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氏名
坪井堅二, Tsuboi,Kenji ツボイケンジ
所属・役職
海洋科学系 海洋環境学部門 環境システム科学講座・教授
研究分野
(キーワード)
微分幾何,微分位相幾何,トポロジー
(定曲率多様体,楕円型作用素,群の作用)
研究1:多様体の対称性の研究
座標(位置)が設定できる図形を多様体といいます.例えば,地球表面は2次元多様体,地球の大
気圏は3次元多様体,宇宙(時空)は4次元多様体になります.この多様体はどのような形をとり
得るか,球のような回転対称性を持ち得るのか,それとも雪の結晶のような6角対称性を持ち得る
のかといった問題を微分幾何,微分位相幾何,トポロジーの手法を用いて研究しています.この多
様体の対称性の研究は曲率の問題と群作用の問題の2つに分かれます.曲率というのは多様体の曲
り方をあらわす量で,地球表面は両極に比べ赤道付近の曲り方が大きく,宇宙は空間方向の曲り方
は一定だが時間方向は宇宙の加速膨張を表す形に曲がっていると考えられています.また,群とい
うのは掛け算・割り算ができる集合のことで,例えば,球面の回転対称性は SO(3) という群で表
され,6角対称性は Z6 という群で表されます.さらに,これらを一般化したリー群と呼ばれる群
は素粒子論などにも使われています.
現在次の2つの問題に取り組んでいます.
1.曲率には,断面曲率,リッチ曲率,スカラー曲率の3種類があります.例えば,宇宙の形を決
めるアインシュタイン方程式はリッチ曲率とスカラー曲率を用いて表せます.この3種類の曲率は
断面曲率が一定ならリッチ曲率は一定,リッチ曲率が一定ならスカラー曲率は一定という関係にあ
ります.例えば,球面の場合は断面曲率が一定なので,他の曲率も一定になります.球面のような
断面曲率一定の多様体がどのようなものであるかはよく知られていますが,リッチ曲率やスカラー
曲率に関しては未だ解決にはほど遠い状況にあります.このような状況下で,ここ10年ほどは定
リッチ曲率多様体(アインシュタイン多様体と呼ばれます)かどうかの判定法とスカラー曲率は一
定だがリッチ曲率は一定ではない多様体の研究をしています.
2.多様体の対称性を調べるには,曲率と共に群作用を調べる必要があります.球の回転のように,
群が多様体を動かすことを群作用といいます.多様体にどのような群が作用できるかという問題は
昔から考えられていた問題で,2次元多様体(球,トーラス等)の場合は様々な人達によって研究
されてきましたが,高次元(3次元以上)の場合は統一的な方法が無いという状況が続いていまし
た.このような状況下で数年前高次元(偶数次元)でも有効な群作用の存在の判定法を発見し,そ
の方法の応用について現在研究しています.
教育
学部での教育内容:1.微分積分学(微分・積分の理論と計算法),
2.ベクトル解析(空間内の曲線や曲面上の微分積分法),
3.数値解析(コンピューターによる様々な方程式の近似解法)
大学院での教育内容:1.微分方程式(コンピュータに頼らずに正確に解ける
微分方程式の具体的解法)
学生の
みなさんへ
自然界の法則は人間の言葉ではなく数学で書かれています.数学を勉強しましょう.
企業・法人
のみなさん
へ
産学・地域連携推進機構の研究者総覧DBは下のとおりです:
<http://olcr.kaiyodai.ac.jp/db/profile.php?yomi=TSUBOI,%20Kenji>