No.189 『財政出動』がｶﾅﾀﾞ経済を後押し

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2016年4月7日
No.189
『財政出動』がｶﾅﾀﾞ経済を後押し

ｶﾅﾀﾞ政府は3月22日、2016年度（ｶﾅﾀﾞの財政年度
への手当てとして、2年間で120億ｶﾅﾀﾞ･ﾄﾞﾙが子供手
は4月～翌年3月）の予算案を発表した。2015年10月
当てや就職支援などに回ることになる。
に『成長重視路線』を訴え、10年ぶりの政権交代を果
政府集計の民間調査によると、これらの政策によって

たした自由党ﾄﾙﾄﾞｰ新政権は、公約どおり、財政支出
GDP成長率は、2016年度に0.5％、2017年度には
を大きく拡大させ、景気刺激策を打ち出した。

1.0％押し上げられる見通しだ【図表２】【図表３】。雇
今回の予算案で発表された景気刺激策は、2016年
用もｲﾝﾌﾗ投資の拡大などの恩恵を受け、2016年度に
度に116億ｶﾅﾀﾞ･ﾄﾞﾙ、2017年度には149億ｶﾅﾀﾞ･
4.3万人、2017年度には10万人の労働需要が生ま
ﾄﾞﾙと、2年間で合計265億ｶﾅﾀﾞ･ﾄﾞﾙ（約2.3兆円）規
れる見込みだ。過去3年間、10万人台の雇用増であっ
模になる【図表２】。ｶﾅﾀﾞのGDP水準が日本の4割程
たｶﾅﾀﾞの労働市場には大きなｲﾝﾊﾟｸﾄとなる【図表４】。
度であることを考慮すると、日本に例えれば約6兆円規

3月30日、ﾓﾙﾉｰ財務大臣は「今回の財政支出は、”支

模の景気刺激策が実施されることになる。
出”ではない。ｶﾅﾀﾞの未来へ向けた”投資”である。我々
景気刺激策はｲﾝﾌﾗ投資と中所得者層への手当てが中
は、成長を加速するためにすべきことを行なっているところ
心となっている【図表２】。ｲﾝﾌﾗ投資は2年間で113億
だ。」と語り、『成長重視路線』を改めて表明した。
ｶﾅﾀﾞ･ﾄﾞﾙ投じられ、現存の公共ｲﾝﾌﾗの維持、改修や
ﾄﾙﾄﾞｰ新政権による財政支出の拡大は、ｶﾅﾀﾞの経済
交通ｲﾝﾌﾗの整備などに当てられる。また、中所得者層
成長を大きく後押しすることが期待される。
ｶﾅﾀﾞ･ﾄﾞﾙ相場の推移（対円、対米ﾄﾞﾙ）
【図表１】
（円/加㌦）
【図表２】
（2014年1月初～2016年3月末）（加㌦/米㌦）
1.0
110
105
対米ﾄﾞﾙ（右軸、上下逆）
100
金額（億加㌦）
2017年度
2016年度
2017年度
ｲﾝﾌﾗ投資
39.7
73.2
0.2
0.4
1.3
中所得者層
への手当て
55.9
64.3
0.2
0.4
1.4
その他支出
34.6
42.1
0.2
0.3
1.5
税制改正
（控除項目）
-14.5
-30.2
-
-
合計
115.7
149.3
0.5
1.0
1.1
対円（左軸）
90
ｶﾅﾀﾞ･ﾄﾞﾙ高
85
80
1.6
75
'14/1
ｶﾅﾀﾞ･ﾄﾞﾙ安
GDP寄与度（％）
2016年度
1.2
95
ｶﾅﾀﾞの景気刺激策
1.7
'14/7
'15/1
'15/7
'16/1
※四捨五入の関係で合計が一致しない場合があります。
実質GDP成長率の推移
【図表３】
（%）
【図表４】
（2000年～2018年）
6
年間雇用者数増減の推移
（万人）
（2000年～2015年）
60
50
4
40
期間中平均：21.2万人
30
2
20
0
景気刺激策による
押し上げ効果が期待される
-2
10
0
-10
-20
-4
'00
'02
'04
'06
'08
'10
'12
'14
※2015年以降、政府集計の民間ｱﾅﾘｽﾄ予想。
'16
'18
'00
'02
'04
'06
'08
'10
'12
'14
（出所）ﾌﾞﾙｰﾑﾊﾞｰｸﾞ、ｶﾅﾀﾞ財務省、
ＩＭＦ「World Economic Outlook Database October 2015」
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