下水道管路施設の維持管理基本計画

下水道管路施設の維持管理基本計画
平成27年11月
米子市下水道部整備課
目
次
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はじめに ...................................................................................................................................... 1
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現状 .............................................................................................................................................. 1
(1)管路施設の整備概要について ........................................................................................ 1
(2)管路施設の維持管理の状況について............................................................................ 2
(3)管路施設の老朽化対策について .................................................................................... 2
(4)関連する実施計画について ............................................................................................ 2
基本計画 ...................................................................................................................................... 3
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(1)概要について ..................................................................................................................... 3
(2)対象施設について ............................................................................................................. 4
(3)計画期間について ............................................................................................................. 4
(4)維持管理業務プロセスについて .................................................................................... 4
その他 .......................................................................................................................................... 5
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(1)ストックマネジメント導入までの長寿命化対策について ...................................... 5
(2)維持管理業務の包括的民間委託について ................................................................... 5
(3)アセットマネジメントについて .................................................................................... 5
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はじめに
我が国においては、過去に建設された公共施設がこれから大量に更新時期を迎えるが、
地方公共団体においては、厳しい財政状況が続く中で、今後、人口減少等により公共施設
の利用需要が変化していくことが見込まれるところであり、早急に公共施設等の全体の状
況を把握し、長期的な視点をもって、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことに
より、財政負担を軽減・平準化するとともに、公共施設の最適な配置を実現することが必
要となっている。
このため、国は、地方公共団体に対して、速やかに公共施設の総合的かつ計画的な管理
を推進するための計画(「公共施設等総合管理計画」)の策定を行うよう求めている。本計
画の対象となる公共施設は、地方公共団体が所有する建築物だけでなく、道路・橋りょう・
下水道等のインフラ施設や公営企業の施設も含むものであり、本市では、インフラ施設に
ついては個別計画を策定することとしている。
これらを踏まえて、本市の膨大な下水道管路施設を計画的かつ効率的に管理するため、
ストックマネジメントの導入・実施による維持管理を中心とした下水道管路施設の維持管
理基本計画(以下、「基本計画」という。)を策定する。
なお、当該基本計画は、下水道施設の個別計画のうち管路施設(管きょ、マンホール、
公共ます、取付け管、吐き口等)の基本計画であり、処理場及びポンプ場施設については、
別途計画を策定する。また、実施計画については、基本計画に基づいて構築する管路施設
情報システム構築を踏まえて策定を行う。
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現状
(1)管路施設の整備概要について
ア 公共下水道施設
公共下水道事業における管路施設は、旧米子市においては昭和44年度に、また
旧淀江町においては平成6年度にそれぞれ事業着手しており、平成26年度末で約
540kmが整備されている。施設の標準耐用年数である50年は経過していない
ものの、約67km(約12%)が破損の危険度が高くなるとされる30年を経過
している(平成26年度末で整備率は約74%)。
イ 農業集落排水施設
農業集落排水事業における管路施設は、旧米子市においては平成3年度に、旧淀
江町においては平成2年度にそれぞれ事業着手しており、平成19年度末で事業完
了し約150km整備されている。
ウ 都市下水路施設
新開川都市下水路は、昭和58年度に事業着手し、平成10年度で事業完了し約
2km整備されており、下流側の約0.2kmが30年を経過している。
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エ 米子流通業務団地内下水道施設
米子流通業務団地内の下水道管路施設は、平成11、12年度に建設され、約3
km整備されている。
(2)管路施設の維持管理の状況について
現状の維持管理については、苦情や事故等の問題が生じてから対応する発生対応
型維持管理(管路施設の補修及び清掃、調査)を中心として行っているが、一旦事
故が発生すると市民生活や社会活動に支障が出るだけでなく、環境へのリスク、長
期的なコスト面などからも好ましくない。また、事故発生箇所や対応状況等の維持
管理情報は、個々の案件ごとの管理となっており、迅速な対応や苦情の再発防止ま
た今後の維持管理の効率化などに十分活用できていない状況にある。
具体的には、以下の対応を行っている。
ア 下水道管路施設補修工事
劣化、破損の状況に応じて、施設の維持補修工事を行っている。
イ 下水道管路施設清掃業務委託
管きょの閉塞状況に応じて、清掃及び調査を行っている。また、過去の閉塞の
発生実績をもとに、定期的に清掃を行っている。
(3)管路施設の老朽化対策について
老朽化により既に不具合が発現している箇所については、長寿命化計画を策定し、
計画的な改築更新を行っているが、
「個々の施設の対策」の域を脱していないことか
ら、施設全体を最適化するストックマネジメント計画により対応する必要がある。
個々の現在の対策は、以下のとおりである。
ア 青木内浜幹線の改築工事(長寿命化計画の策定及び改築工事の実施)
硫化水素による管きょの腐食状況を把握するために、平成24年度に基礎調査を
実施した。その結果、緊急度の高い青木内浜幹線の一部においては、平成25年度
に長寿命化計画を策定し、現在老朽化対策を実施している。対策工事期間は、平成
27年度から平成30年度である。
イ 青木汚水管の改築工事
平成26年度に青木処理分区不明水詳細調査を行った際、管きょの破損が確認
されたことから平成27年度に改築工事を実施する。
(4)関連する実施計画について
ア 総合地震対策計画
「地震対策における管路施設の重要度「重要な幹線等」について(案)」は策定
済みであるが、総合地震対策計画は未策定である。総合地震対策計画の策定に当た
っては、施設全体を最適化するストックマネジメントに基づき、効率の良い実施時
期・投資額を考慮する必要がある。
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イ BCP計画
平成27年2月に「米子市下水道事業業務継続計画(簡易版)」を策定している。
詳細な計画策定に当たっては、総合地震対策計画と同様、施設全体を最適化するス
トックマネジメントに基づき、効率の良い実施時期・投資額を考慮する必要がある。
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基本計画
前述の維持管理の現状を踏まえて、今後の維持管理について次のように定める。
(1)概要について
本市の管路維持管理は、ストックマネジメントに基づく予防保全型施設管理である
「計画的維持管理」と日々の問題解決業務のための機能保全型施設管理である「日常
的維持管理」で構成する。
管路維持管理を効率的・効果的に実施するため、維持管理を通じて得られた情報を
施設情報システムで継続的に蓄積、一元的に管理し、今後の維持管理において効果的
に活用する。
また、維持管理の評価と見直しを行い、維持管理の適切な改善・向上を図る。
関連する実施計画
・総合地震対策計画
・BCP計画
計画的維持管理
日常的維持管理
・問題解決業務
・住民対応業務
・下水道機能保持業務
・災害対応業務
・巡視
ストックマネジメント
・点検、調査
・改築、修繕
施設情報システム
・蓄積、管理
評価と見直し
『
図:維持管理のイメージ
』
※ストックマネジメントの導入効果
・施設の安全性を確保し、良好な施設状態維持が可能となる。
・施設全体のライフサイクルコストの低減が図れる。
・適正かつ合理的な施設管理を実施することが可能となる。
・施設管理が適正かつ合理的に行われていることを、住民にわかりやすく説明
することが可能となる。
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(2)対象施設について
基本計画の対象となる管路施設は、公共下水道管路施設(汚水管、合流管、雨水
管)、農業集落排水管路施設、都市下水路施設、及び米子流通業務団地内管路施設と
する。
(3)計画期間について
基本計画期間は、ストックマネジメントにおける長期改築・修繕計画の対象期間
までとし、20年程度とする。
(4)維持管理業務プロセスについて
維持管理における各維持管理業務プロセスは、以下のとおりとする。
なお、維持管理を行う際には、マニュアルの作成により、それぞれの内容詳細を示
すとともに、位置付けを明確にする。
ア 計画的維持管理
ストックマネジメントを導入・実施する。
(主な内容)
・施設管理の目標設定
・リスクの検討
・長期点検・調査計画の策定
・短期点検・調査計画の策定及び実行
・長期改築・修繕計画の策定
・短期改築・修繕計画の策定及び実行
※短期改築計画は長寿命化計画
イ 日常的維持管理
管路施設の状態を的確に把握し、実施体制を定め、施設不具合の早期発見、早期
対応や緊急的・突発的な事案、苦情等への迅速な対応を行う。
また、短期改築・修繕計画によらない下水道機能保全業務を実施する。
(主な内容)
・問題解決業務
※不明水等の問題解決対応
・住民対応業務
※事故及び苦情対応、承認工事の許認可等
・下水道機能保持業務
※定期的な管きょ清掃、取付け管の突出し対策の劣化箇所ごとの修繕等
・災害対応業務
※BCP計画以外の台風等の災害時における対応
・巡視
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ウ 施設情報システムの構築・運用
維持管理で得られた情報を施設情報システム(下水道台帳管理システム)におい
て継続的に蓄積し、一元的に管理することで、維持管理の効率化と精度向上を図る。
エ 評価と見直し
短期改築・修繕計画の実行完了後を目安に、評価を実施し、維持管理の見直しに
ついて、必要に応じて行う。
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その他
(1)ストックマネジメント導入までの長寿命化対策について
緊急性を要する場合は、経過年数や施設の重要度等を勘案し、対象施設を選定す
るなど、ストックマネジメントの簡易なリスク評価の考えを踏まえた長寿命化計画
を策定・実行する。それらの情報は、施設情報システムで継続的に蓄積、一元的に
管理し、ストックマネジメントに資する。
(2)維持管理業務の包括的民間委託について
維持管理をより効率的・効果的に行うため、将来、維持管理業務の包括的民間委
託の検討が必要となる。
(3)アセットマネジメントについて
より持続的かつ安定的な下水道サービスを提供するため、将来、アセットマネジ
メント(施設資産・資金・人材マネジメント)の導入・実施の検討が必要であり、
ストックマネジメント(施設資産マネジメント)は、その土台として重要となる。
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