特集 経理財務部門が成功の鍵を握る 5つの課題をどうクリアするか! 情報や収益性情報を提供すること するにあたって、製品の適正な原価 いたり、1つの製 品 を、グループ内の う 複 数の企 業で同じ製品 を 生 産して 岩根 知幸 ㈱クニエ サプライチェーン見直しに 有用な原価情報 はじめに 企 業 間・国 間にわたって 生 産 し、 世 売している。 事 業 規 模が大 き く なれ は、経理財務部門の重要な役割の1 本章では、最適なグローバルでの ば大きくなるほど、作っている製品が 界中の販売会社を通じて消費者に販 ナーシップ)協定/FTA (自由貿易協 サプライチェーンを検討するうえで 複 雑であれば複 雑であるほど、また つではないだろうか。 定 )がサプライチェーンに与 える影 響 重要なグローバルでの製品原価や収 前 章では、TPP ( 環 太 平 洋パート と対策について考察した。日本政府が いと思うのは至極自然である。 また、グローバル原価情報を取得 し、製品全体の原価を把握すること により製品ごとの収益性を把握・分 析することは、どの製品を多く売れ ばグループ全体の利益に貢献できる のか? いくらまで値引きしてよい のか? いつ製品を打ち切ればロス を最小限に抑えられるのか? 新製 品はいくらで市場投入すればよいの か? といった販売戦略や事業戦略 に重要な役割を担う。 サプライチェーン を最適化する原価 情報が提供できて いない グ ル ー プ 全 体 と し て の 販 売 戦 略、 グループ内でより 効 率 的で効 果 的 な 事業戦略だけでなく、グループ内ま 益性について、その関係や留意すべ ればとろ う と す るほど、グループ内 た取引先も含めたグローバルでの最 TPP/FTAを積極的に進めてい また取引先も含めたグローバル・サプ 適なサプライチェーンを検討するう 購 買・生 産・販 売 施 策 をとろう とす ライチェーンは複雑化しそれに伴い製 えで、有用な原価情報を提供できて きポイントを考察する。 品に関わる全 体の原 価 を 把 握 するの いる企業がまだまだ少ないのが現状 る全体の原価や収益性を考慮すべき つとして、製品の生産や購入に関わ 業で 生 産 しグループ 外へ販 売 す る。 料や部 品 を 調 達 し、グループ内の企 企 業のグループ外の仕 入 先 か ら 材 や為替変動などさまざまな諸条件を 情報が必要であり、かつ個々の単価 には、タイムリーに都度正確な原価 な購買・生産・販売施策をとるため 会 計 上 の 原 価 計 算 は、 そ の 主 目 的 ⑴ 会計上の原価計算では有 用な情報を提供しきれない 的なものを5つ取り上げてみた。 各企業が抱える問題点として代表 である。その理由を考察しよう。 も難しくなる。 ことは誰も疑う余地がない。 事 業 内 容や作っている製 品によっても 変えてシミュレーションを行うこと サプライチェーン を検討するうえで の原価情報の重要 性 こうとしているなか、企業としてそ れをきっかけにグローバルでのサプ ライチェーンを見直すことは非常に 有効である。最適なサプライチェー ンをシミュレーションし意思決定す るうえでさまざまな要因を考慮する また、本誌の読者は経理財務部門 違ってはくるが、グローバルに事 業 展 により、より最適な施策を選択した グループ内でより効率的で効果的 の方々が多いと思われる。グループ 開 している企 業の多 く が、 国 籍の違 必要があるが、その重要な要因の1 内の最適なサプライチェーンを検討 経理情報●2016.4.10(No.1443) 21 第Ⅲ章 グローバル・サプライチェーン見直しへの処方箋
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