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2016年5月31日
Japan law update
EY弁護士法人
雇用保険法等の
一部改正について
①育児関係
EY弁護士法人
EY弁護士法人発行のニュースレター等
は下記サイトからご覧になれます。
http://law.eyjapan.jp/
サマリー
2016年3月29日、雇用保険法等の一部
を改正する法律が成立しました。本改正
は、雇用保険法のみならず複数の法律
の改正を行うものです。本稿では、育児・
介護休業法改正による育児に関する諸
制度の改正を取り上げていますが、
施行
日
(2017年1月1日)
までに、
就業規則等
社内規程の改訂が必要となりますので、
ご留意ください。
I. はじめに
2016年3月29日、雇用保険法等の一部を改正する法律(以下、本改正)が成立しま
した。本改正は、
雇用保険法のみならず、
育児休業、
介護休業等育児又は家族介護
を行う労働者の福祉に関する法律(以下、育児・介護休業法)
などの複数の法律の
改正を行うものです。本稿ではまず、本改正のうち育児・介護休業法改正による育
児に関する諸制度の改正を取り上げます。本改正のその他の部分については、別
稿で解説する予定です。
なお、
本稿のうち下線を付した部分は、
脱稿時に未だ成立していない、
本改正に関
わる厚生労働省令案・指針事項案に基づく記載ですので、
ご留意ください。
II. 育児・介護休業法の改正による育児関連諸制度の
改正内容 <2017年1月1日施行>
本稿では、
本改正による改正後の条文番号を記載しています。
1. 対象となる子の範囲の拡大
本改正前は、
育児休業の対象となる
「子」は、
労働者と法律上の親子関係がある子、
つまり、実子及び養子に限られていました。本改正により、以下の類型が育児休業
の対象として追加されました。
① 労働者が特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求
し同審判手続が係属中であり、かつ、当該労働者が現に監
護する者
(育児・介護休業法2条1号)
1(1))。
① 育児休業申出の時点で判明している事情に基づく判断であ
ること
② 児童福祉法に基づく養子縁組里親制度により労働者に委託
② 当該子が1歳6カ月に達する日までに不更新が生じることが
されている児童
(及び養子縁組を希望しているが、
事情によ
契約(口頭合意を含む)上確実である場合以外は、
「満了す
り、児童福祉法に基づく養育里親制度により労働者に委託
ることが明らかでない」場合になること
されている児童)
(育児・介護休業法2条1号、
同法施行規則)
指針上このように解釈すべきとするのであれば、
現行法上の表
この拡大は、
「子」の定義自体を拡大するものになるため、
育児
現を参考に、
育児・介護休業法自体で、
「当該子が1歳6カ月に達
休業のみならず、
育児・介護休業法による育児関連の他の諸制
する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、
かつ、当該
度、
つまり、
子の看護休暇、
所定外労働免除制度、
時間外労働制
労働契約の更新がないことが明らかである場合を除く」などと
限制度、
深夜業制限制度などにも適用されます。介護休業の対
定めるべきだったとも思われます。有期雇用労働者からの育児
象となる「対象家族」の中にも「子」が含まれていますが、
こち
休業の取得申出については、
上記に十分留意して取り扱うこと
らは拡大の対象とはなっていません
(育児・介護休業法2条1号
が大切です。
参照)
。
なお、
本改正により、
育児休業給付金の支給対象となる子の範
囲についても、
同様の拡大が行われます
(特別養子縁組成立前
の監護中の子(上記①)
については、本改正前から既に支給対
象とされていましたが、
法所定の育児休業の対象とはなってい
ないという問題点が指摘されていました)
。
3. 子の看護休暇
本改正前は、子の看護休暇は、1日単位で取得するものとされ
ていました
(ただし、企業によっては、既に時間単位での取得を
認めている例もありました)
が、
本改正により、
使用者に、
1日未
満の単位(半日単位)
での付与を義務付けることとなりました
(育児・介護休業法16条の2第2項、同法施行規則)。ただし、一
2. 育児休業取得可能な有期雇用労働者の範囲
定の短時間労働者(1日の所定労働時間が4時間以下の労働
は、
この改正の対象からは除外されます。
本改正前は、
有期雇用労働者については、
下記の2つの要件を 者)
満たす場合に限り、
育児休業の申出ができることとされていま
この「半日単位」
とは、1日の所定労働時間数の2分の1とされ
した。
ています。
また、
日によって1日の所定労働時間数が異なる場合
には、
1年間における1日の平均所定労働時間数の2分の1とな
① 継続雇用期間が1年以上であること
ります。また、半日単位の休暇は、始業時刻又は終業時刻と連
② 当該子の1歳到達日を超えて引き続き雇用されることが見
続することを要するものとされています。
込まれること
(ただし、
当該子の1歳到達日から1年を経過す
る日までの間に、
その労働契約の期間が満了し、
かつ、
当該 また、
「半日」
については、
労使協定で定めることにより、
所定労
労働契約の更新がないことが明らかである場合を除く)
働時間の2分の1以外の時間数とすることも可能とされます。
本改正により、②の要件が改正され、以下のようになりました
(育児・介護休業法5条)
。①は、
変更はありません。
以下の労働者は、労使協定に定めることにより、子の看護休暇
の取得対象から除くことが可能です
(本改正前から同様)
。
その労働契約
(労働
②´当該子が1歳6カ月に達する日までに、
契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)
が満了する
ことが明らかでないこと
(育児・介護休業法16条の3第
① 勤続6カ月に満たない労働者
2項において準用する同法6条1項1号)
②´は、
②がわかりづらいというのが改正理由の一つであった
のにもかかわらず、
依然として一見すると明確ではない書き振
りとなってしまったのが非常に残念なところです
(労働政策審
議会の議事録では、
「法制局と法制的な調整をする中で、
このよ
うな書き方となりました」
と説明されています)
。
として公表さ
第172回労働政策審議会での配布資料(資料1)
れている指針事項
(案)
においてこの②´の解釈について説明
がなされており、以下がそのポイントとなります(指針事項案
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(育児・介護休業
② 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
法第16条の3第2項において準用する同法6条1項2号、
同
法施行規則30条の2、同7条2号、平成23年3月18日厚生
労働省告示58号)
本改正により、1日未満の単位での子の看護休暇の取得に限
り、
労使協定で対象から除外できる労働者が追加して定められ
ました
(育児・介護休業法16条の3第2項において準用する同
法6条1項2号)
。
1日未満の
③ 業務の性質もしくは業務の実施体制に照らして、
単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業
務に従事する労働者
として公表さ
第172回労働政策審議会での配布資料(資料1)
れている指針事項(案)
においては、
このような業務の例とし
て、
以下のような業務が挙げられています
(指針事項案3)
。
① 国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務
員等の業務等であって、勤務時間の途中まで又は途中から
子の看護休暇を取得させることが困難な業務
② 長時間の移動を要する遠隔地で行う業務であって、半日単
位での子の看護休暇を取得した後の勤務時間又は取得す
るまでの勤務時間では処理することが困難な業務
いるため、労使協定の締結に当たっては慎重な検討が必要で
しょう。
III. おわりに
本稿で解説した育児関連の改正は、就業規則に定めを要する
事項ですので、来年(2017年)1月1日までに所要の検討の上
社内規程を改訂する必要があります。各社におかれましては、
本改正の内容に留意しながら、
改訂作業を進めていく必要があ
ります。
③ 流れ作業方式や交替制勤務による業務であって、半日単位
で子の看護休暇を取得する者を勤務体制に組み込むことに
よって業務を遂行することが困難な業務
ただし、
これら以外であっても該当する業務はあり得、また、
これらであれば直ちに困難と認められるわけでもないとされて
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