マクロウオッチ ~2016年4月までの市場動向と今後の見通し

ご参考資料
(投資環境レポート)
2016年5月6日
マニュライフ・インベストメンツ・ジャパン株式会社
マクロウォッチ
2016年4月28日現在のマクロ動向と今後の見通しについて、マニュライフ・アセット・マネジメントの見解をご紹
介します。
マニュライフ・アセット・マネジメントは、カナダ・トロントを本拠地とする総合金融グループのマニュライフ・
ファイナンシャル社の運用部門です。
FEDの方針変更を好感して市場が反発
MSCIワールド指数とS&P500種指数がともに4月中旬までに年初来プラスに転じたことで、投資家が
2016年1月に抱いた市場への不安感は後退してきています。マニュライフ・アセット・マネジメントの
シニア・アジア・ストラテジストであるジェフ・ルイスが、投資家のリスクをとる動きが回復した主な要因
について解説します。
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市場心理は悲観から楽観に移行中
連邦準備制度(FED)の方針変更と経済指標の改善をきっかけに
投資家のリスクをとる動きが回復
株式については概ね楽観的
債券については柔軟な投資戦略が必要
ジェフ・ルイス
シニア・アジア・ストラテジスト
支援材料がほとんどない中、第1四半期の市場が反発
2月中旬の安値からのグローバル株式市場の反発スピードは極めて速く、市場調整時に投資家が取るべき
戦略は、市場タイミングによる投資ではなく、しっかりと腰を据え市場心理の改善を待つことが最善とした当
社のこれまでのアドバイスを裏付けるものとなりました。MSCIワールド・インデックスは3月中旬までの1ヵ月
間に8%1(米ドル建て)上昇し、日本を除くアジアおよび新興国市場とともに、市場反発時における“リスクオ
ン”傾向を反映する動きとなりました。
この結果、第1四半期の大多数の株式市場では、下落率がわずか数パーセントにまで縮小しました。例外と
しては、イタリア(銀行の健全性不安から11%下落2)や日本(アベノミクスへの疑問から11%下落2)がありま
した。また、中国の株式指数も15%2の大幅下落となりましたが、新年の市場パニックを最初に引き起こした
のが中国でのイベントであったことを考えれば驚くには値しません。
“キャッシュ"人気は長くは続かない
メディアや市場の弱気筋が発する過度に悲観的な予測とは対照的に、第1四半期の調整は結果的には単
なる通常の調整でした。経験を積んだ投資家はこれまでに何度も遭遇してきましたが、株式投資の初心者
にとっては、はるかに危険な状況と感じたことでしょう。
出所: 1Bloomberg、2016年2月15日から2016年3月15日
出所: 2Bloomberg、2016年4月20日現在
当資料に関する留意事項については、最終ページを必ずご覧ください。
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(投資環境レポート)
経済紙の一面に毎日悲観的なニュースが並ぶ時、投資家が冷静さを保ち感情に流されずにいることが極
めて難しいことは事実です。キャッシュへの戦略的資産配分のメリットを強調する運用者が、長期平均リ
ターン3を犠牲にしていることが多いという投資信託の実例が示すように、個人投資家にとってはしっかりと
腰を据えていることが正しい決断であると考えられます。投資の世界では「キャッシュが最良の選択である
期間は長く続かない」と言われています。
長期的観点で見る2016年第1四半期の株価下落
S&P 500種指数パフォーマンス(1980年~2016年4 )
(ポイント)
(月/年)
4月の株式市場:概ね堅調
市場心理は現在、悲観から楽観に移行する過程にあると当社では考えています。投資家心理は、強気で
あれ弱気であれ、どちらかに留まり続けることはなく、平均値に収束する傾向があります。4月の株式市場
は、中央銀行による一段の金融緩和と経済指標の改善に支えられ引き続き堅調に推移しました。MSCI
ワールド指数とS&P500種指数は、ともに年初来のパフォーマンスが2~3%4のプラスに転じています。2016
年初に世界中のファンドマネージャー、ストラテジスト、投資家が懸念していた経済的リスクは、以下の3点
でした。
1. 中国経済のハードランディング
2. 米国の景気後退
3. 軟調な世界景気 に伴う 原油価格の急落
それぞれに関する3月以降のニュースは明るく、投資家の2016年の金融市場の見通しも徐々により良い
結果を期待するものに修正されてきています。投資家心理は変わり、朝日の中で悪い夢が消えていくように、
1月の最も暗い日々は今や消えゆく記憶になっています。
出所: 3Baron’s 2016年1月27日号、“ベアーマーケットのベスト戦略:株式への投資を継続”
出所: 4Bloomberg、 2016年4月19日現在
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(投資環境レポート)
最大下落率は10%から15%
2月中旬の安値の時点で、主要株式市場は10%から15%程度下落しました。これは金融危機とはほど遠い極
めて普通の調整です。多くの場合、市場の反発は行き過ぎた警戒感の見直しがきっかけで始まります。米国と
中国の経済指標は概して明るく、4月の株価は世界的に上昇を続けました。もちろん、今後数週間のうちに発
表される経済指標が悪化し、米国の景気後退と中国のハードランディングの懸念が復活する可能性はありま
す。しかし、これは当社の見解とは異なっています。
労働市場、消費、住宅に関するデータがすべて良好であることから、米国が年内に景気後退するリスクは小さ
いと当社では考えます。2016年の中国経済についても、すでに経済を安定させるための適切かつ十分な政策
措置が取られていると見ているため、当社は市場予想よりも強気です。第1四半期のGDP推定値と共に発表さ
れた3月の経済指標の改善は、中国政府が長く取ってきた経済安定化政策の最初の成果であると考えられま
す。より健全で透明性の高い中国政府の経済政策と経済成長率の改善は、外国人ストラテジストと投資家が
引き続き懐疑的であるため、株価にはほとんど織り込まれていません。
方針変更:FEDが米国金利引き上げ姿勢を軟化
ヨーロッパと日本における一層の金融緩和とマイナス金利の有効性に市場が疑問を投げかけ始めたことを受
け、FEDは将来の金利引き上げペースの緩和をほのめかさざるを得ませんでした。それを受けて世界の株式
市場には安堵感が広がりました。これは米国中心の国際システムを改めて確認するもので、FEDはその重要
性において、市場での評価が高いとは言えない非伝統的な金融緩和を一段と進める構えの欧州中央銀行と
日本銀行のはるか上位に位置しているといえます。
3月に発表されたFOMCメンバーによる新経済予測(一般的に「ドットプロット」チャートと呼ばれます)によれば、
2016年はわずか2回の利上げ(各回0.25%)しか見込まれていません。これは、年初の4回の利上げ予想から
後退する内容です。現行の弱い経済情勢やデフレの脅威にも明確に重きを置くFEDの柔軟な姿勢がうかがえ
ます。
リスクをとる動きが回復
FEDの方針変更と米国の金融政策の他国経済に与える影響の重要性についての新たな認識は、リスク資産
にとって非常に良いニュースです。私どもの見解では、この事実が投資家のリスクをとる動きが回復してきた
背景としておそらく最も重要なものであると考えています5。
マニュライフ・アセット・マネジメントは、最新の「ドットプロット」チャートに対する市場の強気の反応は完全に合
理的であると見ています。なぜならば、1月の時点で投資家が最も懸念していたことの一つがFEDの金融政策
の深刻な過ちであったからです。つまり、多くの人が、FEDが米国内の経済状況だけに焦点を当て、米国以外
の脆弱な経済が耐えることができる限度を超える利上げに踏み切る可能性について懸念していました。
連邦公開市場委員会(FOMC)が金融政策の決定にあたり経済予測に従う義務を負っているわけではもちろん
なく、FEDの政策は従来通りデータに基づいて決定されるのがあるべき姿ですが、その懸念は、ほぼ払拭され
ました。
5広く利用されているクレディ・スイスのリスク選好指数が3月中旬から上昇し、‐1.5標準偏差のパニックゾーンから大きくかい離
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(投資環境レポート)
改善する中国の経済指標
中国経済指標の改善による影響は、中国および中国市場以外にもはるかに広範に波及すると当社では考え
ています。世界第2位の経済(購買力平価基準)の健全性について多くの人が大きな関心をいだいています。
中国のハードランディングは主要な貿易相手国に悪影響をおよぼしますが、中国は世界中と貿易を行ってい
ます。さらに、投資家とビジネスの信頼感が傷つくことによる他国経済や市場への悪影響も想定されます。
したがって、中国経済指標の改善は、ハードランディングの懸念を後退させ、世界経済にとって紛れもない好
材料となります。これによって世界経済の持続的な成長に対する大きな脅威の一つが取り除かれることになり
ます。
中国はアジア経済の主力エンジンであり、中国経済指標の改善はアジア地域全体に関する投資家信頼感の
上昇に結びつきます。アジアパシフィック株式に戻り始めた投資資金の流れを後押しするだけではなく、新興
国株式全体に対する投資家心理の改善にも貢献することになるでしょう。ほっと一息をついているグループに
は、中国に輸出する欧州自動車メーカー、日本の資本財メーカー、オーストラリア、チリ、インドネシアなどの
原材料や資源輸出国が含まれます。中国株式や債券の保有の有無に拘わらず、3月の良好な中国経済指標
の発表は投資家にとって良いニュースでした。
結論
株式市場は2月中旬の安値から急速に反発し、多くの株式市場では4月中旬までに年初来で初めてプラスの
リターンになりました。2016年の市場は、NYダウ平均とS&P500種指数がともに年初来3~4%6程度上昇して
いる米国と世界第2位の経済大国である中国から、今後の方向性を見出そうとしているようです。米国と中国
が今後数年間の世界株式市場をけん引していくことになるでしょう。持続的な世界経済の成長にとって米国経
済がいかに重要であるかは今や明白です。世界で最も回復力のある米国市場経済は、リーマンショック後の
不安を振り払い、他のどの国よりも力強く前進しています。
株式については概ね楽観的
マニュライフ・アセット・マネジメントでは、米国経済の好成長が続き2016年を通じて、ゆっくりとその力強さを増
していくものと確信しています。米国の新しい「ニュー・ノーマル」は、低水準の良好なインフレ率を伴うほど良
好な実質GDPの成長を指すと思われますが、この組み合わせは経験則から株式が恩恵を受ける資産クラス
であるといえます。2017年には米国の新政権がより焦点を絞った政策を打ち出すことが見込まれ、好調な米
国経済成長の流れがさらに加速することが予想されます。中国経済指標の改善も勘案すると、投資ポートフォ
リオは適度に強気であること、つまり株式のオーバーウェイト配分が現時点では相応しいといえます。
同時に当社は、先進国国債市場の記録的な低利回りにもかかわらず、投資家が資産分散を継続しポートフォ
リオにおける債券への高い投資配分を維持することが重要であることを強調させていただきます。年初来の
グローバル債券のパフォーマンスは、ドル建てのリターンでMSCIワールド・インデックスの1.81%に対し、シティ
世界国債インデックスが8.3%と株式を大幅に上回っています。この債券の株式に対する超過リターンがこれ
からも継続することは考えにくいですが、ポートフォリオ全体のリスクを抑えるために、債券は非常に重要な役
割を担っています。
出所: 6Bloomberg、2016年4月19日現在
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(投資環境レポート)
債券投資家には不安定な市場環境に対応する柔軟性が必要
ユーロ圏や日本などで金融緩和政策が続く中、債券投資家は利回りをグローバルに求め続けることになり
ます。幸いにも、新興国債券市場にはまだ魅力的な投資機会が残っており、JPモルガンEMBIグローバル・
トータルリターン指数が示す米ドル建て新興国国債の年初来リターンは7.05%7となっています。新興国債
券の中では、特にアジア債券市場が良好なファンダメンタルズに下支えされることにより先導役となってい
ます。アジア域内における現地通貨建ておよび米ドル建ての国債、ハイ・イールド債券、投資適格債券いず
れも堅調です。
不安定な市場環境に対応するために債券投資家にとって必要なのは、アジアの投資適格債券と厳選され
たハイ・イールド債券を柔軟に組み合わせる運用者と運用戦略です。満期保有、絶対リターン、その他の非
ベンチマーク型の柔軟な投資戦略は、マイナス金利や金利変動が激しい環境では特に有効と考えられます。
出所: 7Bloomberg、2016年4月19日現在
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