Q E 解 説 2016 年 3 月 8 日 2015 年 10~12 月期 2 次QE概要 経済調査部主任エコノミスト 実質GDP成長率は年率▲1.1%に上方修正 03-3591-1298 徳田秀信 [email protected] ○ 2015年10~12月期の実質GDP(2次速報)は前期比▲0.3%(年率▲1.1%)と、1次速報(前期比 ▲0.4%、年率▲1.4%)から小幅に上方修正 ○ 設備投資や民間在庫投資などが上方修正されたが、暖冬の影響による個人消費の落ち込みなどから、 2四半期ぶりのマイナス成長になったとの姿は変わらず ○ 1~3月期は、IT関連の需要減退などから踊り場が続くと予想。その後は、緩やかながらも回復基 調に復する見込みだが、海外経済の減速や年明け後の円高・株安が景気回復の重石に 2015 年 10 ~ 12 月 期 の 実 本日、内閣府が発表した2015年10~12月期の実質GDP成長率(2次速報) 質GDP2次速報は小幅 は前期比▲0.3%(年率▲1.1%)と、1次速報値の前期比▲0.4%(年率 な上方修正 ▲1.4%)から小幅に上方修正された(図表)。主要な改定項目では、公共 投資が下方修正される一方、設備投資と民間在庫投資が上方修正された。昨 年末にかけての設備投資の底堅さが改めて確認されたが、暖冬等の影響によ る個人消費の弱さなどから、景気の踊り場が続いたとの見方は変わらない。 図表 2015 年 10~12 月期GDP(2 次速報)結果 (前期比・%) (前期比、%) 3 国内総生産 実質GDP 成長率 民間設備投資 2 (前期比年率) (前年比) 公的需要 国内需要 外需 1 国内民間需要 0 民間最終消費支出 ▲1 ▲2 民間住宅 家計 (消費+住宅) 民間在庫投資 民間企業設備 民間在庫品増加 ▲3 公的需要 ▲4 政府最終消費支出 公的固定資本形成 ▲5 Q1 Q2 Q3 2014 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 2015 (期) 財貨・サービスの純輸出 輸出 (年) 輸入 (資料)内閣府「四半期別GDP速報」により、みずほ総合研究所作成 名目GDP GDPデフレーター(前年比) 2014年 10~12 2015年 1~3 0.5 1.1 ▲ 0.4 2.2 4.6 ▲ 1.4 ▲ 1.0 0.2 (0.2) 0.2 (0.1) 0.7 ▲ 0.4 ▲ 0.1 (▲0.3) 0.3 (0.1) 0.3 1.0 (0.3) 3.2 1.1 0.9 2.3 ▲ 1.0 1.1 (1.1) 1.6 (1.2) 0.2 2.1 2.9 (0.6) ▲ 0.4 (▲0.1) 0.2 ▲ 3.0 (▲0.0) 2.1 1.9 2.0 3.3 0.7 ▲ 0.1 (▲0.1) ▲ 0.4 (▲0.3) ▲ 0.8 2.3 ▲ 1.1 (0.3) 0.9 (0.2) 0.5 3.2 (▲0.3) ▲ 4.6 ▲ 2.5 ▲ 0.1 1.5 4~6 10~12 1次QE 10~12 0.3 ▲ 0.3 ▲ 0.4 1.4 ▲ 1.1 ▲ 1.4 1.7 0.1 (0.1) 0.2 (0.2) 0.4 1.6 0.7 (▲0.2) ▲ 0.2 (▲0.1) 0.2 ▲ 2.1 (0.2) 2.6 1.3 0.6 1.8 0.7 ▲ 0.4 (▲0.4) ▲ 0.5 (▲0.4) ▲ 0.9 ▲ 1.2 1.5 (▲0.0) ▲ 0.1 (▲0.0) 0.6 ▲ 3.4 (0.1) ▲ 0.8 ▲ 1.4 ▲ 0.2 1.5 0.5 ▲ 0.5 (▲0.5) ▲ 0.6 (▲0.5) ▲ 0.8 ▲ 1.2 1.4 (▲0.1) ▲ 0.1 (▲0.0) 0.5 ▲ 2.7 (0.1) ▲ 0.9 ▲ 1.4 ▲ 0.3 1.5 7~9 (注)( )内は国内総生産への寄与度。 (資料)内閣府「四半期別GDP速報」により、みずほ総合研究所作成 1 設備投資や民間在庫投資 需要項目別にみると、法人企業統計の結果などを受けて、設備投資が前期 の上方修正が全体を押し 比+1.5%と、1次速報の同+1.4%から小幅に上方修正された。民間在庫投 上げ 資も、実質GDP前期比に対する寄与度が▲0.0%Pt(1次速報同▲0.1%Pt) と、マイナス幅が縮小した。 その他の国内民間需要については、住宅投資(前期比▲1.2%)は1次速報 から変わらなかったが、個人消費(1次速報同▲0.8%⇒2次速報同▲0.9%) が小幅に下方修正された。国内民間需要全体は、在庫投資の上方修正の影響 が相対的に大きかったため、前期比▲0.6%(寄与度▲0.5%Pt)から前期比 ▲0.5%(寄与度▲0.4%Pt)に上方修正された。 公的需要については、政府消費(1次速報前期比+0.5%⇒2次速報同 +0.6%)が上方修正される一方、公共投資(1次速報同▲2.7%⇒2次速報同 ▲3.4%)が下方修正された。公的需要全体は、1次速報の前期比▲0.1%(寄 与度▲0.0%Pt)から据え置かれた。 外需については、輸出(1次速報前期比▲0.9%⇒2次速報同▲0.8%)が小 幅に上方修正されたものの、実質GDP前期比に対する外需の寄与度 (+0.1%Pt)は1次速報から変わらなかった。 2016年1~3月期は踊り場 以上のように、10~12月期のGDPは2次速報で小幅に上方修正されたが、 が続くが、その後の景気 個人消費の弱さから2四半期ぶりのマイナス成長になったとの姿は変わらな は、緩やかながらも回復 かった。 基調に復する見通し 今後の景気を展望すると、2016年1~3月期については、IT関連需要の減 退などが見込まれることから、景気の踊り場が続くと予想している。一方、 4~6月期に入ると、国内生産の持ち直しとともに、景気は緩やかな回復基調 に復するだろう。製造業部門の在庫調整は徐々に進捗しており、最終需要が 底入れすれば、増産に向かいやすい状況にある。大手自動車メーカーが欧米 向けの輸出用生産を増強する予定であることも、生産持ち直しの後押しとな るだろう。ただし、需要が下振れすれば、生産停滞が長期化するリスクも否 定できない。特に、年明け後に金融市場が激しく変動したことから、円高・ 株安による輸出・個人消費の下押し、不確実性の高まりを受けた設備投資の 先送りなどのリスクには引き続き注意が必要だ。 ●当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに 基づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。 2
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