Title Author(s) Citation Issue Date URL Backscattering of Electrons from 3.2 to 14 Mev( Abstract_要 旨) Tabata, Tatsuo Kyoto University (京都大学) 1967-11-24 http://hdl.handle.net/2433/212405 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 【5 6】 氏 多 幡 達 た はた たつ お 学 位 の 種 類 理 学 博 士 学 位 記 番 号 論 学位授与の 日付 昭 和 42 年 11 月 24 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 2項 該 当 学位論文 題 目 Bac ks c at t e ri ngofEl ec t ronsf rom 3. 2t o1 4M: ev 理 博 夫) 24 号 第 2 ( 3. 2-1 4Me V電子の後方散乱) (主 論 文 調 査 委員 査) 教 授 四手井綱 彦 論 文 内 教 授 柳 父 琢 治 容 の 要 教 授 長谷 川博一 旨 主論文 は, 厚 い ターゲ ッ トか らの電子 の後方散乱を主 として実験的に取 り扱 った ものである。 この課題 は, 電子 エネルギ- の低い領域 について は, 実験 デー タも多 く, 理論的取 り扱 い もあり, か なりよ く理解 されてい る。 電子 のエネルギーが 4Me V より高 くなると, 実験 データもとぼ し く, 低 エネルギー領域 で の理論的計算 も, この領域では成立せず, 後方散乱 の現象 の全貌 はまだ十分 明 らかではない。 . 2-1 4Me V の均一 エネルギーの電子 に 申請者 は, この問題 を とりあげた もので, 線型加速器か らの 3 対 して, 後方散乱電子 の角度分布 と後方散乱係数 とを測定 し, 実験 データの確立 を行 なった。 また, 測定 結果 に もとづいて現象の機構について, 若干 の考察 を加 えてい る。 線型加速器か らの電子 は, 電磁石でエネルギー分析 し, 四重極磁石で収束 させて, 真空散乱糟- 導 き, その中央 に置かれたターゲ ッ ト垂直に入射 させ た。 この電子線束 の広が りは, 角度で 0 .05 0以下, エれ レ ギーで約 1% であるO 散乱電子 の検 出にはⅩ線補償型電離由を用い るとともに b a c kgr ound に現われ る Ⅹ線 の除去に意を もちいてい る。 また, 各種 の s y S t e ma t i cな誤差 について の くわ しい吟味を行 なってい る。 まず, ターゲ ッ トの厚 さと角度分布 および後方散乱係数 との関係 を調べてい る。 この際電子 エネルギとして 6・ 1Me V を とり, 電子 の飛程の1/2以下 の数種 の厚 さの Cu, Ag および Au のターゲ ッ トを用 ・ 7 5Me V におけ る Fr ank の実験結果 と同様 に, ターゲ ッ トの厚 さが薄 いた。 その結果, 角皮分布 は, 1 いほど幅が広 くなる傾 向が認め られた。 また, ターゲ ッ トの厚 さと後方散乱係数 との間 の関係 には, 0. 6- 1 ・ 8Me V で Ko r alandCo he n が見 出 した経験式が, この 6. 1Me V の場合 に も適用で きるが, 式 の中 の 3 個 のパ ラメー ターの中, 2 個 の値を少 し変 えなければな らない こと, および, そのパ ラメ- メ- の中 の モa〝 の値が, 後方 散乱竃 子中に混入 してい る 2次電 子の高 エネルギ- 成分 の割合 と関係す るとしてい る。 次に, 電子 の飛程に較べて十分厚いBe , C, Al, Cu, Ag, Au および U の ターゲ ッ トに対 して, -1 5 5- 3. 2,4. 1 ,6. 1 ,1 0. 1 , 1 4. 1Me v の各 エネルギーで角度分布 および後方散乱係数 を測定 した. その結果, e s s e lの結果 と大 角度分布 の形 の, ターゲ ッ ト原子番号および入射電子 エネルギーに対す る依存性 は, Dr 体一致 したが, 後方散乱係数 は一致せず, 他 の人 々の測定結果 と一致 し, あるいはそれ らと連続的 につな e s s e lと他 の測定結果 との相違 の原 因は, Dr e s s e l の実験方法 の中に が る傾 向を示 した。 したが って, Dr あると考え られ, そのい くつかの可能性を指摘 してい る。 申請者 がさきに提唱 した角度分布 の計算式 に, 拡散近似を適用 し, モ 完全拡散 の深 さ〝 を調節パ ラメ- タ- と して用い ることにより得 られ る計算結果 を, 実測 された角度分布 と比較 し, この計算方法 が一 つの . 2-1 4Me V の領域では, 後方散乱- の拡散 有用 な方法であることを見 出 した。 また, この比較か ら,3 成分 の寄与に対す る Si de s c a t t e r i ng 成分 の寄与 の比が, 電子 エネルギーの増大 とともに増大す るとい う 9 以上の場合, 角度分布 の形 は, 電子 エネルギーおよび原子番 解釈を得 た。 なお, タ- ゲ ッ トの原子番号2 de s c at t e r i ng成分が相対的 号 にかかわ らず殆ん ど一定 であったo これは, エネルギーの増大 とともに, Si に増大 して分布 の幅を広 くす る傾向 と, 拡散成分 の幅が次第 に狭 くなる傾 向 とが相殺 し合 ってい るためで あるとしてい る。 前記 の測定結果 と従来 のデータを合わせて考察す るととによって, 十分厚い ターゲ ッ トに対す る後方散 V) および ターゲ ッ ト原子番号 Z の関数 として表わす経験 乱係数 甲 を入射電子 エネルギ- Eo(≧1Me Eo ≧2Me V1の 式を見 出 した。 この式が実測値か ら明瞭にずれ るのは, り≦2 % となる Z≦6および Z/ 場合で あ り, このずれの原 因に も, 先 に述べ た 2 次電子 の高 エネル ギー成分が関係 してい るとしてい る。 参考論文 1-1 0は, いずれ も電子線 に関す る研究で, 後方散乱電子 のエネルギ- 分布, な らびに電子線 ni t o rについての報告で ある。 参考論文1 1は放射線損傷 に関す るもの, 1 2および1 3は原子核反 の各種 mo 応 を取 り扱 ってい る。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 電子 が物質層を通過す る際にお こる個 々の素過程は, かな りよ く理解 されてお り, 電子 の輸 送 の 問 題 は, 大抵 の場合理論的計算で と くことがで きる。 厚い固体 ターゲ ッ トか らの電子 の後方散乱について も入 射電子 のエネルギーが 4Me V 以下 の場合 には, 各種 の計算が試み られてい る。 しか し, それ らの取 り扱 V 以上 いは, いずれ も困難 と限界を伴い, より高 いエネルギー領域 の電子 には成立 しない。 また, 4Me のエネルギー領域 について は, 実験 データもとぼ しく, 後方散乱 の全貌 は十分理解 されていないO e s s e lが 0. 5-1 0Me V のエネルギー領域 の電子 について, 後方散乱係数 の測定結果を報告 し 最近 Dr 0 % あるいはそれ以上大 き くなってい る。 したが って, 数 Me V てい るが, その値 は従来 の測定値 よ りも5 以上 のエネルギー領域での後方散乱 の問題を解 明す るためには, 精度 の高い よ く吟味 した実験を行 な うこ とが必要である。 主論文で, 申請者 は この点に留意 して, 十分信頼 で きる測定 を行 なってい る。 . 2-1 4Me V の領域について後方散乱 の角度分布 と, 散乱係数 とにつ 測定 は, 入射電子 のエネルギー 3 いて行 ない, は じめて, このエネギ←領域 における後方散乱 の現象を, 実験的に明 らかに した。 また, そ の測定値 は標準的 な値 として, 今後実用に供 し得 るものである。 これ らの測定値を もとに して, 十分厚 い ターゲ ッ トに対す る後方散乱係数 を入射電子 のエネルギーE0, - 156 - およびターゲ ッ トの原子番号 Z の関数 として表わす経験式を見 出 してい る。 この経験式 は Z ≦6 および Z/ Eo ≦2Me V1 の場合 には成立 しないが, つ ぎに述べ る Ko r alandCohe n の式 とともに, 各種 のター ゲ ッ トか らの後方散乱係数 を計算 し得 る式をみ ちびいた ものである。 また, ♂- ゲ ッ トの厚 さと後方散乱係数 との問に, 低エネルギ- 領域で Kd r alandCohe n が見 出 した 経験式 が, その式 に含 まれてい るパ ラメーターの値を一部修正す ることによって, 高 いエネルギー領域 に も成立す ることを明 らかに した。 さらに申請者 は, 角度分布 の検討か ら, 後方散乱機構 の解釈を試みてい る。 す なわち, この現象 には電 子 の拡散 の条件が成立す ると仮定 し, モ 完全拡散 の深 さ〝を調節パ ラメーター として角度分布 を求めた。 de s c at その結果を実測値 と比べ ることによって, このエネルギー領域では, 拡散成分 の寄与に対す る Si t e r i ng の成分 の寄与 の比が, 電子 エネルギーの増大 とともに増大す るものと解釈 してい る。 この問題 は なお検討 を必要 とす るが, 後方散乱現象 の理解を一歩進 めた ものである。 これを要す るに, 申請者 の主論文 は, 実験資料 のとぼ しか った高 エネルギー領域 の電子 の後方散乱現象 を実験的に解 明 した もので, 合 わせて, その散乱機構 について一 つの考え方を提 出 した もので ある. 参考 論文 も主 として電子線 の諸問題を取 り扱 った興 味 ある成果で ある。 以上 のよ うに, 申請者 は, 放射線物理学の分野 に新 しい知見 を提供 し, その発展 に重要 な寄与をな した ものである。 よって, 本論文は理学博士 の学位論文 として価値があるものと認め る。 -1 57-
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