秦野赤十字病院 〔2年次選択科〕小児科研修プログラム このプログラムは、幅広い診療能力を有する臨床医となるために必要な小児科診療を研修 することを目的として作成されたものである。小児科を診療する際には、医療の基本である 疾患を診るのではなく病人を診るという全人的、包括的な診療姿勢が特に強く求められる。 Ⅰ 研修施設 秦野赤十字病院 Ⅱ 研修期間 原則として2年選択時の1~2ヶ月間とする Ⅲ 指導責任者 秦野赤十字病院 小児科医長 小池 隆志 Ⅳ 一般的な目標 ■基本的診断・検査法■ 【一般目標 GIO】 ・小児および小児診療の特性を学び経験し、初歩的な診察、処置等を習得する ・小児、成育医療を必要とする患者とその家族に対して全人的に対応する 【到達目標 SBOs】 ●小児の特性 ・正常小児の成長、発育に関する知識を学ぶ ●小児科診療の特性 ・周産期や小児の各発達段階に応じて適切な医療の提供ができる ・周産期や小児の各発達段階に応じて心理社会的側面への配慮ができる ・両親または保護者の観察を十分に引き出すための問診(インタビュー)法を学ぶ ・両親または保護者とのコミュニケーションの重要性を学ぶ ・小児の薬用量、補液量、検査の基準値に関する知識を習得する ・乳幼児の検査に不可欠な鎮静法、採血、血管確保などを経験する ・救急診療、時間外診療を経験する ・小児予防医学:予防接種外来、乳児健診外来を経験する ●小児期の疾患の特性 ・成長、発達過程における疾患内容に違いを学ぶ ・各種感染症や急性疾患の頻度が高いことを学ぶ ・急速な病状の変化とそれに対する迅速な対応を経験する ・新生児医療は専門性が高い領域であることを学ぶ (基本研修プログラム)P.72 秦野赤十字病院 Ⅴ 具体的な研修目標 ■面接・指導法■ 【一般目標 GIO】 ・両親、保護者から診断に必要な情報を的確に聞き取り指導する方法を習得する 【到達目標 SBOs】 ・小児に不安を与えないように接することができる ・両親、保護者と良好なコミュニケーションを保ち適切な情報を得ることができる ・両親、保護者に対して指導医とともに病状を適切に説明し、指導することができる ・虐待について説明できる ■基本的診察法■ 【一般目標 GIO】 ・小児疾患の診断と治療に必要な知識を習得する 【到達目標 SBOs】 ・小児の正常な身体発育、精神発達、生活状況を理解し、評価できる ・母子健康手帳を理解し活用できる ・小児の年齢に応じた適切な方法で身体所見をとることができる ・視診により全身状態、栄養状態を評価し所見の有無を判断できる ・乳幼児の咽頭の診察ができる ・小児の鼓膜所見を診ることができる ・発疹所見を述べることができ、鑑別診断ができる ・下痢の回数、性状(硬さ、量、粘液、血液、膿の有無)を述べることができる ・重要な腹部所見を述べることができる ・咳嗽の性状(乾性、湿性、犬吠様等)と呼吸困難の有無を説明できる ・痙攣の型、持続時間、意識障害の程度を評価し述べることができる ・髄膜刺激症状の有無を述べることができる ・肺音、心音の聴取技術を習得し適格に記載できる ■基本的手技■ 【一般目標 GIO】 ・小児、特に乳幼児の検査および治療の基本的な知識と手技を習得する 【到達目標 SBOs】 ・指導医のものとで採血ができる ・指導医のもとで皮下注射ができる ・指導医のもとで導尿ができる ・指導医のもとで輸液ができる ・指導医のもとで浣腸ができる ・指導医のもとで高圧浣腸、注腸ができる ・指導医のもとで胃洗浄ができる ・指導医のもとで新生児の臍肉芽の処置ができる ・指導医のもとで新生児の血管確保ができる ・新生児の光線療法の必要性の判断および指示ができる (基本研修プログラム)P.73 秦野赤十字病院 ■文書記録■ 【一般目標 GIO】 ・適切に文書を記録し管理することができる 【到達目標 SBOs】 ・診療記録、診療要約などの医療記録、処方箋、指示箋、診断書、その他の文書の作成、保 存ができる ■薬物療法■ 【一般目標 GIO】 ・小児に用いる主要な薬剤に関する知識と用量・用法の基本を習得する 【到達目標 SBOs】 ・小児の薬用量を理解し、一般薬剤を処方できる ■小児の救急■ 【一般目標 GIO】 ・小児に多い救急疾患の基本的知識と処置、検査の手技を習得する 【到達目標 SBOs】 ・指導医のもとで喘息発作(中発作以下)の応急処置ができる ・指導医のもとで脱水症状の応急処置ができる ・指導医のもとで痙攣の応急処置ができる ・指導医のもとで腸重積症を診断し、発症時刻を推定し、整復治療ができる Ⅵ 経験すべき症状と疾患 【経験すべき症状】 ・発熱 ・痙攣、意識障害 ・咳、喘鳴、呼吸困難 ・発育の遅れ ・嘔吐、下痢、腹痛 ・心雑音、不整脈 ・哺乳不良(体重増加不良) ・チアノ-ゼ ・貧血 ・多尿、乏尿 ・黄疸 ・皮膚の異常(湿疹、紫斑など) 【経験すべき疾患】 ・かぜ症候群、咽頭炎、扁桃炎 ・小児細菌感染症(急性気管支炎、肺炎、胃腸炎、尿路感染症、髄膜炎) ・気管支炎 ・小児ウイルス感染症(麻疹、水痘、流行性耳下腺炎、突発性発疹、インフルエンザ、冬期 嘔吐下痢症) ・川崎病 ・先天性心疾患 ・腸重積症 ・小児痙攣性疾患 ・気管支喘息 Ⅴ 指導医リスト 指導医名 職名 学歴・資格等 小池 隆志 小児科医長 日本小児科学会専門医 兵頭 裕美 小児科医師 日本小児科学会専門医 (基本研修プログラム)P.74
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