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応用解析学1・第 7 回 (2016 年 5 月 21 日)
§7. 1変数関数の微分と多変数関数の偏微分
ここでは1変数関数の微分の概念とその基本的な性質を復習し、これを多変数関数に単純に
拡張することにより得られる偏微分の概念を説明する。偏微分とは、1 つの変数以外を定数と
思った微分のことである。
● 7 - 1 : 微分の定義
1変数実数値関数 f の点 a での微分 (係数) とは、大雑把に言えば、x を a に「限りなく近
づけたとき」の比
f (x)−f (a)
x−a
の極限のことをいう。x の a へのあらゆる近づけ方が含まれるよ
うにするため、微分は定義域が開集合であるような関数に対してのみ考える。ここでは、1変
数 (実ベクトル値) 関数の微分を定義しよう。
定義 7 - 1
R の開集合 U を定義域とする実ベクトル値関数 f : U −→ Rm が点 a ∈ U で微分可能
(differentiable) であるとは、極限
f (a + h) − f (a)
h→0
h
が存在するときをいう。これは次を満たす α ∈ Rm が存在することと同値である:
f (x) − f (a)
− α < ε.
(7 - 1 b)
∀ ε > 0, ∃ δ > 0 s.t. x ∈ U, 0 < |x − a| < δ ⇒ x−a
df
α を f の a における微分係数 (differential coefficient) といい、f ′ (a) や
(a) などによっ
dx
て表わす。すべての a ∈ U で f が微分可能なとき、f は微分可能であるといい、各 a ∈ U
(7 - 1 a)
lim
に対して微分係数 f ′ (a) を対応させる関数 f ′ : U −→ Rm を f の導関数 (derivative) という。
注意 1. U は開集合なので、任意の a ∈ U は U の集積点である。したがって、(7 - 1 a) のよう
な極限を考えることができる。また、極限の一意性より、f の a における微分係数 α は (存在
すれば) 一意的である。
注意 2. f がある粒子の動きを記述する曲線と考えよう。そ
f ′(a)
の場合、x は時刻を表わし、f (x) は時刻 x における空間内
でのその粒子の位置を表わしていると考える。すると、x−a
は x が a に到達するまでの “時間”に相当し、f (x) − f (a)
f (a)
f
f (x)
はその時間内での粒子の位置の変化を表わすことになる。し
たがって、比
f (x)−f (a)
x−a
において x を a に近づけたときの
極限は、x が a を通過する瞬間の粒子の位置の変化の大き
さと方向を捉えていることがわかる。このような理由で、f ′ (a) は曲線 f の a における速度ベ
クトル (velocity vector) とも呼ばれる。f˙(a) と表わされることも多い。
df
dx (a) に使われている文字 x は f の定義域 U 内を動く“ 変数 ”を表わす。した
df
がって、記号 dx
(a) を使う前に、本来は「U 内を動く変数を x という記号で表わす」という断
注意 3. 記号
わり書きが必要である。この約束事を書く煩わしさを避けるため、微積分学の多くの教科書で
は、
(定義域内を動く変数を x で表わすという約束を込めて)関数 f (x) という書き方をしてい
る。U 内を動く変数とは、厳密には U 上の恒等写像 idU のことである。
注意 4. f が a ∈ U で微分可能なとき、 lim xn = a となる U − {a} 内の任意の数列 {xn }∞
n=1
n→∞
f (xn )−f (a)
xn −a
n→∞
に対して lim
= f ′ (a) (一定値) になる。したがって、 lim xn = lim yn = a とな
n→∞
– 49 –
n→∞
応用解析学1・第 7 回 (2016 年 5 月 21 日)
∞
る U − {a} 内のある数列 {xn }∞
n=1 , {yn }n=1 に対して lim
るならば、f は a で微分不可能であることがわかる。
n→∞
f (xn )−f (a)
xn −a
̸= lim
n→∞
f (yn )−f (a)
yn −a
とな
例 7 - 2 a, b ∈ R に対して、1 次関数 f : R −→ R, f (x) = ax + b (x ∈ R) は微分可能であり、
その導関数は f ′ (x) = a (x ∈ R) である。
(証明)
任意の点 c ∈ R において微分可能であることを示す。任意の ε > 0 に対して δ := 1 ととる
と、0 < |h| < δ を満たすすべての x ∈ R に対して
f (c + h) − f (c)
ah
− a = − a = 0 < ε
h
h
となる。よって、f は c において微分可能で、その微分係数は f ′ (c) = a である。
□
以下、1 変数実数値関数 exp, log, sin, cos および α > 0 に対して羃関数 fα (x) = xα (x > 0)
が微分可能であり、これらの導関数が以下のようになることを認めて議論を進める。
1
(exp)′ (x) = ex (x ∈ R),
(log)′ (x) =
(x > 0),
x
(sin)′ (x) = cos x (x ∈ R),
(cos)′ (x) = − sin x (x ∈ R),
fα′ (x) = αxα−1
(x > 0)
命題 6 - 6 と微分係数の定義より実ベクトル値関数が微分可能か否かはその成分関数が微分可
能か否かにより決まる。
補題 7 - 3
U ⊂ R を開集合とし、a ∈ U とする。実ベクトル値関数 f = (f1 , . . . , fm ) : U −→ Rm に対
して
f は点 a で微分可能 ⇐⇒ 任意の i = 1, . . . , m に対して fi は a で微分可能
(
)
′ (a) となる。
であり、このとき、f ′ (a) = f1′ (a), . . . , fm
例 7 - 4 関数 f : R −→ R2 , f (x) = (cos x, sin x) (x ∈ R) は微分可能であり、その導関数は
f ′ : R −→ R2 , f ′ (x) = (− sin x, cos x) (x ∈ R) により与えられる。
□
● 7 - 2 : 関数の和差積商の微分
微分可能な関数の和差積商はまた微分可能で、その導関数は最初に与えられた関数の導関数
を使って書くことができる。
補題 7 - 5
U ⊂ R を開集合とし、実ベクトル値関数 f, g : U −→ Rm と実数値関数 φ : U −→ R は
点 a ∈ U で微分可能であるとする。このとき、f ± g, φf,
f
φ
はすべて点 a で微分可能で
あり、それらの微分係数は次で与えられる(但し、商に対してはすべての x ∈ U について
φ(x) ̸= 0 であることを仮定する)
:
(f ± g)′ (a) = f ′ (a) ± g ′ (a)
(φf )′ (a) = φ′ (a)f (a) + φ(a)f ′ (a),
( f )′
– 50 –
φ
(複号同順),
(a) =
φ(a)f ′ (a) − φ′ (a)f (a)
.
φ(a)2
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この補題の証明は補題 7- 3 により成分ごとの微分可能性に帰着される。微分可能な 1 変数実
数値関数の和差積商が微分可能であることは基礎解析学1で学習するはずなので、ここでは省
略する。
例 7- 6
自然数 n に対して R 上の関数 fn を fn (x) = xn (x ∈ R) によって定義すると、帰
納法により、fn は微分可能であり、fn′ (x) = nxn−1 (x ∈ R) となることがわかる。この事実と
例 7- 2 と補題 7 - 5 を用いて、1 変数有理式関数は微分可能であることがわかる。
演習 7 - 1 次の関数は微分可能であることを示せ:

( 1)

exp −
f : R −→ R,
f (x) =
x
0
(x > 0),
(x ≤ 0).
● 7 - 3 : 1 変数の合成関数の微分法
1 変数の合成関数の微分可能性については次の結果がある。
命題 7 - 7
U, V を R の開集合とする。関数 f : U −→ R と g : V −→ Rm は合成可能であるとする。f
が点 a ∈ U で微分可能で、g が点 f (a) ∈ V で微分可能であるとき、関数 g ◦ f は点 a で微
分可能であって、次が成り立つ:
(g ◦ f )′ (a) = g ′ (f (a))f ′ (a).
上の命題は第 9 節においてより一般の形で証明されるが、補題 7- 3 と基礎解析学1で証明さ
れるはずの合成関数の微分可能性に関する結果を用いれば証明は容易であろう。
例 7-8
関数 f : R −→ R2 , f (x) = (cos x + cos 2x + 1, sin x + sin 2x) (x ∈ R) は成分関数が
微分可能なので微分可能であり、その導関数は
f ′ (x) = (− sin x − 2 sin 2x, cos x + 2 cos 2x)
(x ∈ R).
● 7 - 4 : 偏微分
今後特に断らない限り、Rn 上で定義された関数の「変数」として x1 , . . . , xn を用いる。Rn
の開集合 U 上で定義された関数の「変数」としても、x1 , . . . , xn を用いる。これは、第 i 成分へ
の射影 U −→ R を xi と名付けるという意味であるが、
「変数」と呼ぶ時には、組 (x1 , . . . , xn )
が U の中を自由に動き回わることをイメージしている。そのため、組 (x1 , . . . , xn ) を U の標
準座標系 (canonical coordinate system) と呼ぶこともある。なお、n = 2 の場合には「変数」
として x, y を、n = 3 の場合には x, y, z を採用することが多い。
写像の観点からは、Rn の開集合 U 上で定義された関数を f : U −→ R のように表現する
ことが普通であるが、微積分学で関数の (偏) 微分を扱うときには、変数を明記したいときが
ある。このような場合、f = f (x1 , . . . , xn ) という表記が用いられる。この右辺は f による点
(x1 , . . . , xn ) の像と同じ記法なので、単に f (x1 , . . . , xn ) と書くと、変数を明記するために書か
れているのか、関数による点の像を表わしているのかの区別がつかない。この記法を用いると
きには、どちらの意味で使っているのかがわかるように、注意して書く必要がある。
i = 1, . . . , n に対して、第 i 成分のみ 1 で、他の成分はすべて 0 であるような Rn の元を ei
で表わす。今後、この記号を断りなく使う。
– 51 –
応用解析学1・第 7 回 (2016 年 5 月 21 日)
第i項
ei = ( 0, . . . , 0,
↓
1,
0, . . . , 0 ).
y
さて、f を Rn の開集合 U 上で定義された実数値関数とし、
a = (a1 , . . . , an ) ∈ U とする。U は開集合なので、各 i に対
b
して δ > 0 を十分小さくとると、任意の h ∈ (−δ, δ) に対して
(a, b)
D
x
a + hei ∈ U となる。したがって、関数
f (a + hei ) − f (a)
(7 - 4 a)
(−δ, δ) ∋ h 7−→
h
が定義される。この関数の h を 0 に近づけたときの極限が
a
存在するとき、f は点 a で xi に関して偏微分可能であるといい、その極限を f の点 a に
∂f
おける xi に関する偏微分係数という。この偏微分係数を
(a) で表わす:
∂xi
∂f
f (a + hei ) − f (a)
(7 - 4 b)
(a) = lim
.
h→0
∂xi
h
すべての点 a ∈ U で xi に関して偏微分可能なとき、単に、f は xi に関して偏微分可能で
あるという。このとき、U の各点 a に対して、偏微分係数
∂f
∂xi (a)
を対応させる関数
∂f
∂xi
が定
まる。この関数を f の xi に関する偏導関数 (partial derivative) という。
定義より、f が xi に関して偏微分可能であるとは、第 i 成分以外の変数を定数とみなし、xi
の関数と見たときに微分可能であるということであり、f の xi に関する偏導関数
∂f
∂xi
とは、xi
の関数と見なしたときの導関数のことに他ならない。
微分可能な 1 変数関数の和差積商は微分可能であることから、Rn の開集合 U 上で定義され
た関数 f, g が点 a ∈ U で xi に関して偏微分可能ならば、4つの関数 f + g, f − g, f g,
f
g
も
a で xi に関して偏微分可能になる。
例 7 - 9 f (x, y) = x5 − 10x3 y 2 + 5xy 4 によって定義される R2 上の関数 f は偏微分可能であ
り、その偏導関数は次で与えられる:
∂f
(x, y) = 5x4 − 30x2 y 2 + 5y 4
(y を定数だと思って f を微分),
∂x
∂f
(x, y) = −20x3 y + 20xy 3
(x を定数だと思って f を微分).
∂y
演習 7 - 2 f : R2 − {0} −→ R を次式によって定義される関数とする。
√
f (x, y) = x2 + y 2
((x, y) ̸= (0, 0)).
f は偏微分可能である理由を述べ、x および y に関する偏導関数を求めよ。
1 年次に学んでいるように 1 変数実数値関数の場合には、微分可能であれば連続である。多
変数関数の場合には、無条件にこのような結果は成り立たない。そればかりか、偏微分可能性
と連続性の間には相関関係はない。この現象は、偏微分を 1 変数の場合の微分の拡張として捉
えるには無理があることを示唆している。そもそも偏微分は座標軸方向に関する微分なので、
定義域が n 次元的な広がりを持つ n 変数関数を座標軸の n 個の方向だけで捉えるには限界が
あるのである。次回は 1 変数関数に対する微分の概念を反省し、多変数関数に対するそれに相
当する概念を導く。
– 52 –
No.7
応用解析学1演習問題
1変数関数の微分と多変数関数の偏微分
2016 年 5 月 21 日
微分可能、微分係数、導関数、座標系
偏微分可能、偏微分係数、偏導関数
演習問題 7. f を開集合 U ⊂ Rn 上で定義された関数とし、u ∈ Rn を単位ベクトル (ノルムが
1 のベクトル) とする。a ∈ U に対して極限
f (a + hu) − f (a)
h→0
h
が存在するならば、f は u の方向に微分可能であるといい、その極限値を f の a における u
lim
方向微分係数と呼ぶ。この方向微分係数を (Du f )(a) により表わす。
次で定義される関数 f : R2 −→ R は 0 = (0, 0) においてすべての方向に微分可能であるこ
とを示し、任意の単位ベクトル u = (a, b) ∈ R2 に対してその方向微分係数を求めよ。

2
 xy
((x, y) ̸= (0, 0)),
f (x, y) = x2 + y 4

0
((x, y) = (0, 0)).
応用解析学1 [第7回]・関連図作成シート
の関連図
2016 年 5 月 21 日
学籍番号
氏 名
応用解析学1通信
[No.7]
2016 年 5 月 21 日発行
■ 第5回学習内容チェックについて
Q1 は閉集合の定義の点列を用いた言い換えと、その言い換えを使った閉集合か否かの判定
例を扱った問題です。Q1 の 2 番目の枠には {0} や 0 と書き入れらたシートが多かったですが、
ここには 0 (太字の 0) を書き入れます。それに続く 3 つの枠では、閉集合の例として S2 が取
り上げられています。S2 内の収束するどんな点列 {xn }∞
n=1 についてもその極限 lim xn がど
n→∞
の集合の中にあれば R3 の閉集合といえるのか、閉集合の点列を用いた言い換えをじっくり観
察して解答してください。
Q2 の 4 番目と 5 番目の枠には同じ言葉が入ります。ボルツァノ-ワイエルストラスの定理の
証明 (の前半部分) より、Rm 内の有界な点列は、その点列自体が収束しなくても収束する部分
列を持つことがわかります。その定理の証明から、D ⊂ Rm が有界であることと D 内の任意
の点列が収束する部分列を持つことが同値であることがわかり、さらに、閉集合の定義の点列
を用いた言い換えを合わせることにより、Rm の有界部分集合の点列による特徴づけ、すなわ
ち、ボルツァノ-ワイエルストラスの定理そのものが導かれます。ここを押さえましょう。
■ 第5回学習内容のまとめを書くためのヒント
第5回のまとめを書くためのヒントを提供しますので、これを参考に修正してください。
• 冒頭部分で、ユークリッド空間 Rm における閉集合と有界集合は点列を用いて特徴づける
ことができる、などど宣言すると書き易くなる。
• 次に、閉集合の点列を用いた言い換えを述べる。
• 次に、有界集合の点列を用いた言い換えを述べる。その際、閉集合と有界集合は独立なの
で、「一方」などと書いてから有界集合の定義と言い換えを述べる。
• 上述の 2 つの言い換えを合わせて、有界閉集合の点列を用いた特徴づけが得られることを
述べ、この事実はボルツァノ-ワイエルストラスの定理と呼ばれることを付記する。
• 最後に、有界閉集合と連続写像について成り立つ結果と例を説明するが、その結果はボル
ツァノ-ワイエルストラスの定理から導かれるものなので、「この定理を用いて」などの誘
導をつけて結果を書く。例は、定理の有り難さがわかるように、最大値・最小値がすぐに
求まらないような有界閉集合上で定義された連続関数を与えた方がよい。
■ 第 6 回のプリントの訂正
授業時に配布したプリントの 41 ページと 18 ページに誤記があります。次のように修正をお
願いします。
• (p.41, 第 6 - 1 節 8 行目)
(
)
δ の定義を δ := min{∥a−x1 ∥, . . . , ∥a−xk ∥} に訂正し、同じ行の U (a; ε)−{a} ∩S = ∅
(
)
を U (a; δ) − {a} ∩ S = ∅ に訂正します。
• (p.42, 定理 6 - 2 の ⇐= の証明の第 1 行)
(誤) 極限 lim xn が
n→∞
−→ (正) 極限 lim f (x) が
x→a
応用解析学1・第7回学習内容チェックとまとめシート
学籍番号
2016 年 5 月 21 日
氏 名
[テーマ]
[学習内容のチェック]
Q1. R の開集合 U を定義域とする実ベクトル値関数 f : U −→ Rm が点 a ∈ U で微分可
能であるとは、極限
が存在するときをいう。この極限を f の a における
といい、f ′ (a) で表わす。f ′ (a) は、f がある粒子の動きを記述する曲線の
ときには、その曲線の a における
を表わしていると考えられる。
U 内のすべての点で f が微分可能なとき、各点
から
に対して
を対応させる
への実ベクトル値関数が定義される。これを f の導関数という。定義より
実ベクトル値関数 f = (f1 , . . . , fm ) : U −→ Rm に対して
f は点 a で微分可能 ⇐⇒
であり、このとき、f ′ (a) =
となる。例えば、関数 f : R −→
R2 , f (x) = (cos x, sin x) (x ∈ R) は、2 つの実数値関数
(
′
ので、微分可能であり、その導関数は f ′ (x) =
(x),
′
,
)
が微分可能な
(x) =
である。
Q2. f を Rn の開集合 U 上で定義された実数値関数とし、Rn の標準座標系を (x1 , . . . , xn )
と名付ける。i = 1, . . . , n に対して、第 i 成分のみ 1 で、他の成分はすべて 0 であるような
Rn の元を ei で表わす。f が点 a ∈ U において xi に関して偏微分可能であるとは、極限
が存在するときをいう。この値を
おける偏微分係数と呼ぶ。これは、
あり、実際に計算する際には、
により表わし、f の点 a に
に沿って a に近づけたときの極限で
以外の変数は定数だと思って f を
すればよい。
[学習内容のまとめ] 次の事項を守り、第7回の学習内容を下の破線より下に文章で書きなさい。
微分について説明する。
実ベクトル値関数の微分は成分関数の微分に帰着されることを述べて、その例を挙げる。
偏微分を 1 変数実数値関数の微分と比較しながら説明する。
論理記号 ∀, ∃, ⇒, ⇔, ∨, ∧ を使用しない (集合の記号 { , }, ∈, ⊂ や写像の記法は使用可)。
「(記号):(その説明)」のような略式的表現法を避ける。
「したがって」
「ところが」
「例えば」など、適宜つなぎの言葉を入れて書く (但し、
「また」を濫用しない)。
定義や定理などの列挙に終始したり、事実の箇条書きにならないようにする。
応用解析学1 [第7回]・関連図作成シートに含めるべき項目
⃝
1
2
⃝
U ⊂ R を開集合とする。
関数 f : U −→ Rm が点 a ∈ U で微分可能
f (a + h) − f (a)
def
⇐⇒ 極限 lim
が存在
h→0
h
上の極限値を f の a における微分係数といい、
df
f ′ (a) または
(a) によって表わす。
dx
U ⊂ R を開集合とする。
関数 f : U −→ Rm が微分可能
def
⇐⇒ すべての a ∈ U で f が微分可能
このとき、各 a ∈ U に対して微分係数 f ′ (a)
を対応させる関数 f ′ : U −→ Rm が定義され
る。この関数を f の導関数という。
⃝
3
4
⃝
f, g を開集合 U ⊂ R 上で定義された実ベクトル値
関数、
φ を U 上で定義された実数値関数とする。
f, g, φ が a ∈ U で微分可能
f
=⇒ f ± g, φf, φ
はすべて点 a で微分可能
(商については、すべての x ∈ U について φ(x) ̸= 0
であることを仮定)
このとき、それらの微分係数は次で与えられる:
(f ± g)′ (a) = f ′ (a) ± g ′ (a)
′
U, V を R の開集合とし、関数 f : U −→ R
と g : V −→ Rm は合成可能であるとする。
f が点 a ∈ U で微分可能で、
g が点 f (a) ∈ V で微分可能
=⇒ g ◦ f は点 a で微分可能であって、
(g ◦ f )′ (a) = g ′ (f (a))f ′ (a).
(複号同順),
′
(φf ) (a) = φ (a)f (a) + φ(a)f ′ (a),
( f )′
φ(a)f ′ (a) − φ′ (a)f (a)
(a) =
.
φ
φ(a)2
⃝
5
6
⃝
f を開集合 U ⊂ R 上で定義された実数値関数とし、
a = (a1 , . . . , an ) ∈ U とする。
第i項
↓
1,
ei = ( 0, . . . , 0,
0,
とおく。
f は点 a で xi に関して偏微分可能
...,
0
f は点 a で微分可能
⇐⇒ 任意の i に対して fi は a で微分
可能
(
)
′
このとき、f ′ (a) = f1′ (a), . . . , fm
(a) .
).
f (a + hei ) − f (a)
が存在
h→0
h
この極限を f の点 a における xi に関する偏微分係数と
∂f
いい、
(a) で表わす:
∂xi
∂f
f (a + hei ) − f (a)
(a) = lim
.
h→0
∂xi
h
def
⇐⇒
lim
⃝
7
8
⃝
開集合 U ⊂ R 上で定義された実数値関数 f に対
して
f が xi に関して偏微分可能
R の開集合 U 上で定義された実数値関数
f, g が点 a ∈ U で xi に関して偏微分可能
=⇒ 関数 f + g, f − g, f g, fg は
a で xi に関して偏微分可能
n
n
def
⇐⇒ すべての点 a ∈ U で xi に関して偏微分可能
∂f
このとき、U の各点 a に対して、偏微分係数 ∂x
(a)
i
∂f
を対応させる関数 ∂xi が定まる。この関数を f の xi
に関する偏導関数という。
U ⊂ R を開集合とし、a ∈ U とする。
f = (f1 , . . . , fm ) : U −→ Rm に対して
n