氏名 所属 役職 項目 指定 ①港湾、海岸及び空港の施設の健全度評価

研究者
氏名
内藤 英樹
所属
東北大学大学院工学研究科土木工学専攻
役職
准教授
項目
指定 ①港湾、海岸及び空港の施設の健全度評価に関する研究
テーマ
桟橋上から実施可能なRC部材の局所振動試験と塩害に対する構造性能評価
港湾・海岸及び空港施設におけるコンクリート構造物の長寿命化には早期の塩害対策が重要であ
る。しかし、桟橋の点検・調査では、塩害が生じるスラブや桁下面へのアクセスが容易ではない。
本研究は、桟橋上から加振器を用いてスラブや桁の局所振動を励起し、ローカルな剛性評価に基づ
研究内容の いてRC部の腐食ひび割れを検知する。さらに振動試験の精度、鉄筋腐食量の推定精度、劣化部材の
構造解析精度など、様々な不確定性を考慮した信頼性評価によって桟橋の安全性を破壊確率で表示
重要性
し、補修・補強の緊急性を即時に判断できる健全度評価法を構築する。
本研究は目視困難な桟橋の点検・評価の高度化を図り、港湾・海岸及び空港施設の早期の塩害対
策に繋がることが期待される。
研究内容
(1)桟橋上から実施可能な点検技術の開発
・加振器を用いた局所振動試験の開発
・共振周波数と鉄筋腐食率に関する基礎的データの収集(供試体実験)
・著しい塩害を受けた桟橋の現揚試験
研究計画・
(2)塩害を受けたRC部材の構造性能評価
方法の妥当
・鉄筋腐食が生じたRC供試体の載荷:試験 ・桟橋から切り出した撤去部材の載荷試験
性
・材料劣化モデルの構築 ・塩害の空間分布を考慮した構造解析
(3)桟橋の安全性照査(破壊確率の算定)
・点検(局所振動試験)のばらつき ・構造解析(FEM)の精度
・塩害劣化した桟橋の安全性照査(クレーン等の荷重や地震に対する破壊確率の算定)
1.振動試験の高精度化
加振器を用いた定常応答に基づく振動試験を桟橋の点検に応用することによって、部材厚さが大き
い構造物に対して背面側の鉄筋腐食の検知が可能になる。
2.車両走行やクレーン稼働および波の影響下での振動試験の実施
研究内容の 従来の橋の振動試験では、車両を交通規制する必要があったが、加振器による入力周波数が既知
であるため、これ以外の応答を外乱として容易に除去でき、精度を低下させることなく、桟橋上からの
独創性
点検が可能である。
3.提案技術の汎用性
提案技術はコンクリート構造、鋼構造等にも適用可能で、目視困難な部所の地震後の健全性評価、
老朽化したインフラの点検と評価等への応用が待される。
桟橋上から容易に点検ができ、桟橋の損傷状態を示すのみではなく、経年劣化による性能低下やク
研究内容の レーンの大型化(設計荷重の見直し)などに応じて桟橋の安全性を破壊確率によって表示できる。
波及効果 このような点検と評価の高度化は、桟橋の塩害対策の合理化や、港湾・海岸施設の維持管理と長寿
命化に大きく貢献できる。
本申請課題は、平成25年度から27年度まで採択を受けた「鋼コンクリート接合部に鋼材腐食が生じ
前年度の助 た港湾・海岸及び空港施設の健全度評価手法の構築」の成果を踏まえた、応用研究に位置付けられ
成実績との る。
平成28年度に著しい塩害を受けた港湾桟橋の撤去が予定されており、本研究は、桟橋の現場試
関係
験、解体・調査、載荷試験と数値解析を行うことを目的としている。