2016 年1~3 月期1 次QE概要

Q E 解 説
2016 年 5 月 18 日
2016 年 1~3 月期 1 次QE概要
経済調査部主任エコノミスト
実質GDPは年率+1.7%と 2 四半期ぶりのプラス
03-3591-1298
徳田秀信
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○ 1~3月期の実質GDP(1次速報)は前期比+0.4%(年率+1.7%)と、2四半期ぶりのプラス。た
だし、10~12月期の減少分と均せば横ばいにとどまり、景気が依然踊り場にあったことを示す結果
○ 個人消費が高めのプラスとなったが、10~12月期の落ち込みを取り戻すには至らず。うるう年によ
る押し上げがあったことも考慮すると、消費回復の鈍さは変わらないとの評価
○ 4~6月期の景気は、在庫調整圧力が残る中、熊本地震による生産停滞が下押しとなるため、足踏み
が続く見込み。7~9月期以降は、挽回生産や海外経済の回復による下支えなどから徐々に持ち直し
1 ~ 3 月 期 の実 質 GD P
2016年1~3月期の実質GDP成長率(1次速報)は、前期比+0.4%(年率
は前期比+0.4%(年率
+1.7%)と2四半期ぶりのプラス成長となった(図表)。個人消費や輸出、
+1.7%)と、2四半期ぶ
公共投資の持ち直しが、押し上げに寄与した。もっとも、今回のGDPは、
りのプラス
10~12月期の減少分(前期比▲0.4%)と均せば横ばいにとどまるため、景
気が依然踊り場にあったことを示す結果といえよう。特に個人消費は、高め
のプラス(同+0.5%)になったとはいえ、10~12月期の落ち込み(同▲0.8%)
を取り戻せていない。うるう年による押し上げがあったことも考慮すると、
消費回復の鈍さは変わらないと評価される。
図表
2016 年 1~3 月期 1 次QE結果
2015年
1~3
(前期比、%)
3
国内総生産
2
実質GDP
成長率
1
(前期比年率)
公的需要
(前年比)
国内需要
国内民間需要
0
民間最終消費支出
▲1
民間住宅
民間企業設備
▲2
民間在庫投資
外需
▲3
▲4
家計
(消費+住宅)
民間在庫品増加
公的需要
政府最終消費支出
民間設備投資
公的固定資本形成
財貨・サービスの純輸出
▲5
Q1
Q2
Q3
2014
Q4
Q1
Q2
Q3
2015
Q4
Q1
(期)
2016 (年)
輸出
輸入
名目GDP
GDPデフレーター(前年比)
(資料)内閣府「四半期別GDP速報」により、みずほ総合研究所作成
4~6
7~9
(前期比・%)
2016年
10~12
1~3
1.3
▲ 0.4
0.4
▲ 0.4
5.4
▲ 1.7
1.6
▲ 1.7
1.7
▲ 1.0
0.7
1.8
0.7
1.2 ▲ 0.1
0.3 ▲ 0.5
(1.2) (▲0.1)
(0.3) (▲0.5)
1.7 ▲ 0.4
0.5 ▲ 0.7
(1.3) (▲0.3)
(0.4) (▲0.5)
0.2 ▲ 0.8
0.5 ▲ 0.8
2.1
2.2
1.7 ▲ 1.0
3.8 ▲ 1.6
0.7
1.2
(0.6)
(0.3) (▲0.1) (▲0.1)
▲ 0.2
0.9 ▲ 0.3 ▲ 0.1
(▲0.1)
(0.2) (▲0.1) (▲0.0)
0.3
0.5
0.2
0.7
▲ 2.8
3.0 ▲ 2.2 ▲ 3.5
(0.1) (▲0.3)
(0.1)
(0.1)
2.2 ▲ 4.8
2.6 ▲ 0.8
1.5 ▲ 2.6
1.7 ▲ 1.1
2.0 ▲ 0.1
0.7 ▲ 0.2
3.2
1.4
1.8
1.5
▲ 0.0
0.2
(0.2)
0.1
(0.1)
0.5
▲ 0.8
▲ 1.4
(▲0.0)
0.6
(0.2)
0.7
0.3
(0.2)
0.6
▲ 0.5
0.5
0.9
(注)( )内は国内総生産への寄与度。
(資料)内閣府「四半期別GDP速報」により、みずほ総合研究所作成
1
0.4
個人消費は高めのプラス
需要項目別にみると、個人消費は前期比+0.5%(10~12月期同▲0.8%)
も、①10~12月期の落ち
と、プラスに転じた。ただし、①10~12月期の大幅な落ち込みを取り戻せて
込みからの反動や②うる
いないこと、および②うるう年による日数の増加という特殊要因が押し上げ
う年要因を考慮すると、
に寄与したことを踏まえると、1~3月期の個人消費は力強さに欠けると評価
依然低調
される。引き続き暖冬などの天候要因が、冬物衣料への支出や暖房需要など
を下押しした模様である。
その他の民間需要項目も
軒並み弱含み
その他の民間需要項目では、海外経済の減速を受けた様子見姿勢などか
ら、設備投資が前期比▲1.4%(10~12月期同+1.2%)と、3四半期ぶりの
マイナスに転じた。昨年後半にかけての着工減少の影響から、住宅投資(前
期比▲0.8%)も2四半期連続で減少した。また、製品在庫の抑制などから、
在庫投資の寄与度は▲0.0%Pt(10~12月期寄与度▲0.1%Pt)と小幅なマイ
ナスが続いた。以上から、民間需要全体は、前期比+0.1%(寄与度+0.1%
Pt)とほぼ横ばいにとどまった。
2014年度補正予算に計上
公的需要は前期比+0.6%(寄与度+0.2%Pt、10~12月期前期比▲0.1%)
された事業のはく落が一
と、3四半期ぶりに増加した。2014年度補正予算に計上された公共事業のは
巡し、公共投資が底入れ
く落が一巡することで、公共投資が前期比+0.3%(10~12月期同▲3.5%、
7~9月期同▲2.2%)とプラスに転じた。政府消費(同+0.7%)は、高齢化
に伴う社会保障給付増などを背景に、増加が続いた。
外需寄与度は3四半期連
続のプラス
輸入(前期比▲0.5%)の減少が続く一方、輸出(前期比+0.6%)が底入
れしたため、外需寄与度(+0.2%Pt、10~12月期同+0.1%Pt)はプラス幅
が拡大した。輸出は、世界的なスマートフォンの販売鈍化を受けて電子部品
が低調だったが、欧米向けの自動車が堅調に推移した。輸入については、財
の輸入が底入れ(前期比▲0.0%)する一方、海外旅行などのサービス輸入
(同▲2.4%)が減少に転じた。
4~6月期は、在庫調整圧
4~6月期の日本経済は、在庫調整圧力が残る中で、熊本地震による生産停
力が残る中、熊本地震に
滞が下押しとなるため、景気の足踏みが続くとみられる。報道等によれば、
よる生産停滞が下押しと
自動車部品工場の被災によって大手自動車メーカーが全国的に工場を停止
なるため、足踏みが続く
した影響で、自動車生産は9万台程度下振れした模様である。機械的に試算
見通し
すると、上記減産によって、4月の鉱工業生産は2%前後、4~6月平均の生産
は1%弱下押しされる計算だ。
7~9月期以降については、熊本地震に伴う消費者マインド低迷の長期化な
どに注意は必要だが、生産下振れ分の挽回生産が続くととともに、欧米を中
心とした海外経済の緩やかな回復による輸出の持ち直しも見込まれること
から、景気は緩やかに持ち直すとみている。
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