Viewpoint - みずほ投信投資顧問株式会社

お客様用
インベストメント・ストラテジー & エコノミクス
チーフ・エコノミスト シェーン・オリバー
Viewpoint
2016 年 5 月 6 日
豪州準備銀行が政策金利を 1.75%に引き下げ
豪州準備銀行(RBA)は、5 月 3 日(火)に開かれた定例理事会において、政策金利を 0.25%引き下げ、過去最低水準の
1.75%にすると発表しました。
短期金融市場は、50%以上が金利引き下げを織り込み済みで取引されており、エコノミスト予想では 6 割が金利据え置きを
予想するなど意見が二分していました。
直前に発表された消費者物価指数が予想外に低く、当初見込んでいた目標インフレ率の達成が遠のいたことから RBA は政
策金利引き下げに踏み切りました。
RBA は経済のリバランスについては一定の評価をしているように見えるものの、仮に早急な対応がなされなければ、最近の
目標を下回る低いインフレ率が期待インフレ率に波及し、そしてここ 20 年間に日本で見られたような低インフレ状態が続くこ
とを明らかに懸念しています。
(%)
豪州のインフレ率は⽬標をはるかに下回っている
消費税への影響
コアインフレ
(平均と中央値の平均)
⽬標レンジ
消費者物価指数
(年)
(出所:ABS,AMP Capital)
RBA は豪ドル高が経済の調整を複雑にしていることに言及しており、豪ドルの上昇が政策金利引き下げの 2 つめの要因と
なったことも明らかになりました。利下げ発表の直前、豪ドルは 1 米ドル 0.77 豪ドルまで上昇し、RBA が利下げを発表しなけ
れば 1 米ドル 0.78 豪ドルまで上昇した可能性もあります。RBA の利下げにより、1 米ドル 0.76 豪ドルまで下落しました。
当資料は、投資の参考となる情報の提供を⽬的として、AMP キャピタル・インベスターズ・リミテッド(オーストラリアにおける登録番号:
AMP キャピタル・インベスターズ株式会社
ABN 59 001 777 591; AFSL 232 497)から提供された情報をもとに AMP キャピタル・インベスターズ株式会社が作成したものであり、特定の
登録番号: 関東財務局⻑(⾦商)第 85 号
有価証券への投資を勧誘する⽬的で作成したものではございません。当資料は、各種の信頼できると考えられる情報に基づいて作成されており
加⼊協会: ⽇本証券業協会、⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会
ますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。当資料中のいかなる内容も将来の投資成果及び将来の市況環境の変動等
を保証するものではありません。当資料の記述内容、数値、グラフ等は作成時点のものであり、予告なく変更される場合があります。
1/2
さらなる利下げはあるのでしょうか?何か 1 つの動きをみるとき、そこには別の注意すべき事象が潜んでいるものです。弊社
では、インフレの下振れリスクや、住宅建設のモメンタムが失われたことによる経済成長に対するリスク、米連邦準備制度理
事会(FRB)による利上げが先延ばしになる場合の豪ドルの上昇リスクに注目しています。もしこのような事態が起きれば、
RBA は 1.5%まで政策金利を引き下げる可能性があります。経済予想の見直しを行う際、RBA が実際に行動に出るのは四
半期の真ん中の月が多いことから、利下げが行われるとした場合、もっとも近い将来で 8 月の可能性があります。
驚くべきことに、利下げ発表後、少なくとも豪州の 1 行が住宅ローン金利を 0.25%引き下げました。他の銀行は「増加する資
金調達コスト」を踏まえ、現行の金利を維持するかもしれません。しかし負債の金利負担の軽減が、家計の支出を押し上げる
でしょう。 家計の負債額は、その銀行預金額の 2 倍以上もあります。したがって、住宅ローンをかかえる人たちの金利負担の
軽減は、銀行の利息頼みの人たちの所得の減少分を補って余りあると考えられます。
非常に明白なのは、この RBA の政策金利引き下げによりシドニーとメルボルンで住宅価格ブームが再燃するリスクがあるこ
とです。RBA は明らかにそのリスクについて協議し、住宅市場へのリスクは 1 年前より減っているとしました。また 1 つのセク
ター(あるいは 2 つの都市)だけではなく、経済の平均的な状況を見て政策金利は設定されるべきで、どのような条件下でも、
問題が再浮上するようであれば、豪州健全性規制庁(APRA)と協力して、住宅購入者に対する銀行融資に対するマクロプ
ルーデンス政策の引き締めをいつでも実施するとしています。
銀行利息頼みの投資家にとり、RBA による政策金利の引き下げは 1950 年代以来見られなかった低水準まで一段と預金金
利を押し下げるでしょう。 日々の資金需要以上に、現在、現金あるいは定期預金で運用する投資家にとり鍵となるのは、何
が彼らにとって重要であるかを分析することです。 元本の確保なのか、それともある程度のボラティリティを許容しても、より
高くより安定した収入を獲得することなのかで、これについては代替投資案がいくつかあります。
(%)
預⾦⾦利は新底値を打つ
銀⾏3年定期預⾦平均⾦利
銀⾏1年定期預⾦平均⾦利
政策⾦利
(年)
(出所:RBA,AMP Capital)
当資料は、投資の参考となる情報の提供を⽬的として、AMP キャピタル・インベスターズ・リミテッド(オーストラリアにおける登録番号:
AMP キャピタル・インベスターズ株式会社
ABN 59 001 777 591; AFSL 232 497)から提供された情報をもとに AMP キャピタル・インベスターズ株式会社が作成したものであり、特定の
登録番号: 関東財務局⻑(⾦商)第 85 号
有価証券への投資を勧誘する⽬的で作成したものではございません。当資料は、各種の信頼できると考えられる情報に基づいて作成されており
加⼊協会: ⽇本証券業協会、⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会
ますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。当資料中のいかなる内容も将来の投資成果及び将来の市況環境の変動等
を保証するものではありません。当資料の記述内容、数値、グラフ等は作成時点のものであり、予告なく変更される場合があります。
2/2