抜粋(PDF) - ぐんま暮らしポータル

移住者に聞いた ぐんま暮らしのリアル 09
半年ほどの予定が、かれこれ7年。
季節の巡りの素晴らしさを知る毎日です。
あがつま
ほ し の
ひ ろ み
吾妻郡中之条町 星野 博美さん(30代)
◦移住時期:2009年
◦職業・主な活動等:アーティスト・農業パート
中之条ビエンナーレに携わりたい
その思いを抱え、中之条町へ
中之条町では2年に1度、
「中之条ビエンナーレ」が開かれていま
す。これは、温泉街や木造校舎など町内各所で国内外のアーティス
トによるアート展示やパフォーマンス、ワークショップが開催されて
いるもので、2007年に始まったこの芸術祭にアーティストとして参加
したことが、星野博美さんと中之条町の出会いとなりました。2年
後の2009 年には町で募集したビエンナーレ事務局の嘱託職員に応
募。星野さんはビエンナーレが終わるまで半年ほどの滞在のつもり
で、中之条町にやってきたといいます。愛知県出身、上京して美大卒
業後、働きながら創作活動を続けていたところにきた誘いでした。
「まだビエンナーレに何ができるか未知だったと思いますが、それ
でもこの町は応援してくれていました。私は美術活動に携わりたい
という思いから中之条に来ましたが、アルバイト感覚で、まさかこん
なに長く暮らす事になるとは」と星野さんは振り返ります。中之条ビ
エンナーレ2009が幕を閉じた後も有志スタッフとして携わることに
して、星野さんは中之条町に住み続けました。
「かれこれ7年になり
ます」と笑います。
農家で働きながら、創作活動
地元の人の何気ない言葉から季節を知る
ウドやキュウリ、ショウガ、白菜、冬は乾燥いもなど、農作業を手
伝いながら中之条町で創作活動を続けている星野さん。この地で
天気や季節の巡りによって表情を変える里山の風景の素晴らしさを
知ったといいます。
「農作業の10 時休みに土手の桑の木を見て『葉
がこんなに若けえんだものまだ霜が降りらぁやぁ』と話している。農
家の視点が新鮮で私はそんな言葉をメモしスケッチをする。そんな
生活をしているうちにビエンナーレの準備が始まる時期になる」
。こ
れが7年の滞在につながった理由です。
中之条暮らしで感じたのは、新しい人を受け入れる下地があるとい
星野さんが講師をした夏休み子供向けワーク
ショップの様子
うこと。
「だからこそビエンナーレの開催も、私みたいなよそ者が住
み着くことも受け入れてもらえた」と星野さん。
「三代前からいる家
が地元でそれ以外はよその人だからと笑って話す方がいました。た
ぶん中之条ジョーク? プライドもあるけどユーモアがある人ばかり」
と話します。
ビエンナーレを通して町に関わってきたため、土地の記憶を知る
ことから人がつながり作品が生まれるのを見てきたという星野さん。
「住人も客もアーティストもおのおのの価値観のまま新しい何かに出
会えるのがビエンナーレの魅力と思い携わっていました。地域アート
プロジェクトが育つ土地は移住もしやすいのかもしれませんね」
。
14
中之条ビエンナーレ2015に出展した作品
移住前の川崎時代の都会の
人ごみを描いた作品