16.05.20 REITレポート「豪REIT市場の動向と今後の見通し」

2016年5月20日
投資情報室
REITレポート
豪REIT市場の動向と今後の見通し
堅調な豪REIT市場
【図表1】 豪REIT市場の推移(配当除き)
【豪REIT指数の推移(配当除き)】
 豪REIT市場(S&P ASX300 A-REIT指数、現地
通貨ベース)(注1)は、中国元の切り下げや新興国
経済の先行き不安等から2015年夏場にかけて
調整色を強めました。
 しかしその後は回復に向かい、足元(2016年5月
17日時点)は1,400ポイントを超える水準まで上昇
しています(図表1)。
1,500
(2013年4月30日~2016年5月17日 日次)
(ポイント)
1,400
1,300
1,200
1,100
1,000
(注1)2016年4月末時点での指数組入れ銘柄数は27銘柄、
時価総額は約1,266億豪ドル、1豪ドル=80円換算で約
10.1兆円となっています。
900
2013/04
2014/04
2015/04
(年/月)
【図表2】 豪REIT市場の推移(配当込み)
【豪REIT指数の推移(配当込み)】
50,000
 配当を含む同指数(現地通貨ベース)は、2009年
3月頃を底値に回復基調を続けています。
40,000
 足元(2016年5月17日時点)では、2007年9月に
記録したリーマン・ショック前の史上最高値水準を
うかがう動きとなっています(図表2)。
(ポイント)
45,879.70
(2006年4月28日~2016年5月17日 日次)
44036.60
30,000
20,000
10,000
2006/04
2009/04
2012/04
2015/04
(年/月)
【主要REIT市場のパフォーマンス比較】
【図表3】 主要REIT市場のパフォーマンス比較
 豪REIT市場は主要REIT市場の中でも堅調な
動きとなっています。
60%
 2016年4月末時点の主要REIT市場(配当込み、
現地通貨ベース)(注2)のパフォーマンス(騰落率)を
比較してみると、豪REIT市場は相対的に良好な
結果となっています(図表3)。
(注2)使用指数
・豪:S&P ASX 300 A-REIT指数 ・米国:NAREIT All
Equity Reit指数 ・日本:東証REIT指数 ・仏:S&P フラン
スREIT指数 ・シンガポール:S&PシンガポールREIT指数。
50%
(2016年4月末時点)
過去3年
49.3%
過去1年
過去6ヵ月
39.1%
40%
33.6%
30%
22.4%
20%
10%
15.6%
10.5%
13.2%
8.1%
5.1%
6.1%
-1.2%
0%
-4.7%
-10%
豪
米国
日本
フランス
-1.1%
4.7%
-2.9%
シンガポール
(出所)図表1~3はブルームバーグ、S&Pのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価
証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております
が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将
来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投
資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
1/4
(審査確認番号H28-TB37)
豪REIT市場上昇の背景
【1:低金利政策の継続】
【図表4】 豪州準備銀行(RBA)の政策金利とインフレ率
 豪 準 備 銀 行 ( RBA ) は 5 月 3 日 の 金 融 政 策
理事会において1年ぶりに0.25%の利下げを決定
し 、 政策 金 利を 過 去 最 低の 1.75 %と し ました
(図表4)。利下げにより豪REIT市場の予想配当
利回りの相対的な高さに対する注目度が高まった
可能性があります(図表9)。
5.0
(%)
政策金利(キャッシュ・レート)
4.5
4.0
3.5
 RBAのこれまでの緩和的な金融政策等により、
国内総生産(GDP)の約5割を占める豪州の個人
消費は拡大傾向となっています。今回の利下げが
個人消費を刺激し、商業施設に投資する「小売
りセクター」が市場のおよそ5割を占める豪REIT市
場(図表5)の業績拡大をもたらすとの期待も支援
材料になっているものと思われます。
3.0
2.5
2.0
インフレ目標レンジ(2~3%)
基調インフレ率(前年比)
1.5
1.0
2009/1
2011/1
その他
2.5%
 2015年10~12月期の実質GDP成長率(前年同
期比)が前期(同)の2.7%から3.0%に拡大する等、
豪経済は引き続き回復基調にあるものと思われ
ます。
 人口増加(図表6)等を背景に豪州は潜在的な成
長力が相対的に高い国とみられていること、日米と
比較して消費が拡大傾向を続けていること(図表7)
等、経済基盤の強さが豪REIT市場に資金を
呼び込む要因になっている可能性もあります。
オフィス
10.2%
産業
12.1%
小売
49.5%
多角
25.6%
(出所)ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
【図表7】 日・米・豪の小売売上高(前年同期比)比較
【図表6】 豪州の実質GDPと人口の推移
実質GDP(左軸)
(年/月)
【図表5】 豪REIT市場の業種別構成比(2016年4月末時点)
【2:底堅い豪経済】
25
2015/1
(出所)豪州準備銀行(RBA)、豪州政府統計局(ABS)
(期間)基調インフレ率:2009年1-3月期~2016年1-3月期
政策金利:2009年1月1日~2016年5月17日
(注)基調インフレ率は消費者物価指数(CPI)のトリム平均値(平均値を算出
する際、データの最大値と最小値付近の値を計算から除外)と加重中央
値の平均により算出。
 尚、今後の金融政策については、RBAは当面
利下げの効果やインフレ動向を注視しながら様子
見姿勢を続けるものとみられますが、7月後半に
公表される4~6月期の消費者物価指数の結果
によっては、もう一段の利下げを行う可能性もある
と考えています。
(千億豪ドル)
2013/1
(1980年~2021年 年次)
(百万人)
50
人口(右軸)
(2015年4月末~2016年3月末 月次)
8%
6%
20
40
15
30
10
20
0%
5
10
-2%
0
-4%
オーストラリア
4%
0
1980年
1990年
2000年
2010年
(出所)IMFのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
※実質GDPの2015年以降、人口の2014年以降はIMFの推計値
2020年
2%
米国
日本
2015/4
2015/7
2015/10
2016/1 (年/月)
(出所)ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価
証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております
が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将
来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投
資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
2/4
豪REIT市場が堅調である背景
【3:資源価格の反発】
【図表8】 原油と鉄鉱石価格の推移
 2016年2月に1バレル=26米ドル台まで下落した
原油価格(WTI原油先物価格)は、米国に
おける生産量の減少や需要拡大等により底入
れし、直近では1バレル=48米ドル台まで回復
しています(図表8)。
140
WTI原油先物(左軸)
鉄鉱石(右軸)
120
 また、2015年12月に1トン=40米ドルを下回った
鉄鉱石価格は 、中国が新たなインフラ投資
計画を発表し、同国の鉄鉱石需要が回復する
との予測等を背景に反発に転じました(図表8)。
 豪州の 年間輸出の 約 半分を鉱物 ・燃料 を
はじめとする資源が占めています(2015年年間)。
資源価格に底打ち感が出始め、今後の豪経済
や不動産市況にプラスの効果をもたらすとの
期待が高まったことも要因になっているものと
思われます。
( 2013年4月30日~2016年5月17日 日次)
(米ドル/トン)
(米ドル/バレル)
150
130
100
110
80
90
60
70
40
50
20
2013/4
2014/4
30
2016/4
(年/月)
2015/4
(出所)ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
豪ドルを含む今後の見通し
【図表9】 豪REIT市場の金利差推移
(%)
 インフレ見通しを引き下げたこと等を考慮すると、
RBAは当面低金利政策を継続するものと思わ
れます。その結果、10年国債金利に比べた豪
REIT市場の予想配当利回りの相対的な高さが
維持される可能性があります(図表9)。また、
低金利による借入の容易さや人口増加による
住宅需要の拡大等を背景に、豪不動産市況は
回復傾向を続けるものと思われます。
 ただ、新興国経済の先行き不安、米大統領選
挙の 行方等 波乱 材料 も多い ことか ら 、上昇
スピードは緩やかなものになると判断しています。
 豪ドルに関しては、日銀が4月28日の金融政策
決定会合で追加緩和を見送った影響等から、
足元では豪ドル安・円高となっています。しかし
今後については、豪州の緩やかな景気回復が
継続すると思われる一方、日銀が積極的な金融
緩和を継続すると見込まれることから、豪ドルは
次第に対円で底堅さを取り戻すものと予想してい
ます。
8
(2014年10月31日~2016年5月17日 日次)
金利差(①-②)
豪REIT予想配当利回り①
豪10年国債金利②
6
4
2
0
2014/10
2015/4
2015/10
2016/4
(年/月)
※ 豪REIT予想配当利回り:S&P ASX300 A-REIT指数の予想配当利回り
【図表10】 豪ドル(対円)の推移
(円)
100
(2015年4月30日~2016年5月17日 日次)
円安・豪ドル高
95
90
85
80
円高・豪ドル安
(出所)図表9,10はブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
75
2015/4
2015/7
2015/10
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価
証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております
が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将
来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投
資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
2016/1
2016/4
(年/月)
3/4
【ご投資にあたっての留意点】
•
当資料は、ファンドに関連する情報および運用状況等についてお伝えすることを目的として、ニッセイアセットマネジメ
ントが作成したものです。金融商品取引法等に基づく開示資料ではありません。
【投資信託に関する留意点】
•
•
•
•
•
投資信託はリスクを含む商品です。運用実績は市場環境等により変動し、運用成果(損益)はすべて投資家の皆様の
ものとなります。元本および利回りが保証された商品ではありません。
ファンドは値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクもあります)に投資しますので基準価額は変動し、
投資元本を割り込むことがあります。ファンドは投資元本の保証や一定の成果は約束されておりません。ファンドの基
準価額に影響を与える主なリスクは投資信託説明書(交付目論見書)の「投資リスク」をご覧ください。
分配金額は、収益分配方針に基づいて委託会社が決定しますので、あらかじめ一定の額の分配をお約束するもので
はありません。運用状況によっては、分配金をお支払いできない場合もあります。また、分配金は投資信託財産から
お支払いしますので、基準価額が下がる要因となります。
投資信託は保険契約や金融機関の預金と異なり、保険契約者保護機構、預金保険の対象となりません。証券会社以
外の金融機関で購入された投資信託は、投資者保護基金の支払い対象にはなりません。
ご購入の際には必ず取扱販売会社より投資信託説明書(交付目論見書)をお受け取りになり、内容をご確認の上ご
自身でご判断ください。
【手数料等】
[ご投資頂くお客様には以下の費用をご負担いただきます。]
■申込手数料
お申込み日またはお申込み日の翌営業日の基準価額に3.78%(税込)を上限として、取扱販売会社が独自に定める率
をかけて得た額とします。
■信託報酬
各投資信託の純資産総額に年2.916%(税込)の率をかけて得た額を上限とします。
■信託財産留保額
1万口につき購入申込受付日の基準価額に0.04%の率、換金申込受付日または翌営業日の基準価額に0.5%の率を
かけて得た額を上限とします。
■その他費用
上記以外に保有期間等に応じてご負担頂く費用があります。目論見書等でご確認下さい。
《ご注意》
上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきま
しては、ニッセイアセットマネジメントが運用するすべての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料
率を記載しております。投資信託に係るリスクや費用は、それぞれの投資信託により異なりますので、ご投資をされる際
には、事前によく目論見書をご覧下さい。
【当資料に関する留意点】
•
•
•
当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものでは
ありません。
当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありませ
ん。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
ニッセイアセットマネジメント株式会社
コールセンター 0120-762-506
(受付時間:営業日の午前9時~午後5時)
ホームページ
http://www.nam.co.jp/
<設定・運用>
商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者
関東財務局長(金商)第369号
加入協会:一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価
証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております
が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将
来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投
資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
4/4