PowerPoint 프레젠테이션

環境負荷軽減型新規アルミニウム合金
富山大学
大学院理工学研究部
教授 松田 健二
背 景
本研究では、地球上で埋蔵量の高い元素、並びに日本で入手が容易な元素を用いて新規な軽量材料、とくに高層建築用あるいは
自動車、航空機等に使用可能な高強度で高延性を有し、富山県を発信源とした新たなアルミ材料の創製を目的とする。日本で入
手が容易な元素(ユビキタス元素)を主成分としたアルミニウム合金の開発を目指す。
従来研究との比較
従来のAl合金では、製品に成型した後の熱処理で微細な化合物で覆われるが、結晶と結晶の界
面部分は、化合物が局所的に存在するのみで、図1のように結晶粒内部に比較して非常に弱い。
これが合金の強度と延性向上を阻害する元凶となる。新提案の合金は、所望の製品に成型した
後に、結晶と結晶の粒界部分に、熱処理によって積極的に化合物を析出させ、鎧のように覆う
図2 新規提案のAl合金。
「ナノヘテロ」構造を形成させる。これによって図2のように結晶粒の内部もナノサイズの化合物 図1従来のAl金属。
結晶粒界の部分が強化し
結晶粒界の部分が弱い。
によって強化される。
ている。
実験結果
申請者らは強度に寄与する化合物の内部に積極的に取り込まれる元素の存在を発見した。左上図はその一例であり、同じ化合物
の高分解能透過型電子顕微鏡観察像である。左からAl-Mg-X合金、Al-Mg-Si合金、XとY元素を添加したAl-Mg-Si合金中に観察さ
れる中間相b’である。この化合物相は合金の強度と強い因果関係をもち、その化学組成は安定な化学量論組成であるMg2Xとさ
れてきた。しかし申請者らとノルウェーの共同研究結果ではMg/Xの比は2ではないことを指摘し、その結晶構造も解明した[Philo.
Mag.vol.92, pp.1149-1158,2012]。注目したいのは写真中の数字0.72、0.71そして0.69nmであり、これはそれぞれの合金中の化
合物相の格子定数である。つまり、添加元素が化合物に直接入り込んで、格子定数を変化させたのである。図3は化合物相とAl母
相の整合性を示したもので、d1~d5で示した中間相の結晶格子面の間隔がAl母相の{200}面とどの程度の格子ミスマッチを持つ
かを調べると、先に示したわずか0.01nmの格子定数の違いから、0.3%のミスマッチが±2%へと増加する。さらにこの原理を応用
して、Al-Mg-Si系合金に数種類以上の元素を適切な比率で、適切な質量を複合して添加することで、図4のように高強度と高延性
という相反する2つの性質を併せ持たせることが可能になった。これは図5に示したナノ組織を微細分散させることに成功したこと
に起因する。Al-Mg-Ge合金及び複数元素の複合添加合金は特許を取得している[特許第4876249号,特許5531176号]。
図3結晶格子の説明図
図4 引張試験結果
図5 電顕観察結果
まとめ・今後の展望
本研究が創製を目指す新合金は、所望の製品に成型した後に、結晶粒内部はナノサイズの化合物によって強化するとともに、結
晶粒界部分は化合物によるナノヘテロ構造を形成させて強化するというものである。この構造は化合物の融点がAlよりも高いこと
から、耐熱性も持ち合わせるため、軽量な新規アルミ材料としての新たな用途開発が大いに期待される。
【地域社会や産業界での応用分野・活用方法 等】
この構造を持つ材料は、化合物の融点がAl合金よりも1000℃以上高いことから、耐熱性をも向上させることが期待できる。新し
い富山ブランドのアルミ合金としての新たな市場拡大が期待される。
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富山大学知財・リエゾンオフィス
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