米国株式市場の動向と今後の見通し - ニッセイ アセットマネジメント

2016年1月19日
投資情報室
臨時レポート
米国株式市場の動向と今後の見通し
米国株式市場の動向
原油安や中国株式市場の先行き懸念等を背景に、米国株式市場(NYダウ)は昨年末より調整色を強めていま
す。1月15日には16,000ドルを下回り、約4ヵ月半ぶりの安値で引けました。
投資家の心理を示し、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(注)も上昇傾向となっており、1月15日時点で昨年9月末
頃の水準に達しています。
図表1:NYダウ
19,000
図表2:VIX指数(恐怖指数)
(2014年1月2日~2016年1月15日 日次)
(ドル)
(2014年1月2日~2016年1月15日 日次)
50
VIX指数
18,000
40
17,000
30
16,000
20
NYダウ
10
15,000
14,000
0
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
(年/月)
(注)VIX指数とは「ボラティリティ・インデックス」の略称で、シカゴ・オプション取引所がSP500指数を対象とするオプション取引の
値動きを基に算出・公表しています。このVIX指数は投資家心理を示す数値として利用されます。
14/1
14/7
15/1
16/1
(年/月)
15/7
原油市場の動向と見通し
原油価格(WTI先物価格)は1月15日時点で、1バレル
30米ドルを下回り、約12年ぶりの水準まで下落してい
ます。
その原油価格の先行きについては、以下の理由から
底打ち・反転のタイミングが近付きつつあるとみてい
ます。
③ サウジアラビア等、石油収入の減少により財政が
悪化する国も出始めており、協調減産に向けた働
きかけが開始される可能性があること。また、石
油投資を圧縮・先延ばしする動きが見え始めてお
り、供給過剰に一定の歯止めがかかることも考え
られること。
(米ドル/
バレル)
WTI先物価格
140
120
100
80
割下落
② 現在の原油価格は、本格的な上昇局面に入る
2005年頃以前の水準である1バレル10~40米ドル
の水準程度まで下落していること。
(1985年1月~2016年1月 月次)
160
約
① 急落前の2014年6月頃の高値から既に7割程度下
落し、かつそのスピードが急激であり、パニック的
な売りがかなり出たと思われること。
図表3:原油価格(WTI先物価格)
7
60
40
20
0
85/1
90/1
95/1
00/1
(※)2016年1月は15日時点
05/1
10/1
15/1
(年/月)
出所:図表1~3はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価
証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております
が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将
来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投
資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
01/02
(審査確認番号H27-TB172)
中国株式市場の動向と今後の見通し
図表4:中国・上海総合指数
1月15日の中国・上海総合指数は3000を割れ、昨年8月の
安値を下回って引けました。中国政府の行う為替や株価安
定策の効果がなかなか現われず、投資家が疑心暗鬼に
なっている可能性があります。
しかし、習政権は安定成長経済への移行を目指して取組
みを行っており、その実現には通貨や株価の安定は欠か
せないものと思われます。
このため、仮に株価が更に下落するような場合には、これ
まで以上に腰の入った対策を打つことも考えられます。
また、これまでの対策の効果が徐々に浸透することも考え
られ、株価は次第に安定感を取り戻すものと判断していま
す。
(2015年1月5日~2016年1月15日 日次)
5,500
上海総合指数
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
15/1
15/4
15/7
15/10
16/1
(年/月)
米国株式市場の今後の見通し
以下の理由から米国株式市場は早晩底打ちし、回復に向
かうものと考えます。
① 原油や中国株式は、売られ過ぎ感が強い状態にある
と思われること。
② 米国株式(SP500指数)の予想PER(株価収益率)(注)
は、2014年2月中旬頃の水準まで低下しており、株価
の割安感が強まっているとみられること。(注)株価が予想利
図表5:予想PER(株価収益率)(SP500指数ベース)
(2014年1月2日~2016年1月15日 日次)
19
(倍)
18
17
益の何倍まで買われているかを示す。
③ VIX指数の水準からして、投資家は過度な悲観論に
陥っていると思われること。
16
④ 米国企業は2015年9月末時点で約1.6兆米ドル(118円
換算で約186兆円)の現預金及びその相当額を保有し
ている。更に株価が下落する等の局面では、リーマン・
ショック時等のように、現預金等を用いた自社株買い
が活発化し、需給の改善をもたらす可能性があること。
15
図表6:米国企業の保有現預金及びその相当額
図表7:米国企業の自社株買い
1.8
(2006年1-3月期~2015年7-9月期 四半期)
(兆米ドル)
14
14/1
14/7
(10億
米ドル)
15/7
16/1
(年/月)
自社株買い
・自社株買い-株式発行
・年率換算値を4で除した数値
200
1.4
15/1
(2006年1-3月期~2015年7-9月期 四半期)
300
250
保有現預金及びその相当額
1.6
SP500指数予想PER
150
100
1.2
50
1.0
0
0.8
‐50
06/3
08/3
10/3
12/3
14/3
(年/月)
06/3
09/3
12/3
15/3
(年/月)
出所:図表4~5はブルームバーグデータ、図表6~7はFRB(米連邦準備制度理事会)データを基にニッセイアセットマネジメントが作成
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価
証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております
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来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投
資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
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