飲食店に携わる皆さまへ【飲食店での労働災害が増加し

飲食店に携わる皆さまへ【飲食店での労働災害が増加しています】
― 労働災害防止の取組のお願い ―
上野労働基準監督署
当署管内(台東区)の飲食店では、平成24年に労働災害(休業4日以上)で30人の方が被災し
ています。前年の被災者は18人ですが、これを12人上回りました。
東京都内の飲食店においても、平成24年に発生した労働災害(休業4日以上)で741人の方
が被災しており、前年に比べて116人上回りました。
東京都内の飲食店における労働災害の被災者741人の災害を事故の型に多い順にみると、
[①切れ・こすれ]216人 [②転倒]148人 [③高温・低温の物との接触]119人
[④動作の反動・無理な動作]67人 [⑤はさまれ・巻き込まれ]46人と続いています。
つきましては、事業者及び安全衛生担当者による職場の点検を実施し、安全衛生管理の徹底を図
るよう要請をいたします。
災
害
事
例
○切れ・こすれ
1)料理の仕込み作業において食材を包丁で加工していたところ、包丁の刃が手の甲に当
たり負傷した。
2)洗浄したグラスをクロスで拭いていたところ、グラスのふちが破損しており、そこに
グラスの縁を回し拭きしていた手が当たり負傷した
○転倒
1)厨房において氷を入れた寸胴を運搬していたところ、床に置いてあった食材のケース
に足を引っ掛けて転倒し、床に肩を強打し負傷した。
2)洗ったビールジョッキを冷蔵庫に運んでいる時、濡れた床で足を滑らせ転倒し、割れ
たジョッキの破片が手に当たり負傷した。
○高温の物との接触
1)厨房において調理中、フライパンに敷いた油に火がつき、フライパンを冷やすために
シンクに移動させようとしたところ、油がはねて手にかかり火傷を負った。
2)厨房から料理を客席に運ぼうとしたところ、バランスを崩して転倒しそうになり、そ
れを防ぐためにとっさに出した手が、熱せられた鉄板に触れて火傷を負った。
○動作の反動・無理な動作
1)ビール樽(10ℓ)の搬入作業において、ビール樽を持ち上げた時に腰を痛めた。
2)冷蔵庫内の食材を取ろうとして屈んだ際、腰に激痛が起きた。
安全衛生管理の徹底を!
安全衛生方針の表明と安全衛生計画の策定
経営トップや事業場のトップが明確な「安全衛生方針」を示し、そして表明した安全・衛生の
基本方針を掲げて職場の安全衛生活動を計画的に展開して下さい。
1.基本方針は、単にスローガン的なもので終わらせず、具体的に示すこと。
①目標は可能な限り具体的に数値、対策、実施目標を入れ分かりやすくすること。
②長年災害のない場合は、数値的な目標だけでは実感がないため、実施事項を盛り込み具
体的に示すこと。
③実施事項には月別の重点項目を決めてメリハリをつけた目標設定を行うこと。
④策定にあたっては、本社で作成された計画、行政で示した災害防止計画等を参考に、事
業場に即した計画とすること。
飲食店で必要な安全衛生管理体制の確認
1.各種管理者等の選任
①総括安全衛生管理者:労働者数1000人以上
②衛生管理者:労働者数50人以上
③産業医:労働者数50人以上
④衛生推進者:労働者数10人以上50人未満
⑤交通労働災害防止担当者(行政指導)
2.健康障害防止を審議するための委員会等の設置
①衛生委員会:労働者数50人以上
②委員会を設ける①以外は、事業者は関係労働者の意見を聞くための機会を設ける。
飲食店における具体的な安全衛生対策の取組み
1.作業の状態と作業者の行動から可能性のある災害の箇所を見つけ、対策を講じる。
2.転倒災害による災害防止のため階段、通路等は滑りにくい材質のものに改善し、履物は
滑りにくく安定したものを使用する。
(床清掃の徹底、特に厨房の床は油脂類が付着するのでこまめに行う。)
3.作業床の端などから墜落の恐れのある箇所は手すりを取り付けて防止を図る。
4.食品加工用機械等による挟まれ・巻き込まれによる災害防止のため、
①危険の恐れのある箇所には安全防護措置の徹底を図る。
②機械の本質安全化を図る。
③機械の使用、点検時、非定常作業時の手順書を作成しその徹底を図るための教育を行う。
5.火傷を防止するため、
①素肌を出さない服装で行う。
②熱湯が入った鍋等を運ぶ場合は、無理なくできるか確認する。
③熱湯等がこぼれた場合には長靴の中に入らないように靴の入り口を絞る。
④熱湯等の取り扱いについては作業者にあった取り扱いを定め無理な作業をやめる。
6.一酸化炭素による中毒の防止のため、
①炭火コンロ、卓上ガスコンロ等の火気使用場所における換気の徹底を図る。
②一酸化炭素警報機を設置する。
③一酸化炭素中毒の危険性、特性についての教育を行う。
7.腰痛の防止のため、
①荷を持ち上げる際に、中腰、ひねり、前屈など不自然な姿勢をとらない。
②作業前に腰痛予防体操を行なう。
③腰痛予防のための教育を行う。
なお、計画を策定するにあたり監督署による各種講習会でお配りした「中小規模事業場の安全衛
生管理の進め方」を参考にして下さい。お持ちでない方には監督署でお渡しいたします。