英語高度専門職業人コース - 国際言語文化研究科

修了生の声 【大矢梨紗子】(平成27 年度修了)
英語高度職業人コースに入学したきっかけは、特定の分野を研究したいという意欲があ
ったわけではなく、「自分の何かを変えたい」という漠然としたものでした。学部卒業か
ら数年が経ち、商社勤務を経験したのち英語教室の講師として働いていた私は、英語を教
えることのやりがいと面白さを感じながら、自分のフィールドをもっと広げたいという思
いを抱いていました。そんな時に出会ったのが現職社会人のリカレント教育に力を入れて
いるという「英語高度職業専門人コース」でした。願書提出の期限まであと1ヶ月を切って
いましたが、受験を決意。幸運なことに合格し、そこから3年間本当に充実した日々を過ご
すことができました。英語で行われる専門科目の授業や、通訳・翻訳などの実技演習はど
れも刺激的で、知的領域の広がりを感じながら楽しく取り組めました。それはおそらく、
熱心に指導してくだ
さる先生方と、一緒
に切磋琢磨しあった
院生仲間たちの存在
があったからだと思
います。大学院の授
業はほとんど少人数
制のため、自分が発
言する機会も多く、
問題意識を高く持つ
ことの大切さを実感
しました。物事を
様々な方面から眺め
て分析する姿勢も身
につきました。
大学院生活を振り
返って感じることは、
人との出会いの大切さです。私は、ある院生との出会いがきっかけとなり、修了後は教職
の道に進もうと決意、大学院で英語の教員免許を取得しました。また、指導教員である松
岡光治先生には、修士論文のテーマの設定から研究の進め方まで細かく指導をいただき、
教員採用試験の際にもアドバイスをいただきました。これほど恵まれた環境で充実した3年
間を過ごし、自身のキャリアパスの新たな方向性を見出すことができたのも、本当にたく
さんの素敵な出会いがあったからだと感じております。関わってくださった全ての方に感
謝申し上げます。
修了後は、名古屋市内の私立・東海高校で英語教員として働くことになりました。授業
中に茶々を入れてきたり鋭い質問をしてきたりと、なかなか手ごわい生徒たちですが、や
りがいを感じられる環境ですので、大学院での学びを教育現場に還元し、これから未来の
ある生徒たちの背中を押していける教員になりたいと思っております。今、受験を考えて
おられる方、ぜひ可能性を信じて扉を叩いてみてください。アカデミックな面において、
人生において、有益なものが得られるに違いありません。
【E.H.】(平成 27 年度修了) 英語教師として教壇に立つ前に、英語を教授するために必要な知識を大学院で深めたい
という思いは、学部を卒業する前から抱いていた。しかし、教員採用試験の結果を受け、
卒業後は、正規教諭として中学生を相手に英語を教える貴重な経験を積むことを選んだ。
その後、日本を離れるなど紆余曲折を経ながらも、英語を教えることは地道に続けてきた。
わずか数年の教師経験ではあるが、英語を教えることに真摯に向き合えば向き合うほど、
英語という言語の習得のメカニズムについて追究したく、むしろそのような知識を得るこ
とで、より効果的に教えられるのではないかと強く感じるようになってきた。そして、学
部卒業後からしばらくの年月を経て、念願だった大学院の道にようやく進むことになった。
この大学院生活は、結果としては積極的に学び続けた 2 年間となった。英語高専人コー
スの特長でもある通訳・翻訳の授業から、実用的な英語表現力を鍛えるだけでなく、他研
究科の授業もできる限り履修し、言語習得や英語教育についての専門分野の理解を深めて
いった。また、この 2 年間は大学院で学ぶと同時に、英語教師として高校で勤務していた
ので、いかに効率的に自分の研究を進め、論文を書き上げるかが常に私の中で課題となっ
た。そのため、休日や長期休暇の大半は論文執筆に向けて費やされることになったが、不
思議に辛いと思ったことは一度もなかった。研究会や学会にも積極的に参加し、自分の研
究内容が有益なものになるように前向きに取り組み続けた。最終的には、自分が納得でき
る論文に仕上がり、まさに 2 年間の集大成となった。
この論文執筆という最終目的に到達する中で最も大切なことは、周りに依存せず、深く
考え、主体的に判断することだと思う。現状の不運を他人や環境の所為にすることなく、
鋭い観察眼を備えながらひたむきに努力をすることで、道は自ずと拓いていくと私は信じ
ている。専門分野に関する知識だけでなく、様々な周辺の物事に対する考え方を、学校と
いう教育の場を通して伝えていくことが、これからの私の使命であると感じている。
最後に、この 2 年間を私の人生において貴重なものにしてくださった先生方、先輩方、
そして家族にこの場を借りて感謝を申し上げたい。
【平井 浩子】(平成 26 年度修了) 英語塾で教えていた私は、講師として、また一学習者として、学習者要因の中でも、特
に学習者の心理的側面と英語学習の関連に興味がありました。第二言語習得という学問を
体系的に学び、自分なりに自身の関心に向き合ってみたい。さらに、レベルの高いアカデ
ミックな英語に触れることで、自己を高め可能性を拓いていきたいという思いがあり、大
学院の門戸をたたきました。折しも1年次の 9 月に結婚することが決まり、新生活が始ま
る節目に少なからず不安も感じましたが、在職のままであったり、家庭を持ちながら就学
している周囲の存在に、大変励まされました。
2 年を振り返り得たものは、まず授業・課題や研究を通じて様々な文献に多く触れたこ
とで、目標であった英語力を高めることができたこと。次に、英語に続く言語として学ん
でいた中国語を集中的に学ぶため、国立台湾大学に一学期間留学する機会を持てたこと。
この間、指導教員の尾関先生には早期からご指導いただいたおかげで、留学先から修論を
提出することができ、先生には本当に感謝しています。最後に、巡り合せで、英語の実務
経験も豊富で実力も兼ね備えた社会人学生の方々と、肩を並べて学べたことです。問題意
識の高い彼らと、日本の英語教育について語り、時に今後のキャリアについて相談できた
ことは、幸運なことでした。年齢に関わらず、しなやかに、そして貪欲に学ぶ姿勢に大い
に学びました。
修了後は、メーカーで翻訳の仕事に従事することになりました。院での出会いを通じ、
入学前に掲げた「微力ながらも日本の英語教育に貢献できる」人材になれるよう、実務で
英語を駆使する経験を積み、更に実力をつけたいと考えました。そして、いずれは教務に
戻り大学院で学んだ内容を活かしたいという、キャリアの方向性を見出すことができまし
た。今、新たな道に自信を持って進めるのは、意識の高い学友らと日々切磋琢磨した 2 年
間があるからだと信じています。
【斉場 真由美】(平成 25 年度修了) 英語高専人コース入学は、ある通訳者の記事を読んだことがきっかけでした。
『日本には
通訳者を養成する公的機関は存在しないが、同時通訳技術を学べるところがある。名古屋
大学大学院、英語高専人コースである。』この一文を目にした時、私は胸の高鳴りを覚えま
した。過去に同時通訳技術を学び、通訳の仕事を請け始めてから 10 年が過ぎようとしてい
ましたが、息子の誕生により中断した同時通訳の勉強を再開したいと考えていた矢先だっ
たからです。そこで、かねてから興味があった英文学を研究しつつ通訳技術も学べる本コ
ース入学を、その日のうちに決心しました。 入学にあたり、いくつかの不安もありました。まずひとつには、仕事・家事・子育ての
かたわら大学院に通うということが、時間的に可能なのだろうかということ。次に、20 年
以上も前に大学を卒業した自分が、若い人たちの間で授業を受けることで、周囲も自分も
居心地の悪い思いをするのではないかということ。また、どんな服装で大学に通えばよい
のかまで不安でした。 しかし入学して間もなく、それらは杞憂であったことがわかりました。多彩な授業が毎
日朝から夜まで行われ、各自の生活様式に合わせて時間割を組めるため、仕事や子育てに
支障なく学ぶことが可能です。修士 1 年目は、授業の課題と研究に追われ精神的に混乱状
態でしたが、先生方のきめ細
かく温かいご指導と、院生仲
間の世代を超えた友情のおか
げで乗り切ることができまし
た。また、院生の年齢層が幅
広いことは嬉しい驚きでした。
60 代や 70 代の先輩方が生き
生きと研究に励んでいらっし
ゃる姿には、深い感銘を受け
ました。 修士 1 年目の 3 月、同居の義母が交通事故で脳を損傷、介護のため翌年 1 年間の休学を
頂きました。また、復学後も思うように研究に時間が取れず、修了には休学期間も含め 4
年を要しました。その間、 筆の遅い私を辛抱強く励まし支えてくださった指導教官の松
岡先生には、感謝の念に堪えません。 英語で多くの文献を読み論文を完成させる上で、時には七転八倒の思いも味わいました
が、本コースでは世界各国からの留学生とディスカッションを交わす環境に知的好奇心を
刺激され、新しい出会いと学びに心が躍るような日々を体験させていただきました。以前
の私のように、数々の不安を抱きつつも入学を検討されている方には、ぜひご自分の可能
性を信じてチャレンジされることをおすすめします。 【加川 華子】(平成 23 年度修了)
(名古屋大学『学園だより』vol. 155 より転載。拡大版は以下の URL 参照のこと。 http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/kosenjin/kagawa.jpg ) 【加野 泉】(平成 21 年度修了、国際言語文化研究科多元文化論講座進学) 入学前、当時一歳の長男を育てながら外資系企業に勤務していた私は、仕事とそれに必
要な英語と翻訳技術の向上、そして育児という三つの課題に追わ
れつつ、そのうちのどれにも十分に力を注ぐことができない状態
に苦しんでいました。
そんな折、長女を妊娠。二人の子育てをしながらこれまでと同
じ生活を続けるのは難しいと悟り、一度仕事を諦めることにしま
した。しかし、今は諦めても、未来の仕事までは諦めたくない、
また翻訳の仕事に携わりたい。そんな思いから、翻訳技術や英語
圏の文化について深く学び、力を蓄えておきたいと強く望むようになりました。
こうして飛び込んだ国際言語文化研究科は、私の学習意欲と知的好奇心を存分に生かせ
る場所でした。高度専門職業人コースの必修科目である英語と翻訳技術に加えて、専攻の
科目から翻訳理論や比較文化を選択し、翻訳の実践と研究理論を同時に学ぶことができ、
さらに、自らの経験から大きな関心を持っていたジェンダー論を学ぶことで、修士論文を
書き進めるための礎を築くことができました。
また、論文執筆にあたっては、主指導の先生をはじめとする複数の先生方から熱心にご
指導いただき、そのお陰で最後まで情熱を持って研究に取り組むことができました。
入学式の直前に誕生した長女は、修了式の翌日に二歳になります。
二人の乳幼児を育てながらの大学院生活は、息をつく間もない大変な毎日でしたが、先
生方のご理解と、夫と両親の大きな協力を得て、完走することができました。こうして支
援してもらっている分、しっかりと力をつけなければならないと自らを奮い立たせ、一心
不乱に学問に打ち込み、とても充実した幸せな二年間でした。
がむしゃらに学んだこの二年間で、一生の友と思えるような書物や、これから研究を進
めていきたいテーマにも出会えました。このコースで学んだことを土台にして、今後も情
熱を持って研究に取り組んでいきたいと思っています。 【山田 千聡】(平成 20 年度修了生、中日新聞社勤務)
学部の大学生活も後半にさしかかる頃、自分の進みたい道が見つからず、まだ学び足り
ないと感じていた私は、周囲が就職活動にいそしむ姿を横目に、進学する決意を固めまし
た。しかし、極めたい分野をなかなか絞ることができず悩んでいた最中、英語のスキルを
磨きつつ、大学院レベルの講義を受講できる名古屋大学・国際言語文化研科の高専人コー
スの存在を知り、迷わず受験を決めました。
翻訳・通訳技術演習やネイティブ・スピーカーによる英語表現演習では、欧米諸国の文
化や歴史を学び、知識を蓄えることできました。また、高専人コースの特長として他講座
の授業を幅広く受講できることがあり、メディア論や英語圏以外の文化論といった様々な
分野の学問に触れることができ、関心と視野を広げることができました。日常で見聞きす
る国際ニュースや時事問題に対する見方も変わり、多角的に物事を捉えられるようになっ
たと思います。
二年間の大学院生活を振り返ると、刺激的で充実した毎日を送る中で、大切な出会いが
いくつもありました。研究科には仕事を続けながら学ぶ方、家事と両立しながら学ぶ主婦
の方など、様々なバックグラウンドを持った人たちが集まっています。また、留学生が大
勢在籍しているので、日本にいながら外国にいるかのように、異なった文化的背景を持っ
た人々とコミュニケーションを持つことができます。学習意欲が高く、自分の夢を実現さ
せるために努力し続ける仲間たちと切磋琢磨しながら学べたことが、何ものにも代えがた
い一番の宝となっています。
友人が続々と内定をもらう中で、一人黙々と大学院入試に向けて勉強していた学部の4
年生の時期や、修士2年生になって大卒の子と一緒に就職活動をしている最中は、不安で
いっぱいでした。しかし、就職した現在では、そんな苦労もすっかり忘れてしまうほど、
二年間で得たものは大きく、学べることがいかに幸せで、楽しいことであったのかを実感
する毎日です。大学院卒であっても、就職活動において決して不利にはならないと思いま
す。今では高専人コースで得た知識や英語力を直接活かせる機会はありませんが、今後の
人生を豊かにする上で必ず役立つものであると思っています。
【高須由香】(平成 19 年度修了)
大学を卒業してから八年間、公立高校の英語教員として
働いていた私は、忙しいながらも充実した毎日にもかかわ
らず、何かが足りないような感覚にとらわれていました。
そして昨年、それが何であるのかもよくわからないまま、
名古屋大学大学院国際言語文化研究科に飛び込んだのです。
大学院生としてのこの一年間は、多くの新鮮な経験を積む
ことができました。
まず第一に、学問。アメリカやヨーロッパを中心とした文化に関する授業や報告書の執
筆は、私に、新たな角度から「英語」という言語を眺める視点を与えてくれました。哲学
に関する授業では、その難解さゆえに現実から引き離され、自分の身の回りの世界を客観
的に見る機会を持つことができました。
次に、実践的な英語力。実際に翻訳や通訳の現場で活躍された先生の授業やインターネ
ット上の教材を利用した英語学習は、私の英語学習に、大きな刺激を与えてくれました。
レベルの高い英文を毎回数十ページ読みこなしていかなければいけない予習は、辛いと感
じたこともありましたが、確実に私の英語力を高めてくれました。
そして何より、恵まれた人間関係。自分の教え子と同年代の同級生と一緒に学ぶことは、
少し不安で、照れくさかったけれども、本当に楽しかったです。指導は厳しい先生方も、
普段はとても気さくで温かく、先生も交えたおしゃべりからは、学問以外のことも多く学
ぶことができました。
修了して数ヶ月が経った今も、入学する前の自分に何が足りなかったのか、そして、こ
の一年間で何を得ることができたのか、具体的な言葉で表現することはできませんが、大
学院生活は、私のこれからの毎日に、大きな糧を与えてくれたように思います。本当にあ
りがとうございました。
【佐藤綾子】(平成 18 年度修了)
高専人コースへ進学することを志したのは、学部時代に勉強し
た英語の語学力を、より実践的な技術として活用できるものにし
たいという思いがあったからです。コースに入学後、私はその思
いにそって、翻訳技術の習得を目的とする授業をはじめとして、
ネイティブの教授による文化論の授業など、幅広く英語やその背
景にある欧米の文化を学ぶ授業を履修しました。
英文学の古典小説の翻訳の課題のために辞書を片手に四苦八苦したかと思えば、翌日に
はネイティブの教授の授業でクラスメイトと英語で議論し、また別の日にはジェンダー論
や文化論の講義を聴き入るといった学生生活でした。
私が学んだように、このコースの特色として、英語の翻訳や通訳技術など、コースで必
修となっている実践的な英語の技術を学ぶだけではなく、他講座で開講されている授業を
履修できるということがあります。実際に社会に出て英語を用いて仕事をする上では、英
語力に加え、英語が用いられる文化に対する知識が必ず必要になります。実践的な技術を
学ぶ授業だけでなく、これらの文化論的な授業を履修できたことは、私にとって非常に有
益であったと思います。
知識に加えて、人との出会いもこのコースに所属するあいだに私が得た大きな収穫の一
つでした。私は学部を卒業してすぐに進学しましたが、同期は社会人経験を経て大学院に
進んだ方たちでした。すでに十分すぎるほどの能力を持ちながらも、さらに意欲的に学ぼ
うとする彼女たちの姿勢に、私は大いに刺激を受けました。
大学院においては、彼女たちの他にも、研究や学ぶことに熱心な老若男女、国籍も雑多
な様々な人々との出会いがたくさんありました。
このコースおよび研究科に所属した二年間に学んだこと、そして出会った人々は、私に
とって大きな糧となっています。
【阿藤文子】(平成 16 年度修了、国際言語文化研究科ヨーロッパ言語文化講座進学)
自分自身の高校英語教師の経験や、夫の転勤による欧米滞在体験をもっと生かしたい、
そのためにも改めて英語力を伸ばすとともに、国際多元文化等を体系的に勉強したいと思
っていました。そんな折、本研究科の高度専門職業人コースを知り、これこそ私の求めて
いたものという思いがしました。幸いにも入学することができ、1年次には通訳技術演習、
翻訳技術演習、母語話者による英語表現演習など、コース独自の授業を通して実践的な英
語力をつける機会を得ました。と同時に、いくつもの国際多元文化専攻の専門授業などを
受講しましたが、どの授業も面白く、新たな視点を与えられることも多く、学問の奥深さ
を感じました。確かに、課題がハードで量も多く、発表やレポートもあり、やりこなすの
は大変です。でも、
「学ぶことの楽しさ」が本当に分かってきた気がします。この年になっ
てもこういう機会に恵まれたことに感謝の気持ちで一杯です。今日も若い人たちの輪に入
って話に花を咲かせ、学生生活を満喫しています。
(2016.4.9)