分に留意した政策の形成も重要
◯ 併せて、負担の掛かる現役世代にも重点を置いた税や社会保障、子育て支援などの制度改革も必要に
◯ 今回の選挙権年齢の18歳への引き下げが、シルバー民主主義変革への一歩となるか?
【 日本における年齢別人口構造と世代に応じた政策のウェイト 】
年齢別人口ボリュームのイメージ
今回の参院選より
「18歳以上」に拡大
0歳
10代
将来世代
20
30
40
50
60
若年層
児童期
想定される世代別の
関心・影響のある政策分野
財政の健全化
有権者(選挙権あり)
70
80
90
100
高齢者世代
現役世代
教育への支援
子どもの貧困
への対策
子育て支援
雇用機会の拡大
社会保障の充実
負担の軽減
(年金、医療など)
(資料) みずほ総合研究所作成
9
2.注目される経済政策をめぐる争点
~各党公約の比較~
10
2.(1) アベノミクスの評価 ① ~成果を強調する与党と、格差拡大を批判する野党
◯
◯
‧
‧
与党は着実に成果があがっていることを強調する一方、民進・共産・社民などは格差が拡大したとして批判
昨秋に安倍政権は、「分配」をより重視する方向でアベノミクスを事実上軌道修正。今回の公約にもそれを反映
与党は「成長と分配の好循環」を、民進は「分配と成長の両立」をそれぞれ掲げ、有権者にとって違いを見出しにくい面も
民進が与党と大きく違うのは金融政策への評価。預金者のデメリット等の観点から「マイナス金利は撤回させる」と主張
【 経済政策全般に係る各党主張等 】
自民
公明
民進
この道を、力強く、前へ。
希望が、ゆきわたる国へ。
人からはじまる経済再生。
スローガン
「経済の好循環」を、さらに加速。
景気に力強さを。実感を「地方」
「中小企業」「家計」へ
ふつうの人から豊かになる経済
アベノミクスの総評
道半ばだが、確実に「結果」を生み出し
ている
経済成長の果実は、地方へ、中
小企業へ、家計へと回りつつある
格差の拡大、実質賃金の低下
など、完全に行き詰まり
アベノミクスのエンジンを最大限にふかし、 成長戦略を着実に実行し、内需
デフレからの脱却速度をさらに上げる
拡大と地方創生を連動させる
経済政策の方向性
「経済のパイ」拡大の成果を子育て・介
護等に分配し、それをさらに成長につな
げる「成長と分配の好循環」を構築
「成長と分配の好循環」が一層
機能するよう、構造改革や民間
投資喚起策などが必要
必要なのは「分配と成長の両立」
「人への投資」「働き方革命」
「成長戦略」を力強く、実行する
マイナス金利は撤回させる
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
11
2.(1) アベノミクスの評価 ② ~自民と民進は経済指標等により自説を補強
◯
‧
‧
◯
◆
自民と民進は、自らの主張と整合的な経済指標等を引き合いに出したアピール合戦を展開
経済成長や賃金について、自民は名目ベースの増加を強調し、民進は物価上昇分を調整した実質ベースの低迷を指摘
雇用状況に関しては、自民が就業者数全体の増加や高水準の求人倍率をあげ、民進は非正規雇用の増加を批判
総じてみると、経済パフォーマンスの良さを強調する自民、福祉・教育分野を含めた格差拡大等を指摘する民進との構図
アベノミクスがデフレ脱却に向けて一定の成果を示したことは否定できない。広がりをもった経済の再生のために、次の
一手として、どのような政策を選ぶかが問われるべき
【 自民・民進両党が指摘するアベノミクスの効果に関する経済指標等 】
<自民党>
国民総所得
36兆円増加
就業者数 110万人増加
有効求人倍率 24年ぶり高水準
若者の就職率 過去最高
給与 3年連続で2%水準の賃上げ
企業収益 過去最高
税収 21兆円増加
企業の倒産件数 25年ぶりの低水準
外国人旅行者数 過去最高
<民進党>
実質成長率
平均0.8%
(民主党政権時は平均1.7%)
非正規雇用 全体の4割超に増加
実質賃金 低下
(2010年=100に対し最近は95以下)
待機児童数 一向に減らず
大学進学率 世帯収入が少ないほど低い
地域が自由に使える一括交付金を廃止
コメに対する所得補償交付金を縮減
TPP合意で重要5項目の聖域が崩壊
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
12
2.(2) 消費増税再延期・財政再建 ~予定通りの増税は誰も訴えないが、よく見ると違いも
◯
◯
‧
‧
‧
自民・公明・民進はともに、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標を守ると表明
消費増税について、これら3党は「延期」の判断。自民・公明が2年半延期、民進は条件付きでの2年延期を主張
ただし、低所得者対策や社会保障充実策の扱いについて、自民・公明と民進では違いも
他の政党のスタンスは、①生活・改革は延期、②お維新・こころは凍結・停止、③共産・社民は中止
消費増税の凍結・中止を訴える政党は、行政改革の徹底(お維新)や大企業・富裕層の税負担見直し(共産・社民)を主張
【 財政政策に係る各党公約 】
自民
財政健全化目標 目標の扱い
(2020年度の
基礎的財政収支
目標到達までの道筋
の黒字化)
目標は守り、次世代にツケをまわさない
(①)
目標は堅持
デフレ脱却・経済再
生、歳出改革、歳入
改革の3本柱で推進
民進
(特段の記載なし)
目標と実現までの戦略を定める財政健全
化推進法をつくり、持続可能な財政構造を
実現
2019年10月に実施(2年半延期)
2019年4月に実施(2年延期)
(①~③および行政改革等の徹底が前提)
低所得者対策
飲食料品等にかかる軽減税率制度を導入
高所得者優遇の軽減税率は中止し、
増税分を中低所得者に払い戻す
給付付き税額控除を実施(②)
消費増税までの社会
保障充実策の扱い
赤字国債に頼ることなく安定財源を確保して
可能な限り実施
消費増税を待たずに予定通り
2017年4月から実施(③)
引き上げ時期
消費税率10%
への引き上げ
公明
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
13
2.(3) 雇用 ①働き方改革 ~与野党とも目指すべき働き方のビジョンは十分明示せず
◯ 自民・公明は時間外労働の上限規制の「検討」を、民進は例外なき労働時間の上限規制の「法定化」を公約
 民進はブラック企業対策として「企業の働き方に関する開示拡大」を掲げるが、この政策が幅広い企業に適用された場
合、多くの企業で働き方改革が加速する可能性
 時間外労働の上限規制はあくまで健康及び生命を守るための規制。与野党ともこれに関わる政策を示す一方、育児や
介護をしながら働く労働者が増加する時代に適した働き方のビジョンと具体策は十分提示していない
【 時間外労働の上限規制(概念図) 】
法定労働時間(週40時間、1日8時間)、
休憩、法定休日
【 長時間労働是正策に関する各党公約 】
規
制
労使協定+割増賃金支払いで
改
労働時間の延長が可能
革
労使協定で延長できる労働時間の限度基準
(月45時間、1年360時間等)
特別協定+割増賃金支払いで
労働時間の再延長が可能
労働時間延長の上限を設定
(注) 法定労働時間は特例措置対象事業場を除く。管理監督者等は、法定労働時間、
休憩、法定休日に関する労働基準法の規制の適用除外。
(資料) みずほ総合研究所作成
自民・公明
民進
・時間外労働の上限規制導入
の検討[自民、公明]
・勤務間インターバル規制導
入の検討[自民]
・月または四半期単位の例外なき
労働時間の上限規制を法定化
・勤務間のインターバル確保を義
務化(最終的に11時間を目指す)
企
・テレワーク等の柔軟な働き
業
方を推進 [自民、公明]
の
取 ・勤務間インターバル確保に
向けた企業の取り組み推進
組
[公明]
推
・労働時間短縮等に向けた
進
企業の取り組み推進[自民]
等
・労働基準監督署による監視の
厳格化
・企業の働き方に関する情報
開示拡大を推進
(注) 勤務間インターバル規制はある日の勤務終了時から翌日の勤務開始時まで一定の間隔を確保する
ことを義務付ける制度。
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
14
2.(3) 雇用 ②女性活躍 ~民進が男性の育児参加推進に向けてより具体策を提示
◯ 自民・公明、民進ともに保育や放課後の子どもの受け皿拡充、被用者年金の適用拡大等を主張
◯ 自民・公明は女性活躍推進法に基づく企業の取り組み推進、民進は女性活躍推進法改正による企業の義務強化を主張
 女性活躍には男性の育児参画が不可欠だが、この課題に対する自民の政策は男性や職場の意識・風土改革等が中心。
これに対し民進は育児休業制度におけるパパ・クオータ導入等、より具体的な政策を提示している
【 女性の就業拡大・キャリア形成支援に関わる各党公約 】
自民
保育所等の拡充
公明
・保育所定員拡充(17年度末までの
整備目標に10万人上積み)
・小規模保育等拡大
・放課後の子どもの受け皿を大幅に
拡大
・「放課後子ども総合プラン」実施
被用者年金制度等の
見直し
・配偶者控除や第三号被保険者制
度等を女性の就業に中立な制度
へ本格的に見直し
・2016年10月以降の被用者年金の
適用拡大について更なる拡充
企業の取り組み推進
・女性活躍推進法に基づく企業の
取り組みを推進
・女性活躍推進法に基づく企業の
取り組みを推進
男性の育児推進
・「イクメン」「イクボス」を含め、男性
の意識改革と職場風土の改革を
推進
(注) パパ・クオータとは、育児休業期間のうち父親のみ取得可能な期間を指す。
民進
・保育園定員拡充、放課後児童クラ
ブ整備、幼保連携型認定こども園
等への給付制度充実
・保育園の用地取得支援等
・2016年10月以降の被用者年金の
適用拡大の着実な実施
・被用者全員が原則厚生年金等に
加入する制度を目指す適用拡大
・女性活躍推進法改正
(男女の賃金格差等の把握と
目標設定義務化)
・男性の育児に関する権利明確化
―
・パパ・クオータ導入を含む男性の
育休推進策等
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
15
2.(3) 雇用 ③若者・高齢者 ~自民の公約は既存策の着実な実施が中心
◯ 公明、民進はブラック企業やブラックバイト(学生らしい生活を困難にするアルバイト)への対応強化で一致
◯ 公明は若者政策担当大臣の設置や審議会への若者の登用等、若者の意見を反映した政策決定を掲げている点、
民進は若者への職業教育強化を掲げている点で独自色を打ち出している
 自民の公約は既存政策の着実な実施に関わる内容が中心。確実性はあるが、若者や高齢者の一層の活躍に向けて
更なる一歩を踏み出す姿勢は見出しにくい面も
【 若者・高齢者の就業支援に関わる各党公約 】
自民
若 者
高齢者
・企業による職場情報提供の取り組み
を着実に進め、若者の採用・育成に積
極的な企業の取り組みを推進
公明
民進
・若者政策担当大臣・部局の
設置・明確化
・学校やハローワークにおける
若者への就労支援強化
・審議会等への若者の登用
・高校・大学等での職業教育充実
・ブラック企業・ブラックバイトへの
対応強化
・ブラック企業ゼロを目指し、
企業の情報開示を推進
・定年延長などの企業の取り組み推進
・高齢者の雇用確保に取り組む
企業への支援拡充
・シルバー人材センターの更なる活用
推進
・ハローワークによる高齢者への
支援強化
・定年年齢の引き上げや
継続雇用制度導入に関わる
企業の取り組み推進
・シルバー人材センターの機能強化
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
16
2.(4) 社会保障 ① ~消費税率引き上げ延期により、社会保障充実の実施時期が争点に
自民・公明は、赤字国債に頼ることなく安定財源を確保して可能な限り社会保障の充実を行うと主張
消費税率10%への引き上げの再延期により、社会保障の充実のための財源が不足
子育て支援や介護を優先させ、消費税率10%への引き上げ時に実施予定の年金給付拡充等は先送りの可能性
民進は、消費税率の引き上げは2019年4月まで延期するが、行政改革の徹底等により、年金、医療、介護の充実と子育
て支援は予定通り2017年4月に実施と明記
 行政改革の徹底等による財源の確保は実現困難。確実な財源確保または充実させる社会保障の取捨選択が不可避
◯
‧
‧
◯
【 消費税増収分の使途予定 】
【 社会保障に関する各党公約 】
(12.0兆円)
0.37兆円
程度
3.4兆円程度
1.35兆円程度
2016年度
(消費税率8%)
・赤字国債に頼ることなく安定財源を確保して
可能な限り社会保障の充実を実施
社会保障4経費増
2.3兆円強
3.2兆円程度
社会保障の充実
基礎年金等
消費税率10%に
引き上げた場合
(注) 1.消費税率10%に引き上げた場合は、2017年度をベースとした金額。
2.社会保障4経費増は、消費税率引き上げに伴う社会保障4経費の増加分。
基礎年金等は、基礎年金国庫負担割合の2分の1の財源等。
(資料) 財務省「平成28年度社会保障関係予算のポイント」(2015年12月)より、
みずほ総合研究所作成
民進
3.1兆円程度
0.6兆円
程度
後代への負担の
つけ回しの軽減
自民・
公明
6.0兆円弱
(8.2兆円)
・予定通り2017年4月に年金給付拡充を実施
─ 低年金者の年金をかさ上げ(年間最大6万円増)
─ 年金受給に必要な保険料支払い期間を25年から
10年に短縮
・医療、介護、保育、障害福祉の自己負担の合計額に
上限を設ける「総合合算制度」を創設
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
17
2.(4) 社会保障 ② ~保育士の処遇改善幅に差
◯ 保育士と介護人材の平均賃金は低いため、各党とも処遇改善を主張
◯ 保育士の処遇については、自民は2%改善、ベテラン保育士は更なる処遇改善と主張しているが、民進は保育士の月給
を5万円引き上げと主張
‧ 共産は月給5万円引き上げ後、更に5年間毎年1万円ずつ引き上げ、合計で10万円引き上げを主張
◯ 介護人材の処遇については、自民、野党ともに月額1万円改善と差がない
 保育士・介護人材の賃金水準が低いことから大幅な改善が望ましいが、どう財源を確保するかが課題
【 保育士・介護人材の月額賃金(2015年) 】
【 保育士・介護人材の処遇改善に関する各党公約 】
自民
(万円)
35
100%
30
25
78%
15
22
10
68%
66%
33
26
23
67%
22
民進
20
・保育士の賃金2%改善(これまでに7%改善)、ベテラ
ン保育士には更に処遇改善
・介護人材の確保と離職防止に努め、キャリアアップ
の仕組みを構築し、月額平均1万円の処遇改善
・保育士の月給を5万円引き上げ
・介護職員の月給を1万円引き上げ
5
(注) 企業規模計(10人以上)。
(資料) 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2015年)より、みずほ総合研究所作成
共産
福祉施設介護員
ホームヘルパー
介護支援専門員
保育士
全産業平均
0
・保育士の月給を5万円引き上げ、さらに5年間毎年
1万円ずつ引き上げ、合計10万円の賃上げ
・介護職員の月給を1万円引き上げ
(注) 1.公明は公約で処遇改善の数値を示していない。
(注) 2.民主、共産、社民、生活、維新の党(解党し民進党に合流)の野党5党は、保育士の給
与を1人平均月額5万円引き上げるための助成金を支給する法案を2016年3月に国会
に提出。
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
18
2.(5) 格差 ① ~与野党の公約は方向性で一致するが、具体策には温度差が存在
◯ 与野党とも最低賃金引き上げ策を提示。なかでも野党の公約は踏み込んだ内容(全員の時給1,000円以上実現等)だが
その際のリスク(低賃金労働者の雇用不安定化等)の緩和策が十分示されていない
◯ 与野党とも同一(価値)労働同一賃金の実現を公約。不合理な格差の是正に向けたルール作りの進展に期待
 海外では勤労意欲を損なわずに低賃金労働者の所得底上げ等を実現する制度として給付付き税額控除(※)を導入する
国が少なくない。しかし与野党ともに財源が必要なこの政策に踏み込んでいない
(※)勤労や子どもがいることを条件に税額控除を行い、税額控除しきれない場合は差額を給付する制度
・全国加重平均で時給1,000円を目指し、
最低賃金を引き上げ
共産・
社民
・全国一律の最低賃金に転換
・最低賃金を時給1,000円に引き上げ、
更に1,500円を求める
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
民進 共産 社民
民進
・誰もが時給1,000円以上となることを目指して
最低賃金を引き上げ
自民 公明
自民・
公明
【 最低賃金に関わる各党公約 】
【 同一(価値)労働同一賃金に関わる各党公約 】
・同一労働同一賃金の実現により、非正規労働者の処遇改善
・同一労働同一賃金の実現
・雇用形態に関わらず合理的理由のない不利益取扱いを禁止
・実効性あるガイドラインの策定
・同一価値労働同一賃金の法整備
・正規・非正規間の合理的理由のない待遇差別を禁止
・同一労働同一賃金・均等待遇を法律に明記
・非正規労働者への不当な差別を解消
・同一価値労働同一賃金に沿った職務評価手法の研究・開発
・均等待遇の確立・法制化
(注) 同一労働同一賃金は一般に「同じ労働については同じ賃金を支払うべき」という考え、同一価値
労働同一賃金は一般に「同じ価値がある労働であれば異なる労働であっても同じ賃金を支払う
べき」という考えを指す。
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
19
2.(5) 格差 ② ~子どもの貧困解消に向けて各党とも子育て世帯の支援拡充
◯ 子どもの貧困解消のため、与野党とも低所得の子育て世帯の支援拡充や、給付型奨学金制度の創設等を掲げる
‧ 子どもの貧困率は16.3%と6人に1人の子が貧困、ひとり親世帯の子どもの貧困率は54.6%と2人に1人の子が貧困と深刻
な状況であり、各党とも子どもの貧困防止対策を掲げている
‧ 共産は、大学授業料を10年で半額、給付型奨学金は月額3万円を70万人に給付と具体的な水準を明示
 奨学金制度の拡充は、レベル感の明示が必要
【 子どもの相対的貧困率 】
子どもがいる現役世帯のうち、
大人が1人の世帯の貧困率
70
60
54.6
50
子どもの貧困率
20
0
88
91
94
97
2000
03
06
・ひとり親家庭等への支援拡充
・大学授業料を10年で半額
・給付制奨学金制度の実現(月額3万円を70万人に給付)
・子どもの医療費無料化を国の制度に
16.3
10
1985
・ひとり親家庭等への支援拡充
・大学生等への給付型奨学金制度の創設
・将来的には高校無償化を保育園・幼稚園から
大学まで拡大
共産
30
09
12 (年)
(注) 相対的貧困率は、等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯員の割合から算出。
大人は18歳以上、子どもは17歳以下。現役世帯は世帯主が18歳以上65歳未満の世帯。
(資料) 厚生労働省「国民生活基礎調査」より、みずほ総合研究所作成
・ひとり親家庭等への支援拡充
・学習支援を実施
・幼児教育の無償化
・高校生等の奨学給付金の充実
・大学生等への給付型奨学金制度の創設
民進
40
自民・
公明
(%)
【 子どもの格差是正に関する各党公約 】
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
20
2.(6) 地域活性化 ~与党は現政権の地方創生をアピール、野党も異論少ない
◯ 与党が地方創生の推進をアピールする一方、野党も地方重視に異論はなく、大きな争点になっていない
‧ 企業本社の地方移転やCCRC(ケア付き高齢者コミュニティ)の地方展開など、与党が挙げている具体策の多くは既に
地方創生で取り上げられたもの
‧ 選挙区選出の議員は非三大都市圏が多いことなどから、地方創生のような地方重視策に各党で異論が少ない
 地方創生の具体的な事業において、自治体の要望がある程度尊重される仕組みであることから、候補者が自らの選挙
地盤に関連して追加策などに言及する場合があるものの、全国レベルでは争点になりにくい
‧ ただし、大都市圏の人口が増加しており、大都市圏向けの公約(リニアや大都市制度など)は以前より注目されやすい
東京圏
非三大
都市圏
【 地域活性化関連の各党公約の特徴 】
自民・
公明
【 都市圏別選挙区の議員定数および想定投票者数の割合 】
選挙区の議員定数
想定投票者数
・企業の本社や中央省庁の地方移転やCCRCの地
方展開など自民や公明が挙げている具体策の多く
は、現政権で推進している地方創生で既に取り上
げられたもの
・地方創生の既存の具体策以外では、自民がリニア
の大阪延伸の早期化を挙げているのが目立つ
名古屋圏
(注) 1. 東京圏:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 名古屋圏:愛知県、岐阜県、三重県
大阪圏:京都府、大阪府、兵庫県、奈良県。
2. 選挙区の議員定数は10増10減を反映。想定投票者数は2010年都道府県別18歳以上
人口×2013年第23回参議院選挙都道府県別投票率で算出。
(資料) 総務省統計局「平成22年国勢調査報告」、明るい選挙推進協会「第23回参議院議員選挙
都道府県別投票率」より、みずほ総合研究所作成
野党
大阪圏
・民進は民主党時代から掲げてきた補助金改革と
高速道路の活用を掲げる
・共産はリニアなどの大型公共事業に反対
・お維新は副首都法、大阪都構想、道州制という
地盤の大阪を意識した行政改革を主張
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
21
2.(7) 農業政策 ~与党を挟んで対峙する民進とお維新の政策スタンス
◯ 与党、民進と、他党と大きく異なる主張を展開しているお維新の農業政策を比較すると、民進が農業者保護に最も重点を
置く一方、お維新が農業者保護の見直しや規制改革に最も積極的な姿勢を示している
◯ いずれも輸出推進等を成長戦略として掲げている
 「攻め」と「守り」の双方が重要だが、「守り」もバラマキにならず、生産基盤の確保や体質改善につながることが求められる
【 農業政策に関する各党公約 】
政策分野
コメ
品
目
自民・公明
・2018年からのいわゆる減反廃止にあ
わせて、飼料用米等の転作作物の生
産に対する予算を恒久的に確保
民進
おおさか維新
・コメの価格が生産コストを下回った場
合に国が差額を補償する制度(戸別
所得補償制度)を恒久化
・減反廃止を徹底
・戸別所得補償制度を主業農家に限定
社民、生活、改革も同調
・畜産の高収益化に向けた地域内連携
(畜産クラスター)の取り組みを支援
[牛マルキン・豚マルキン(右記)はTPP発
効にあわせて補填率の引き上げを予定]
・牛肉や豚肉を生産する農業者の赤字
を補填する事業(通称、牛マルキン・豚
マルキン)を即時に法制化・恒久化
農協
[2016年4月の農協法改正により、農業所得
の増大に向けた取り組みの強化を農協に
促した]
・農家の所得向上を図るとともに地域生
活を支える協同組合として、農協を法
律的に位置づけ
・地域農協から金融部門を分離し、地域
別に株式会社化
・独占禁止法の適用除外規定を廃止
農地
[2016年5月に成立した改正国家戦略特区
法により、当面は兵庫県養父市に限り、企
業の農地所有を認める]
―
・株式会社の土地保有を全面的に容認
・農地取引の許可権限等を有する農業
委員会を廃止(自治体に権限を委任)
畜産
規
制
社民も同調
成長戦略
(注) [ ]内は、これまでの与党の政策対応。
―
輸出推進など
改革も同調
(資料) 各党公約等より、みずほ総合研究所作成
22
2.(8) TPP ~国会承認を前提に対策を打ち出す与党、「合意」に反対する野党4党
◯ 2016年2月に署名に至った環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への賛否は、与野党の対立点のひとつ
‧ 自民・公明は、TPPの国会承認を前提として、農林水産業、地方、中小企業を重視したTPP対策・活用策を打ち出している
‧ 野党4党は、「TPP合意に反対」で一致。ただし、共産・社民・生活はTPPそのものに反対、民進は「今回のTPP合意」に反
対している
――― 野党のうち、お維新は「TPPに賛成」、改革は国益確保を前提に国会承認支持、こころはTPPに直接言及してない
が賛成の意向
 民進は、「農産物重要5項目の聖域が確保されていない」等を理由に「今回のTPP合意」に反対しているが、TPPそのもの
への賛否は明らかではない。ただし、民進の主張に沿った形での新たなTPP合意が実現する可能性は極めて低いとみら
れる
【 公約における与党のTPP関連施策(抜粋) 】
自
民
公
明
・農業など守るべきものは守りつつ、TPPの活用などにより近隣
アジアの海外市場をわが国の経済市場に取り込む
・中小企業・小規模事業者の海外市場獲得等を支援、インバウン
ドを商店街に戦略的に取り込む取り組みを支援
・TPP国別枠輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れ、
国産主食用米の需給及び価格への影響を遮断
・中小企業の海外展開や農林水産物輸出額1兆円の実現、低炭
素技術の市場拡大、インフラの戦略的輸出など海外の潜在需要
の獲得
・「総合的なTPP関連政策大綱」の重要品目(米、麦、牛肉・豚肉、
乳製品、甘味資源作物)に関する施策を着実に実行し、再生産
可能な農業・畜産業を維持、発展
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
【 公約における野党のTPP合意反対理由 (抜粋)】
民
進
・農産物重要5項目の聖域が確保されていない
・自動車分野でのメリットも小さい
・このような交渉結果となった経緯・理由に関する情報が明らか
になっていない
共
産
・2つのウソ:①「聖域を守った」、②深刻な農業・地域経済への
打撃を「ない」と言い張る
・巨大多国籍企業の利益のために、経済主権も投げ捨てる
-関税を撤廃し、食の安全、医療、雇用、保険・共済、国・自治
体の調達など、あらゆる分野の「非関税障壁」を撤廃
-ISD条項(投資家・国家間の紛争解決条項)によって、多国籍
企業が政府や自治体の施策に介入・干渉する「権利」を保障
(資料) 各党公約より、みずほ総合研究所作成
23
おわりに
◯ 今回の参院選はアベノミクスの評価が最大の争点。足元の経済の不透明化を有権者がどのように捉えるか
◯ 「第三極」の勢いが弱まった中で迎える転換点の国政選挙。野党共闘の効果の表れ方も注目点
◯ 18歳~19歳の票の行方も一つの焦点に。若者・現役世代にターゲットを絞る政党があれば、受益と負担によ
る選択軸が明確化した可能性。「シルバー民主主義」への問い掛けの契機となるか
【 政治・政策等の主要スケジュール 】
◯ 先の英国の国民投票は、一票の重さ
2014年
を再認識させる結果。参院選の投票
率を高める要因となるか
◯ 参院選の結果は、安倍首相の求心力
に影響を与える可能性も。次の衆院
選の実施時期をも左右か
◯ 東京五輪開催の2020年を視野に入れ
る政治・政策の展開にインパクトをも
2015年 2016年 2017年
参院選
(7月)
参議院選挙
衆議院選挙
総裁選
(9月)
消費増税 消費増税
(4月)
(10月)
たらす重要な選挙。投票の帰趨は中
長期的な政策の基調をも形成へ
イベント
戦後
70年
2020年
任期満了
(12月)
総裁選
(9月)
統一地方選 都知事
(4月)
選挙(7月)
地方選挙
2019年
参院選
(夏)
衆院選
(?)
衆院選
(12月)
自民党総裁選
経済政策
2018年
延期
経済対策
(秋)
伊勢志摩
サミット
統一地方選
(春)
消費増税
(4月)
消費増税 財政健全化
再延期
(10月)
▲
目標期限
黒田日銀総裁任期切れ
ラグビー
ワールド
カップ
東京
五輪
(資料) みずほ総合研究所作成
24
〔本資料に関する問い合わせ先〕
みずほ総合研究所 調査本部
政策調査部 菅原淳一
TEL :03-3591-1338
本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、取引の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、弊社が
信頼に足り且つ正確であると判断した情報に基づき作成されておりますが、弊社はその正確性・確実性を保証するものではあ
りません。本資料のご利用に際しては、ご自身の判断にてなされますようお願い申し上げます。
25