平成 27 年度 海外研修報告書(米国) 薬学科 4 回生 尾藤 里奈 8月31日から9月7日まで、フロリダ大学で研修させていただきました。最先端の医療の中で活躍す る薬剤師の責任の大きさと学生の意識の高さを、身をもって感じることができました。 特に印象に残っている、日本とアメリカの薬剤師の違いについ てと、大学の授業について報告します。 アメリカでは、病院内や地域の薬局において、テクニシャンが 調剤を行い、薬剤師は調剤を依頼する処方を作成したり、調剤さ れた薬を確認したりしていました。テクニシャンが調剤を行うこ とで、薬剤師は患者とのコミュニケーションや他の医療従事者と の話し合いに中心を置き、多くの時間を費やすことができると感 じました。病院内では、薬局の他に薬剤師が患者の病室へ回診す るところに同行させていただきました。自身の境遇や気持ちを話 す患者に対し、反応しながらじっと話を聞く薬剤師の姿を見て、患者からの信頼を感じると同時に、改め てチーム医療での薬剤師の責任と役割を認識しました。また、保険制度が日本と異なり、医療費が高いア メリカでは、地域薬局の存在が非常に重要です。地域薬局を初めて見たとき、その広さと薬品の多さ、開 放的な造りに驚きました。1日の処方箋の枚数は日本よりもずっと多いのに薬剤師の数は少なく、その環 境の中で、薬剤師は、患者との十分なコミュニケーションや安全管理を求められているのです。地域薬局 の薬剤師は、医療や健康の専門家であり、身近に相談できる存在と して、国民からの信頼が非常に大きいと実感しました。アメリカの 薬剤師の働き方を見て、調剤や服薬指導が薬剤師の中心的な業務と 考えられている日本でも、薬剤師ができることはもっとあるのでは ないかと考えさせられました。 実際に、薬学生の授業にも参加させていただきました。グルー プでの課題解決型の学習では、話し合いが始まるとすぐに全員が 意見を出し合い、質問や指摘をし合って一つの結論を出していま した。時間内に結論を出さなければならない緊迫感をもちながらも授業を楽しみ、自ら学ぼうとする積極 的な学習姿勢に刺激を受けました。また、薬剤師として、患者役の教員に応対する授業では、指名されて から患者背景を知り、時間内に対応するという緊張感の中、学生の真剣さを肌で感じました。全員の前で 発表する学生の姿は堂々としており、しっかり準備してきていることが伝わってきました。これらの授業 では、薬学の知識だけでなく、意見をまとめる力、伝える力、瞬時の判断力、協調性などさまざまな能力 を身につけることができ、自分で学ぶだけでなく、他者の意見や発表から学ぶことも非常に多いと感じま した。 2つの授業に参加させていただいで、学生の積極性、問題意識の高さに圧倒されるばかりでした。授業 の様子から、学生が将来の目標をしっかりもっていることが伝わってきました。カリキュラムは、アメリ カの医療体制を反映しており、病気や治療の勉強はもちろん、セルフメディケーションや問題解決型の実 践的な授業も多くありました。社会の中で、薬剤師の信頼と責任は大きいことを、薬剤師だけでなく学生 自身も認識しているように感じられました。 さらに、今回の研修では、フロリダ大学の多くの学生と交流させていただきました。夕食を一緒に食べ たり、休日に出かけたりと、現地の学生の生活に触れることができました。印象的だったのは、どの学生 も自分自身のことを自らたくさん教えてくれたことです。将来の こと、将来のために今取り組んでいることを話す姿は、自信に満 ちており、同世代とは思えないほど大きく見えました。フロリダ 大学の学生との交流により、学習面だけなく、精神面においても 自らを強く奮い立たされました。 この研修は、自分の学習姿勢を見直すきっかけとなりました。 この研修を終えて思ったのは、何を学ぶかということだけでなく、 どのように学ぶかということが重要だということです。そして、 そのためには、何のために学ぶのか、学んで何がしたいのかという 目標を認識することが必要だということです。今、自分が行ってい る勉強や研究も、自分の取り組み方次第で成果が変わってくると思います。将来どんな薬剤師になり、何 がしたいのかを今から考え、そのために必要なことは自ら学んでいかなければいけないと強く感じました。 この研修は、自分にとって、大変貴重な経験となりました。日本の薬学、医療の発展に貢献できる薬剤 師になるため、この経験をしっかり将来につなげ、努力していきたいと思います。 この研修に参加するにあたり、不安もありましたが、それ以上に得るものが多かったと感じています。 挑戦してみて、本当によかったと思っています。日本では気づかないような、新たな視点や考え方に触れ ることができ、そしてこのことは、きっと自分を成長させてくれるはずです。少しでも興味のある学生の 方は、ぜひ海外研修に挑戦してみてほしいと思います。 最後になりましたが、自分がこのような経験をすることができたのは、研修に参加する機会を与えてく ださった先生方や研修を行うにあたり多くの準備をしてくださった先生方、研修中支えてくださった先生 方やフロリダ大学の方々のおかげです。そして、研修費用において、村山元様には大きな支援をいただき ました。皆様に、この場をお借りして、心より感謝の気持ちを申し上げます。本当にありがとうございま した。
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