生徒諸君へ 校長室の窓から 2016.6.2 第3号 『世界一貧しい大統領と呼ばれた男』 2012年の6月にブラジルのリオデジャネイロで環境と 開発に関する国際会議(リオ会議)が開催されました。120 か国の首脳が集まり、経済成長と環境保全を両立させるには どうしたらよいかという話し合いを持ったのです。しかし、 地球の未来を議論し合う場なのに、各国首脳は人の話は聞か ず自分のスピーチを終わらせたら、一人一人消えていったのです。環境保全に重きを置こ うとする先進国と経済発展を優先しようとする途上国(環境破壊の原因は先進国にあると 主張)との溝はなかなか埋まりません。このような中で最後の演説者が登場しましたが、 彼のスピーチの時にはホールにはほとんど誰もいませんでした。彼の名はホセ・ムヒカと いい、小国ウルグアイの大統領で後に「世界一貧しい大統領」と呼ばれた男です。 「会場にお越しの政府や代表の皆様、ありがとうございます。」という言葉で彼のスピ ーチは始まりました。ここで彼のスピーチの一部を紹介します。 「ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるのでし ょうか。」 ガソリンのもとになる石油は何年もつか、地球温暖化はどれくらい進むかということです。 「10万時間持つ電球を作れるのに、1000 時間しか持たない電球しか売ってはいけない社 会にいるのです。」 経済がストップしないように、物が売れ続けなければならないと考えているのでしょう。 「貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっ ても満足しない人のことだ。」 彼は少しのもので満足して生きています。質素なだけで貧しくはないと考えているのです。 彼のスピーチは日本にも投げかけられているようです。日本は世界で豊かな国といわれ ています。しかし、本当に日本人は幸せなのでしょうかと問いかけているようです。皆さ んはどう考えますか。
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