FRBの6月利上げは不透明だが、いずれにせよ 米ドル高の

ご参考資料
(投資環境レポート)
2016年5月19日
マニュライフ・インベストメンツ・ジャパン株式会社
FRBの6月利上げは不透明だが、いずれにせよ
米ドル高の可能性
FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げに関するマニュライフ・アセット・マネジメントのレポート(2016年5月16
日現在)をご紹介します。
マニュライフ・アセット・マネジメントは、カナダ・トロントを本拠地とする総合金融グループのマニュライフ・
ファイナンシャル社の運用部門です。
2016年5月6日に公表された米国雇用統計は予想を下回る結果となりましたが、マニュライフ・
アセット・マネジメントのチーフ・エコノミストであるミーガン・グリーンは6月の米国利上げの可能性は
消えていないと考えています。より重要なことは、彼女は米ドルが最近の小康状態から再び強くなる
可能性があると指摘しており、これは金融市場にとって深刻な事態と考えます。
2016年5月6日に公表された米国の4月雇用統計について、マニュライフ・アセット・マネジメントのチーフ・
エコノミストであるミーガン・グリーンは、非農業部門雇用者数が16万人増という数字は、20万人前後1とされ
ていた市場予想値を大きく下回る結果となりましたが、この数字は雇用統計の中ではあまり重要な指標で
はないとコメントしています。雇用統計の詳細をみていくと、それほど悪いニュースでもありませんでした。
今回の雇用統計のみによって、FRBの6月利上げに関する判断が行われるものではありません。投資家は、
年初来4ヵ月間において米ドル高の反転、原油価格の安定、エマージング市場の財政状況の下支え要因と
なったFRBが利上げを見送る可能性があることに安堵しています。
しかしながら、この状態に安住すべきではありません。
米ドル相場は、FRBの政策に影響を受けるのと同様に、他の中央銀行の政策にも影響を受けます。仮に
FRBが利上げを見送ったとしても、日銀やECB(欧州中央銀行)による大規模な量的金融緩和によって
米ドルは再び押し上げられ最近の堅調な市場トレンドが逆転すると予想しています。
解釈の余地がある雇用統計
4月の雇用統計は解釈の余地を残すものとなりました。見出しの数字は予想を下回るものとなりましたが、
より重要なことは、労働参加率が63%から62.8%に低下したことです。これは、仕事を探すよりも、仕事を探
すことをあきらめた人が多かったということです。失業率は5%と低位安定しています。3月に跳ね上がった
パートタイム労働者数が4月は減少する等、悪いニュースばかりではありませんでした。賃金水準の高い
製造業では、2ヵ月連続で減少後、先月は増加に転じました。民間セクターにおける新規雇用の中で、低賃
金業種(小売、行政、ごみ処理、生活保護、娯楽)の占める割合は26%程度と直近1年において最低水準と
なっています。4月の平均時間給は前月比0.3%の微増となりましたが、これは特筆すべきものではありませ
んでした。
出所: 1アメリカ合衆国労務省労働統計局「労働統計概要」(2016年5月6日)
当資料に関する留意事項については、最終ページを必ずご覧ください。
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(投資環境レポート)
FRBに対する影響
最新の非農業部門雇用者数レポートは、プラス材料とマイナス材料が入り混じったため、6月のFRBの
対応に大きな影響を与えるようなものではありませんでした。第1四半期の低調なGDPデータと6月の
FOMC(米連邦公開市場委員会)の1週間後に実施される英国のEU離脱に関する国民投票が接戦である
可能性を合わせて勘案すると、今回の非農業部門雇用者数レポートはFRBの来月の利上げ見送りを示唆
しうるものになります。一方、第2四半期の成長がわずかに加速し、6月までに英国のEU離脱に関する世論
調査の結果とともに、多くの米国経済データが得られれば、FRBの来月の利上げも非現実的なものではな
くなるでしょう。
米ドルの見通し
6月の利上げは、現時点では全く為替レートに織り込まれていません。したがって、FRBが利上げ実施に
関して、より明確に示唆しない限り、利上げによって市場は混乱しドル高になることを予想します。仮に、
FRBが次回利上げを見送ったとしても、年後半もドル安が続くとは想定できません。米ドルの見通しについ
て、多くのアナリストがFRBの動きに注目しています。結局、今年の米ドル安は、FRBが2016年に4回の利
上げを年初に予想していたところから年2回の利上げに修正したことによってもたらされたものと考えられ
ます2。しかしながら、これは諸要素の一面にすぎません。たとえば、人民元など他の通貨にも目を向けるこ
とが重要です。
(中国元/米ドル)
(月/年)
貿易加重指数(左軸)
中国元/米ドル(右軸)
出所:ブルームバーグ、中国外国為替取引、マニュライフ・アセット・マネジメント(2016年5月6日現在)
*上記のグラフは過去の実績であり、将来の傾向を示唆・保証するものではありません。
年初来で人民元は米ドルに対してわずかに下落していますが、ユーロや円を含むバスケット通貨に対して
は大きく下落しています。日本やユーロ圏は、米ドルに対する自国通貨高に苦しむことに加えて、人民元に
対しても同様に自国通貨高に苦しんでいます。これは日本やユーロ圏の冴えない今年の成長見通し(私ど
もの予想では、日本はせいぜい1%、ユーロ圏は1.5%となっています。)に追い討ちをかけるものとなります。
その上、日本とユーロ圏のインフレ予想は、それぞれの中央銀行の大量の金融緩和策の発表にもかかわ
らず、2%のターゲットを下回ったままになっています。
出所: 2FRB「経済見通し」(2016年5月16日)
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(投資環境レポート)
日本とユーロ圏のインフレ予想
欧州
日本
(月/年)
出所:ブルームバーグ、マニュライフ・アセット・マネジメント(2016年5月6日現在)
*上記のグラフは過去の実績であり、将来の傾向を示唆・保証するものではありません。
つまり、ポイントは仮定の話ではなく、日本銀行とECBがいつ、どのように踏み込んだ金融緩和策をとるか
ということになります。日本銀行はECBの足跡をたどり、銀行の貸出分に応じ低利での資金供給を行う貸し
出し支援策「TLTRO(ターゲット型長期資金供給オペ)3」のようなプログラムを発表する可能性があります。
私どもは、このようなプログラムがヨーロッパ同様に銀行収益を支えることになると期待していますが、決し
て特効薬というわけではありません。日本銀行とECBは、マイナス金利策を一層加速させ、金融緩和策を
拡大、延長していくことでしょう。
マイナス金利については、良い点、悪い点どちらもあります。また、マイナス金利は、ユーロ圏のいくつかの
銀行の財務諸表悪化が問題となっているように銀行収益に影響を与えます。仮に金融緩和策による購入
資産が株式に拡大されることになれば、インフレ予想に影響を与えることになるでしょう。購入資産の株式
への拡大については、日本よりも欧州のほうがハードルは高いと思われますが、最終的にはどちらの中央
銀行もこの手段を導入せざるを得なくなると考えています。
FRBが6月に利上げを実施した場合、私どもは市場が年内1回の当該利上げを織り込みにいく結果、ドル高
になると予想します。FRBが慎重になり利上げを見送った場合、日本銀行とECBがより積極的な金融緩和
を取らざるを得なくなり、いずれにせよドル高になると予想します。ドル高が原油やエマージング市場の財政
にマイナス効果があることから、投資家は恩恵を受けてきた最近の市場の回復に安心すべきではありませ
ん。年初に経験した価格変動は、すでに忘れてしまわれたかもしれませんが、年後半にかけて再び経験す
る可能性があります。
出所: 3欧州中央銀行「ターゲット型長期資金供給オペ(TLTRO)2導入発表」(2016年3月10日)
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委託会社の合併等に関するお知らせ
マニュライフ・インベストメンツ・ジャパン株式会社は、2016年7月1日付けでマニュライフ・アセット・マネジメント
株式会社と合併し、商号等を変更する予定です。くわしくは下記変更点をご覧ください。
1.変更日
2016年7月1日
2.変更点
項目
変更後
変更前
商号
マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社
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登録番号
関東財務局長(金商)第433号
関東財務局長(金商)第1985号
加入協会
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