インド株式の動向と今後の見通し - ニッセイ アセットマネジメント

2016年6月9日
投資情報室
新興国レポート
インド株式の動向と今後の見通し
回復傾向が続くインド株式
インド株式(SENSEX指数)の回復傾向が続いています。6月7日の終値は27,009.67と、2015年10月28日以来とな
る27,000台を回復しました。
以下の様な支援材料が、株価の堅調さを支えているものと思われます。
① 改善するインドの経済基盤
② 低金利政策やモディノミクス等に支えられた高成長経済の持続
③ 企業業績に対する期待感の高まり
④ 銀行の不良債権処理の迅速化等を目的とする「破産法」の制定、アッサム州議会選挙での与党圧勝等を
背景とした、モディ首相に対する信認の回復
~インド株式動向~
図表1:インド株式(SENSEX指数)推移
●回復傾向が続くインド株式
 インド株式(SENSEX指数)は今年2月中旬頃を底値に
回復傾向を続けています。6月7日には2015年10月28
日以来の水準まで上昇しました(図表1)。
(2015年8月3日~2016年6月7日 日次)
30,000
インド株式(SENSEX指数)
28,000
●セクター別では景気敏感セクターが堅調
 銀行セクターも堅調です。不良債権処理の迅速化等を
目的とする「破産法」が議会を通過し、成立しました。破
産処理制度が未整備なため、銀行の不良債権は増加
傾向にあるとされています。「破産法」の制定は同セク
ターに好影響を与えた可能性があります。
26,000
24,000
22,000
15/8
16/6
(%)
4
金属
銀行
自動車
指数
SENSEX
資本財
‐4
買い越し
石油・
ガス
(2016年1月~6月 6月は6日時点 月次)
公益
0
(百万米ドル)
16/4
(2016年6月7日時点)
12
 3月以降買い越しに転じており、相場上昇要因の一つ
になっているものと思われます(図表3)。
4,000
16/2
図表2:セクター別騰落率(2015年末比較)
8
6,000
15/12
(年/月)
●買い越しに転じた海外機関投資家
図表3:海外機関投資家売買動向(ネット)
15/10
ー
゙
シ
ロ
ノ
ク
テ
 2015年末から6月7日にかけての騰落率では、規制が
相対的に多く、ディフェンシブ性(相場上場局面では劣
後する傾向)が強いとされる公益セクターが軟調な半
面、金属や自動車等景気敏感セクターが買われる動き
となっています(図表2)。
2,000
‐8
0
‐2,000
売り越し
海外機関投資家売買動向(ネット)
(※)公益:BSE PSU指数、テクノロジ-:BSE TECK指数
他のセクターはムンバイ各セクター指数
‐4,000
16/1
16/2
16/3
16/4
16/5
16/6
(年/月)
出所:図表1~3はブルームバーグデータを基に
ニッセイアセットマネジメントが作成
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価
証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております
が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将
来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投
資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
01/04
(審査確認番号H28-TB55)
インド株式上昇の背景
図表4:消費者物価(CPI)(前年比)推移
<1>改善するインドの経済基盤
●安定する消費者物価、改善傾向の経常収支
 インド経済の課題として、高いインフレ率や国内総
生産(GDP)に比べた経常赤字の大きさが指摘され
ていました。
14
(消費者物価:2013年4月~2016年4月 月次
経常収支赤字:2013年4-6月期~2015年10-12月期 四半期)
消費者物価(CPI)
(前年比)(左軸)
経常収支赤字(対GDP比)
(右軸・逆目盛)
12
10
 インド準備銀行(RBI)ラジャン総裁の機動的な政策
金利の変更や資源価格の下落等により、かっての
高インフレは抑制されています(図表4)。
 貿易収支の改善等を背景に、経常収支赤字(対
GDP比)は減少傾向となっています(図表4)。
‐7
(%)
(%)
‐6
‐5
8
‐4
6
‐3
4
‐2
2
‐1
改善
0
0
13/4
13/10
14/4
14/10
15/4
15/10
16/4
(年/月)
●増加が続く海外からインドへの直接投資額
図表5:インドへの直接投資額推移
 「メイク・イン・インディア」(インドでモノづくりを)を目
指した規制緩和やモディ首相の積極的な誘致外交
等を背景に海外からの直接投資(工場建設等)の増
加が続いています(図表5)。
8
 海外からの直接投資の増加は、雇用や輸出の拡大
等を通じてインド経済の成長に寄与するものと思わ
れます。
(2014年5月~2016年3月 月次)
(百億米ドル)
インドへの直接投資額(ネット)(累積)
6
4
2
<2>高成長を続けるインド経済
●好調なインド経済と低調な中国経済
0
14/5
 インド経済の好調さが続いています。2016年1~3月
期の実質GDP(前年同期比)は7.9%増と、2014年7
~9月期の8.3%増以来の高い伸びとなりました。減
速を続ける中国経済と対照的な動きとなっています
(図表6)。
14/8
14/11
15/2
15/5
15/8
15/11
(※)2014年5月以降の累積値
16/2
(年/月)
図表6:インドと中国の実質GDP(前年同期比)推移
(2014年1-3月期~2016年1-3月期 四半期)
9
(%)
 国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し(2016年4月
時点)によると、インドの成長率(前年比)は2016年、
2017年ともに中国を上回り、かつその差は拡大する
とみられています(図表7)。
8
図表7:IMF世界経済見通し(2016年4月時点)
6
インド
中国
7
(前年比、%)
2015年
新興国
中国
インド
ブラジル
ロシア
4.0
6.9
7.3
-3.8
-3.7
見通し
2016年
2017年
4.1
4.6
6.5
6.2
7.5
7.5
-3.8
-0.0
-1.8
0.8
5
14/3
14/9
15/3
15/9
16/3
(年/月)
出所:図表4~6はブルームバーグデータ
図表7はIMFデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価
証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております
が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将
来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投
資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
02/04
<3>企業業績への期待感の高まり
図表8:一株当り利益(EPS)推移(BSE100指数ベース)
●2016年1-3月期をボトムに、今後企業業績は大
きく改善する見通し
700
 景気や個人消費の拡大等を背景に、企業業績の先
行きに対する期待感が高まりつつあるようです。
600
 ブルームバーグ集計(2016年6月7日時点)による
と、1株当り利益(EPS)(BSE100指数ベース)は2016
年1-3月期から2017年4-6月期にかけて約25%増加
すると見込まれています(図表8)。
(2014年1-3月期~2018年4-6月期 四半期)
(予想)
500
400
300
<4>モディ首相に対する信認の回復
●「破産法」の議会通過
 モディ首相率いるインド人民党(BJP)は下院では単
独過半数を占めていますが、上院では協力政党を
含めても3割以下に留まっています。既得権益層を
守ろうとする野党勢力の上院での抵抗等により、構
造改革や規制緩和の進捗が遅れ気味となっていま
した。今春の国会で、モディ首相は重要法案の一つ
とされる「破産法」の議会通過を成し遂げました。
●アッサム州議会議員選挙でインド人民党躍進
 2015年2月のデリー州(首都デリーを中心とする州)
や同年11月のビハール州(インドで3番目の人口を
擁する州)の州議会議員選挙で敗北したインド人民
党は、今年5月のアッサム州(北東インドの中核の
州)議会議員選挙で躍進しました。他の州でも僅か
ですが議席を確保しました(図表9)。
200
14/3
14/9
15/3
15/9
16/3
16/9
17/3
17/9
18/3
(年/月)
(※)予想はブルームバーグ集計(2016年6月7日時点)
図表9:2016年5月の州議会議員選挙結果
インド人民党(BJP)議席数
総議席数
改選前
改選後
(議席)
(議席)
(議席)
アッサム州(※)
126
5(27)
60(86)
西ベンガル州
294
0
3
ケララ州
140
0
1
タミルナド州
234
0
0
30
0
0
ポンディチェリ連邦直轄領
(※)( )内は協力政党を含む数値
出所:図表8はブルームバーグデータ
図表9はelections.in、ndtv.comデータを基に
ニッセイアセットマネジメントが作成
 アッサム州での躍進は、「破産法」の議会通過を含
め、モディ首相に対する信認を回復させた可能性が
あります。
インドルピーを含む今後の見通し
●インド株式
足元のインド株式(SENSEX指数)は2015年8月の突如の中国元切り下げ(対米ドル)等により急落した後の戻
り高値近くまで回復しています。今後、約27,000を上回る水準では損益確定の売り等が増える可能性もあり、
当面上値の重い展開となることが想定されます。
しかし、現在の上昇を支える好環境は今後も続くものと思われます。インド株式は戻り待ちの売り等を消化した
後、2015年8月の急落前の高値である28,000台回復を目指す動きになるものと見ています。
●インドルピー(対円)
インドルピーは対円で軟調な展開(円高・インドルピー安)となっています。その背景の一つにインドの追加利
下げ観測があるものと思われます。RBIは6月7日の会合では政策金利を据え置きましたが、ラジャン総裁は追
加緩和に含みを持たせる発言を行っています。一方、日銀の黒田総裁も必要な場合は躊躇なく金融緩和等の
対策を講じる旨を表明しています。日本とインドの追加金融緩和観測が相互に影響し、インドルピーは当面も
み合いの展開を続けるものと思われます。
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03/04
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