16.04.14 米国株式市場の動向と今後の見通し

2016年4月14日
投資情報室
臨時レポート
米国株式市場の動向と今後の見通し
米国株式市場の動向とその背景
NYダウは2月11日の15,660ドルを底値に回復傾向となっています。同指数の昨年末比パフォーマンスは4月
8日時点で約0.9%のプラスと、他の主要先進国株式に比較して堅調に推移しています。
想定される要因は以下の通りです。
① イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長発言や3月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨で早
期の追加利上げに関する慎重姿勢が再確認され、金利上昇懸念が後退したこと
② 波乱要因となっていた原油価格や中国株式が落ち着きを取り戻したこと
③ 米国に対する世界経済のけん引役としての期待が高まったこと
④ 為替市場でドル高修正の動きとなったこと
図表2:主要先進国株式のパフォーマンス(2015年末比)
図表1:NYダウ
19,000
(2014年1月2日~2016年4月8日 日次)
-20
(ドル)
-15
(2016年4月8日時点)
-10
-5
0
(%)
米国
NYダウ
18,000
5
英国
豪州
17,000
フランス
史上最高値
18,312ドル
(5月19日)
16,000
ドイツ
日本
15,000
(注)使用指数(すべて現地通貨ベース)
米国:NYダウ、英国:FT100、豪州:オールオーディナリーズ
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
フランス:CAC40、ドイツ:DAX、日本:日経平均
(年/月)
出所:図表1~2はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
<金利上昇懸念の後退>
 FRBの利上げに慎重な姿勢を受け、当面は住宅や自動車ローン金利も低水準で推移する可能性があ
ります。住宅や自動車販売の増加等を通じて米国景気回復に好影響をもたらすものと思われます。
図表3:米10年国債金利と住宅ローン(30年固定)金利
(2013年1月4日~2016年4月1日 週次)
6
(%)
住宅ローン金利(30年固定)
米10年国債金利
5
図表4:米住宅販売(年率・3ヵ月平均)
(2013年1月~2016年2月 月次) 60
575
(万戸)
550
中古住宅販売(年率、3ヵ月平均)(右軸)
(万戸)
新築住宅販売(年率、3ヵ月平均)(左軸)
55
4
525
50
3
500
45
2
475
40
1
450
16/1
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
(年/月)
出所:図表3~4は米連邦住宅貸付抵当公社データ、ブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価
証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております
が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将
来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投
資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
35
15/7
16/1
(年/月)
01/02
(審査確認番号H28-TB13)
<原油価格や中国株式の安定>
 世界の株式市場の波乱要因とされていた原油価格と中国株式が落ち着きを取り戻しています。オイル
リグ(石油掘削装置)稼働数の減少や増産凍結に向けた動き等を受け、一時1バレル30ドルを割れてい
た原油価格(WTI原油先物価格)が、足元は40ドル近辺まで回復し、比較的堅調な動きを続けていま
す。利下げ等中国政府による景気・株価対策等を背景に、中国株式(上海総合指数)は1月28日の
2,655を底値に回復傾向となっています。
 増産凍結を巡る動きや中国経済指標の発表等を受け、再び波乱局面を迎える可能性もありますが、昨
年8月のチャイナ・ショック後のような混乱した状況に陥るリスクは小さいと判断しています。
図表5:WTI原油先物価格とオイルリグ稼働数
図表6:中国株式(上海総合指数)
(2014年9月5日~2016年4月8日 週次)
120
(ドル/バレル)
(基)
オイルリグ稼動数(右軸)
100
WTI原油先物価格(左軸)
2,000
(2015年7月1日~2016年4月8日 日次)
4,500
上海総合指数
1,500
4,000
80
3,500
60
1,000
3,000
40
500
20
0
2,500
0
2,000
16/3
15/7
(年/月)
出所:図表5~6はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
14/9
14/12
15/3
15/6
15/9
15/12
15/9
15/11
16/1
16/3
(年/月)
米国株式市場の今後の見通し
ブルームバーグデータ(4月8日時点)によると、2015年の米国企業(S&P500指数ベース)のEPS(1株当り利
益、純利益/発行済み株数)は前年比ほぼ横ばいとなっています。原油等資源価格の急落による関連企業
の業績悪化やドル高による輸出関連企業の業績不振等が影響しているものと思われます。
足元では原油価格は回復傾向となっており、また昨年のドル全面高の動きは修正されつつあります。同
データ予想では、米国企業のEPSは2016年、2017年と回復・拡大することが見込まれています。FRBが景気
に配慮した金融政策を続け、かつ現在の環境が継続すれば、米国企業の業績は再び拡大基調に戻ること
が予想されます。
企業業績の改善期待等を背景に、NYダウが回復基調を強め、2015年5月19日につけた史上最高値(18,312
ドル)更新をうかがう動きになることも想定されます。
図表7:米国企業EPS(1株当り利益)とS&P500指数
(2009年~2017年
S&P500指数は2015年まで(※1) 年次)
180
(ドル)
2,800
(ポイント)
米国企業EPS(左軸)
160
図表8:米ドル貿易加重指数(※)と円/ドルレート
125
(予想※2)
140
2,000
120
1,600
100
1,200
80
800
60
400
40
0
10
11
12
13
ドル高
(円)
130
2,400
S&P500指数(右軸)
09
130
(2015年5月1日~2016年4月8日
米ドル貿易加重指数は4月1日まで 日次)
14
15
16
(※1)S&P500指数は各年末値
(※2)予想:ブルームバーグ予想(2016年4月8日時点)
17
(年)
125
ドル安
120
120
115
115
円/ドルレート(左軸)
米ドル貿易加重指数(右軸)
110
110
105
105
15/5
15/7
15/9
15/11
16/1
16/3
(年/月)
(※)当該国と主要相手国との貿易量で加重平均された為替指数。
上記使用の米ドル貿易加重指数は1973年3月を100として指数化
出所:図表7~8はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成 されている。
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価
証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております
が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将
来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投
資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
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