血友病患者の心血管疾患（CVD）イベント有病率と危険因子

Abstract: M. Witkop, et al.
ルは，10 ポイントスケール［0（痛みなし）∼ 10（想
慢性疼痛の 38 ％で行われていた。患者は，急性疼
像できる最大レベルの痛み）
］で 5 であった（ p <
痛と慢性疼痛を同じ言葉で表現しており，
患者にとっ
0.001）。疼痛を表現する言葉として最も回答頻度の
高かった 3 つの言葉は，急性疼痛と慢性疼痛のい
ずれについても「うずくような痛み（achy）」，「ず
きずきする痛み（throbbing）
」，
「さわった時の痛み
（tender）
」であった。最も多く使用されていた鎮痛
薬は，非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）とアセト
て両者の識別が困難であると考えられた。この識別
アミノフェンであった。凝固因子製剤による補充療
者および医療提供者を対象とした教育プログラムが
法は，急性疼痛（患者の表現に基づく）の 79 ％，
必要である。
40.00%
Acute
35.00%
Persistent
30.00%
25.00%
20.00%
の欠如は，関節炎に関連すると考えられる慢性疼痛
の治療に，38％が適切とはいえない補充療法を行い，
急性出血に関連すると考えられる疼痛の治療に
21％が補充療法を行っていないという事実にも反映
されている。疼痛に対する診療を改善するため，患
90.00%
80.00%
70.00%
Acute
Persistent
60.00%
50.00%
40.00%
15.00%
10.00%
30.00%
20.00%
5.00%
10.00%
0.00%
0.00%
Fig. 1. Medication Usage by haemophilia Patients. (%), (Acute n = 100),
(Persistent n = 88).
Fig. 2. Treatment Strategies used by haemophilia Patients (%), (Acute &
Persistent = 112).
Abstract: A. A. Sharathkumar, et al.
Abstract (Clinical haemophilia)
血友病患者の心血管疾患（CVD）イベント有病率と危険因子：米国の単一
血友病治療センターの経験
Prevalence and risk factors of cardiovascular disease (CVD) events among patients
with haemophilia: experience of a single haemophilia treatment centre in the United
States (US)
A. A. Sharathkumar, J. M. Soucie, B. Trawinski, A. Greist and A. D. Shapiro
本研究の主目的は，血友病患者における心血管疾
無について調査することである。2004 年 1 月 ∼
患（CVD）イベントの有病率と既知の危険因子の有
2008 年 12 月の 5 年間に，米国の単一血友病治療セ
ンターを受診した 35 歳以上の血友病患者を評価対象
とした。広範なカルテレビューを行い，CVD イベン
Haemophilia (2011), 17, 597–604
©Blackwell Publishing Ltd.
33
Abstract: A. A. Sharathkumar, et al.
トとその危険因子（肥満，高血圧，糖尿病，高コレ
ステロール血症，
喫煙など）に関する情報を収集した。
Table 2. Relation between participant characteristics and cardiovascular
disease events among 185 men with haemophilia based on logistic regression.
これらの患者における CVD イベントの有病率を，
米国人口における推定値と比較するとともに，見い
だされた危険因子と CVD イベントとの関連性をロ
ジスティック回帰分析で評価した。血友病患者 185
例（血友病 A 102 例，血友病 B 83 例）が評価対象
となった。血友病患者における CVD イベントの生
涯有病率は，19.5％［36 例 /185 例（95％信頼区間
〈CI〉
：13.8 ∼ 25.2％］
，CVD による死亡率は，5.4％
［10 例 /185 例（95％ CI：2.7 ∼ 8.1％）
］であった。
血友病患者は，米国の非ヒスパニック系白人男性と
比較し，冠動脈疾患，脳卒中，心筋梗塞の有病率が
約 2 倍であった。血友病患者の CVD 危険因子保有
率は，非ヒスパニック系白人男性と同様であり，血
友病患者の 39.5 ％が危険因子を 2 つ以上保有して
95% Confidence Intervals
(CI)
Variable
Type of haemophilia
Haemophilia B vs. A
Severity of haemophilia
Moderate vs. mild
Severe vs. mild
Age of the patient (years)
Age 45–54 vs. 35–44*
Age 55–64 vs. 35–44
Age ‡65 vs. 35–44
Other risk factors
Hypertension**
Diabetes mellitus
Smoking**
Obesity
HIV infection
Hepatitis C infection
Hypercholesterolemia
Odd’s ratio
Lower CI
Upper CL
2.5
0.7
8.7
1.1
2.1
0.3
0.5
4.2
10.1
3.8
1.2
2.9
1.0
0.2
0.3
13.7
5.5
26.0
4.9
3.7
6.4
0.4
1.8
0.5
2.4
1.4
0.9
2.0
0.2
0.3
0.1
0.8
17.3
14.9
20.4
1.4
9.4
1.7
7.3
HIV, human immunodeficiency virus; * P = 0.05; ** P < 0.002.
いた。高血圧と喫煙は，いずれも CVD イベントと
有意な関連性を示し，オッズ比はそれぞれ 4.9 と 6.4
であった。結論として，血友病患者の CVD イベン
ト有病率および危険因子保有率は，少なくとも米国
Rhythm
disturbances:
5 (9%)
Valvular disease: 2 (4%)
の非ヒスパニック系白人男性と同等またはそれ以上
であることが示された。したがって，血友病患者の
ための CVD 予防戦略の導入は必須である。
Cardiomyopathy:
3 (5%)
Coronary artery
disease: 32 (57%)
Vascular disease:
4 (7%)
Cerebrovascular
accidents: 10 (18%)
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Fig. 1. Distribution of cardiovascular disease
events among 185 patients with haemophilia.

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