2016.4.22 今月の経済・金融情勢 ~わが国をめぐる経済・金融の現状~ 2016年4月 農林中金総合研究所 調査第二部 http://www.nochuri.co.jp/publication/situation/index.html 経 済 ・ 金 融 【米 国】 情 勢 資 料 2 0 1 6 年 4 月 • 3月15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、15年12月に引き上げた政策金利(0.25~0.5%)の 維持が決まった。なお、会合後に公表された政策金利見通しでは、16年内の利上げ幅を0.5%(昨年12月 時点では1.0%)に下方修正した。 • 米国の経済指標をみると、雇用統計(3月)の失業率は5.0%と先月から0.1ポイント悪化したが、非農業部 門雇用者数は21.5万人増と事前予測(20.5万人増)を上回った。また、個人消費等も底堅く推移しているも のの、設備投資や輸出はこれまでのドル高の影響から軟調が続いている。経済は回復を続けているもの の、先行き不安も払拭しきれていない。 • 3月14~15日の日銀金融政策決定会合では、1月に導入されたマネタリーベースが年間80兆円に相当する ペースで増加するよう金融市場調節を行うことに加え、日銀当座預金の一部に▲0.1%のマイナス金利を 適用する「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の継続を決定した。 • 日本の経済指標をみると、日銀短観(3月調査)の大企業製造業の業況判断DIは6と、前回12月時点(12) から6ポイント低下し、先行き6月も3と、3ポイント低下している。また、2月の機械受注(船舶・電力を除く民 需)は前月比▲9.2%と3ヶ月ぶりに減少したほか、2月の鉱工業生産指数(確報値)も前月比▲5.2%と2ヶ 月ぶりに低下した。このように、国内景気は依然として足踏み状態を続けている。また、4月14日に発生し た平成28年熊本地震の影響にも注意が必要である。 【金融市場】 • 長期金利(新発10年国債利回り)は、1月末に日銀が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入したこ とにより大幅に低下し、3月中旬には過去最低の▲0.135%を付けた。4月には国内経済の低調さなどを受 けて追加緩和期待が高まったこともあり、超長期を含めてイールドカーブ全体のフラット化が続いている。 • 日経平均株価は、4月上旬には円高圧力の高まりを受けて、15,500円前後まで下落。その後持ち直すも、4 月中旬には原油価格の下落や熊本地震に対する懸念の高まりなどを受けて再び下落した。ただし、直近 は原油価格の上昇などを受けて上昇し、半年ぶりに17,000円台を回復した。 • ドル円相場は、3月16~17日のFOMCで利上げ見通しが下方修正されたほか、イエレンFRB議長の早期利 上げに慎重な発言もあり、円高・ドル安が進行。4月中旬には1年半ぶりに1ドル=107円台半ばと、1年5ヶ 月ぶりの円高水準を付けた。その後は、ドル買い戻しの流れもあり、109円前後での推移となっている。 • 原油相場(NY市場・WTI期近)は、4月17日の産油国会合で増産凍結に向けた動きが進展するとの期待が 高まり、1バレル=43ドル台まで上昇したが、同会合の結果が不調に終わったことから、一時37ドル台半ば まで下落。ただしその後は、クウェート石油労働者のストライキ騒動やアメリカでの原油減産もあって上昇し、 直近は42ドル前後で推移している。 【日 本】 2 米国経済:経済は回復を続けているものの、先行き不安も (%) 米国雇用統計 イールドスプレッドとFFレート誘導目標 (政策金利)の関係 (%) (千人) 4.5 3.0 2.5 500 非農業部門雇用者数変化(右軸) 失業率(左軸・逆目盛) 5.0 2.0 400 5.5 300 6.0 200 6.5 100 1.5 1.0 FFレート 10年国債-3ヶ月TB 10年国債-FFレート 0.5 7.0 0.0 '13.4 '13.10 '14.4 (資料)Bloombergより作成 '14.10 '15.4 '15.10 '16.4 0 '14.3 '14.9 '15.3 '15.9 '16.3 (資料)Bloombergより作成 • 米国金融政策:3 月15~16日 の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、15年12月に引き上げた政策金利(0.25~ 0.5%)の維持が決まった。なお、会合後に公表された政策金利見通しでは、16年内の利上げ幅を0.5%(昨年12月時 点では1.0%)に下方修正した。(次回FOMCは4月26~27日) • 米国経済:雇用統計(3月)の失業率は5.0%と先月から0.1ポイント悪化したが、非農業部門雇用者数は21.5万人増と 事前予測(20.5万人増、ブルームバーグ社集計)を上回った。また、個人消費等も底堅く推移しているものの、設備投 資や輸出はこれまでのドル高の影響から軟調が続いている。経済は回復を続けているものの、先行き不安も払拭し きれていない。 3 国内経済:景気は足踏み状態 (千億円) 9.5 国内:機械受注(船舶・電力を除く民需) (%) 8.0 機械受注受注額(季調済) 3ヶ月移動平均 四半期実績・翌期見通し 9.0 国内:鉱工業生産 (%) 12 前月比(季調済・左軸) 前年比(右軸) 6.0 製造工業 生産予測 4.0 8.5 9 6 2.0 3 0.0 8.0 0 ▲ 2.0 7.5 1~3月期見通し :前期比8.6% 7.0 '13.6 '13.12 '14.6 '14.12 '15.6 (資料)Bloomberg(内閣府「機械受注統計」)より作成 ▲3 ▲ 4.0 '15.12 ▲ 6.0 ▲6 '13.8 '14.2 '14.8 '15.2 '15.8 '16.2 (資料)Bloomberg(経済産業省「鉱工業生産」)より作成 • 日銀短観:日銀短観(3月調査)によると、大企業製造業の業況判断DIは6と、前回12月時点(12)から6ポイント低 下し、先行き6月も3と、6ポイント低下している。 • 機械受注:民間設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の2月分は、前月の大幅増の反動 もあり、前月比▲9.2%と3ヶ月ぶりに減少した。 • 鉱工業生産:2月の鉱工業生産指数(確報値)は、前月比▲5.2%と2ヶ月ぶりに低下した。ただし、製造工業生産 予測調査によると、3月は同3.9%、4月は同5.3%とともに上昇が予想されている。 4 長期金利:低下圧力が継続 日米独の長期金利 (%) (%) 1.4 3.5 1.2 3.0 1.0 2.5 0.8 2.0 0.6 1.5 0.4 0.2 0.0 ▲ 0.2 '12.4 1.0 日本新発10年国債利回り(左軸) 米国財務省証券10年物国債利回り(右軸) 独国10年国債利回り(右軸) '12.10 '13.4 '13.10 0.5 0.0 '14.4 '14.10 '15.4 '15.10 ▲ 0.5 '16.4 (資料)Bloombergより作成 • 日銀金融政策:3月14~15日の日銀金融政策決定会合では、1月に導入されたマネタリーベースが年間80兆円に 相当するペースで増加するよう金融市場調節を行うことに加え、日銀当座預金の一部に▲0.1%のマイナス金利 を適用する「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の継続を決定した。(次回会合は4月27~28日) • 長期金利(新発10年国債利回り):1月末に日銀が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入したことにより 大幅に低下し、3月中旬には過去最低の▲0.135%を付けた。4月には国内経済の低調さなどを受けて追加緩和 期待が高まったこともあり、超長期を含めてイールドカーブ全体のフラット化傾向が続いている。 5 株価:17,000円台を回復 (円) 日経平均株価指数 (ドル) 22,000 19,000 20,000 18,000 18,000 17,000 ニューヨークダウ工業株30種平均指数 16,000 16,000 15,000 14,000 14,000 12,000 13,000 10,000 12,000 11,000 8,000 '12.4 '13.4 (資料)Bloombergより作成 '14.4 '15.4 '16.4 '12.4 '13.4 '14.4 '15.4 '16.4 (資料)Bloombergより作成 • 日本株価(日経平均):4月上旬には円高圧力の高まりを受けて、15,500円前後まで下落。その後持ち直すも、4月 中旬には原油価格の下落や熊本地震に対する懸念の高まりなどを受けて再び下落した。ただし、直近は原油価 格の上昇などを受けて上昇し、半年ぶりに17,000円台を回復した。 • 米国株価(NYダウ平均):4月上旬は、連邦準備制度理事会(FRB)の慎重な利上げ姿勢や原油価格の持ち直し を受けて17,500ドル前後で底堅く推移した。4月中旬以降も、企業決算が予想を上回ったことなどを受けて上昇し、 直近は9ヶ月ぶりに18,000ドル台を回復している。 6 為替:円高圧力は根強い (円/ドル) (円/ユーロ) (ドル/ユーロ) 円の対ドル及び対ユーロ相場 127 145 1.18 140 1.16 121 135 1.14 118 130 1.12 115 125 1.10 120 1.08 115 1.06 110 1.04 円安 124 112 円高 円/ドル(左軸) 円/ユーロ(右軸) 109 106 4月 6月 8月 (資料)Bloombergより作成 10月 12月 2月 4月 ドルの対ユーロ相場 ドル安・ ユーロ高 ドル高・ ユーロ安 4月 6月 8月 10月 12月 2月 4月 (資料)Bloombergより作成 • ドル円相場:3月16~17日のFOMCで利上げ見通しが下方修正されたほか、イエレンFRB議長の早期利上げに慎 重な発言もあり、円高・ドル安が進行。4月中旬には1年半ぶりに1ドル=107円台半ばと、1年5ヶ月ぶりの円高水 準を付けた。その後は、ドル買い戻しの流れもあり、109円前後での推移となっている。 • ユーロ円相場:3月にECB総裁が利上げ打ち止め発言を行ったこともあって円安・ユーロ高が進行していたが、そ の後はドル円相場にけん引される形で対ユーロでも円高が進行。4月中旬以降は1ユーロ=122~123円と、1ヶ月 ぶりの円高水準で推移している。 7 原油:産油国会合は不調も、上昇傾向に転じる 石油需給(3ヶ月移動平均) (百万バレル) 4 4.0 需給差(需要-供給) 3 2 2.0 1 1.0 0 0.0 ▲1 ▲ 1.0 ▲2 ▲ 2.0 供給超過 ▲ 4.0 '13.9 100 80 60 40 NY原油先物・WTI期近 OPEC原油バスケット価格 ▲ 3.0 ▲4 '13.3 120 3.0 石油需要前年比(右軸) ▲3 '14.3 (資料)Bloomberg より作成 '14.9 国際原油市況 (ドル/バレル) '15.3 '15.9 '16.3 20 '14.4 '14.10 '15.4 '15.10 '16.4 (資料)Bloombergより作成 • 原油先物(ニューヨーク市場・WTI期近):4月17日の産油国会合で増産凍結に向けた動きが進展するとの期待 が高まり、1バレル=43ドル台まで上昇したが、同会合の結果が不調に終わったことから、一時37ドル台半ばま で下落。しかしその後は、クウェート石油労働者のストライキ騒動やアメリカでの原油減産もあって上昇し、直近 は42ドル前後で推移している。 • 米エネルギー情報局(EIA):4月のエネルギー見通しで、16年の原油先物(WTI期近)価格の見通しを1バレル= 34.60ドルに上方修正した。また、17年の同価格の見通しも1バレル=40.58ドルに上方修正した。 8 BRICs+豪:中国指標に下げ止まり、市場にもやや明るさ ('15.1=100) BRICs+豪 株価の推移 180 160 ('15.1=100) 中国・上海総合 インド・SENSEX30 ロシア・RTS ブラジル・ボベスパ 豪・ASX200 140 160 150 米ドル高 140 130 120 110 120 100 90 100 80 70 80 60 60 '14.4 '14.10 (資料)Bloombergより作成 BRICs+豪 対米ドル相場の推移 '15.4 '15.10 '16.4 中国・人民元 インド・ルピー ロシア・ルーブル ブラジル・レアル 豪ドル 50 '14.4 '14.10 '15.4 '15.10 '16.4 (資料)Bloombergより作成 • 中国:国家統計局発表の製造業PMI(3月)は50.2と、15年6月の水準まで回復、財新・Markit製造業PMI(3月)は49.7も1ポイント以上の大幅回復。政 府当局の財政・金融刺激策が下支えしており、上海株も緩やかに上昇。1~3月期の実質GDP成長率は前期比6.7%と、7年ぶりの低成長であった。 • インド:4月5日、インド準備銀は、政策金利の引き下げを決定した。卸売物価指数(WPI、3月)は前年比▲0.9%と17ヶ月連続のマイナス。消費者物 価指数(3月)は前年比4.8%と、2月(同5.3%)から鈍化。食品価格の下落が主な要因であった。鉱工業生産(2月)は前年比2.0%と、4ヶ月ぶりに上 昇。新車販売台数(3月)は前年比8.7%と、9ヶ月連続で増加。 • ロシア:3月の消費者物価指数は前年比7.3%と、上昇幅は2月から0.8ポイント縮小し、7ヶ月連続で鈍化した。原油安と為替の変動相場制の採用に 伴うルーブル安の影響が薄らいできたためである。 • ブラジル:3月の消費者物価指数(IPCA)は前年比9.4%と、2ヶ月連続で上昇幅は縮小した。17日には下院本会議で、ルセフ大統領に対して弾劾す べきだとする決議を可決した。弾劾請求は、5月初旬にも上院本会議で審議が開始される見込みで、ルセフ大統領は、最終的に失職する可能性が 高まっている。政権交代への期待から、レアルは15年8月以来8ヶ月ぶり、ボベスパ指数は15年6月以来10ヶ月ぶりの水準まで上昇した。 • オーストラリア:豪中銀は4月5日、政策金利の維持を決定した。公表された声明によれば、低インフレにより利下げ余地が生まれる可能性を指摘し た。2月の雇用指標は、失業率5.8%と1月から0.2ポイント改善、雇用者数は0.03万人増(正規雇用者数が1.59万人増、非常勤雇用者が1.56万人減) で、市場予想を下回った。しかし、15年10~12月期実質GDP成長率は、予想を上回る前年比3.0%となり、利下げ観測は後退した。 9 政府・日銀の景気判断:政府は据え置き 年 月 政府月例経済報告 日銀金融経済月報/経済・物価情勢の展望等 5月 景気は、緩やかな回復基調が続いている。 わが国の景気は、緩やかな回復を続けている。 6月 景気は、緩やかな回復基調が続いている。 わが国の景気は、緩やかな回復を続けている。 7月 景気は、緩やかな回復基調が続いている。 わが国の景気は、緩やかな回復を続けている。 8月 景気は、このところ改善テンポにばらつきもみられるが、緩やかな回復 基調が続いている。 わが国の景気は、緩やかな回復を続けている。 9月 景気は、このところ一部に鈍い動きもみられるが、緩やかな回復基 調が続いている。 わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみ られるものの、緩やかな回復を続けている。 10月 景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が 続いている。 わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみ られるものの、緩やかな回復を続けている。 11月 景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が 続いている。 わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみ られるものの、緩やかな回復を続けている。 12月 景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が 続いている。 わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみ られるものの、緩やかな回復を続けている。 1月 景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が 続いている。 わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみ られるものの、緩やかな回復を続けている。 2月 景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が 続いている。 3月 景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いてい る。 わが国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍 さがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている。 4月 景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いてい る。 ※4月28日発表予定 2015年 2016年 (資料)内閣府「月例経済報告」、日銀「金融経済月報」、「経済・物価情勢の展望」、会合終了後の声明文より農中総研作成 (注)矢印は景気判断の方向を示す • 政府:4月の景気判断を前月から据え置いた。ただし、「平成28年(2016年)熊本地震の経済に与える影響に十分 留意する必要がある」とした。 10 農林中金総合研究所 無断転載を禁じます。本資料は情報提供のみを目的に作成されたものです。投資のご判断等はご自身の責任でお願いいたします。 ©2016 Norinchukin Research Institute Co., Ltd 〒101-0047 東京都千代田区内神田1-1-12 (株)農林中金総合研究所 調査第二部 ℡03-3233-7752 [email protected]
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