妊娠35週: 胎児心拍数基線は正常脈で、基線細変動、 一過性頻脈ともに

掲載事例1
事例の
概 要
●分 娩 歴:1回経産婦
●妊娠経過:妊娠35週の妊婦健診でノンストレステスト(NST)はリアクティブ
その後の妊婦健診でも異常なし
●分娩経過:妊娠40週の妊婦健診でNSTを実施したところサイナソイダルパターンが認められたため入院、
緊急帝王切開術実施
[bpm]
200
180
160
140
120
100
80
妊娠35週: 胎児心拍数基線は正常脈で、基線細変動、 一過性頻脈ともに認められ、 一過性
徐脈は認められないことから胎児の健常性は 保たれている。
60
[mmHg]
100
80
60
40
20
0
[bpm]
3cm/分
200
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
80
60
40
20
0
90
第4章 テーマに沿った分析
Ⅲ.母児間輸血症候群について
掲載事例1
3cm/分
[bpm]
200
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
80
60
40
20
0
前項下段へつづく
第4章
Ⅲ
91
掲載事例1
[bpm]
200
180
妊娠40週(入院時):基線細変動の消失とサイナソイダルパターンあり。
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
80
60
40
20
0
[bpm]
200
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
80
60
40
20
0
[bpm]
200
180
振幅が大きめのサイナソイダルパターン
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
80
60
40
20
0
92
第4章 テーマに沿った分析
Ⅲ.母児間輸血症候群について
掲載事例1
3cm/分
[bpm]
200
遅発一過性徐脈
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
80
60
40
20
0
前項下段へつづく
3cm/分
[bpm]
200
180
160
140
120
100
第4章
80
60
[mmHg]
100
Ⅲ
80
60
40
20
0
3cm/分
[bpm]
200
分娩情報
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
●出生時の情報:
臍帯動脈血ガス分析値 pH7.1台、
BE-7mmol/L台、ヘモグロビン2.0g/dL、
ヘマトクリット7%
アプガースコア 生後1分3点
(心拍1点、 筋緊張1点、 反射1点)
生後5分7点
(心拍2点、呼吸2点、筋緊張1点、
反射1点、皮膚色1点)
80
60
40
20
0
93
●妊産婦産褥血液検査:
胎児ヘモグロビン1.2%、
αフェトプロテイン4202ng/mL
掲載事例2
事例の
概 要
●分 娩 歴:1回経産婦
●妊娠経過:特記事項なし
●分娩経過:妊娠34週、前日夜より胎動なくなったことを自覚し、当該分娩機関受診
胎児心拍数陣痛図異常あり、慢性的な胎児機能不全のため入院、帝王切開術実施
[bpm]
200
180
160
140
120
100
80
60
妊娠34週(入院時)
: 胎児心拍数基線は正常脈で、基線細変動の減少、
ドップラトランスデューサ
がずれたために生じた雑音(jitter)あり(基線細変動と誤りやすいの
で注意する)。サイナソイダルパターン(様)あり。
[mmHg]
100
75
50
25
0
[bpm]
200
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
[bpm]
200
180
定義は満たさないが、サイナソイ 160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
94
第4章 テーマに沿った分析
Ⅲ.母児間輸血症候群について
掲載事例2
3cm/分
[bpm]
200
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
前項下段へつづく
3cm/分
[bpm]
200
180
160
140
120
100
60
[mmHg]
100
50
25
0
前項下段へつづく
3cm/分
[bpm]
200
180
ダルパターン(様)あり。
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
次頁へつづく
95
Ⅲ
75
第4章
80
掲載事例2
[bpm]
200
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
[bpm]
200
180
定義は満たさないが、サイナソイダルパターン(様)あり。
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
[bpm]
200
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
96
第4章 テーマに沿った分析
Ⅲ.母児間輸血症候群について
掲載事例2
3cm/分
[bpm]
200
定義は満たさないが、サイナソイダルパターン(様)あり。
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
前項下段へつづく
3cm/分
[bpm]
200
180
定義は満たさないが、サイナソイダルパターン(様)あり。
160
140
120
100
60
[mmHg]
100
50
25
0
前項下段へつづく
3cm/分
[bpm]
200
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
97
Ⅲ
75
第4章
80
掲載事例2
2cm/分
[bpm]
200
180
妊娠34週(帝王切開術前)
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
分娩情報
●出生時の情報:
臍帯静脈血ガス分析値 pH7.0台、BE-14mmol/L台、ヘモグロビン1.1g/dL、ヘマトクリット3.7%
アプガースコア 生後1分1点(心拍1点)
生後5分2点(心拍2点)
●妊産婦産褥血液検査:
胎児ヘモグロビン3.2%、αフェトプロテイン実施なし
98
第4章 テーマに沿った分析
Ⅲ.母児間輸血症候群について
掲載事例2
第4章
Ⅲ
99
掲載事例3
事例の
概 要
●分 娩 歴:初産婦
●妊娠経過:特記事項なし
●分娩経過:妊娠39週6日、前日夜から胎動減少を自覚し、 当該分娩機関受診
胎児心拍数基線正常脈、基線細変動減少、一過性頻脈なし、オキシトシンチャレンジテスト目的にて入院
入院後、徐脈(70拍/分)のため、 緊急帝王切開術実施
[bpm]
200
180
160
140
120
100
80
妊娠39週2日:胎児心拍数基線は正常脈で基線細変動も保たれており、
一過性徐脈もみられず、
胎児の健常性は保たれている。
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
[bpm]
200
180
160
妊娠39週6日(来院時):胎児心拍数基線は正常脈だが基線細変動が減少しており、一過性
頻脈はみられない。
140
120
100
振幅は小さく、定義は満たさないが、サイナソイダルパターンが想起される波形*
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
*今回の分析対象事例においては、脳性麻痺となった胎児貧血の胎児心拍数陣痛図には典型的なサイナソイダルパターン
は少なく、むしろ一般的なNRFS(non-reassuring fetal status( 胎児機能不全))の胎児心 拍数陣痛図が多かった。
典型的なサイナソイダルパターンが出ていなくてもNRFSパターンであれば何らかのback up testが必要である。
現時点で、
「定義を満たさないが、サイナソイダルパターンが想起される波形」の臨床的意義は不明であるが、母児間輸血
症候群の診断に関する研究が進むことを期待してこの胎児心拍数陣痛図を掲載した。
100
第4章 テーマに沿った分析
Ⅲ.母児間輸血症候群について
掲載事例3
3cm/分
[bpm]
200
180
160
140
120
100
80
60
[mmHg]
100
75
50
25
0
3cm/分
[bpm]
200
180
160
140
120
100
60
[mmHg]
100
第4章
80
Ⅲ
75
50
25
0
101
掲載事例3
3cm/分
[bpm]
210
180
150
妊娠39週6日(入院後):胎児心拍数基線は70拍/分と高度の徐脈を呈し、 状態はさらに
悪くなっている。
120
90
60
30
[mmHg]
100
75
50
25
0
分娩情報
●出生時の情報:
臍帯動脈血ガス分析値 pH6.7台、BE-28mmol/L台
アプガースコア 生後1分2点(心拍2点)
生後5分2点(心拍2点)
●新生児初回血液検査:
ヘモグロビン3.4g/dL、ヘマトクリット10.4%
●妊産婦産褥血液検査:
胎児ヘモグロビン6.9%、αフェトプロテイン3062.9ng/mL
102