『中国経済』市場は過度に悲観的

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2015年8月31日
No.169
『中国経済』市場は過度に悲観的
■ 中国経済が成長鈍化
ベース) 、その後、底値模索に入っている。52週移動平

8月に発表された中国の経済統計が軒並み成長鈍化

を示した。中でも、8月の(民間調査)製造業景況感指
数(PMI)がリーマン・ショック以来、約6年半ぶりの弱い数値
均線が下値の目途になりそうだ【図表2】。

るところである。中国経済は成長率では低下しているも
になったことで、成長鈍化懸念が一層高まった。
のの、前年比増加額では安定した拡大を続けている
6月以降の中国株式の急落も中国経済の先行き懸念

【図表3】。黒田日銀総裁は26日のニューヨーク講演で
を強めた。中国株式は6月、信用取引の規制強化を
『中国経済に関して、世界の金融市場は過度に悲観
きっかけに下落が始まり、6月の高値から8月の安値まで、
2カ月で4割超の下落を記録した。年初来騰落率がマイ
ナス圏にまで落ち込んでおり、一時の過熱感はほぼ払拭
されたようだ【図表1】。
的になり過ぎている』と指摘した。
■ 中国が財政出動拡大へ

8月、中国政府は財政出動の拡大を打ち出し、本格
的に景気対策に乗り出した。3年間で1兆元 (約20兆
■ 中国不安が世界市場に波及
円) 規模に上るとの試算もあり、地下鉄・空港・通信
8月第4週、中国経済/株式市場の不安が世界の金

世界の金融市場の安定には中国経済の安定が待たれ
網・環境整備などの都市基盤整備、西部地域開発の
融市場を震撼させた。投資家のリスク回避姿勢が極度に
高速鉄道建設が計画の柱になっている。中国の政府
高まり、急速なドル売り/円買いが進んだ。ドル円は強い
債務残高(対GDP比)は先進7カ国の平均118%に比
下値支持線とされる52週移動平均線まで下落(終値
べて41%とまだ低く、財政出動の余力は大きい【図表
4】。
【図表2】 ドル円相場
【図表1】 上海総合指数
5,500
(円)
130
5,000
125
(2015年1月5日~2015年8月28日)
(2014年1月1日~2015年8月28日)
120
4,500
115
4,000
110
3,500
105
3,000
52週移動平均線
100
2,500
1月
2月
3月
【図表3】
4月
5月
6月
7月
95
'14/1
8月
中国 実質GDP 成長率と増加額
(兆元)
(2008年~2015年)
25
(見通し)
(%)
300
250
15
200
10
150
5
'09
'08
成長率(%)
前年比増加額
(兆元)
'10
'09
'11
'10
'12
'11
'13
'12
'14
'13
'14
'15/1
'15/7
中国+G7政府債務残高(対GDP比)
【図表4】
(2014年)
(*見通し)
20
'08
'14/7
'15
'15
9.6
9.2
10.4
9.3
7.8
7.8
7.4
6.8
1.03
1.08
1.33
1.31
1.20
1.29
1.32
1.30
*
*
*
100
*
50
0
日本
イタリア
米国
フランス
英国
カナダ
ドイツ
中国
(出所)ブルームバーグ、IMF, World Economic Outlook Database, April 2015
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