序・目次

微分積分学
リーマン積分論
徳島大学名誉教授・理学博士
伊東由文著
序
本書は「微分積分学」あるいは「解析学」のうち リーマン積分
論について論述する リーマン積分論は
次元ユークリッド空間と一般の
次元ユークリッド空間
次元ユークリッド空間の場合に
分けて論述する
さらに 第
章において級数論の概略について論述する
あえて重複をいとわずにこのような構成を考えたのは 日本にお
ける大学 年次の学生のための基礎数学の講義の教科書として用い
るときの便宜を考えたためである 教育的であるとともに 学問的
要請にもこたえられるように構成することを心がけた
リーマン積分論は 新しい公理的方法を用いて測度論・積分論の
理論に基づいて構成する このような構成はユークリッド空間の次
元には依存しない基本的な構造がある
それ故に 本書におけるリーマン積分論の構成の基本的な考え方
の説明においては 以下のようにユークリッド空間の次元には言及
しないでおく
まず ユークリッド空間においてジョルダン測度空間とジョルダ
ン測度の概念の定義を与え そのような定義の条件すなわち公理を
満たすジョルダン測度空間とジョルダン測度の存在定理を証明する
次に ジョルダン測度あるいはジョルダン可測集合に適合した実
数値関数として ジョルダン可測関数の定義を与える そのような
ジョルダン可測関数に対してリーマン積分の定義を与え リーマン
積分の存在定理を証明する
さらに 広義リーマン積分の概念を定義し 狭義リーマン積分も
含めて 一般に広義リーマン積分が絶対収束 条件収束あるいは発
散する場合を考察する
このことによって 狭義リーマン積分を含む広義リーマン積分の
収束と発散の状況を完全に解析することに成功した
さらに 様々なジョルダン可測関数に対するリーマン積分の計算
方法と計算例を示した
特に 広義リーマン積分が条件収束する場合には 積分領域の近
似有向族のとり方に依存して 広義リーマン積分が様々な実数値を
値に取ることができ あるいは発散するようにできるので 一見 条
件収束する広義リーマン積分は確定した意味を持ち得ないのではな
いかという疑問が生じる
これに対しては シュワルツの超函数論やゲルファントの一般化
函数論を用いて 条件収束する広義リーマン積分が確定した意味を
持つことを示すことに成功した
このような意味において 本書においてリーマン積分論の完全な
理論を構成することに成功した
本書は
年半にわたる私の教育研究において繰り返し考察し 発
見したことを様々な形で著書や論文に表現してきたものを集大成し
一冊の本にまとめたものである 今後のリーマン積分論の教育研究
に益するところ大であることを祈っている
最後に 本書において用いる数の概念については 拙著「算術の
公理」の定義を用いることを付記する これに関しては 伊東
を
参照していただきたい
は自然数全体の集合
は有理数全体の集合
は実数全体の集合
は整数全体の集合
は複素数全体の集合
を表す
家庭円満 社会と国家の安定 世界平和を祈って
平成
年 月
日
伊東由文
目 次
序
目 次
第 章 次元ジョルダン測度
直線図形の長さ
次元ジョルダン測度の定義と存在
第 章 リーマン積分の定義と基本性質
可測関数
変数
変数
リーマン積分の定義
変数
リーマン積分の基本性質
積分関数と不定積分
第 章 広義リーマン積分
変数
広義リーマン積分の定義
広義リーマン積分の計算 絶対収束の場合
広義リーマン積分の計算 条件収束の場合
第 章 リーマン積分の計算
変数の変換
変数
不定積分の計算
定積分の計算
曲線の長さ
第 章 次元ジョルダン測度
平面図形の面積
次元ジョルダン測度の定義と存在
第 章 重積分の定義と基本性質
可測関数
変数
重積分の定義
重積分の基本性質
第 章 重積分の計算
繰り返し積分
広義の重積分
変数の変換と重積分の計算
第 章 次元ジョルダン測度
次元図形の容積
次元ジョルダン測度の定義と存在
第 章 多重積分
可測関数
変数
多重積分の定義
多重積分の基本性質
繰り返し積分
広義多重積分
変数の変換
第
章 級 数
無限級数
冪級数の微分と積分
参考文献
索 引