Page 1 原著 昭和学士会雑誌第75巻 第2号 (平成27年4月) 掲載予定

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昭和学士会雑誌第75巻第2号(平成27年4月)掲載予定
内因性オピオイド系を介した慢性炎症性痺痛に対する低周波
経皮的神経電気刺激(TENS)の鎮痛作用
1)昭和大学医学部生理学講座生体制御学部門
2)昭和大学医学部麻酔科学講座
3)昭和大学医学部生理学講座生体調節機能学部門
4)昭和大学医学部整形外科学講座
池本 英志1)砂川
正隆1)片平 治人1)世良田 紀幸1)
小林 喜之1)樋口
毅史1)岡田 まゆみ2)清野 毅俊3−4)
久光 直子1)久光
正1)
ランニングタイトル:
慢性炎症性痺痛に対するTENSの鎮痛作用
連絡先 砂川正隆
昭和大学医学部生理学講座生体制御学部門
email:suna@med.showa・u.aC.jp
phone:03・3784・8110
抄録:
【序論】経皮的神経電気刺激(transcutaneous electricalnerve
stimulation:TENS)は,皮膚に導電性電極をあて,電気刺激を生
体に与えることで様々な治療効果が得られる,非侵襲的な治療法で
ある.鍼やTENSなどを用いた刺激療法の鎮痛作用には,ゲートコ
ントロール説,下行性疹痛抑制系の貝武活,内因性オピオイドの関与
などいくつかの作用機序が報告されている.本研究では,ラットア
ジュバント関節炎モデルを作製し,TENSの慢性炎症性疹痛に対
する鎮痛効果を検証するとともに,内因性オピオイドの関与につい
て検討した.
【方法と結果】1)TENSの鎮痛作用の検証.7週齢のWistar系雄
性ラットを使用し,Control(Con)群,Control+TENS(TENS)
群,アジュバント関節炎(AA)群,AA+TENS(AAT)群の4
群に分けた.関節炎は右足底に完全フロイントアジュバント0.1ml
を皮下投与して誘発した.Con群には同部位に生食を投与した.
TENS(4Hz,30分)は週3回,14日間にわたって実施し,その間,
足容積,機械刺激ならび熱刺激に対する逃避闇値を測定した.関節
炎の誘発により AA群の足は腫脹し,足容積が有意に増大した.
TENSによってこの腫脹は抑制されなかったが,機械的刺激及び熱
刺激に対する逃避開催は,AA群ではCon群と比較し有意に低下し,
AAT群ではその低下が有意に抑制された.
2)内因性オピオイドの関与の検討.同種ラットをCon群,AA群,
AAT群,AAT+nalo丈one(AAT+N)群の4群に分けた.AAT+N
群には,FLオピオイド受容体括抗薬ナロキソン(3mg/kg)をTENS
開始30分前に皮下投与した.先の実験と同様に逃避閲値を測定し,
2
脊髄〃オピオイド受容体の変化を組織学的に検討した.その結束,
ナロキソンの前投与はTENSの鎮痛作用を有意に減弱させた.また
AA群の脊髄後角では〃オピオイド受容体の発現が有意に増加した
が,TENSによってその増加が有意に抑制された.
【考察】4Hzの低周波TENSは慢性炎症性疹痛に対し鎮痛作用を示
したが,その作用は〃オピオイド受容体括抗薬の前投与によって減
弱した.また脊髄では,AA群の脊髄後角の浅層に〃オピオイド受
容体の発現が増加したが,AAT群ではこの増加が有意に抑制された.
以上より,TENSは〝オピオイド受容体を介して,慢性炎症性疹
痛に対し鎮痛作用を示したと考えられる.
【結論】低周波TENSは慢性炎症性疹痛に対し有用であり,鎮痛効
果の発現には内因性オピオイドが関与していることが示唆された.
キーワード:
経皮的神経電気刺激(TENS)
慢性炎症性疹痛
鎮痛作用
オピオイド
アジュバント関節炎モデルラット
経皮的神経電気刺激(transcutaneous electricalnerve
stimulation:TENS)は,皮膚に導電性電極をあて,電気刺激を生
体に与えることで様々な治療効果が得られる,非侵襲な治療法であ
る.臨床的には,疹痛のコントロール,廃用性筋委縮の予防や改善,
筋緊張の軽減,関節拘縮の予防や可動域の拡大,血流の改善,創傷
の治癒の促進,浮腫の享防・改善などを目的として広く用いられて
いる1−2).鍼刺激やTENSによる鎮痛作用のメカニズムについては,
ゲートコントロール説3),下行性疹痛抑制系の賦活4),また神経ペ
プチドであるオレキシン5)や内因性オピオイド6)の作用などが報告
されているが,本研究では内因性オピオイドについて注目した.オ
ピオイドはその特異的受容体へ結合し,モルヒネ様作用をもたらす
物質で,鍼刺激によって血中や脳脊髄液中の内因性オピオイド濃度
の上昇することが数多く報告されている7,8).特に低周波(4Hz)の
電気鍼では〃オピオイド受容体(MOR)に作用するβエンドルフィ
ンや∂オピオイド受容体に作用するエンケファリンの,高周波
(100Hz)ではKオピオイド受容体に作用するダイノルフィンの分
泌が促進される9).分泌されたオピオイドは脳や脊髄に存在するオ
ピオイド受容体に作用し鎮痛作用をもたらす10).低周波TENSも
鎮痛作用の機序のひとつに,脳脊髄液中や血中のβエンドルフィン
濃度を上昇させ11・12),MORを介した作用があると考えられている.
アジュバント関節炎モデルラットでは,脊髄後角のMORは増加
することが報告されている13・14).末梢の炎症により後根神経節で
MORの産生が克進し,神経の末梢側へ軸索輸送されるだけでなく
15),脊髄後角の一次ニューロン終末にも輸送される16■18).MORの
発現の変化はオピオイド鎮痛作用を左右する要素のひとつとなるが,
4
TENSがMORに対してどのような影響を与えるかについては検討
されていない.本研究では,ラットアジュバント関節炎モデルを作
製し,低周波TENSの慢性炎症性疹痛に対する鎮痛効呆を検討する
とともに,内因性オピオイドの関与,MORの変化を検討した.
研究方法
1.実験動物
7週齢(体重195∼210g)のWistar系雄性ラット(日本生物材料
センター,東京)を使用した・水および飼料(CE・2;日本クレア,
東京)は自由摂取とし,飼育条件は温度25±2℃,湿度55±5%,1
日12時間ごとの明暗サイクルで管理した.本実験は昭和大学動物
実験委員会の承認の下(承認番号01106),昭和大学動物実験実施指
針を遵守して行った.
2.アジュバント関節炎モデル
イソフルラン(イソフル⑧;DS ファーマアニマルヘルス,大阪)
吸入麻酔下に,被験ラットの右足鍍に完全フロインドアジュバント
.(0.1ml)(F5881;Sigma・Aldrich,MO,USA)を皮下注射し,関節
炎を惹起させた19).Control群には同部位に同量の生理食塩水を投
与した.
3.TENS治療
5
TENS治療は,ラットをプラスチックボックス(15×4×5cm)
内に固定し無麻酔で行った(Fig.1).刺激電極にはアルミホイルを
使用した.皮膚前処理剤(skinPure⑧;日本光電,東京)を塗布し,
皮膚抵抗を低下させた後,両側の足関節上から足尖までの範囲をア
ルミホイル(サン・アルミニウム工業,千葉)で覆った.アルミホ
イルをずれない様に軽く圧し,端をクリップ電極で挟み通電した.
電気刺激装置はElectricStimulator(SEN・8203;日本光電)を使
用し,矩形波刺激(パルス幅0.1msec,1.5mA,4Hz)を与えた.
治療は1回あたり30分,週に3臥14日間に渡って行った(Fig.2).
なお,TENSを行わない群も同じ時間プラスチックボックス内に固
定した.
4.TENSの効果の検討
動物を無作為に,Control(Con)群,Control+TENS(TENS)
群,アジュバント関節炎(AA)群,AA+TENS(AAT)群の.4
群に分けた.
機械的刺激ならび熱刺激に対する痺痛開催と足容積を術前・7 日
目・14 日目に測定した.機械的刺激に対する疹痛闇値の測定は
AnalgyMeter(UgoBasile;Varese,Italy)を使用し,RandallSelitto
法にて行った20).熱刺激に対する疹痛開催はプランター式鎮痛効果
測定装置(UgoBasile)を使用し,Hargreaves法にて測定した21).
いずれの測定も,5分おきに3回,左右交互に測定し,平均値をも
って疹痛蘭値とした.
6
足容積は,足容積測定装置(MX・101CMP;室町機械,東京)を
用い,ラットの内果および外果を結んだ線より末梢部の体積を計測
した.
5.内因性オピオイドの関与の検討
1)動物を無作為に,Con群,AA群,AAT群,MOR括抗薬ナロ
キソンを前投与したAAT群(AAT+N群)の4群に分けた.方法4
と同様に機械的刺激ならび熱刺激に対する疹痛閥値を術前・7 日
目・14 日目に測定した.AAT+N群にはナロキソン(3mg/kg)
(N7758;Sigma・Aldrich,MO,USA)をTENS開始30分前に皮下
投与し,他の群には生食を投与した.なおナロキソンの用量は,過
去のTENS の研究に用いられたナロキソンの用量を参考に決定し
た22).
2)脊髄(L4)MORの組織学的検討
14日目,痺痛開催を測定した後,ペントパルビタール深麻酔下(50
mg/kgi.p∴ソムノペンチル⑧;共立製薬,東京)にPBSならび固
定液(4%パラホルムアルデヒド)で潜流固定した後,脊髄を摘出し,
通法により蛍光免疫染色を行った.クリオスタット(CM3050S;
LeicaBiosystems,Nussloch,Germany)にて脊髄の凍結切片(厚さ
10pm)を作製し,PBS洗浄,ブロッキング(Dako REAL,Dako,
Glostrup,Denmark)の後,一次抗体(4℃,OVernight)(1:100.Anti
MOR・1RabbitAntibbdy;SantaCruzBiotechnology,TX,USA),
ならび二次抗体(室温,2時間)(1:1000.AlexaFluor⑧555Donkey
Anti・RabbitAntibody,LifeTbchnologies,CA,USA)と反応させた.
7
最後に4一,6・Diamidino・2・Phenylindole,Dihydrochloride(DAPI)
(室温,10分)(1:2000.LifeTbchnologies)にて核染色を行い,退
色防止用封入剤(H・1000;VECTORLABORATORIES,CA,USA)
を用い封入した.共焦点レーザー走査型顕微鏡(FVlOOOD;オリン
パス,東京)にて観察した.脊髄においてMORは灰自質の後角Ⅰ
およびⅠⅠ層に分布している13・14).結果は,ⅠおよびⅠⅠ層を含む同
一エリア(100×150pm)におけるMORの発現量を専用ソフトウ
エア(FVlO・AW;オリンパス)によって測定した光学密度(optical
density:OD)で示した.
6.統計学的処理
全ての実験結呆は平均±標準誤差で示し,Tukey・Kramer法によ
る多重比較検定を行い,有意水準は5%未満とした.
結果
1.TENSの効果
1)疹痛開催の変化
AA誘発から7日目,機械的刺激に対する痺痛閥値はCon群(209.0
±3.8g)ならびTENS群(205.6±12.8g)と比べ,AA群(89.6±
5.6g)ならびAAT群(115.0±10.3g)は有意に低下した.しかし
14日目では,AA群(91.4±8.1g)に対しAAT群(140.6±8.1g)
では闇値の低下が有意に抑制された(Fig.3a).同様に,熱刺激に対
する痺痛開催も7日目,Con群(6.4±0.2sec)ならびTENS群(6.2
±0.6sec)と比べ,AA群(3.0±0.2sec)ならびAAT群(4.4±0.2sec)
8
では有意に低下したが,14日目では,AA群(3.9±0.5sec)に対し
AAT群(5.5±0.2sec)では開値の低下が有意に抑制された(Fig.3b).
なお,いずれの実験においてもCon群とTENS群との間に差はな
かった.TENSはAAラットにおける炎症性疹痛に対し鎮痛効果を
示した.
2)足容積の変化
TENSの抗炎症作用を検討するため,足の腫脹の程度を測定した.
結呆は,健側に対する患側の値を百分率で示した(Fig.4)\実験7
月目,AA誘発によってAA群(127.7±6.7%)およびAAT群(130.0
±臥6%)の足容積は,Con群(98.4±2.0%)ならびTENS群(100.4
±2,0%)に比べ有意に増加しており,関節炎によって患肢に腫脹が
認められた.14日目もAA群(128.3±7.4%)とAAT群(126.6±
4.6%)との間に差はなく,TENSによる明らかな消炎効果は認めら
れなかった.なお,Con群とTENS群との間にも差はなかった.
2.内因性オピオイドの関与
1)疹痛闇値の変化
内因性オピオイドの関与を検討するため,AAT+N群ではMOR
桔抗薬ナロキソン前投与の後にTENSを行った.実験14日目,先
の実験と同様にAAT群(160.3±12.2g)ではAA群(102.5±8.Og)
と比べ,機械的刺激に対する疹痛開値の低下が有意に抑制された.
しかしその効果はAAhN群(131.1±8.5g)では減弱した(Fig.5a).
熱刺激に対する痔痛開催も同様で,実験14 日目,AAT群(5.5±
0.2sec)ではAA群(3.8±0.2sec)と比べ,痺痛闇値の低下が有意
9
に抑制されたが,その効果はAAT+N群(4,8±0.2sec)では減弱レ
た(Figi5b).
2)脊髄MORの変化
脊髄(L4)におけるMORの代表的な組織像をFig.6aに示す.Con
群((15.2±2.0)×1060D)に対してAA群((28.7±1.8)×1060D)
では有意にMORの発現が増加したが,AAT群((17.6±1.6)×1060D)
ではその増加が有意に抑制された.ナロキソンを投与したAAT+N
群((24.1±0.6)×1060D)では,TENSの効果が減弱しCon群なら
びAAT群と比較し有意にMORは増加した(Fig.6b).
考察
電気鍼やTENSなどの電気刺激療法はその刺激周波数によって
作用機序が異なると考えられている.低周波(ト9Hz)通電では,
βエンドルフィンやエンケファリンなどの内因性オピオイドの作用
と,下行性疹痛抑制系を介した鎮痛が生じる.この場合,効果が生
じるまで20∼30分の誘導時間は必要であるが,刺激終了後も鎮痛効
果は持続し,全身的に痛覚抑制が生じる23).一方,高周波(50∼200Hz)
通電ではダイノルフィンによる内因性オピオイドの作用と,ゲート
コントロール説に基づいた脊髄分節性の鎮痛が生じる.即効性はあ
るが,刺激をやめるとすぐに効果は消失する23).両者の特徴を活か
し,低周波と高周波を組み合わせて用いられることもある24).本研究
では,刺激終了後も鎮痛効果の持続が期待できる4Hzの低周波刺激
を経皮的にAAラットの患部に施した.・14日間計6回のTENSに
10
よって疹痛闇値の低下が有意に抑制された(Fig.3).TENSが関節
リウマチ患者の慢性疹痛を軽減させたという報告があるが25),本動
物モデルを用いた実験においても同様の結呆が得られた.
もしTENSに消炎作用があれば,その結果として鎮痛が起こった
可能性もある.そこで足容積の測定も行った(Fig.4).AA誘発に
よって患側の足容積は有意に増大した.実験14日目でも,AA群と
TENSを施したAAT群との間に差はなく,TENSによる明らかな
炎症の抑制は認められなかった.過去の報告でもTENSの抗炎症作
用は否定されている22).しかし今回は足容積の変化だけを指標にし
た評価であるため,今後は組織学的あるいは生化学的な側面からも
TENSの抗炎症作用について検討する必要がある.
次に,低周波TENSの作用機序として内因性オピオイド,特に
MORの関与に着目した.低周波の鍼通電やTENSはβエンドルフ
ィンなどの内因性オピオイドの分泌を促進し,これが鎮痛に関与し
ていると考えられている7 ̄9・11・12).AA誘発による慢性炎症性痺痛に
対するTENSの鎮痛効果は,MOR括抗薬ナロキソンの前投与によ
り抑制されたが,これは完全な抑制ではなかった(Fig.5).この結
果から,低周波TENSによる鎮痛作用の機序のひとつに,MORを
介した内因性オピオイドの作用があると考えられる.
分泌されたオピオイドは,脳内では中脳水道灰白質,延髄巨大細
胞網様核,傍巨大細胞網様核および大縫線核に作用し,脊髄に.投射
する下行性ノルアドレナリン神経およびセロトニン神経の賦括化を
介して,脊髄後角における痛覚情報伝達を抑制したり,大脳皮質や
視床などの上位中枢に作用して痛覚情報伝達を抑制する.また脊髄
後角では,求心性一次ニューロンの終末からのグルタミン酸やサブ
、l、l
スタンスP,CGRPなど神経伝達物質の遊離を抑制するシナプス前
抑制と,二次ニューロンの活性化を抑制するシナプス後抑制をもた
らし,鎮痛効果を生むと考えられている10).zhangらは,脊髄MOR
の発現を抑制した動物モデルにおいては,電気鍼による鎮痛作用が
得られなかったことを報告している26).このようにオピオイドの作
用効果はMORの発現量に左右されるが,脊髄後角におけるMOR
の発現は病態によって異なり,坐骨神経結繋モデルや帯状癌疹後神
経痛モデル動物においては減少するのに対し,アジュバント関節炎
モデルラットでは増加することが報告されている13・14,27).本研究で
も同様に,AA群ではMORの発現が増加したが,TENSによって
その増加は有意に抑制された(Fig.6).GofFらは13),慢性炎症性疹
痛がMORの発現を増加させた理由として,増加した末梢からの侵
害刺激信号を脊髄レベルで抑制しようとしたためと推察している.
TENSによる電気刺激がMORに直接的に作用するか否かは今後の
研究課題であるが,TENSによってMORの増加が抑制されたのは
鎮痛効呆が得られた結果と考えるのが妥当である.ただこれは,14
日目のみのMORの変化を観察した結果で,鎮痛効果が得られる途
中の段階では,TENSがMORの発現を更に増加させることによっ
て鎮痛が得られた可能性も考えられるため,今後は経時的にMOR
の発現の変化を追っていく必要がある.
低周波TENSは慢性炎症性疹痛に対し有用であり,鎮痛効果の発
現にはMORに作用する内因性オピオイドが関与していることが本
研究によって示唆された.炎症性疹痛に対してはNSAIDsやステロ
イド製剤などが頻用されているが,胃腸障害などの副作用が問題で
12
服用困難なこともあり28),患者の状況に応じ,TENSは治療の選択
肢の一つとなりうる.
利益相反
本研究に関して,開示すべき利益相反はない.
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ANTINOCICEPTIVE EFFECT OF LOW−FREQUENCY
TRANSCUTANEOUS ELECTRICAL NERVE STIMULATION
VIA AN OPIOID MECHANISMIN RATS WITH AD
ARTHRITIS
HideshiIKEMOTOl),MasatakaSUNAGAWAl)
HarutoKATAHIRAl),NoriyukiSERADAl)
YoshiyukiKOBAYASHIl),TakeshiHIGUCHIl)
MayumiOⅨADA2),TaketoshiSEINOl・3)
NaokoHI$AMITSUl),TadashiHISAMITSUl)
1)I)epartment of Physiology,Schoolof Medicine,Showa
University
2)Department of Anesthesiology,Schoolof Medicine,Showa
University
3)DepartmentofOrthopaedicSurgery,SchoolofMedicine,Showa
University
Abst】:aCt
Objective:Theaimofthisstudywastoinvestigatethee脆ctand
mechanism of transcutaneous electrical nerve stimulation
(TENS)inratswithchronicinflammatorypain.
Methods and Results:1)Investigation of the antinociceptive
effbct.Rats were dividedintofour groups:the Controlgroup,
the TENS・treated controlrats(TENS)group,the Adjuvant
17
Arthritisrats(AA)group,andtheTENS・treatedAArats(AAT)
group.Thestimulus(4Hz,30min)wasappliedthreetimesa
Weekfortwoweeks,af[erwhichthepawvolumeandthepain
threshold were detected.The paw volumein the rats with
arthritisinducedbyamycobacterialadjuvantwassigniBcantly
increased and the swelling was not controlled by the TENS
treatment.ThethresholdwasslgnincantlydecreasedintheAA
group compared withthe Controlgroup,but on day14these
decreaseswereinhibitedintheAATgroup.
2)InvestigationoftheinvoIvementofthe endogenousopioids
SyStem.The rats were dividedinto氏)ur grOuPS:the Control
group,theAAgroup,theAATgroup andthenaloxone・treated
AAT rats(AAT+N)、:grOuP.In the ATT+N group,3mg/kg of
naloxone, an OPioid antagonist, WaS Subcutaneously
administeredbefore the TENS treatment.The painthreshold
WaS detected on days O,7and14and the p・OPioid receptor
(MOR)1evelin the spinal cord was analyzed
immunohistochemicallyonday14.Theantinociceptivee鮎ctof
TENS was attenuatedbythe administrationofnaloxone,The
expressionofMORinthedorsalhornwasiIIcreasedintheAA
group compared with the Controlgroup.Thisincrease was
inhibitedbyTENStreatment.
Conclusions:These results suggest thatlow・frequency TENS
treatment has an antinociceptive effbct on chronic
18
inflammatory pain in association with the endogenous opioid
SyStem.
Ⅹeyword8:
transcutaneous electricalnerve stimulation(TENS),Chronic
inflammatory pain,antinociceptive effbct,OPioid,adjuvant
arthritisratmodel
19