その場

物理学演習 III
(量子力学)
[その場問題 No. 7]
2016. 6. 14
【時間によらない摂動論(前半)】
ハミルトニアン H が,摂動として取り扱わない部分 H0 と摂動を与える相互作用項 V とによって,
H = H0 + ϵV ,
と書けているとする。このハミルトニアン H0 の固有状態 |n⟩(n = 1, 2, · · · )からなるヒルベルト
空間 H に縮退がない場合には,H0 の固有値の各値には,必ず 1 つの固有状態 |n⟩ のみが存在する。
すなわち,H0 のある1つの固有値 En とその一義的に決まる固有状態 |n⟩ は,
H0 |n⟩ = En |n⟩ ,
を満たしている。次に,ハミルトニアン H を対角化できたとし,その固有値を E(ϵ),それに対応し
た固有状態を |ψ⟩ とすると,
H|ψ⟩ = E(ϵ)|ψ⟩ ,
と書ける。ここで,固有値 E(ϵ) とその固有状態 |ψ⟩ は,パラメータ ϵ に依存した形になっているは
ずである。
ϵ → 0 の極限ではハミルトニアン H は H0 になるので,それに伴い,固有値 E(ϵ) は H0 のある固
有値 En に移り,固有状態 |ψ⟩ もこの固有値 En の固有状態 |n⟩ になるはずである。それゆえ,この
En と |n⟩ に対応した E(ϵ) と |ψ⟩ をパラメータ ϵ で形式的にベキ展開してみると,
En (ϵ) =
|ψn ⟩ =
∞
∑
p=0
∞
∑
ϵp E (p) n = En + ϵE (1) n + ϵ2 E (2) n + · · · ,
ϵp |ψn(p) ⟩ = |n⟩ + ϵ|ψn(1) ⟩ + ϵ2 |ψn(2) ⟩ + · · · ,
p=0
とできることがわかる。
(1) E (1) n を求めなさい。
(1)
(1)
(2) |ψn ⟩ と固有状態 |m⟩(m ̸= n)との内積 ⟨m|ψn ⟩ を求めなさい。