2015ICFカヌーフリースタイル世界選手権ご報告

2015ICFカヌーフリースタイル世界選手権ご報告
主催
ICF 国際カヌー連盟・・・・http://www.canoeicf.com/
会場
カナダ オタワリバー
参加国
参加人数
25 か国
200 名
(各国、自国カヌー連盟主催の選考会が行われ選手を輩出)
大会オフィシャルサイト・・・・http://worldfreestylekayakchampionships.com/
Results and gear・・・・
末松佳子成績
女子スクォート・・・準決勝 9 位
使用艇シャイコア
メーカー・・PS コンポジット
女子 K-1・・・予選 20 位
使用艇 2016 ロックスター
メーカー・・ジャクソンカヤック(有)シークトルースより提供
使用ウェア・・
(有)シークトルース提供
http://www.seektruth.co.jp/
Location・・・
過去に一度世界選手権が開催されたオタワリバーの産業は広大な土地を利用した畜産農業と川を使ったアウト
ドアアクティビティを主体にした観光産業でした。春から秋にかけて豊富な水が常にあり、岩盤でできた独特の
地形が作り出す川は途中で巨大な島のような中洲で何本にも分かれています。ホワイトウォーターを楽しむラフ
ティングやリバーカヤックなど、パドルスポーツにおいて世界的に有名な地域です。
選手、大会関係者は大会スポンサーであるウィルダーネスツアーズ( http://www.wildernesstours.com)に宿
泊しました。広大に敷地内にはキャンプ場と大小さまざまなキャビン(バンガローのような小屋のようなベッド
ルーム)が並び、共同トイレ、シャワールームを備えた棟やイベントステージなどがありました。
周辺には半径 20 キロ圏内に街がなく、レストランを併設しているこの施設で過ごしました。
My trip and life
8 月 6 日、岐阜駅発、新宿行の夜行バスに乗り、8 月 7 日成田空港にて、ボストン行の JAL008 便に搭乗しまし
た。直行便で 13 時間、ボストン・ローガン国際空港に定刻通り到着しました。その後すぐにレンタカーを借り、
目的地オタワにあるウィルダーネスツアーズを目指しました。約 810 キロを単独で向かいました。
8 月7日成田空港出発ロビーにて
ボストン・ローガン国際空港から目的地オタワまで
ウィルダーネスツアーズに到着してからはテントで暮らしました。
こちらのテントは郡上市美並町のアースシップ http://mb-raft.earth-ship.jp/ より提供して頂きました。
食事はウィルダーネスツアーズのキャンプサイトで 3 食提供されるミールプランを購入しました。
使用したテントは
スノーピークアメニティードームS
耐久性に優れた素晴らしいテントです。
一日 3 食サラダバー付きの食事が出ます。
ウィルダーネスツアーズのキャンプサイトはさまざまな言語が行き交うので、この地が本当にカナダなのか、ヨ
ーロッパなのか、一瞬わからなくなるような空間でした。
選手が泊まるキャビンに寄って各国の選手とその国の川や競技の事情について情報交換を行いました。
About competion
・音楽と映像のコラボレーション
2009 年から出場してきた世界選手権やワールドカップで目立って進化しているのが流行りの音楽との融合です。
選手が試合をしている時はもちろん、ブレイクタイム(試合と試合の間)も、DJ は休まず観客を喜ばせるよう
な音楽を流し続けています。ヨーロッパ、アメリカで若い選手が続々と出てきているのは、流行の音楽と競技を
結びつけることで若い世代からの反響を受けていることが一つの要因であるように感じます。選手のプロフィー
ル登録には好きなアーティストや曲を選択する項目があり、MC と DJ はその選手が出場するときは流行りの音
楽を考慮しながらそれぞれ選手の個性に合った音楽と選曲し、コメントします。
カヌーフリースタイルの世界規模な大会は音楽と結び付けて更に大きくなろうとしています。
・道具の進化
カヌーフリースタイル種目の中で一番出場者数の多い K-1 決勝では、フルカーボンのボートに乗った選手が勢
ぞろいしていました。カーボンボートはオーダーメイドで、プラスチックのボートに比べて高額ですし、使用で
きる現場が限られますが、プラスチックのボートに比べてはるかに性能がよく、トップ選手は高額にも関わらず、
カーボンボートを手に入れて練習に励んでいました。各選手は自国の国旗やスポンサー名をボートに塗装して試
合に出場していました
・Adverting
試合終了すると、その当日の夜には日中の試合の映像が編集されてオフィシャルサイトや Facebook に高画質で
アップされていました。テレビ、ラジオでの露出よりも、ライブストリーミングや SNS を利用したインターネ
ット配信に力を入れていました。日本では全国ネットのテレビ中継にこだわる風潮がありますが、ライブストリ
ーミングなど、インターネットを通じればテレビ中継に勝る宣伝効果があると感じました。
・女子 K-1 で優勝したエミリー・ジャクソン
父であるエリック・ジャクソンが作った 2016 ロックスターの
フルカーボンのボートで見事優勝を飾りました。
男女決勝は各メーカーが作ったフルカーボンボートがほとんどでした。
・スクォート競技、「スリップ」が決勝を独占
ジム・シュナイダー氏がデザインしたこのモデルはよく潜り、難易度
の高い技も早く習得できると、今回の試合に向けてこのボートをオーダ
ーした選手達が決勝を飾りました。
ジム・シュナイダー氏は毎年 10 月にイベントのため来日。渡航費用は
イベント参加者のエントリー費で賄っています。
About Olympics games
ICF カヌーフリースタイル部門責任者ルイス氏 https://www.facebook.com/lluis.rabaneda
は 2024 年度のオリ
ンピック公開種目に向け具体的に活動していると選手に発表しました。
今後、カヌーフリースタイル競技は過去に行われてきたオリンピック会場でワールド
カップや世界選手権が行われる予定です。
参加国は今後アフリカ大陸から5か国増やす予定です。今回初参戦したウガンダチー
ムは南アフリで冬季トレーニングを行っているアメリカ、ヨーロッパの選手や関係者
の支援によって渡航を実現しました。
IOC(国際オリンピック委員会)内でもこの競技の採用に関して前向きな姿勢であるの
で、選手に対し、積極的にメディアや、SNS などで情報発信をするよう要請しまし
た。
まだ日本で大きくは取り上げられることはありませんが、あと数年でこの競技やそれに関わる選手、関係者の環
境が大きく変わるかもしれないと感じました。
来年はブラジルでワールドカップが開催され、再来年はリオのオリンピックコースで世界選手権が行われる予定
です。その後はルイス氏が住んでいるスペイン(昨年ワールドカップ最終戦が行われた Sort を含める)を始め、
オリンピック正式種目を実現した際の参加枠を大きく取りたいであろうヨーロッパでの開催が有力候補に挙が
っています。
世界選手権出場に向けてご支援くださった皆様へ
今回の世界選手権出場にあたって、ご支援、応援してくださった皆様、ほんとうにありがとうございました。
昨年ワールドカップ金メダル獲得にあたっての祝勝会、今回の世界選手権カナダ壮行会での支援金は全額、航空
券とレンタカー代に充てさせて頂きました。
今大会で再び金メダル獲得に期待してくださった方々には残念な結果の報告となってしまいました。
しかしながら、限られた時間と環境の中で、今大会では精一杯の結果だったと感じています。
私以上に他の選手は道具、環境、練習、全てにおいて、良い結果を出す為に試行錯誤していると感じた試合でも
ありました。次に向けて、どうすれば良い結果が得られるのか、よく考えたいと思います。
私がこの競技に出会った長良川は、この競技の選手や川でのスポーツを楽しむ方々にとって、とても大切なフィ
ールドであり、私自身が生まれ育った長良川で選手活動をすることが、きっと未来の選手育成やこの業界の活性
化につながると信じています。
日本において、アスリートとして国際大会で結果を出し、自立した生活をすることは、とても厳しいことです。
今大会に出場できたことは、応援してくださった皆様なくしては実現できなかったことだと実感しています。
まだ今シーズンの国内の試合が残っています。
皆様に感謝することを忘れず、再び良いニュースをお届けできるよう今後も精進していきます。
今後ともどうぞ応援よろしくお願い致します。
末松
佳子