第 123 回 金融業務能力検定(2016 年 5 月 22 日実施) 《模範解答》 ・預金上級 ※配点は、特に記載のない限り、公表しておりません。また、配点・試験の内容に関す るお問合せには、お答えできません。 ※合格発表は、6月29日の予定です。 一般社団法人 金融財政事情研究会 検定センター 〈合格基準〉100 点満点で 60 点以上 (注)記述式の解答については、表現に相違があっても趣旨が適切であるものは可としま す。 【第1問】(10 点) ・当該事務の担当者以外の者を任命する。 ・実施日は予告せずに抜き打ち的に行う。 ・厳正・公正な態度で実施する。 ・実施結果は担当役席者が書面で店長に報告し、店長の指示のもと、その補完・是正措置 を直ちに行う。 ・不備事項については関係者に周知徹底し改善を図る。 【第2問】(10 点) ・架空名義口座または借名口座であるとの疑いが生じた口座を使用した入出金 ・口座名義人である法人の実体がないとの疑いが生じた口座を使用した入出金 ・住所と異なる連絡先にキャッシュカード等の送付を希望する顧客または通知を不要とす る顧客に係る口座を使用した入出金 ・多数の口座を保有していることが判明した顧客に係る口座を使用した入出金。屋号付き 名義等を利用して異なる名義で多数の口座を保有している場合を含む ・当該支店で取引をするについて明らかな理由がない顧客に係る口座を使用した入出金 1 【第3問】(12 点) (1) ・手形支払人から、手形金額相当額の異議申立預託金を交換日当日中に受け入れる。 ・提出する第 2 号不渡届所定欄に、異議申立をする旨を表示する。 ・手形金額相当額の異議申立提供金を異議申立書とともに、交換日の翌々営業日の営 業時限(午後 3 時)までに手形交換所に提供する。 以上から2つ。 (2) ・不渡事故が解消し、持出銀行から交換所に不渡事故解消届が提出された場合 ・別口の不渡により取引停止処分が行われた場合 ・支払銀行から不渡報告への掲載または取引停止処分を受けることも止むを得ないも のとして異議申立の取下げの請求があった場合 ・異議申立をした日から起算して 2 年を経過した場合 ・当該振出人等が死亡した場合 ・当該手形の支払義務がないことが裁判等により確定した場合 ・持出銀行から支払義務確定届または差押命令送達届が提出された場合 以上から 5 つ。 (3) 異議申立預託金の預託者(手形支払人)に対する返還時期は、異議申立提供金の返還 を受けた後となるため、差押債権者への支払可能時期は手形交換所から異議申立提供金 が支払銀行に返還された後である。 【第4問】(16 点) ・権利能力なき社団とはどのような団体か 権利能力なき社団とは、社団としての実態を備えながら、法人設立の手続をとらない ため、あるいは法律の定める要件を満たさないために法人格を有しない人の集まり(社 団)をいい、その構成員とは別の独立した主体となりうるものである。 ・権利能力なき社団に該当するか否かを判断する際のポイント 社団の目的、運営など基本的な事項について明確に定めた規則が制定されていること、 規則上で代表者の選出方法およびその権限、総会の運営、財産の管理、社団員の資格 等が明確に定められ、かつ実際に運用されていること、構成員個人の財産と明確に区 分された団体固有の財産があること、社団の構成員が変わっても団体そのものが存続 すること、などである。 2 【第5問】(12 点) ○× (1) × 不適切であることの理由 滞納処分による差押えが先行していても、さらに強制執行による差押 えをすることは可能である。先行の滞納処分による差押えと後行の強 制執行による差押えが競合したときは、強制執行による差押えの効力 は預金債権の全部に及ぶとされており、無効となるものではない。 (2) × 滞納処分による差押えを受けたAの定期預金について強制執行による 差押えを受けた時は、定期預金の全額を満期日が到来したときに供託 することができるが(権利供託)、供託を義務付けられるものではない。 (3) ○ 【第6問】(14 点) (1)当該顧客が「障がい者等」に該当する場合、同居の家族やヘルパー等との帯同によ る再度の来店を求めるのではなく、代筆に応じるべきである。その場合、申出人(自 筆困難者)の意思表示の内容を記録するとともに、複数の行員が代筆内容を確認した うえで、確認した事実を記録として残すことが必要である。 (2) ① 本人(任意後見委任者)が、将来、精神上の障害により判断能力が不十分になっ た場合に備えて、自己の生活、療養看護および財産管理に関する事務の全部また は一部を任意後見受任者に委託し、その委託事務について代理権を付与する契約 である。 ② 任意後見契約は、公正証書によって締結しなければならない。 ③ 家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時 ④ 登記事項証明書により、任意後見監督人が選任され任意後見契約が効力を生じて いることや委任されている代理権の範囲を確認するとともに、任意後見人の本人 確認をする。 3 【第7問】(14 点) ○× (1) ○ (2) × (3) × (4) ○ 不適切であることの理由 呈示期間経過後に支払呈示を受けた小切手は、振出人から特に支払委 託の取消しの申出を受けていない限り、支払うこととされている。 裏判は当座勘定取引先との間の契約に基づくものであり、当事者間で のみ有効とされ、裏判に線引抹消の効力はない。 小切手法上の線引規定には違反するが、当座勘定規定上の特約により (5) × 当座勘定取引先X社との関係では支払は有効であり、当該小切手の支 払が直ちに無効となるものではない。 【第8問】(12 点) ○× (1) × (2) × (3) × (4) × 不適切であることの理由 相続放棄は単独でできるが、限定承認は相続人全員が共同して行わな ければならない。 Dは 19 歳であるが、すでに婚姻しているので成年に達しているものと みなされ、法定代理人は不要である。 相続の放棄をした場合は、代襲相続は行われないが、欠格事由により 相続権を失った場合は代襲相続が生じる。 C、D、Eは各 6 分の 1 である。 4
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