化学工学I 伝熱(1) • 伝熱の機構 • 伝熱速度 温度コントロールが大切 福島第一原発事故 津波で原子炉を冷却できなくなり、炉心溶融が起きて爆発 伝熱 冷却水 熱の流れ 温度 分子運動の激しさを表す指標 分子の運動エネルギーを物体から物体へ移すこと 伝熱(heat transfer)の機構 伝導伝熱 対流伝熱 放射伝熱 (conduction) (convection) (radiation) 伝熱(heat transfer)の機構 伝導伝熱 対流伝熱 放射伝熱 (conduction) (convection) (radiation) 伝導伝熱 熱が物質内を高温から低温へ移動する現象 アルミ製 木製 座ったときどちらが冷たく感じるか(両方とも室温) 熱伝導度が異なるから 伝導伝熱 断面積A, 長さLの金属丸棒を考える 高温T1 伝熱速度Q [J·s-1] Q∝ 低温T2 A·(T1 − T2 ) L 単位面積当たりの伝熱速度q [J·s-1·m-2](熱流束 heat flux) 温度 q=λ dT dx T1 − T2 dT =λ フーリエの法則 L dx λ:熱伝導度(J·m-1·s-1·K-1=W·m-1·K-1) 位置 熱伝導度 0.1 0.1 1 10 100 ガラス 羊毛 発砲ポリスチレン 空気 銀 銅 金 ステンレス アルミニウム 水 木材 1000 鉄 (W·m-1·K-1) 演習1 伝導伝熱 室外の温度が0℃で、室内の温度を25℃に保っているとき、木造住宅 のガラス窓(面積1m2、厚さ5mm、ガラスの熱伝導率1W·m-1·K-1) を通しての伝熱速度はいくらになるか。ただし、その他の場所への熱 の移動は無視する。 演習2 伝導伝熱 演習1のガラス窓に防寒のために窓の外側に断熱シート(面積1m2、 厚さ2mm、熱伝導率0.1W·m-1·K-1)を貼った。室内の温度が25℃ が、室外の温度が0℃とすると伝熱速度はいくらになるか。 円管の伝熱速度 内半径r1, 外半径r2, 長さLの円筒 内表面温度T1, 外表面温度T2, T1>T2 r2 r Q = q·A = λ ·A dT フーリエの法則 dx 内側と外側の面積が異なる r1 dT dr Qはrに関係なく一定なので、r=r1 T=T1 Q = λ ·2π rL· T1 T2 からr=r2 T=T2まで積分 r2 1 T2 Q∫ dr = λ ·2π L ∫ dT r1 r T1 円管の伝熱速度 内半径r1, 外半径r2, 長さLの円筒 内表面温度T1, 外表面温度T2, T1>T2 r2 r Qはrに関係なく一定なので、r=r1 T=T1 からr=r2 T=T2まで積分 r2 1 T2 Q∫ dr = λ ·2π L ∫ dT r1 r T1 r Q·ln 2 = λ ·2π L(T2 − T1 ) r1 r1 T1 Q= T2 λ ·2π L(T2 − T1 ) ln(r2 / r1 ) A1 = 2π r1 L, A2 = 2π r2 L, x = r2 − r1 とすると 円管の伝熱速度 内半径r1, 外半径r2, 長さLの円筒 内表面温度T1, 外表面温度T2, T1>T2 r 2 Q·ln 2 = λ ·2π L(T2 − T1 ) r1 r r Q= r1 λ ·2π L(T2 − T1 ) ln(r2 / r1 ) A1 = 2π r1 L, A2 = 2π r2 L, x = r2 − r1 とすると T1 T2 Q= r2 − r1 (T2 − T1 ) A − A1 ΔT x = λ· 2 ln(A2 / A1 ) ln(A2 / A1 ) x λ ·2π L 円管の伝熱速度 内半径r1, 外半径r2, 長さLの円筒 内表面温度T1, 外表面温度T2, T1>T2 r2 r Q = λ· A2 − A1 ΔT ln(A2 / A1 ) x Alm = r1 Q = λ ·Alm y− x ln(y / x) 対数平均 logarithmic mean ΔT x T1 T2 円管の伝熱速度 内半径r1, 外半径r2, 長さLの円筒 内表面温度T1, 外表面温度T2, T1>T2 Q = λ· r2 r r1 A2 − A1 ΔT ln(A2 / A1 ) x Alm = y− x ln(y / x) 対数平均 logarithmic mean 伝導伝熱と対流伝熱 ペアガラス 室内 ガラスの熱伝導率 λ=1W·m-1·K-1 空気の熱伝導率 λ=0.0241W·m-1·K-1 ガラスの熱伝導率 λ=1W·m-1·K-1 屋外 空気の層があるため断熱性が高い(結露しない) 伝導伝熱と対流伝熱 ペアガラス 室内 ガラスの熱伝導率 λ=1W·m-1·K-1 空気の熱伝導率 λ=0.0241W·m-1·K-1 ガラスの熱伝導率 λ=1W·m-1·K-1 もし空気が動いたら 屋外 熱を持った物質が移動することによって熱が伝わる(対流伝熱) 対流伝熱 ガラス 50℃ 50℃ 冷却水 5℃ 5℃ 冷水 熱水 実際は異なる! 対流伝熱 ガラス 50℃ 50℃ 冷却水 5℃ 5℃ 冷水 熱水 壁近傍の流体は静止しているので均一ではない 対流伝熱 ガラス 液があまり動いていない領域(境膜) (laminar film) 50℃ 境膜では伝導伝熱で熱移動 q=λ T1 − T2 L 5℃ 冷水 熱水 壁近傍の温度はバルクと異なる 対流伝熱 境膜の厚さや熱伝導度は流体の物性、流れの状態によって変化 Q = k f ·A ガラス kf:境膜での熱伝導度 (W·m-1·K-1) 冷水 Tw Tw − Tc x h= x k f 境膜伝熱係数 x (W·m-2·K-1) ニュートンの冷却の法則 Q = h·A(Tw − Tc ) Tc 演習3 対流伝熱 室外の温度が0℃で、室内の温度を25℃に保っているとき、ガラス窓 (面積1m2、厚さ5mm、ガラスの熱伝導率1W·m-1·K-1)を通しての 伝熱速度はいくらになるか。ただし、ガラス近傍には境膜が形成し、 室内外で対流によって熱が伝わるとする。室内と屋外の境膜伝熱係数 はそれぞれ10および50W·m-2·K-1とする。 対流伝熱 境膜伝熱係数の求め方 ニュートンの冷却の法則 Q = h·A(Tw − Tc ) ガラス h= 冷水 Tw x k f 境膜伝熱係数 x (W·m-2·K-1) 円管を流体が乱流で流れる場合、 ⎛ Du ρ ⎞ hD = 0.023 ⎜ ⎝ µ ⎠⎟ kf 0.8 ⎛ Cpµ ⎞ ⎜ k ⎟ ⎝ f ⎠ 0.4 hD = Nu ヌッセルト数 kf Tc Cpµ = Pr プラントル数 kf
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