第7章 円運動の動力学と惑星の運動 7-1 ケプラーの法則 ・コペルニクスが地動説を提唱 ・ティコ・ブラーエは精密な天体観測 ・ケプラーはティコ・ブラーエの観察結果を解析 ケプラーの法則 1.惑星は太陽を一つの焦点とする楕円運動をする. 2.太陽と惑星を結ぶ線分が単位時間に描く面積は 一定である. 3.惑星の周期の2乗は,その楕円軌道の 長径の3乗に比例する. 1 7-2 ニュートンの万有引力の法則 太陽の周りを回る惑星,地球の周りを回る月と同様に,自 由落下する物体にも同じ力が働いていると着想 全て物体は互いに引き合う 万有引力 ■万有引力のどのような数式で表現できるか? ・惑星が円軌道を描くと近似すると,惑星に働く向心力は, v2 m F R (7.1) 2 ■惑星が円軌道を描くと近似すると,惑星に働く向心力は, 惑星の質量に比例 ■作用反作用の法則から太陽にも同じ力が働いているので, 太陽の質量にも比例 ■ケプラーの法則より,周期の2乗が距離の3乗に比例する. 2 R 2R 2 2 m 2 T 2 2 2 R (7.2) 惑星周期 T v F v 1 2 m 2 3 T 2 F 2 RR F R m1m2 F G 2 (7.3) 以上を合わせると, r G 6.67 1011 N m2 /kg (7.4) 距離の二乗に反比例 逆二乗の法則 3 7-3 地球と私たちの間に働く力 万有引力は全ての物体同士に働く. 地球と物体間に働く万有引力は, Gm F 2 M i i Roi GM m 2 R 物体 重心に全質量 が集中 m Roj Roi M i と書くことができる. M 地球 距離Rを地球の半径REで近似すると, GM F m 2 mg RE m R M j M (7.5) (7.6) 4 GM g 2 RE (7.7) GM 6.67 1011 N m 2 /kg 2 5.98 1024 kg 2 g 2 9 . 83 m/s 2 RE 63 106 m (7.8) 7-4,5 緯度による重力加速度の差他 地球の遠心力の影響 v2 2 F m mr 遠心力: C r 右図より r r sin 遠心力の重力方向成分を考慮 F mg FC mg mr sin 2 sin mg mr sin 2 2 m g r sin 2 2 mg' 5 g ' g r 2 sin 2 地球の角速度 (7.10) 2 rad 7.3 105 rad/s 24 60 60 s 遠心力による加速度の最大値(赤道上) r 7.3 10 rad/s 6.4 106 m 0.034 m/s 2 5 (7.9) 2 2 この効果は”g”の0.3% 6 7-6 重力と円軌道 人工衛星は円軌道を描いて運動 GMm v2 m 2 r r GM v (7.11) r 2r v 周期をTとすると, T 2 4 3 2 (7.12) T r GM ケプラーの法則 7 7-7 二つの天体の運動 質量m1,m2の天体が円運動する場合 各天体から回転中心までの距離:r1,r2 角速度(同一):ω m1r1 2 m2 r2 2 R r1 r2 向心力 m1r1 m2 r2 (7.13) m1r1 m1m2 R m1 m2 (7.14) m1m2 m1r1 R 2 (7.15) m1 m2 2 向心力=万有引力 m1m2 mm R 2 G 1 2 2 m1 m2 R (7.16) 8 2 4 T2 R3 G m1 m2 4 2 R 3 m1 m2 GT 2 (7.17) 2 T (7.18) 上記のような運動する天体は周期と天体間の距離Rを 観測すると,質量の和を求めることができる. 9 7-8 重力的ポテンシャルエネルギー 万有引力の式(7.3)を使って,重力的 ポテンシャルエネルギーをもとめる. F G m1m2 r2 rf rf ri ri U f U i Fdr G m1m2 dr 2 r rf mm mm mm G 1 2 G 1 2 G 1 2 r ri rf ri U g G m1m2 r (7.20) (7.19) r Ug 0 重力的ポテンシャルエネルギー 10 7-9 脱出速度 脱出速度:地上から宇宙空間に達して戻ってこない ための最低速度 力学的エネルギー(質量:m,速度:v,高さ:地上(地球の半径RE)) 1 2 mM E mv G 2 RE 脱出できるかどうかは無限遠方まで到達できるかどうかできまる. 1 2 mM E mv G 0 (7.21) 2 RE 2GM E v 1.12 10 4 m/s (7.22) RE 11 7-10 ブラックホール もし,脱出速度が光速のとき, 2GM R 2 c (7.24) シュワルツシルド半径 M R 2.95 km M (7.25) M :太陽の質量 質量Mが巨大であるとき,光さえも脱出できなくなる. 太陽であれば,半径が約3 km ブラックホール:シュワルツシルド半径よりも小さい天体 半径が非常に小さく,密度が高すぎて現実的な天体とかけ離れていた. 近年はブラックホールが存在すると信じられている. 12 7-11 潮汐力 潮汐力: 潮の満ち引きに関係する力 13 7-14 中心力と角運動量 角運動量: L r p L r p sin L (7.36) r 平行四辺形の面積 d d dr dp L r p pr dt dt dt dt d 1 L p p r F r F dt m p p p 0 ■ 万有引力による運動の場合(惑星の運動など) r F 0 dL (7.37) 0 dt 角運動量保存の法則 14
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