研究の背景及び目的 宮崎県三股町では新たな特産品としてゴマの栽培に力を入れており「みまたんごまプロジェクト」“ 三股町から全国へ。ごまの 町、三股。“ を合言葉に、平成24孝年度から本格的に宮崎県三股町産ごまを全国へ発信する事業が始まった。 インド原産のゴマ科ゴマ (Sesamum indicum L.) は亜熱帯・暖温帯で広く栽培され,ゴマ油は種子内に45〜55%の油が含まれ ていて不飽和脂肪酸であるオレイン酸・リノール酸が多く含まれており経済価値が高い。また最近注目を浴びている機能性成 分である「ゴマリグナン」が多く含まれている。これまでにシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana(L.) Heynh.)などの研究により植 物子実の貯蔵栄養成分のうち油脂含量を制御するマスター転写因子としてWRINKLED1(WRI1)とB3型転写因子FUSCA3 (FUS3)、 脂肪酸不飽和化酵素FAD3などが機能していることが明らかとなっている。本研究ではより高付加価値、高収量のゴマの分子 育種を目的とし、ゴマの重要形質遺伝子の解明に着手した。 実施状況 Fig.1 ゴマ 未成熟種子をつけた植物体(A)、 完熟種子(B)、栄養成長期の植物体(C) [材料・栽培方法] ゴマ (Sesamum indicum L.) 宮崎大学圃場にて、1/5000aのワグネルポットに宮崎焼土4.6kg、苦土石5g、ALL8化成 10gの土壌条件でビニールハウスにて栽培を行った。2015年6月15日に種子深度が 2cmとなるように3粒ずつ播種し覆土した。 播種後, 土壌の表面が適度に湿る程度に 潅水を行った。出芽2週間後に1ポットあたり3個体となるように間引きを行った。 【ストレス処理および解析項目】 コントロール区と乾燥ストレス区を設けた。Fig1Cの右から黒ゴマ・白ゴマ・金ゴマを栽培 し、手前1つを乾燥処理を行った。サンプルの採取は間引き期(17日目)、花芽形成期 (32日目)、未成熟期(56日目)、成熟期(88日目)というステージに分けて行った。採取 器官は葉、莢、種子、花を対象とした。 データベースSinbase(http://ocri-genomics.org/Sinbase/ )を用いて既知の種子特異的 油脂合成関連遺伝子(WRI1,FUS3,Lipinなど)のゴマ相同遺伝子をブラスト検索により以 下の候補遺伝子(赤字表記)を同定した。 SiWRI1 : SIN_1017733 SiFUS3 : SIN_1004139 SiABI3 : SIN_1004139 SiLipin : SIN_1005520 SiFAD3:SIN_1023191 Fig.2 種子特異的な転写因子カスケード Fig.4 ゴマLipin産物の分子系統樹 Fig.3 ゴマWRI1産物の分子系統樹 WRI1は油脂合成のマスター調節因子 LipinはTAGの前駆体DAG合成に関わる 花器 未葉 成葉 blank 未莢 成莢 ゴマWRI1(SIN_1017733) Fig.6 油脂合成におけるオルガネラ ごとの役割分担 ゴマFUS3(SIN_1004139) Fig.5 ゴマWRI1およびFUS3のゴマ植物器官別RNA発現プロファイル. 目標の達成度及び成果 今後の課題及び展開 平成27年度の研究成果としてゴマ遺伝子データベースを活 用して種子特異的油脂合成関連遺伝子のうち特に重要な WRI1,Lipin,FUS3,ABI3のゴマホモログ遺伝子を同定した。さら ゴマの健康機能性に関わる不飽和化酵素遺伝子,FAD3,お よびゴマリグナン合成関連遺伝子の絞り込みを行った。また 研究圃場におけるゴマ栽培と遺伝子発現解析系を立ち上げ て,ゴマ未熟莢におけるそれら重要形質原因遺伝子の発現 をRT-PCRにより確認した。 ・ご所属 ・お名前 ・地域志向教育研究経費区分 ・対象となる領域 •研究成果発表 日 RT-PCR 三股町のゴマ農業団体からは間引き苗の有効活用,新規食 材開発が要望されており,ゴマ種子スプラウトや間引き幼植 物における健康機能性成分の生合成を検討するため,、本 年度は生殖成長期のゴマ植物に加えてスプラウト様ゴマに 様々な環境ストレス下での発現と代謝を解析する。またゴマ リグナン、セサミン含有量に重要なポリフェノール物質の輸 送・蓄積系についてまだ未解明なABC輸送体遺伝子につい ても調査を行う。 宮崎大学農学部植物生産環境科学科作物学研究室,*木花フィールドセンター 中島皐耀, 谷口智也, 藤巻航, 松尾拓海, 松田元太, 緒方華子, 近藤夏帆, 高木啓輔, 中村昂平, 石橋孝明,松尾光弘*,湯淺高志 ([email protected]) 地域課題実践型卒業研究 宮崎県北諸県郡三股町ゴマ栽培農業団体、地域貢献 中島皐耀、湯淺高志ほか、第1回みやざきCOC+ みやざきA&Sヒルズ研究会 2016年3月22 <問い合わせ先> みやだい COC 推進機構 住所:宮崎市学園木花台西1-1 Tel: 0985-58-7250 E-mail: [email protected]
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