復興公営住宅等への移転に関するアンケート調査報告 平成28年1月

復興公営住宅等への移転に関するアンケート調査報告
平成28年1月
石巻仮設住宅自治連合推進会
はじめに
はじめに
東日本大震災から5年が経過しましたが、復興の進捗状況を見ますと、各地で復興公営住宅の整
備が進むなど、復興の歩みを実感できる機会が増えてまいりました。しかし一方で、仮設、地域コ
ミュニティの再構築や被災者の心のケア、生活を支える産業の再生など復興の本格化に伴う様々な
課題に効果的に対応することが必要であることが考えられます。
復興公営住宅等への移転に伴い、空洞化が予想される仮設住宅コミュニティを維持し、また、移
転先で想定される課題を明らかにするため「仮設自治組織役員、世話人等」「復興公営住宅入居
者」を対象とし、本調査を実施いたしました。当、自治連合推進会、連絡スタッフが自治組織役員
等を直接訪問してアンケート調査票の受け渡しを行ったことにより、高い回収率を達成することが
できました。この調査にご協力頂きました皆様には、重ねて御礼申し上げます。この調査結果が今
後、自治活動やコミュニティづくりに役立てば幸いです。皆様が一日も早く安心してお暮しになる
事が出来ますよう、心よりお祈り申し上げます。
石巻仮設住宅自治連合推進会
会長 増田 敬
もくじ
もくじ
Ⅰ調査概要 .......................................................................................................................................... 1
当アンケートの集計における定義と注意事項 ................................................................................... 1
Ⅱ調査結果 .......................................................................................................................................... 2
問 1.
回答者性別(選択式単回答
回答率 98.7%)..................................................................... 2
問 2.
回答者年代(選択式単回答
100%) ................................................................................. 2
問 3.
所属自治組織の形態 (選択式単回答
問 4.
自治組織が解散した理由(選択式単回答
問 5.
所属自治組織での役職(選択式単回答
問 6.
就任してからの経過年数(選択式単回答
問 7.
就任した経緯(選択式単回答
回答率 90.8%) ................................................................. 5
問 8.
平成 27 年 12 月現在の入居率
(選択式単回答
問 9.
現在取り組んでいる住民が中心となった自治活動の内容 (選択式複数回答
回答率 98.7%) .................................................... 3
回答率 93.4%)............................................... 3
回答率 96.1%) .................................................. 4
回答率 93.4%)............................................... 4
回答率 90.8%) ................................... 5
回答率
90.7%) ....................................................................................................................................... 6
問 10.
取り組んでいる交流の場づくりの内容
問 11.
外部団体との共催による自治活動(記述式回答
問 12.
自治組織の定例会合の開催頻度
問 13.
自治組織の運営上、特に苦労していること
問 14.
自治組織運営に関連した各機関との日常的な連絡頻度
問 15.
取り組むべき自治活動で重要度の高いと思うもの
(選択式複数回答
回答率 95.5%) ................. 7
回答率 90.7%).................................... 7
(選択式単回答
回答率 70.7%) ................................ 8
回答率 66.7%) .......... 9
(選択式複数回答
回答率 34.7%) .... 10
(記述式
(選択式複数回答
回答率 75.0%)
11
問 16.
交流の場として実施したいもの
問 17.
自治組織における要援護者への対応のあるべき姿(選択式複数回答
問 18.
今後の仮設自治役員の後任について(選択式複数回答
問 19.
仮設自治役員を継続するように依頼された場合
問 20.
移転先(復興公営住宅等)で役員を頼まれた場合
問 21.
仮設住宅に解消まで自治会や世話人会が必要か
(自由記述
回答率 61.1%) ..................................... 12
回答率 80.3%). 12
回答率 77.6%)....................... 13
(選択式複数回答
回答率 82.7%). 13
(選択式単回答
回答率 85.3%). 14
(選択式複数回答
回答率 76%).... 15
もくじ
問 22.
団地内の近所付き合いの状況
問 23.
石巻仮設住宅自治連合推進会へ期待すること
(選択式単回答
回答率 80.0%).................................. 15
(選択式複数回答
回答率 64.0%) ..... 16
その他の意見 .................................................................................................................................... 17
おわりに ............................................................................................................................................ 18
調査概要
Ⅰ調査概要
1.調査目的
復興公営住宅等への移転に伴い、空洞化が予想される仮設住宅コミュニティを維持し、また、移転先での
新たな地域コミュニティづくりを図る上で想定される課題を明らかにする.。
2.調査対象
石巻応急仮設住宅自治組織役員(自治会役員、世話人等):計 133 団地
3.調査期間
2015年12月23日~2016年1月31日
4.調査方法
自治組織役員を訪問して趣旨説明と調査票の受け渡しを行い、期間中に返信用封筒にて回収
5.調査票配布・回収状況
対象の 133 団地中、配布数 113 団地、回収数 76 団地(回収率 67.3%)。
当アンケートの集計における定義と注意事項

意図の不明回答、または結果に不整合をおよぼすと思われる回答については集計から除外する

抜粋した自由記述は、明らかな間違いについては訂正。それ以外は回答者の表現を尊重し、文脈等
そのまま掲載

自由記述の回答について、回答者の認識であり必ずしも事実と一致するものではない
当アンケート調査報告の読み方
①・・・ 設問の内容
②・・・ 回答方式

年月記述 – 回答者による日付記述

選択 - 用意された回答の番号を選択

記述 - 回答者による自由記述

単回答 - 選択式において一つだけの選択

複数回答 – 選択式において複数の選択
③・・・ 該当設問回答者総数 ÷ 回収アンケート総数
④・・・ 回答の詳細説明及び分析に基づいた見解の解説
⑤・・・ グラフ及び自由記述
1
調査結果 問 1.回答者性別
問 2.回答者年代
Ⅱ調査結果
問1.
回答者性別(選択式単回答
回答率 98.7%)
回答者性別
女性
45%
問2.
回答者年代(選択式単回答
男性
55%
100%)
回答者年代
80代
9%
70代
39%
50代
9%
40代
3%
60代
40%
自治組織役員の男女比率は、2015 年 1 月 28 日~3 月 31 日に実施した復興公営住宅等への移転に
関するアンケート調査(以下、昨年度実施アンケート)の結果と比較し、ほぼ同率であった。
(昨年
度実施アンケート結果、女性 42%、男性 58%)一方、年代は昨年度実施アンケートの結果と比較し、
30 代が 2%から 0%へ減少、40 代が 6%から 3%へ減少、50 代、60、70 代は同率、80 代が 3%から
9%へ上昇となった。このことから、確実な高齢化が見てとれる。
2
調査結果 問 3.所属自治組織の形態
問 4.自治組織が解散した理由
問3.
所属自治組織の形態 (選択式単回答 回答率 98.7%)
所属自治組織の形態
39.5%
仮設団地自治会
18.4%
仮設団地世話人会
11.8%
既存町内会に編入
当初はあったが解散したため、有志のグループで活
動
10.5%
仮設設置当初から自治組織がなく、有志のグループ
で活動
9.2%
仮設設置当初から自治組織がなく、個人で活動
5.3%
その他
3.9%
当初はあったが解散したため、個人で活動
2.6%
未回答
1.3%
所属自治組織の形態の回答「その他の」詳細

問4.
役所よりの伝達者等の代表として行なっている
自治組織が解散した理由(選択式単回答 回答率 93.4%)
当設問は、所属自治組織の形態で「当初はあったが解散したため、有志のグループで活動」または
「当初はあったが解散したため、個人で活動」と回答した役員を対象とした設問。
問3-1で「6」または「7」と回答した人
の理由
組織役員の後継者がいなかったため
その他
組織の活動等について住民の意見が
一致しなかったため
70.0%
44.0%
20.0%
44.0%
10.0%
12.0%
3
本年度
昨年度
調査結果 問 5.所属自治組織での役職
問 6.就任してからの経過年数
自治組織が解散した理由として「組織役員の後継者がいなかったため」が昨年度 44%だったのに
対し、本年度は 70%と大幅に上昇した。このことから、仮設自治組織役員の自立再建や復興住宅へ
の移転が進み、後継者が見つからなかったことが大きな要因だという事が見てとれる。
問5.
所属自治組織での役職(選択式単回答 回答率 96.1%)
所属自治組織での役職
35.4%
集会所鍵管理人
会長/代表
11.1%
役員(副会長、事務局長、班長など)
行政委員
世話人
その他
役職なし
43.2%
30.3%
34.1%
23.9%
12.1%
15.9%
9.1%
0.0%
1.0%
5.7%
1.0%
4.5%
本年度
昨年度
昨年度比で鍵管理人が 7.8 ポイントの減少、会長/代表が 3.8 ポイント減少、役員が 12.8 ポイン
ト減少、行政委員が 3.8 ポイント減少となり自治組織役員が確実に減少する一方で、昨年度は『そ
の他』の 5.7%に含まれていた「世話人(個人の有志)
」が単独で 9.1%と大幅な増加を見せた。こ
のことから、
『問4 自治組織が解散した理由』でも触れた通り仮設団地自治会の解散に伴い、個
人で団地の世話をする住民が増加していることが見てとれる。
問6.
就任してからの経過年数(選択式単回答 回答率 93.4%)
仮設団地役員就任からの経過年数
40.3%
40.7%
仮設団地設置以来現在まで
半年~1年
1年~2年未満
2年~3年未満
前任者はいるが3年以上
半年以内
12.3%
12.5%
12.3%
12.5%
23.6%
21.0%
9.7%
6.2%
1.4%
7.4%
本年度
昨年度
4
調査結果 問 7.就任した経緯
問 8.平成 27 年 12 月現在の入居率
昨年度比で唯一増加となったのが『半年~1 年』で、11.3 ポイント増となった。このことから、
自立再建や復興公営住宅への移転などが本格化し、自治会役員の転出に伴い 1 年以内に自治会役員
もしくは世話人等へ就任した住民が急激に増加したものと思われる。
問7.
就任した経緯(選択式単回答 回答率 90.8%)
現在の役員に就任した経緯
前任者が退去したため
27.7%
33.8%
発足当初より就任
16.9%
12.3%
前任者の任期満了のため
9.9%
その他
前任者の体調不良のため
36.6%
38.5%
2.8%
4.6%
本年度
前年度
昨年度比で、『前任者が退去したため』が 8.9 ポイント増、『前任者の任期満了のため』が 4 ポイ
ント増となっており、
『問6 就任してからの経過年数』と併せて分析すると、自治会役員の自立再
建や復興公営住宅への移転に伴い、過去 1 年以内に役員、もしくは世話人等へ就任した住人が増加
したことが見てとれる。
問8.
平成 27 年 12 月現在の入居率 (選択式単回答
回答率 90.8%)
入居率『40%~60%』との回答が最も多く、回答率 32.0%となった。入居率 60%未満とした回答
が 57.3%であったが、転居後、仮設住宅の速やかな明け渡しが行われていない場合もあり、生活実態
の把握が困難であることを考慮すると、実際の入居率は更に低いものと考えられる。
H27年12月現在の仮設団地入居率
8.0%
80%以上
26.7%
32.0%
60%~80%
40%~60%
30%~40%
20%~30%
20%以下
12.0%
4.0%
9.3%
0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
5
25.0%
30.0%
35.0%
調査結果 問 9. 現在取り組んでいる住民が中心となった自治活動の内容
問9.
現在取り組んでいる住民が中心となった自治活動の内容 (選択式複数回答 回答率 90.7%)
昨年度と同様に『生活情報の提供』がもっとも高い数値となった。次いで『交流の場づくり』とな
ったのも昨年と同様であった。
『清掃活動』が+4.9 ポイント、『防災訓練・防災活動』が+1.2 ポイ
ントとなった他はマイナスとなっており、自治活動の低下が見てとれる。
『行政やボランティア団体
などの外部団体との連絡窓口』では-23 ポイントと昨年比で 38%減となった。これは、ボランティ
ア活動の対象が応急仮設団地から復興公営住宅へ移行しつつある、もしくは活動そのものが終息し
つつあるということが見て取れる。
現在取り組んでいる住民が中心となった
自治活動の内容
68.4%
75.6%
57.9%
67.1%
生活情報の提供(掲示板や回覧板など)
交流の場づくり
32.9%
28.0%
46.1%
53.7%
15.8%
30.5%
9.2%
12.2%
6.6%
14.6%
22.4%
28.0%
17.1%
15.9%
13.2%
17.1%
36.8%
59.8%
2.6%
0.0%
清掃活動
生活ルールの維持(ゴミ、ペット、騒音、駐車など)
高齢者・障がいのある方など要援護者の見守り
住民の悩み相談
住民間トラブルの仲裁
入居者情報の把握
防災訓練・防災活動
防犯活動
行政やボランティア団体などの外部団体との連絡窓口
その他
今年度
6
前年度
調査結果 問 10. 取り組んでいる交流の場づくりの内容
問 11. 外部団体との共催による自治活動
問10. 取り組んでいる交流の場づくりの内容 (選択式複数回答 回答率 95.5%)
当設問は『問 9.現在取り組んでいる住民が中心となった自治活動の内容』において、「2」の
「交流の場づくり」を選択した回答者を対象に、どのような場づくりをしているかをたずねたもの
である。
『お茶会の定期開催』が 78.6%と最も多い結果となった。これは昨年度も同様で 80.6%と
なっており、8 割の自治組織がお茶会の定期開催を行っている事になる。このことから『お茶会』
は重要なコミュニケーションツールであると言える。
取り組んでいる交流の場づくりの内容
31.0%
ラジオ体操や体操教室の定期開催
78.6%
お茶会の定期開催
カラオケ等演芸会の定期開催
21.4%
家庭菜園や花壇作りといった園芸の会
19.0%
45.2%
季節のイベント(夏祭り、芋煮会等)
問11. 外部団体との共催による自治活動(記述式回答
回答率 90.7%)
自由記述による回答をそのまま掲載。※団体名は通称の場合あり。
外部団体名
活動内容
万石浦1区町内会、万石浦2区町内会、仮設渡波
第2団地、垂水団地、他
夏祭り、復興記念交流会、秋祭り
法政大学 Team Tama
漁業支援活動
日本を美しくする会 東日本救援隊
神社や空地等の清掃等、毎月一回
日本アロマ環境協会
アロマテラピー
東北学院大学災害ボランティア
漁業支援活動
東京三七会
組みひもづくり
町内クルミの会
歌、お茶会、その他
太陽プロジェクト
年1回7月に地区全員でお祭り
曹洞宗山形県三宗務所ボランティア協議会
色々な話題提供、お茶のみ
7
調査結果 問 12. 自治組織の定例会合の開催頻度
曹洞宗 12 教区
祭り、炊き出し等
千葉大学の学生
積水ハウス
清掃活動
石巻仮設住宅自治連合推進会
カラオケ
学習支援・夏まつり・クリスマス会・
神戸学院大学ボランティア室
お茶っこ
小竹浜に笑顔を送る会
お茶飲み会
公益社団法人全日本仏教婦人連盟他2団体合同
|絵手紙、折紙、数珠作りなど
緊急援助隊チーム大分
炊き出し
共産党救援センター
バザー、米など物資の配布
環境 NPO ベルデ青梅事務所
お茶飲み会
リオグランデ
週1回お茶っこ会を開いてくれる
よもすけ
御茶会など
め組ジャパン
バーベキュー大会、クリスマス会
マナズママサロン
ふんばろう東日本
祭り、炊き出し等
子どもの遊び場、住民からもスタッフ
プロジェクト結
として協力
プライドオブジャパン
夏祭りなど
チーム中津川
チームあすなろ
仮設の清掃等
もちつき行事、バスツアー(りんご狩
しらうめ
り、二本松菊人形)
キリスト協会石巻祈りの家
クリスマス会
キャンナス
月1回健康講座・食事会・ゴミ拾い
カリスタ石巻ベース
カフェデ・モンク
お茶っこや数珠づくり等
お茶っこサロン河南
エマオ石巻
お茶会
アリエッティ広場
交流の場・芋煮会・餅つき
アメージンググレイスネットワーク
クリスマスパーティー
問12. 自治組織の定例会合の開催頻度 (選択式単回答
回答率 70.7%)
『定例ではなく必要に応じて開催』とした回答が 54.7%と半数を占めた。月に 1 回以上開催して
いる自治組織は 22.6%と開催頻度が高いとは言えないが、裏を返せば、課題(当初頻発したトラブル
等)が解消されているともとれる。一方で、入居率 50%を下回っている仮設団地もあり、自治体制が調
えられないという状況も危惧される。
8
調査結果 問 13. 自治組織の定例会合の開催頻度
問 14. 自治組織の運営上、特に苦労していること
自治組織の定例会合の開催頻度
週に1回程度
1.9%
月に1回程度
9.4%
数ヶ月~半年に1回程度
年に1回程度
11.3%
22.6%
54.7%
定例ではなく必要に応じて開催
問13. 自治組織の運営上、特に苦労していること (選択式複数回答
回答率 66.7%)
自治組織の運営上、特に苦労していること
38.7%
40.0%
集会所管理費の管理・使途
役員のなり手や後継者の不足
22.7%
住民の協力不足(役員への負担集中)
5.3%
13.3%
13.3%
生活情報の提供(掲示板や回覧板など)
交流の場づくり
清掃活動
29.3%
生活ルールの維持(ゴミ、ペット、騒音、駐車など)
5.3%
2.7%
2.7%
9.3%
14.7%
1.3%
2.7%
6.7%
4.0%
高齢者・障がいのある方など要援護者の見守り
住民の悩み相談
住民間トラブルの仲裁
入居者情報の把握
空き部屋問題
防災
防犯
行政やボランティア団体など外部団体との連絡窓口
その他
9
調査結果 問 14.自治組織運営に関連した各機関との日常的な連絡頻度
昨年度 50.0%を占めていた『生活ルールの維持(ゴミ、ペット、騒音、駐車など)
』が 20.7 ポイ
ント減少し、29.3%となった。この変化の一つの要因として挙げられるのは、自立再建や復興住宅
移転に伴う仮設住人の減少である。事実、ゴミ、ペット、騒音、駐車などのトラブルが問題化して
いる復興住宅も見受けられる。これは、弊会が行った復興住宅住民対象のアンケート調査で明らか
となっている。
昨年度 4.4%であった『集会所管理費の管理・使途』が 34.3 ポイント上昇し 38.7%となった。こ
の背景には、石巻市から仮設住宅自治役員へ給付されていた集会所の維持・管理費の金額と、支給
方法の変更が行われた事が影響していると考えられる。
『役員のなり手や後継者の不足』については、昨年度が 44.1%で、4.1 ポイント減少と、ほぼ同
率であった。応急仮設住宅はいずれ解消されるものであり、この問題は解決には至らないと思われ
る。応急仮設住宅が解消されるまで、自治活動には外部のサポートが必須であると言える。
問14. 自治組織運営に関連した各機関との日常的な連絡頻度 (記述式 回答率 34.7%)
図 14-1 月に 1 回以上連絡を取っている機関名。
図 14-2 各機関との連絡頻度
(図 14-1)
日常的な連絡がある機関
10.5%
市役所
民生児童委員
地域包括支援センター
5.3%
8.8%
26.3%
社会福祉協議会
10.5%
警察署
14.0%
ボランティアNPO団体
22.8%
石巻仮設住宅自治連合推進会
その他
1.8%
10
調査結果 問 15. 取り組むべき自治活動で重要度の高いと思うもの
(図 14-2)
各機関との連絡頻度
週3回以上
7.0%
週2回
1.8%
週1回
月3回以上
月2回
15.8%
14.0%
12.3%
49.1%
月1回
連絡頻度の最も多い回答は「警察署と月に 25 回程度」次いで「社会福祉協議会と月に 20 回程度」
であった。尚、回答率は昨年比 15.3 ポイント減となっており、自治機能そのものが低下しているこ
とが危惧される。
問15. 取り組むべき自治活動で重要度の高いと思うもの
(選択式複数回答
回答率 75.0%)
『生活情報の提供』及び『生活ルールの維持』は、復興住宅住民対象のアンケートでも重要度が高い
結果となっており、自治活動における基本的な柱と言える。また、前代未聞の被災地であるにも関わ
らず、復興住宅住民と同様に防災に関する意識が低いことに懸念が残る。
取り組むべき自治活動で重要度の高いと思うもの
生活情報の提供(掲示板や回覧板など)
交流の場づくり
清掃活動
10.5%
23.7%
生活ルールの維持(ゴミ、ペット、騒音、駐車など)
高齢者や障害のある方など要援護者の相談や見守り
要援護者以外の方の悩み相談・人間関係への対応
入居者情報の把握
防災訓練
防犯活動
行政やボランティア団体など外部団体との連絡窓口
その他
15.8%
6.6%
19.7%
3.9%
7.9%
18.4%
1.3%
11
40.8%
31.6%
調査結果 問 16.交流の場として実施したいもの
問 17.自治組織における要援護者への対応のあるべき姿
問16. 交流の場として実施したいもの (自由記述
回答率 61.1%)
問 15 について「交流の場づくり」を選択した回答者を対象に回答を求めた結果が次の通り。
交流の場として実施したいもの
地域の方にも参加してもらえる「お茶会」毎日の中では、いつでも談話室が利用できるようにし
ている。月1回のお茶会を意識している
仮設3件に残り残り公営住宅待ちで何もできないのでお茶飲み会位です
集会所等の終日開放。常時懇談、お茶会の開催
行政の説明現在の市の方針等、住民さんとの仲達
お茶会
お茶飲み会の定期開催
談話室で仮設の皆さんで話し合い
私達は毎日談話室は開放しております
1、全て楽しい談話もできるようなカラオケ交流会 2、身体の動かし運動(リズム体操など)
3、食する事のできる、いも煮会、バーベキュー大会、夏まつり、クリスマス会
・談話室を開放しているので、何人かは毎日集まって茶会をしている
・夏祭りを毎年行っている。
問17. 自治組織における要援護者への対応のあるべき姿(選択式複数回答 回答率 80.3%)
要介護者への対応のあるべき姿
40.9%
出来る範囲で支援したい
支援をしたいが、何をどうすればいいのかわからない
4.5%
支援をしたいが、余裕がない
4.5%
支援は市役所等がやる仕事であって、自治組織がする
必要はない
かえってトラブルのもととなるので、素人がするべき
ではない
その他
13.6%
22.7%
13.6%
『出来る範囲で支援したい』または『支援をしたいが、何をどうすればいいのかわからない』とし
た支援に前向きな回答者は 45.4%で、復興住宅住民を対象にしたアンケートでも 40.2%が同様の回
12
調査結果 問 18.今後の仮設自治役員の後任について
問 19.仮設自治役員を断続するように依頼された場合
答をした。仮設自治役員で『何をどうすればいいのかわからない』としたのは 4.5%であったが、
復興住宅住民は 16.6%と大きく上回っていた。この結果から、役員等を担い自治活動に積極的に関
わっている住人は何らかの支援の方法を理解していると思われ、情報の共有などの啓発活動を活発
自分も身体が本当ではないが、皆さんをまとめてる
その他の内容
社会福祉協議会の見回りの方々の支援にに支えられて助かって居ます
本人が望む最小限の事の支援
現在は家族で支援しているので相談されれば応じている
声掛けのみで相手が支援してほしいと申し出があったら手助けする
見回りと声掛けを行っています。支援隊によって支援するべきでは。
に行うことで一般住民の協力を得られる可能性は大きいものと思われる。以下は『その他』の詳細
(自由記述)
問18.
今後の仮設自治役員の後任について(選択式複数回答 回答率 77.6%)
今後の役員の後任
適任者がおり、引き受けてもらうことに決まっ
ている
1.3%
適任者はいるが、頼んでも引き受けてくれない
6.6%
適任者のめどはつけている
7.9%
52.6%
適任者や引き受けてくれる人が見当たらない
その他
13.2%
5 割強の役員が『適任者や引き受けてくれる人が見当たらない』と回答している。
『問 13.自治組織
の運営上、特に苦労していること』でも触れたが、仮設住宅での自治活動の存続は困難であると思わ
れ、今後の活動には外部のサポートが必須であると考えられる。
問19.
仮設自治役員を継続するように依頼された場合
(選択式複数回答 回答率 82.7%)
『積極的に引き受けたい』とする回答が 11.3%(次ページ図 19)であったが、後出の設問「問 20.移
転先(復興公営住宅等)で役員を頼まれた場合」において、
『積極的に引き受けたい』とする回答は
9.7 ポイントの減少となった(次ページ図 20)。このことから「仮設が無くなるまで、全員が出てい
くまで見守りたい」とする役員が殆んどであると読み取れる。事実、現任の仮設自治役員から多く聞
かれる言葉でもある。仮設自治役員を『積極的に引き受けたい』とした役員は、復興住宅へ移転後は
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調査結果 問 20.移転先(復興公営住宅等)で役員を頼まれた場合
『周囲の協力があれば引き受けてもよい』
『輪番制であればやらざるを得ない』という意見ヘ分散さ
れたととれる。
(図 19)
役員を継続するよう依頼された場合
積極的に引き受けたい
11.3%
周囲の協力があれば引き受けてもよい
21.0%
後任が見つからなければやらざるを得ない
21.0%
引き受けたくない
9.7%
30.6%
転居予定がある為、受けられない。
その他
問20.
9.7%
移転先(復興公営住宅等)で役員を頼まれた場合
(選択式単回答 回答率 85.3%)
(図 20)
移転先(復興公営住宅等)で役員を頼まれた場
合
積極的に引き受けたい
1.6%
23.4%
周囲の協力があれば引き受けてもよい
37.5%
輪番制であればやらざるを得ない
22.7%
引き受けたくない
その他
10.9%
積極的に引き受けたいとする回答は 1.6%に止まったが、
『周囲の協力があれば引き受けてもよい』
とする回答が 23.4%であることから、
自治会形成には差支えのないパーセンテージであると言える。
100 世帯あると仮定して、会長職に 1.6 世帯の候補があり、役員の候補が 23.4 世帯あることになる。
世の団体、集団におけるリーダー役を担う者、組織の中枢を担う者、または、その意識がある者の割
合というものは不変であると言える。
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調査結果 問 21. 仮設住宅に解消まで自治会や世話人会が必要か
問 22.団地内での近所付き合いの状況
問21.
仮設住宅に解消まで自治会や世話人会が必要か
(選択式複数回答 回答率 76%)
仮設住宅解消まで自治組織は必要か
26.6%
自治会が必要
43.8%
世話人会が必要
既存町内会に編入すればよい
9.4%
自治会・世話人会ともに必要ない
3.1%
その他
12.5%
7割強が自治組織が必要だと回答した。事実上、後任者の不在などで解散している自治会がある一
方で、新たな発足は見当たらず、必要ではあるが存続が困難であると解釈できる。
問22.
団地内の近所付き合いの状況
(選択式単回答
回答率 80.0%)
団地内の近所づきあいの状況
30.0%
以前と変わらず頻繁に近所づきあいがある
56.7%
以前と比べて減少したが、問題と感じるほどではない
以前と比べて減少し、多少問題と感じる
8.3%
以前と比べて減少し、大いに問題と感じる
5.0%
当設問は復興公営住宅等への転居に伴い、減少しつつある仮設団地内での近所付き合いについて
の質問である。
『問 8.平成 27 年 12 月現在の入居率』でも明らかになったように、仮設団地の入居率
は 20%以下から 80%以上と大きな開きがあるものの、平均値では入居率 60%を切っており、事実上
は 50%以下と考えられる状況の中での質問であるが、然程、変化や問題を感じる様子は無いととれ
る。また、
『問題と感じる』と回答した 10.7%の回答者に、近所付き合いを活性化する為に取り組ん
でいる活動はあるか尋ねたところ、37.5%が『ない』と回答し、その理由は「私自身多忙の為、鍵管
理と談話室の掃除で手いっぱいです」「外部の支援がないから」などとした。
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調査結果 問 23.石巻仮設住宅自治連合推進会へ期待すること
問23.
石巻仮設住宅自治連合推進会へ期待すること
(選択式複数回答 回答率 64.0%)
今後自治連に期待する役割
62.5%
自治連だよりの定期発行と掲示板への掲示
仮設自治組織役員の懇談会・支部会の実施
仮設自治組織役員向け勉強会の実施
コミュニティ形成サポート事業(バスツアー等)
25.0%
10.4%
16.7%
50.0%
43.8%
新たな地域コミュニティづくりのための活動(復興公営
住宅入居者の交流会など)
行政やボランティア団体などの外部団体との連絡調整
窓口
団地内で発生するトラブル等解決のアドバイス
その他
20.8%
2.1%
自治連だよりの定期発行が最も多く、昨年度のアンケート同様の結果となった。復興公営住宅を
対象としたコミュニティづくりは今年度の活動対象ではなかったにも関わらず 50.0%が期待してい
ると回答した。自らの復興公営住宅への移転を踏まえての今後(次年度)の要望と考えられる。
以下は自由記述にてよせられた意見や要望。明らかな間違いについては訂正、それ以外は回答者
の表現を尊重し、文脈等そのまま掲載。
自治連への意見や要望
自治会も高齢化に伴い運営に当り協力者をボランティアとして派遣する形をとることも・・・どうでしょう?
少数なので雪降ったりなどで共同作業、蚊や害虫駆除共同で
復興公営住宅で自治会などの立ち上げの支援を行ってほしいと思います。又、ある程度の数の自治組
織が形成された場合には、現行の仮設自治組織役員の支部会のように復興公営住宅自治組織役員の
交流の場を設けてほしいと思います。
自治組織形成、運営上の研修会や啓蒙活動。(例)文書(会則等作成上のひな型、イベント実施上の関
係文書等)イベント計画・実施、まとめ等のノウハウ例示等
仮設住宅が発展的に解消されるまで皆さんのために活動を続けていただける様強くお願いします。
自治会の中味は何も分かりません。1日も早く仮設から出られる事だけです
大変助かる、石巻市の行事、小さい事でも(特に旧石巻)
石巻仮設住宅自治連合推進会の皆様に支えられて来ました有り難うございます
昨年同様よろしくお願いします。ハッピー明けましてお目出とうございます。
1 年に1回位は現在仮設住宅に住んでいる方々で交流会もよろしいのではないでしょうか?
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その他の意見
石巻仮設住宅自治連合推進会の皆様にはいつも大変お世話になっています。本当にありがとうございま
す。これからも仮設住宅、復興住宅のみなさんのためにも私に出来ることは協力させていただきますの
で体に気をつけてがんばって下さい。よろしくお願いいたします。
いつもお世話になっております。これからも仮設がある限り協力よろしくお願いします。年を取った方が多
いです。
行政やボランティア団体などの外部団体との連絡調整のサポートをしてもらいたい。
○住民主体とはいえ、やはり団地会などの代表・役員によって運営されるので、まず役員へのアタック、
そして、回を重ねて根気よく回数を重ねて交流を深めて顔見知りになる事。聞く耳を持ち、集会所利用に
ついてもサポートできるよう活動願う。
○1人でも多くの味方をつくり、そこから口コミなどで人とのつながりの輪を広めていく。
○楽しいイベント開催も必要(手芸・カラオケ・リズム体操・ミュージックなど)
その他の意見
その他の意見や要望
ボランティアの皆様の力を借り集会所に集まり、イベントの中でお茶会等を開くことが効果大?
何をやっても来る人は同じ人で、私としてははりあいがなくなく、この頃はなるようになれと考えてます。私
は自分で楽しみを見つけ1人車で外へ出るようにしてます。ですので、人は人自分は自分で他人にあま
り深入りしないようにしています。
町内会の必要性は認識していますが余りにも行事が多かったりその他の会合への出席が求められるの
は負担に感じられます。(特に夜間の集まり)例えば行事(旅行・懇親会など)いつも出席者は同じ顔ぶ
れ。町内会は誰の為にあるのでしょう。会の役員への報酬が明らかにされないことも疑問に思います。全
てを明白にされていれば町内会に入ることも厭では無くなることと思います。町内会に入会する事が強制
でない以上存続する為にはこれまでと同様では同意は得られないと思います。
(交流の場づくりについて)老人が多い為、仮設生活では無理である。各自仕事もしているし。交流の場
所(集会所)が設施してもらえなかった
自治会がないとトラブルが多いと思います
慣れている者がいなくなると不安ですので出来るだけ最後までお世話できればよいかなと思います。
日頃、自治連合推進会の皆様お仕事ご苦労様です。開成第3団地~14団地、いつもお世話様です。世
話人会がある時は色んな情報も入って来ていたのですが、私達ではどうすることも出来なくていたのです
が、大嶋さんに力になって頂いて本当に助かっております。毎月のように戸数も減る一方ですが、これか
らもよろしくお願い致します。
当地区では今年高台移転が三月に造成地引き渡しの予定です。今迄は高齢者の方々が福祉の方から
月に2~3回位体操、お茶飲み等のレクリエーションを実施してます。高台へ移転されても今迄通り続け
てほしいです。(集会所もできますので)
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おわりに
おわりに
本アンケートから読み取れるのは、本格的な復興公営住宅等への移転が始まっており、応急仮設
住宅団地の縮小に伴い、ボランティア等の外部団体との連携も激減しているという事実である。た
だ、応急仮設住宅の解消は必然の成り行きであり、それ自体は問題では無い。当初、ゴミや迷惑駐車
など近隣トラブルを中心とした問題が山積みであった応急仮設住宅団地は、自治組織の発足によっ
て問題を最小限に抑制することに成功した経緯がある。現在では重大なトラブルは見当たらず、自治
組織はかなり効果的に運営出来ていたと考えられる。この事実から、現任の自治組織役員は「応急仮
設住宅の解消まで自治組織は必要である」と感じていると受け取れる。一方で自治組織は必要である
が、後任、適任者が見つからないという事実も浮き彫りになっている。ただし、これも必然の成り行
きと言え、外部団体のサポートにて仮設住宅の解消まで自治組織を運営することが重要な課題であ
ると考えられる。また、効果的な運営をしてきた自治組織の仕組みや取り組みをモデル化すること
で、後世へ役立てる事が出来ると思われる。
次年度の活動の課題として考えられるのは、仮設自治組織へのサポートと平行して、復興公営住
宅への本格的な移転を受けたコミュニティ形成のサポートであるといえる。
以上
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