卸・小売業に携わる皆さまへ【商業での労働災害が増加しています】 ― 労働災害防止の取組のお願い ― 当署管内(台東区)の卸・小売業の事業場では、平成24年に労働災害(休業4日以上)で39人の 方が被災しています。前年の被災者は30人ですが、これを9人上回りました。 東京都内の卸・小売業の事業場においても、平成24年に発生した労働災害(休業4日以上)で1 464人の方が被災しており、前年に比べて61人上回りました。 東京都内の卸・小売業の事業場における労働災害の被災者1464人の災害を事故の型に多い順 にみると、 [①転倒]426人 [②動作の反動・無理な動作]223人 [③墜落・転落]184人 [④切れ・こすれ]138人 [⑤はさまれ・巻き込まれ]125人と続いています。 卸・小売業における労働災害は第3次産業全体の約3割を占めており、的確な対策が必要な状況 となっています。 つきましては、事業者及び安全衛生担当者による職場の点検を実施し、安全衛生管理の徹底を図 るよう要請をいたします。 災 害 事 例 ○転倒 1)段ボール箱を両手に持って運搬していたところ、床面の段差に足をとられてバランス を崩して転倒した。 2)売場へ行くために階段を下っていたところ、足を踏み外して転倒した。 ○動作の反動・無理な動作 1)重さ約30kgの商品をトラックに積み込むために商品を持ち上げたところ、腰に激痛 が走り動けなくなった。 ○墜落・転落 1)商品を陳列作業中、酒瓶のケースを踏み台にして棚上のカゴを取ろうとしたところ、 バランスを崩して墜落し膝を骨折した。 2)店舗駐車場にある看板のランプを取り替えるために、脚立に乗って作業をしていたと ころ、バランスを崩して地上に墜落した。 ○切れ・こすれ 1)スライサーを使用して食材を加工していたところ、刃部に指が触れて負傷した。 ○はさまれ・巻き込まれ 1)台車に商品を載せて運搬していたところ、通路に置いてあった荷と台車との間に指が はさまれた。 上野労働基準監督署 安全衛生管理の徹底を! 安全衛生方針の表明と安全衛生計画の策定 経営トップや事業場のトップが明確な「安全衛生方針」を示し、そして表明した安全・衛生 の基本方針を掲げて職場の安全衛生活動を計画的に展開して下さい。 1.基本方針は、単にスローガン的なもので終わらせず、具体的に示すこと。 ①目標は可能な限り具体的に数値、対策、実施目標を入れ分かりやすくすること。 ②長年災害のない場合は、数値的な目標だけでは実感がないため、実施事項を盛り込み 具体的に示すこと。 ③実施事項には月別の重点項目を決めてメリハリをつけた目標設定を行うこと。 ④策定にあたっては、本社で作成された計画、行政で示した災害防止計画等を参考に、 事業場に即した計画とすること。 卸・小売業に携わる方の必要な安全衛生管理体制の確認 1.各種管理者等の選任 ①総括安全衛生管理者:労働者数1000人以上 ②安全管理者:労働者数50人以上(各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器卸売業、 各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業) ③衛生管理者:労働者数50人以上 ④産業医:労働者数50人以上 ⑤安全衛生推進者等:労働者数10人以上50人未満 2.労働災害防止、健康障害防止等を審議するための委員会等の設置 ①安全委員会:労働者数100人以上(各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器卸売業、 各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業) ②衛生委員会:労働者数50人以上 ③委員会を設ける①②以外は、事業者は関係労働者の意見を聞くための機会を設ける。 卸・小売業に携わる方の具体的な安全衛生対策の取組み 1.作業の状態と作業者の行動から可能性のある災害の箇所を見つけ、対策を講じる。 (「流通・小売業における行動災害のリスクアセスメントのすすめ方」を参考) 2.転倒災害による災害防止のため階段、通路等は滑りにくい材質のものに改善し、履物は 滑りにくく安定したものを使用する。 3.腰痛防止のため、 ①荷を持ち上げる際に中腰、ひねり、前屈など不自然な姿勢をとらない。 ②作業前に腰痛予防体操を行う。 ③腰痛予防のための教育を行う。 4.墜落防止による災害防止のため、梯子や踏み台、脚立は正しい方法で使用する。 高所の作業床の端等から墜落の恐れのある箇所には手すりを取り付けて防止を図る。 5.切れ・こすれ災害による労働防止のため包丁など刃物類はよく研ぎ、十分に教育訓練を 行ってから使わせる。 6.加工用機械等によるはさまれ・巻き込まれによる災害防止のため、 ①危険の恐れのある箇所には安全防護措置の徹底を図る。 ②機械の本質安全化を図る。 ③機械の使用、点検時、非定常作業時の手順書を作成しその徹底を図るための教育を 行う。 7.一酸化炭素による中毒の防止のため、 ①オーブン、コンロ等の火気使用場所における換気の徹底を図る。 ②一酸化炭素警報機を設置する。 ③一酸化炭素中毒の危険性、特性についての教育を行う。
© Copyright 2024 ExpyDoc