GKH019407

天理大学学報 1
9
4:45
-5
3,2
0
0
手術室介助作業者の立位作業姿勢 と疲労,負担軽減の方向性
近 藤 雄
二 1
」
瀬 尾 明 彦2)
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1. は
じ め
2.対 象 と 方 法
に
手術室で手術介助 を担当する看護職の作業
,
0
0
0床規模 (
香
対象 と した医療機関 は,1
実態は,病棟看護業務 と比べ ると作業者の疲
護職約45
0名)の総合病 院であ り,対象者 は
労やス トレスとの関連で明 らかにされた もの
その手術室に専属的に配置 されている全 ての
は少 ない‖ ・2)。 しか し,数少 ない調査研 究か
ス タ ッフ (
看護婦,看護士,看護助 手 を含
らは,手術室での介助業務 は,人工的な高照
む)51
名 (
女性4
4名,男性 7名) とした.51
度下 における無窓作業空間で長時間拘束 され
名の年齢 は1
7
歳か ら5
0歳 までの範囲で,平均
る心理的閉塞感 と長時間の手術介助のため,
2
7
.
5(
標準偏差 ±8
.
7
)歳であった。
身体的な負担 とともに精神緊張が強いことが
調査内容は, タイムスタデ ィ法 によって業
指摘 されているM )
。特 に拘 束的な立位 姿勢
務 内容 と姿 勢 の時 間分 布 を調べ る作 業 分
が持続するため,全身的な疲労感や腰部 と下
析 5),下肢 を中心 とした勤務 開始時か ら勤務
肢への負担が強 まってお り,看護職の疲労や
終了時 までのあいだ数回にわたって測定す る
職業ス トレス等の健康確保の立場か らはもと
機能測定,疲労感 と身体疲労部位の出現の把
より,医療過誤誘発 を防止する関連か らも手
握 を行 う自覚症状か ら構成 した。
術介助 による疲労や負担軽減策が重要 となっ
また,立位継続 による下肢負担の軽減策の
ている。本研究は,手術室看護業務の作業お
一つ として,医療用弾性 ス トッキング着用の
効果の実験的検討 を行 った。
よび疲労の実態 を明 らかにするとともに負担
軽減の可能性を検討することを目的に実施 したO
1)天理大学体育学部
2)福井医科大学環境保健学講座
調査票の内容構成の決定 にあたっては,辛
1.De
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46
手術室介助作業者 の立位作業姿勢 と疲労,負担軽減の方 向性
前 に勤務 日の 2日間 にわた り日本 産業衛生学
休憩前 11:
0 -1
4:
00),③ 勤務終 了時 (
1
6:
45
会 産業疲労研 究会編 の 自覚症 状調 べ 6)を実施
-)の各時点 で下腿周 囲長,下腿容積 を測定
し, その結果 を もとに調査票の内容 を検討 し
す る と共 に質問紙 に よる疲労 自覚症状 を実施
Lた.
。
た。 その結果,全般 的 な疲労感,産業疲労研
究会編の30項 目か らなる 自覚症状 しらべ ,下
なお,統計 的検定 には, 自覚症状等 の訴 え
肢 を中心 と した局所部分別の主観 的 なむ くみ
検 定。 また下腿 周 囲長 等 の測 定
率 の差 は x2
ス ケール,だ るさ ・痛 みの症状調べ か ら構 成
値 の平均 値の検定 には t検定 を用 いた。
した。
3.結
下肢腫脹 の客観 的把握 は,一部 の者 につい
て下肢周 囲長 ,下肢 容積率 , また瀬 尾 ら7)が
開発 した インピー ダ ンス法 による下腿腫脹計
果
3
-1.手術室 における勤務概要
対象病 院 における年 間の手術件数 は 6,
27
8
を用 いて測定 した。 下腿周 囲長 の測定 は,棉
件 (
調査前年実績)であ り, これ ら手術 の内
座位 で膝 と足 関節が90度 の状態 に させ右下肢
7
38件 ,硬膜外麻酔 1
35件 ,
訳 は全身麻酔が2,
郡 の俳腹部 の最 も太 い箇所 を常 に同一の力で
9件 ,局 所 麻 酔 が2,
7
46件 で あ っ
腰 椎 麻 酔65
測定で きるメジャー を用 いたO下肢容積 は,
た。全 身麻酔下での平均 手術 時間は 4時 間∼
皮膚温 に近 い36-37度 の温湯が 入ったステ ン
6時 間,局 所 麻 酔 下 で は 1- 2時 間 で あ
レス製 バケツ (
直径2
40 ,深 さ35c
m,2
6,
300
り, 1日あた り20件前後の手術 が行 われてい
mP) に両下肢 を浸 し, その際 にス テ ンレスか
た (
表 1) 0
ら溢 れ で た排 水量 を下肢 容 積 と して測 定 し
た。 インピー ダンス法 による下腿腫脹 は,下
腿が腫脹 して太 くなる とイ ンピー ダンス も低
下す ることか ら, その変化か ら腫脹 の変化 を
把握 しようと開発 した装置7
1
であ る。
作 業時 間の経過 に伴 う疲労症状 の程度や そ
の出現率 の推移 を把握す る調査 は,①勤務 開
始前 (
8:
1
5-8:
30) と②午前 の作 業終了時点
00-1
4:
00),③ 勤 務 終 了 時
(
昼 食 休 憩 前 11:
(
1
6:45-) の 3時 点 で調 査 票 に記 入 させ
た。調査 は勤務 日の 4日間 に渡 り実施 した。
医療用 ス トッキ ングの着用効果 は,上記 の
調査 終 了後 の期 間 に普段 の勤 務 日に実 施 し
た。51名の手術 室 ス タッフの うち,年齢 因子
と基礎疾患 に よる影響 を少 な くす るため対象
者 は20歳代 と30歳代 に限 り, さらにその 中か
ら血管疾患 と腰 痛の既往 ・硯症 を有 さない20
名 を選 定 した。 これ ら対 象 者 は,T・E ・D
サ ー ジカルス トッキ ング (
ケ ン ドール社 ,足
首 庄1
8m
mHg,排 腹 部 1
4mHg,大 腿 部 8mm
Hg) を着用 した勤 務 と着用 しない勤 務 を複
数 日行 い,それぞれの勤務 日の①勤務 開始前
(
8:
1
5-8:
30) と②午前 の作業終 了時 (
昼食
表 1.手術室勤務概要とタイムスタデ ィの結果
1
名
手術室看護スタッフ 5
勤務 :日勤勤務 (
8:
1
5-1
6:
4
5
,昼食休憩6
0
分)
当直勤務 (
8:
1
5-1
5:
3
0,1
6:
3
0
から手術及び
その片づけが終了する時点まで)
,
2
7
8
件 (1日2
0
件前後)
手術件数は年間6
7
3
8
件
うち,全身麻酔が 2,
1
3
5
件
硬膜外麻酔
腰椎麻酔
6
5
9
件
局所麻酔
2,
7
4
6
件
手術は,看護職 2名 1組
直接介助者 (
機械出し)
間接介助者 (
外まわり,記録など)
看護職 1人が 1E
=二2回前後の手術介助
間接介助者の観察結果
日勤拘束時間
内訳
1
0
時間3
0
分 (
7:
3
0
-1
8:
0
0
)
手術室内介助 7時間1
4
分
準備 ・片づけ 1時間5
1
分
記録
分
1
5
昼食 ・休憩
分
1時間10
手術室内作美姿勢
立位
軽度前屈
深い前屈
しゃがみ姿勢
歩行 を伴 う立位
.
4%
3
6
2
8.
6
%
9
.
1
%
1
0.
4%
1
5
.
5
%
(
6
8.
9%)
(
1
7
.
6%)
(2
.
4%)
(
l
l
.
1
%)
4
7
近藤 ・瀬尾
phot
o.
1. 対象とした手術室における介助作業
医師と直接介助者の作業風景
間接介助の作業風景
1
名が専属
対象 とした手術室では,前述の5
直接介助者と医師の足もと状況
一段高い位置で立 ち続 けている様子がみ られ
的に配置 され ,上記の業務 を担当 している。
ていた (
直接 介助者)
。 また間接介助者 は排
8:
1
5-1
6:
4
5
,昼 食休憩
勤務 は, 日勤勤務 (
出 される液類の確認や記録 をするため しゃが
6
0
分)が主で,過あた り 1回程度,当直勤務
(
8:
1
5-1
5:
3
0
,6
0
分の休憩後1
6:
3
0か ら手術
み等の不 自然 な姿勢や動作がみ られていた。
手術業務 には,看護職の業務 として手術室の
及びその片づけが終了する時点 まで)が組み
準備 と術後の後かたづけ (
消毒,掃除含む)
込 まれていたO
が付随 していた。 また,これ ら看護職は,過
手術 にあたっては, 1室の手術室 に 2名の
あた り1回の割合で午後の時間帯に術前術後
看護職が直接介助者 (
機械出 し) と間接介助
の患者 を病棟病室 に訪問することになってい
者 (
外 まわ り,記録 など) として入 り,看護
た。勤務 中は,昼食時の休憩以外 は立位系の
職 1人あた り1日平均 2回前後の手術介助 を
作業姿勢が中心であ り,術 中は立位姿勢が持
続 していた。
t
o.
1に手術室内介助 の作業風
していた。Pho
を脱いで床 にタオルを敷いている者 も見 られ
表 1に間接介助者の タイムス タデ ィの結果
0
分から1
8
を示 した。勤務拘束時間は, 7時3
ているが,看護職 は医師 よりも高い位置か ら
時 までの1
0時 間3
0
分 にお よんでお り, この
メス等の道具類 を手渡すため,足台 をおいて
間,手術部門のフロアーか ら出ることはなか
景 を示 した。術 を施す医師 も足の負担か ら靴
48
手術室介助作業者の立位作業姿勢 と疲労,負担軽減の方向性
った (
昼食や休憩 も同フロアー内に手術ス タ
do
mi
nant型 (
一般 型) と呼 ばれ る タ イプ6
-
ッフ専用の部屋が設置 されていた)。業務 内
であった。項 目別では,勤務後に訴 え率が減
容の時間的構成は,手術室内の介助が最 も多
ねむい」のみ
少するのは 「あ くびがでる」,「
く拘束時間の6
8.
9%, 7時間1
4分 を占めてお
であ り,他はいずれ も勤務後 に高 くなってい
り,ついで準備 ・片づけの1
7.
6%であった。
た。勤務前 と比べ勤務後 に訴え率が有意 に増
また手術室内での作業姿勢は,立位が3
6.
4%
加 す る もの は 「
足 が だ るい」,「
全 身が だ る
を占めるが,軽度前屈や深い前屈それに しゃ
肩が こる」,「
腰がい
い」,「日がつかれる」,「
がみ姿勢 もあわせ ると不 自然な姿勢が4
8.
1%
横 にな りたい」,「
頭がいたい」,「
口
たい」,「
認め られていた。
がかわ く」,「
足 もとがたよりない」,「い らい
らする」であった。
3
2
.疲労感, 自覚症状 と下肢症状について
疲労感, 自覚症状お よび下肢の症状の勤務
に伴 う訴え率の結果は,表 2に示 した。
下肢 を背部,大腿部,膝,下腿,足首,つ
ま先の 6つに分 けると,いずれの部位 とも勤
務後 に訴え率が高 まった。膝 と下腿,足首,
「
全 く疲れていない」 と 「
非常 に疲れてい
つ ま先 に有意な増加が認め られた。表 2に示
る」 まで 5段階の疲労感尺度では,勤務前 は
す ように勤務前後の訴 え率の増加率が最 も大
「
全 く疲 れ てい ない」「あ ま り疲 れ て い な
きい部位 は下腿であった。
痛
下肢 の症 状 を 「む くみ」,「だ る さ」,「
8.
6%を占めるが,勤務後は
い」 とした者が6
1
2.
3%に減少 していた。反対に 「かな り疲れ
み」,「しびれ」 に分 け,その症状 を 「
感 じな
ている」「
非常 に疲 れてい る」 とした者 は勤
い」か ら 「
非常 に感 じる」 までの 5段階評定
務 前 に5.
0%で しか なか っ たが勤 務 後 に は
2
7.
3% と有意に増加 していた (
図 1)0
4.
9
常 に感 じる」 と した率 は,「む くみ」が1
させ た。その結 果,勤務 後 に 「
か な り,罪
疲労 自覚症状 の項 目別 の結果 を表 に示 し
%,「だ る さ」が2
7.
8%,「
痛 み」が5
.
5%,
0項 目か らなる疲労 自覚症状 は,その因
た。3
9%であった。「だるさ」症状
「しびれ」が0.
子構造 か ら Ⅰ群 の 「
眠気 だ る さ」,Ⅱ群 「
注
が最 も高 く,ついで 「む くみ」であ り,勤務
意集 中の困難性」,Ⅲ群の 「身体 の違和感」
前 に対す る増加率は 「だるさ」が最 も高 く,
に分類 されるが,手術室ス タッフは,いずれ
ついで 「む くみ」 であった (
図 2)
0
の群の訴 え率 も勤務前 に比べ て,勤務後 に有
下腿周囲長は,勤務前 に対 し,昼食前お よ
意に増加 していた。勤務後の訴 え率の順序関
び勤務後 とも有意に増加 していた。 また下腿
係は,「
眠気だるさ」群が最 も高 く (
21
.
6%)
,
容積 について も増加傾向が認め られたO
ついで 「身体 の違和 感」群 (
9.
0%)
,「注 意
図 3に手術介助や病棟での術前訪問を した
3.
6%) と続 いてお り,
集 中の困難性」群 (
看護士の インピーダンス法 による下腿腫脹の
多 くの 作 業 や 勤 務 形 態 で 観 察 され る Ⅰ
-
測定例 を示 した。下腿腫脹 は午前中は手術室
Ⅶ
I
血
耗故
3
Z
子…l
仁
:
-二二
二
f
p
下肢の
定p
hL 各書 症状 別の 推移
0
,
-
5
0
に
・
宝 芸 事
J 毒
J 脚
図 1.手術室介助作業者の全般的な疲労感の推移
図 2.下肢の各種症状の出現状況の推移
(
かなり感じる+非常に感じる)
4
9
近藤 ・瀬尾
表 2.手術室介助作業者の勤務に伴 う疲労感,疲労 自覚症状,下肢症状の推移
(
N-11
4)
勤務 前
勤務途 中
(
N-1
1
2)
(
N-1
0
8)
2. あ ま り疲 れ て い な い
3.や や 疲 れ て い る
か な り疲 れ て い る
4.
全般
1的
.全
な疲
く疲
労感
れ て(
い
5段
な位
い尺度 )
非 常 に疲 れ て い る
5.
4
6.
5
2
2.
8
3
.
5
2
4.
.
6%
2
6
3
3.
0
46.
4
4
.
5
1
2
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5
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1
4,
8
5
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2
2
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8
6.
5%
疲労
1.
自覚
頭症
が状
お調
もい
べ
2
3.
. 足
全が
身が
だ十
だ
るい
号る+い
8.
3%
1
30
92
3
1
3
2
7.
4%
2
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4
3.
6
6
4
5
7
.横
頚
ね
あ
目が
が
む
くび
つ
い
ぼ
カ
か
ん
で
や
れ
る
りす
る
8
9
動
足
作
も
が
とが
ぎ
頼
こい
ち
りな
ない
1
0.
に
な
りた
眠 気 だ る さ群
1. 話 をす る の が い や に な る
1. い らい らす る
1.気 が ち る
1
5.物 事 に熱 心 に な れ な い
6. ち ょ っ と した こ と が 思 い 出 せ な い
1
1. す る こ とに 間 違 い が 多 くな る
8.物 事 が 気 にか か る
1
1. きち ん と して い られ な い
l
l.根
考気
えが
まと
まる
らない
がな
くな
2
0
注意
中の困難群
.
3
0
0
8
0
8
0
.
7
3
0
0
1.
8
7
0.
9
勤務 後
2.屑 がヽこヽるI ヽ
9
31
.
4
25. 口 が か わ く
2
6.声 が か す れ る
2 . め まい が す る
5
28. ま
2
0
0
8
9
13
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5
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3.
0
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.
6
0.
9%
2. あ ま り感 じな い
3. や や 感 じる
4. か な り感 じる
1.
.感
じな
い じる
非常
に感
5
1
3.
2
1
6.
7
2.
6
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3.
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3.
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1
3.
.
9
2
8
2. あ ま り感 じな い
3. や や 感 じる
か な り感 じる
4.
1. 感
じな
い じる
非常
に感
5.
5.
3
1
.
8
0
.
9
9
1
.
2
0
.
0
1
6.
1
7.
1
1
.
8
7
4
.
1
0.
0
2
2.
2
1
3.
0
4
.
6
5
8.
.
3
0
9
2. あ ま り感 じな い
3. や や 感 じる
4. か な り感 じる
1. 感
じない
非常
に感 じる
5.
4.
4
0.
0
0.
0
9
4
0.
.7
0
8.
9
1
.
8
0.0
8
8
.
4
0.
0
ll
.1
ぶ たや筋 肉
0
が ぴ くぴ くす る
2
9.手 足 が ふ る え る
2
3
4
1
.
. 息
腰
頭
カ
苦
がが
し
い
しい
たし
い
3
0
気分
悪
0
位
官
の
部
違
大
腿
部
身体 の違和 感 群
下
肢
下肢
の症
各
状
部
に
つい和
て感
膝
下腿
足首
つ ま先
2. あ ま り感 じな い
3. や や 感 じる
4. か な り感 じる
下肢 の 各症 状別 の強
1度
.別
感
出
じな
現
状
い況
非常
に感
じる
5.
下 肢 の む くみ
下肢 の だる さ
下肢 の い たみ
下 肢 の しび れ
.
8
8
0
0
0
0
勤 務 前 .後
の 統 計 的 有意性
巨
.
***
**
***
0
5.
6
0.
9
801
.
5
.
0
51
名 の 4日間 に わ た る延 べ 1
21
名のデー タ
検定結 果 の危 険率 *P<0.
05 **P<0.
01 ***P<0.
0
01
* ***
*
*
**
***
***
***
巨
.
ト
..
I. . .
巨
50
手術室介助作業者の立位作業姿勢 と疲労,負担軽減の方向性
での勤務のため勤務 とともに低下する傾向 を
2.
5
2%,着用時が.
47%であ り,下腿周 囲長
4時3
0
分か ら1
5
時にかけて昼食
示 している。1
と同様 にス トッキングの着用 によって下肢容
お よび休憩 をとっているが,それによる下腿
。
積増加が抑 え られる傾向がみ られた (
表 3)
腫脹あるいは自覚症状の回復はそれほど著明
勤務前後の下腿周囲長および下肢容積の変
ではなかった。食事後 は病棟訪問のために歩
化値 には,非着用 ・着用 とも有意差が認め ら
行や階段昇降等 を伴 った移動が多いためイン
れたが,非着用 と着用時の勤務後の値 には有
ピー ダ ンスが低 下 していない ことがみ られ
意差は認められなかった。
た。 この装置によるインピーダンス値は勤務
による姿勢拘束や移動の行動状況 を反映 した
表 3 弾性ス トッキング着用 ・非着用別にみた
下肢容積および下朗 日長の蛸 時間の経過に伴う推移-瀧定億の平均-
下肢の腫脹 をあ らわ していると考 えられた。
3
3
.医療用弾性ス トッキングの着用効果の検討
(1)下腿周囲長 と下肢容積の変化
下腿周囲長の勤務前 に対する勤務後の増加
は,非着用時が5
1
.
0±47.
6
m
m(
平均 ±標準偏
5.
6±31
.
2mであ り,増加 率
差),着 用時 が1
勤務前
(
N-39)
勤務途 中
(
N-3
9)
勤務後
(
N-39)
下肢容積 (
mA)
ストyキング非着用 4
01
7
.
9
5
+2
9
7
.
74
1
3
1
.
2+E3
9
.
14
1
4
9
.
7十3
1
0
.
4
ストノキング着用 4
0
2
7
.
1
8+2
8
3
.
94
(
姫9
.
1
+3
1
4
.
34
0
8
6
.
6十3
1
0
.
9
下腿周 園長 (
T
n
m)
ストッキング非着用
ストノキング着用
3
1
9
.
8+1
8
.
1 3
5
3
.
2+1
7
.
5
3
5
1
.
3+1
8
.
0 5
2
.
5+1
8
,
0
3
3
5
1
.
9
+1
7
.
0
3
5
2
.
9
+1
8
,
4
2
0名の 2日間にわたる延べ人数の測定値の平均値お よび標準偏差
.
46%,着用時0.
4
6%であ り,ス
は非着用時1
(2)疲労感, 自覚症状 と下肢症状の訴 え率
トッキ ングの着用 によって増加が抑 えられる
疲労 自覚症状の着用 ・非着用 による訴 え率
傾向がみ られた (
表 3)0
の変化 を比較 し,その特徴 を表 4に示 した。
下肢 容積 の勤務 前 に対す る勤務後 の増加
着用することによって勤務前か ら勤務後 にか
01
.
7
9±9
5.
3
87
n
e
,着用 時 が
は,非着用 時 が1
けて訴 え率が抑制 された項 目が認め られた。
5
9.
3
6±1
1
4.
9
7
meであ り,増加率 は非着用 時
足 もとが頼
それら項 目は 「
全身がだるい」 「
,
昼 食 ・休憩
イ ンピー ダンス
6
5
(
ohm)
手術介助
-
-
術前訪問
6
0
5
5
(
点)
4l
全身疲労1
2
0
(
点)4
2
0
8 9 1
0 1
1 1
2 1
3 1
4 1
5 1
6 1
7 1
8
時刻(
時)
図 3.病院の手術室での介助や術前訪問をした看護士
51
近藤 ・瀬尾
表 4.弾性ス トッキングの着用 ・非着用別にみた
疲労自覚症状の時間経過に伴 う変化
感」 は,勤務前 の時点 は着用,非着用 とも同
着用 によ って訴 え率 に
差が認 め られた項 目
勤務前 昼休憩前勤務後
8.
7%
着用では訴 え率が増加 し,勤務後 には4
2.
6%)で あ った,その後,非
一 の訴 え率 (
(
着用2
3.
1
%) になっていた (
図 6)
0
8.
2% 3
3.
3 41
.
0
全 身がだるい 非着用 2
着 用3
0.
8 2
0.
5 3
5.
9
足 もとが頼 り 非着用 0
ない
着 用 2
.
6
横 にな りたい 非着用 1
0.
3
着 用 7
.
7
1
5.
4
2.
6
1
5.
4
1
0.
3
3
0.
8
1
5.
4
3
8.
5
2
3.
1
着用 によって訴 え率 に
差が認め られなかった項 目
勤務前 昼休憩前勤務後
ねむい
0.
8% 2
0.
5 3
5,
9
非着用 3
着 用 4
1
.
0 2
3.
1 3
5.
9
肩が こる
非着用 1
5.
4
着 用 1
2.
8
腰がいたい
非着用 1
0.
3
着 用 7
.
7
1
2.
8
2
0.
5
2
3.
1
2
3,
1
図4.着用別にみた下腿の違和感の勤掛 こ伴う変化
2
8.
2
2
3.
1
2
8.
2
2
8.
2
注)2
0名 (
のベ3
9名)の調査結果
りない」,「
横 にな りたい」であったが,訴 え
率 に差 が認 め られ なか った項 目には 「ね む
肩が こる」,「
腰がいたい」であ り,着
い」,「
用 ・非着用の両者 ともに勤務後 には高い訴 え
図5.
着用別にみた下肢の「
むくみ感」
の勤掛 こ伴う推移
(
かなり感 じる+非常に感 じる)
率 を示 していた。
下肢 の部位別の うち下腿の症状の出現状況
を非着用,着用別 に検討す ると,勤務前の訴
え率 は同一水準 であったが,作業の時間の経
過 に伴 い,非着用時 には勤務途 中の時点で着
用時 と比べ て倍近 い訴 え率 とな り,勤務後の
.
5
倍 近 い訴 え率 の差 が み られ た
時点 で も1
(
図 4)
。
下肢の 「む くみ感」 と 「だるさ感」 を `
か
な り'あるいは 非̀常 に感 じる' と した訴 え
図 6.着用別にみた下肢の「
だるさ感」
の勤掛 こ伴う推移
(
かなり感 じる+非常に感 じる)
率 は,着用時 と非着用時で違 いがみ られた。
いずれ も勤務後の時点で訴 え率 に倍近い差が
み られ,着用時 に訴 え率が低 くなっていた。
「む くみ感」 は,着用,非着用時 とも勤務前
における訴 えは 0%であったが,勤務後 には
0.
3%に留 まっていたのに対 し非着用
着用が 1
5.
6%で あ っ た (
図 5)
。 ま た 「だ る さ
は2
4.考
察
病棟看護職の看護業務 は,深夜 を含 む交代
勤務や看 護 時 の姿 勢や動作 に起 因 と した疲
労,ス トレスや腰痛等の筋骨格系の障害が多
)
。 しか
発 してい るこ とが指摘 され て きたい・Z
5
2
手術室介助作業者の立位作業姿勢 と疲労,負担軽減の方向性
し手術室 における介助 を対象 とした看護業務
そうした対策の一つ として下肢の負担,特
の実態 にふれた ものは少ない。著者 らは,本
に下肢浮腫の対策 に医療用弾性ス トッキ ング
研究で手術室 における介助業務の作業 と疲労
が有効だ との報告呂
'
があるが, インピー ダン
等 に関する実態 を調べ る機会 を得,それ ら結
スによる下腿腫脹の経時的な変化 を勤務 中の
果か ら,手術室のス タッフは,勤務前か ら勤
行動 と照 らし合わせ ると立位が継続する手術
務後 における疲労の訴 えか ら,全身的な疲労
中は下腿腫脹がすすみ,午後,移動 を伴 う病
が小 さくないことを明 らかに した。 また疲労
室訪問時 には腫脹が軽減することがみ られて
自覚症状か らは,下肢 に関する訴 えや横臥休
いることか ら,歩行 ・移動 を組み込 んだ職務
息 を必要 とす る性質の訴えが されていること
設計が下肢負担の軽減のためには, まず考慮
や腰痛 に関する訴 えが特徴的であった。苦竹
されるこ とが優先 され るべ きだ と考 え られ
0歳代 主婦 の疲労症
らのデー タ6)か ら無職の3
た。一方,医療用弾性ス トノキ ングは,適正
状の訴 え (
午後 8時) を 1日の生活で誰で も
な圧迫によって下肢の静脈還流 を促進 して,
が感 じる疲労感の水準だ と考 えると,手術室
欝血や浮腫 を防 ぐ目的 として一つの治療法 111
ス タッフの訴 えが比較的高い と考 えられた症
として患者 に用い られて きている。実際,立
状の うち 「目の疲れ」や 「
肩が こる」,「口が
位作業が続 く介助作業者 にこの弾性ス トノキ
かわ く」 は無職 主婦 の訴 え率 とよ く似 てお
ングを着用 させその効果 を試みたが,ス トソ
り,手術室 ス タ ッフに特徴 的 に高 い症状 は
キ ングの着用 によって下肢容積や下腿周囲長
,「横 にな りたい」「全 身が だ
「
足が だるい」
の増加が勤務後 に抑 えられることが認め られ
腰がいたい」であった。いずれの症
るい」,「
た。 また,疲労感や下肢の 自覚症状の うち,
状 とも勤務後の訴 え率は,無職主婦の 7-8
全身的な疲労感,下肢のだるさ,下腿や足首
倍 にあたる2
0-5
0%であ り,緊張 を伴 った長
の症状,下肢 の む くみ感 な ども着用 に よっ
時間の立位作業姿勢が要求 される手術室勤務
て,非着用時 よりも訴え率が減少 していた。
は全身的な疲れ とともに下肢-の負担が強い
といえる。
静脈癌やその症状 は,脚 を周期的に挙上 した
り長時間の起立 をさけた り,弾性サポー トを
また,下肢のなかで も腎部や大腿部 に比べ
着用すると減少することが知 られているが,
ると,下腿 と足首の訴 え率が高いことか ら,
着用 弓 巨着用時の勤務内容や作業姿勢や移動
手術室勤務の立位姿勢では下肢筋群の筋疲労
状況は同一だ と考えられることか ら,下肢容
とともに足首関節-の負荷が小 さくないこと
積や下野周囲長 をは じめ, 自覚症状の訴 え率
は弾性ス トッキングによる効果だといえる。
も示 された。下肢の症状の出現 は,痛みや し
びれ感 などの症状 よ りもだるさやむ くみ感が
このことか ら,立位姿勢が長時間継続する手
a
nd
j
i
a
n9'
は長時 間 にわ た
中心 であ った。Gr
術室ス タッフのむ くみ等の下肢負担の対策 に
る立位姿勢は,静的筋負担 による下肢の疲労
は,医療用弾性ス トッキ ングを着用すること
のみでな く,下肢静脈の循環不全 による不快
を奨励することに意味があると考 えられた。
感 を引 き起 こ し, この ような職種では下肢の
ただ,腰の訴 え率は,着用の有無 にかかわ ら
静脈癌や浮腫,皮膚潰癌が生 じやす くなるこ
ず高い訴 えを示 していたことは,腰部負担軽
とを指摘 しているが,本研究対象の手術室勤
減 との関連ではス トッキングの着用は効果的
務ス タッフにおいて も, これ ら下肢や腰部の
ではないことを示 してお り,腰部負担の緩和
疲労が各種の健康障害や勤務遂行上の安全上
策の面か ら,休息等の挿入 を可能 にする時間
(
医療過誤 など)の問題 に結 びつ くことを考
管理,
姿勢負担 を緩和す る作業管理 や作業環
慮 した対 策 を とる こ とが必 要 だ と考 え られ
た。
境条件の見直 し1
0
'
が必要 なことが示 されてお
り,これらは今後の課題として残された。
近藤 ・瀬尾
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9
9
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ソ ン内科書 ・第 1
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