滋賀)公害調停、成立の見通し 大津の残土処分場問題 2014 年 6 月 7

滋賀)公害調停、成立の見通し
2014 年 6 月 7 日 03 時 00 分
大津の残土処分場問題
問題となった残土処分場=2013年7月9日、大津市栗原
大津市栗原の残土処分場に持ち込まれた土砂が崩落する危険があるなどとして、周辺住民ら約350人
が申請していた公害調停について、住民側と大津市が大筋で合意し、成立する見通しとなった。関係者が
明らかにした。土砂が崩落しないように市が対策工事を実施するほか、景観の改善にも配慮するなどとす
る内容。景観にも踏み込んだことに専門家は「画期的」と話している。
関係者によると、住民側から申請を受けた県公害審査会が昨年7月、国の公害等調整委員会に紛争の解
決を依頼。同委員会が5月末に調停案を示し、住民側と市が大筋で合意した。今後議会の議決を経て、7
月7日に正式に成立する見通し。
大筋合意した内容は、市は土砂が崩落しないよう、対策工事を実施する▽工事では景観の改善に配慮す
る▽周辺の水路への影響を調べるため、水質検査を実施する▽周辺住民に説明会などで進捗(しんちょく)
状況を説明するなど。
市は今年度当初予算にすでに対策事業費として約7千万円を計上。経費については土砂を運び込んだ京
都市の建設業者に請求するとしている。
公害調停を申請した1人で、処分場の近くで稲作をする農業○○さんは「基本的な合意ができたことは
評価するが、これからがスタートと考えている。実際にどう改善されていくのかしっかりと見守っていき
たい」と話している。
合意に「景観への配慮」が盛り込まれたことについて、淡路剛久・立教大名誉教授(環境法)は「景観
や自然環境の破壊は、これまで国の公害等調整委員会が対象とする『公害』の定義に入っていなかった。
公害調停の枠組みの中で、景観という環境への配慮に言及したことは珍しい。調整委の取り組みが前進し
たと言える」と話した。
申請書などによると、残土処分場は2004年ごろから京都市の建設業者が運営し、京阪神地域から残
土を持ち込んで埋め立ててきた。10年に施行された大津市の条例では埋め立てた土砂の高さを30メー
トル以下と定めているが、業者は60メートルの高さまで積み上げていた。11年には土砂が崩落し、隣
接する「比叡山延暦寺大霊園」に流れ込んだほか、周辺の市道が陥没するなどしたという。
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