認知症介護実践研修(実践者研修)のねらいとカリキュラム (別紙1) 目 認知症に関する基本的な知識や介護技術を習得し,専門職として,認知症高齢者が主体となった生活を支えることができる。 標 対 象 者 編 認知症に関する基本的な知識・介護技術を習得している者であり,かつ介護現場経験が2年以上の者 ねらい(一般目標) 教 科 名 (1) 研修のねらい 1 認 知 症 介 護 の 理 念 認知症介護の経緯及 び新しい認知症介護 の方向性を理解し, (2) 広島県の認知症対策 理念を再構築するこ との重要性を認識す る。 (3) 新しい認知症介護の理念の構築 2 認 知 症 高 齢 者 の 理 解 と 生 活 の 捉 え 方 (1) 医学的理解 到達目標(行動目標) ・ 研修の目的と目標を理解し,自分の達成目標を明確にすることが できる。 ・ 研修の機会を,情報交換,ネットワークづくりの場に活用することが できる。 ・ 認知症対策の流れと広島県の認知症対策の取組を知り,地域に おいて自分自身が今後果たすべき役割を認識し,実践することが できる。 ・ 認知症高齢者の状態に応じた自立した生活を保障するために, 必要な考え方や方向付けについて受講生同士の検討を通じて, 自分自身の言葉で介護理念を構築し,今後の介護ケア において構築した理念の実践をすることができる。 ・ 認知症という病気と症状の理解のみで終るのではなく,認知症 介護を行うに当たって,医学的理解をすることが必要とされる理 由を理解する。 ・ 医学面から本人の生活に及ぼす影響等について考え,より良い ケアの実践に活かすことができる。 内 容 ・ ・ ・ ・ ・ 認知症介護実践研修における実践者研修の位置づけ 実践者研修カリキュラムについて 研修に期待する3つの要素 認知症介護の過去・現在・未来 研修の機会を,主体的,積極的に自分の学習の場 として活用する意義の明示 区分 時間 講義 + 演習 60 ・ 広島県における認知症対策の現状と方向性 ・ その他認知症介護サービス関連の制度,行政情報 講義 30 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 講義 + 演習 295 具体的なねらい 基本理念とは これから求められる新しい高齢者の姿 事業所介護理念例 演習「介護理念構築」 まとめ ・ 認知症の原因疾患とそれに伴う障害等の内容及び それらの個人の生活活動に及ぼす影響 ・ 自立支援の中で医学が果たす役割の提示 講義 100 認知症高齢者のその 人らしい暮らしを支え る方法や重要性を認 (2) 心理的理解 識する。 (3) 生活の捉え方 ・ 認知症を起因とする高齢者の心理変化,生活面への影響を学び, 高齢者の心理面の理解を深める。また,認知症高齢者への周囲 の不適切な対応や環境が及ぼす心理面の影響の内容を理解し, 適切なケアができる。 ・ 認知症という障害を抱える中で自立した生活を送ることの意味と, それを支援することの重要性を理解し,本人主体の適切なケアが できる。 ・ ・ ・ ・ 加齢や老化による心理面への影響と認知症が及ぼす 心理面への影響 個人の生活活動に及ぼす影響 環境が個人に及ぼす心理面の影響 自立支援の中で心理的理解が果たす役割の提示 ・ 生活障害としての認知症の理解 ・ 個人と認知症との関係の理解 ・ 生活支援の重要性の理解 講義 講義 + 演習 115 編 ねらい(一般目標) 教 科 名 (4) 家族の理解・認知症高齢者との 関係理解 (5) 意思決定支援と権利擁護 2 認 知 症 高 齢 者 の 理 解 と 生 活 の 捉 え 方 3 生 活 の 理 解 と 環 境 支 援 認知症高齢者のその (6)生活の質の保障とリスクマネジメント 人らしい暮らしを支え る方法や重要性を認 識する。 (7)生活支援のためのアセスメント 認知症高齢者のその 人らしい暮らしのため の環境づくりをするこ との重要性を認識す る。 到達目標(行動目標) 内 容 区分 時間 ・ 家族介護者及び他の家族も含めた家族の理解と,認知症高齢者と 家族の関係を通して,認知症介護から生じる家庭内の様々な問題 や課題を理解し,家族への支援・相談ができる。 ・ 家族の特質 ・ 在宅介護の実態 ・ 家族支援の基本的な考え方 講義 + 演習 150 ・ 認知症により,日常生活のなかで制限されてしまう個人の自由や 意思決定が,本来どのように保障されるべきかを理解する。 ・ その阻害の例として,虐待,拘束の内容を理解し,権利擁護の 具体的な方法の理解を深める。 ・ ・ ・ ・ 講義 95 講義 + 演習 90 講義 + 演習 180 ・ 認知症を抱えたことで生じる生活上の困難は,本人の生活の質の 低下のみならず,事故の危険性も高めることを知る。 ・ 認知症を抱えた個人の生活の質を継続に保証するためのリスク マネジメントのあり方を知る。 ・ 「医学的理解」から「生活の質と保障とリスクマネジメント」の講義を 基に,高齢者が,自分の能力に応じて自立した生活を送るための 支援として必要な,認知症介護のアセスメントと生活支援の基本 的な考え方の理解を深める。 個人の人権の重要性 自由の尊重と意思決定の尊重 虐待・拘束の定義と具体的内容 権利擁護・成年後見制度 ・ 認知症が及ぼす事故の危険性 ・ リスクマネジメントとは ・ 認知症介護に求められるリスクマネジメントの目的と 内容 ・ 家族の了解を含めたリスクマネジメントの方法 ・ 安全管理と人権関係の整理 ・ 介護現場で,介護理念と個人の介護目標を結びつける ことの重要性 ・ 認知症介護におけるアセスメントとケアプラン作成の 際の基本的考え方 (8)事例演習 ・ 事例を用いて,個人への支援にたったアセスメントと生活支援の 基本的な考え方の理解を深める。 ・ 事例演習による具体的な考え方の体験的理解 ・ 援助方法の展開の体験的理解 演習 150 (1)援助者の位置づけと人間関係論 ・ 「医学的理解」から「生活の質の保障とリスクマネジメント」の講義 を基に,高齢者が,自分の能力に応じて自立した生活を送るための 支援として必要な,認知症介護のアセスメントと生活支援の基本的 な考え方を理解することができる。 ・ ・ ・ ・ ・ 講義 + 演習 135 講義 90 (2)認知症高齢者と援助者等とのコミュニ ケーション ・ 認知症高齢者だけでなく,家族や他の援助者等とのコミュニケー ションに際して,コミュニケーションの本質(意義・目的とすること)を 理解し,そのうえで実践で活用できる技法の基本を理解する。 認知症ケアの基本的な考え方 アセスメントの必要性 中核症状のアセスメント ケアマネジメントにおける5つの視点 センター方式ケアマネジメントシート ・ コミュニケーションの本質と方法 ・ コミュニケーションをとることの意義と目的 ・ 認知症高齢者とのコミュニケーション技法 ・ 家族とのコミュニケーション技法 ・ 他の援助者とのコミュニケーション技法 ・ 事例を用いた具体的な援助展開方法の理解 編 ねらい(一般目標) 教 科 名 (3) 人的・住居環境と生活・介護 との関連 3 生 活 の 理 解 と 環 境 支 援 認知症高齢者のその (4) 地域社会環境との関連 人らしい暮らしのため の環境づくりをするこ との重要性を認識す る。 (5) 生活支援の方法 (6) メンタルヘルスと自己管理 4 実 習 自己課題を設定の上 (1)自施設実習 実習し,自分自身の 認知症ケアを振り返 り,実践に活かすこと ができる。 (2)実習結果報告とまとめ 5 自 己 評 価 当日の講義・演習を 振り返ることにより学 びを確認し,研修修 研修受講後の自己評価 了後の実践に活か す。 到達目標(行動目標) ・ 認知症高齢者を取り巻く人間関係としての人的環境と住まい (自宅,グループホーム,施設など)を中心とした住居環境の理解を 深め,二つの環境の持つ意味・重要性を考え,援助者として環境に 働きかけることができる。 内 容 ・ ・ ・ ・ 区分 時間 生活環境について 住居的環境について 人的環境について 演習 講義 + 演習 150 地域とは 地域環境が認知症の人に与える影響 家族支援と社会資源の活用 安心して暮らせる町を目指して まとめ 講義 + 演習 120 ・ 地域社会,社会保障制度などの地域社会環境の理解を深め, 環境の持つ意味・重要性を考え,援助者として環境に働きかけ ることができる。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 認知症高齢者がさまざまな人的・物的・社会的環境の中で生活 していくことをどのように支援していくべきかを理解し,その方法を 考え,実践することができる。 ・ 援助者の視点 ・ 生活支援の基本的視点 ・ 演習・事例 講義 + 演習 100 ・ セルフケアについて 講義 + 演習 30 ・ 実習説明 ・ 実習計画案の作成 演習 225 ・ 実習課題に沿った実習の展開 ・ 研修目的に沿っていること 実習 4週間 ・ 実習課題に沿った実習の展開の結果を整理し報告 ・ 研修全体の自己評価の実施 ・ 他研修生の自己評価の確認 演習 ・ 介護者自身が健康を維持する方法を理解する。 ・ 認知症介護におけるストレスを軽減し,健康が維持できる。 ・ 学んだ知識と技術をもとに,自施設の持つ課題にそった実習に取り 組むことができる。 ・ 実習が設定した課題に沿って実施できたかを各自で振り返り, 報告し,実習課題がどの程度達成できたかを評価する。 ・ 研修受講前,研修直後の各科目の学びの状況及びその学びの実 践について自己評価を行い,研修の学びを実践に活かす。 ・ 研修受講前自己評価 ・ 研修直後自己評価 1日 演習 50 計 2,165分
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