〔科目名〕 〔単位数〕 4単位 仏教の思想 〔担当者〕 羽矢辰夫 HAYA Tatsuo 〔科目区分〕 教養科目 〔オフィス・アワー〕 時間: 後で知らせる 場所: 〔科目の概要〕 われわれの日常生活にまで深く結びついていながら、 意外と知られていない仏教のオリジナルな思想を学ぶこと によって、みずからの精神性を省みるよすがとしたい。仏教にはいろいろな側面があるが、われわれにとって最も 大切なものは、いわゆる宗教としての側面ではなく、われわれ自身がいかに生き、いかに死んでいくかという、あ る意味で普遍的な、われわれの人生の根本的な問題を考えるときに重要なヒントを与えてくれる思想にある。この ようなスタンスで、思想に重点をおきながら、仏教について考えていきたい。 前半は、インドで仏教が興るにいたった背景、仏教の開祖であるゴータマ・ブッダのオリジナルな思想、東南ア ジアおよび東アジアに伝わった仏教について論じ、 現代の日本人と仏教との関連について考えていく。 そのなかで、 ゴータマ・ブッダの思想ならびに仏教の思想の現代的な意義が明らかになるであろう。 後半は、大乗仏教思想の頂点の一つである唯識派の思想をとりあげる。唯識思想は、われわれ普通の人のこころ はどうなっているのか、われわれはどうして悩むのか。また覚った人のこころはどうなっているのか、どうすれば さわやかに生きられるのか、ということを非常にうまく説明している。その理屈がわかると、仏教を信仰する・し ないを問わず、妙に納得してしまうであろう。唯識派は無意識の領域を1500年前にすでに発見していた。そう いう意味では、仏教の深層心理学とも呼べるものである。 。唯識思想を学ぶことによって、無意識を含めた自分自 身のこころの洞察を深め、より多面的な観点から自分自身の人生について考えていく。 仏教の思想を実践的に理解するために、授業の最初15分間を瞑想の時間とする。 〔「授業科目群」・他の科目との関連付け〕・〔なぜ、学ぶ必要があるか・学んだことが、何に結びつくか〕 「宗教の哲学」において、ある程度、自分という存在が明確になった次の段階として、 「仏教の思想」は想定さ れている。自分自身の内面に向かっていた眼を外側にも開き、バランスをとりながら、自己と他者、自己と社会、 自己と自然とのつながりに鋭敏になることで、 自分自身および人間や自然に対する理解をより深めていけるであろ う。みずからの視野を広げ、洞察を深めて、精神面で大きく成長することが期待される.。 「仏教の思想」では、古来からの伝統的な考え方やテクニックをよりどころにする。とくに仏教の考え方につい ては、わが国の精神的な伝統そのもの、ないしそれと緊密につながっているものであり、失われつつあるものの、 実際に触れてみると、自分たちの精神の根底に流れているものであることを感じるはずである。あらためて、みず からの存在のよりどころ、あるいは精神的な基盤、思想的な根拠に気がつくかもしれない。 経営経済学を学ぶという点では、 経営経済活動は基本的に人間の営みであるので、 人間に対する理解なくしては、 充分な学びとはならない。そのような意味で、 「仏教の思想」は、 「宗教の哲学」とならんで、本学での学びにおけ る精神的な基礎となる部分を養う科目ということになる。また、人間一般というのではなく、いままさに生々しい 現実を生きている自分自身をひとつのモデルとして考察をすすめるがゆえに、リアリティをともない、血の通った 学びを経験的に知ることが期待される。 瞑想は仏教の思想を理解するときに不可欠なものというだけでなく、集中力をつけたり、リラックスできたり、 これからの人生のさまざまな場面で実際に役にたつものである。できるだけ習熟されたい。 〔科目の到達目標(最終目標・中間目標)〕 最終目標 ・ 仏教の根本であるゴータマ・ブッダの思想を、現代に生きるわれわれ自身との関連で理解する。 ・ 大乗仏教思想の頂点の一つ、唯識の思想を、現代に生きるわれわれ自身との関連で理解する。 中間目標 ・ 信じる宗教とは違った、目覚める宗教があることを理解する。 ・ 瞑想の仕方に慣れ、その意義を理解する。 ・ 無意識の領域への洞察を深める。 〔学生の「授業評価」に基づくコメント・改善・工夫〕 ・学生が瞑想に集中できる環境づくりに努めたい。 〔教科書〕 羽矢辰夫『ゴータマ・ブッダ』春秋社,1999 年。 〔指定図書〕 羽矢辰夫『ゴータマ・ブッダの仏教』春秋社, 2003 年。 羽矢辰夫『ゴータマ・ブッダのメッセージ』大蔵出版, 2011 年。 岡野守也『わかる唯識』水書坊,1995 年。 岡野守也『唯識と論理療法』佼成出版社,2004 年。 〔参考書〕 適宜指示する 〔前提科目〕 な し 〔学修の課題、評価の方法〕(テスト、レポート等) ・ 出席が3回確認できなかった者の成績は、2グレード下がる。 ・ 出席が4回確認できなかった者の成績は、自動的にFとなる。 〔評価の基準及びスケール〕 中間レポートおよび期末レポートによって、成績評価を行なう。 A:100~80 B:79~70 C:69~60 D:59~50 F:49~ 0 〔教員としてこの授業に取り組む姿勢と学生への要望〕 ・ 学生が自分で考えを深め、精神的な側面で成長するのを少しでも手助けできればと思っている。 ・ これからの人生を豊かに送るための基礎づくりのきっかけとして、まず自分自身に関心をもち、何かひとつで も自分で気づいたと感じられるように、すなおに自分と向き合っていただきたい。 ・ 瞑想には、かならず参加すること。 ・ 遅刻すると入室できないので、気をつけること。 第1回 授業スケジュール テーマ(何を学ぶか): イントロダクション 内 容: 現代インドにおける仏教 第2回 教科書・指定図書 テーマ(何を学ぶか): 仏教以前の思想 内 容: 瞑想について、ヴェーダの宗教 第3回 教科書・指定図書 テーマ(何を学ぶか): 仏教以前の思想 内 容: ウパニシャッドの神秘思想 第4回 教科書・指定図書 テーマ(何を学ぶか): 原始仏教 内 容: 原始仏教の成立 教科書 『ゴータマ・ブッダ』131-149ページ 第5回 テーマ(何を学ぶか): 原始仏教 内 容: 原始仏教経典 第6回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』131-149ページ テーマ(何を学ぶか): ゴータマ・ブッダ 内 容: ゴータマ・ブッダの思想と実践 1 第7回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』3-129ページ テーマ(何を学ぶか): ゴータマ・ブッダ 内 容: ゴータマ・ブッダの思想と実践 2 第8回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』3-129ページ テーマ(何を学ぶか): ゴータマ・ブッダ 内 容: ゴータマ・ブッダの思想と実践 3 第9回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』3-129ページ テーマ(何を学ぶか): ゴータマ・ブッダの生涯 内 容: 『リトル・ブッダ』を観る 1 第 10 回 教科書・指定図書 テーマ(何を学ぶか): ゴータマ・ブッダの生涯 内 容: 『リトル・ブッダ』を観る 2 第 11 回 教科書・指定図書 テーマ(何を学ぶか): ゴータマ・ブッダ 内 容: ゴータマ・ブッダの思想と実践 4 第 12 回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』151-226ページ テーマ(何を学ぶか): ゴータマ・ブッダ 内 容: ゴータマ・ブッダの思想と実践 5 第 13 回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』151-226ページ テーマ(何を学ぶか): ゴータマ・ブッダ 内 容: ゴータマ・ブッダの思想と実践 6 第 14 回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』151-226ページ テーマ(何を学ぶか): ゴータマ・ブッダ 内 容: ゴータマ・ブッダの思想と実践 7 第 15 回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』151-226ページ テーマ(何を学ぶか): 仏教の伝播とその受容 内 容: 現代のタイの仏教 第 16 回 教科書・指定図書 テーマ(何を学ぶか): 仏教の伝播とその受容 内 容: 現代のミャンマーの仏教 第 17 回 教科書・指定図書 テーマ(何を学ぶか): 仏教の伝播とその受容 内 容: 現代の中国の仏教 教科書・指定図書 第 18 回 テーマ(何を学ぶか): 大乗仏教の興起 内 容: 仏像の誕生 第 19 回 教科書・指定図書 テーマ(何を学ぶか): 大乗仏教の思想 内 容: 中観派の空の思想 第 20 回 教科書・指定図書 テーマ(何を学ぶか): 唯識の思想 内 容: 唯識はこうして日本に来た 第 21 回 指定図書 『わかる唯識』第一章 テーマ(何を学ぶか): 煩悩の話 内 容: ふつうの心は病気の心 1 第 22 回 指定図書 『わかる唯識』第二章 テーマ(何を学ぶか): 煩悩の話 内 容: ふつうの心は病気の心 2 第 23 回 指定図書 『わかる唯識』第二章 テーマ(何を学ぶか): 善の話 内 容: 心にはいいところだってある 第 24 回 指定図書 『わかる唯識』第三章 テーマ(何を学ぶか): 八識の話 内 容: 心の仕組みはこうなっている 第 25 回 指定図書 『わかる唯識』第四章 テーマ(何を学ぶか): マナ識の話 内 容: つい自分にこだわってしまう心 第 26 回 指定図書 『わかる唯識』第五章 テーマ(何を学ぶか): アーラヤ識の話 内 容: どうしてもいのちにこだわってしまう心 第 27 回 指定図書 『わかる唯識』第六章 テーマ(何を学ぶか): 四智の話 内 容: ほんとうに健康でさわやかな心とは 第 28 回 指定図書 『わかる唯識』第七章 テーマ(何を学ぶか): 三性の話 内 容: ものごとの見え方は三つ 第 29 回 指定図書 『わかる唯識』第八章 テーマ(何を学ぶか): 五位の話 内 容: 健康回復はステップをふんで 第 30 回 指定図書 『わかる唯識』第九章 テーマ(何を学ぶか): 六波羅蜜の話 内 容: 健康になるにはこうすればいい 指定図書 『わかる唯識』第十章 試 験
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